New Paracelsus Lounge

 

パラケルスス研究のラウンジ

  

  

 

その3

 

パラケルススに関する古典的な研究

   

著者・編者名の前に * をつけた文献はマスト・アイテムです

 

 

A 研究文献リスト Paracelsus-Bibliographie
  
    これらのアイテムで先行研究を知るのが第一歩です。最初の K.Sudhoff の記念碑的作品は、パラケルスス本人の著作だけでなく、パラケルススに関する事項一般に関して幅広い文献を扱っています。最近出た Julian Paulus 氏の文献表によりほぼ20世紀後半のものは、押さえられました。しかし、これらの文献表に関しての一番の問題点は、論文や著作の表題に「パラケルスス」の名前が出てこないとカウントされない可能性がありうるということです。
 

手に持つだけで震えがくるという、ありがたきも圧倒的な文献です。

これは、僕は見たことありません。 

著者アルファベット順でエントリーされています。最後に分析的索引があってそれで事項ごとに当れます。  

これは、次の文献の出現で歴史的役割を終えてしまいました。

あえて、上記の Weimann の手法をとらなかった、ジャンル分類型で、索引が人名および事項用にあります。Weimann 式の方が使いやすかった気がします。ドイツのマイナーな出版社からですので、入手は非常に困難かもしれません。ちなみにこの出版社のアドレスは、Ingrimstrasse 34,  D-69117 Heidelberg です。

 
 
B 20世紀の総合的研究のクラシックス
 
    邦訳されているゴルトアンマーの『パラケルスス:自然と啓示』(1953年)と W.Pagel の『パラケルスス』(1958年)以前のものは、この2著作以降、あまり使われなくなってきているような気がします。入手自体が困難なものが多くなってきました。一般に、昔の文献の一番大きな問題は、パラケルススの正真な著作と偽作の区別を余りつけずに利用していた点です。このことによって、理論的に不整合なアイデアのあまりにも多い混在といった内的な矛盾があたかもパラケルススの性格の特徴であるかのように取られてきました。この真贋の混交の問題は、1980年代ぐらいまでの著作に非常に多く見られます。果たして、現在では、W.パーゲルの優れた総合的作品でさえこの問題によって大きくその再考を迫られています。  

近代パラケルスス研究の創始者ですね。これは、パラケルスス文献学研究に人生を捧げた人間の最晩年の作品です。  

もともと科学者の著者が好奇心から調べ初めて著作をものにしたという作品です。Sudhoff のような文献学者とは対極にあるアプローチです。この人は、ファン・ヘルモントについても似たようなパースペクティヴで一冊(1907)66頁の小著を書いています。  

これは現在、ドイツの G.Olms 書店から1991年に復刻されています。 128 DM ですからちょっと高いですね。  

邦訳 『パラケルスス : 自然と啓示』(1986年)。最も優れたパラケルスス研究者のうちの一人ですが、本書では、不必要に偽パラケルスス文書から引いたアイデアと正真著作からのアイデアを混交しています。  

学術書と言うより知的読者一般向けの作品で、日本で翻訳の対象となりやすいコンパクトにまとまったものです。   

これは不朽の名作ですが、絶対に第2増補版 Basel, 1982. の方を使ってください。パーゲルのこの著作の問題もやはり偽パラケルスス文書の使用にあります。この点は、この優れた著作の最大の欠点です。     

次に日本でパラケルススの研究書を翻訳するならこれをまず出して欲しいですね。  

邦訳 『パラケルススの生涯と思想』(1972年)。一般読者向けポケット版です。  

パラケルススのテクスト解釈だけから彼の思想を紹介する一般向けで、Pagel や Goldammer のような学術書ではありません。基本的には、上記の Vogt のものと似ています。   

さらに、小品です。  

これは、もう絶版なのですが超豪華カラー本です。何とかして入手したいと考えています。一般読者向けですが、素晴らしいです... その後、2000年7月のスイスはローザンヌ旅行の際、街の最大 Payot 書店の医学のタナで10年以上眠っていた一部を見つけ入手することに成功しました。やはり、文献探索の旅行はしてみるのもです。 家宝です。  

これは、ルネサンスの魔術思想に関心をよせた歴史家で小品ですが、なかなか良いできだと思います。イタリアにおける学術的パラケルスス研究の先駆です。

パラケルススの神学研究としては最もまとまっている学術研究書です。

 

これはポケットサイズなのですが、近年中では最も良くパラケルススのテクストを研究しているルネサンス思想史の専門家の作品です。イタリアの学術的パラケルスス研究の現在の頂点にいる人です。 

これは、HAB で実際に手にとって見る機会がありました。脚注もほとんどない、学術研究書と言うよりは、一般向けですが結構しっかりした内容の著作です。買うことにしました。35DMです。パラケルススものは、一般向けの全く使い物にならない出版物が毎年コンスタントに出ますが、その価格によって大体見当がつきます (30DM以下の安物はダメですね。学術論集はどれもだいたい50DM以上はします)。で、問題となるのは、本書のような中間的な価格の場合です。実際手にとって見ないと分かりません。

キミアについてはあまり語っていませんが、初期宗教改革という文化史的コンテクストにおいてパラケルススの生涯・思想を捉えなおすという野心的な試みです。  

上記の E.Kaiser の『パラケルスス』が入っていたポケット版シリーズの新版として出されました。初心者でドイツ語の読める人は、ここから入ると一番良いのかもしれません。

 
 
C 重要なパラケルスス研究の論集
 
    『Nova acta Paracelsica』  と 『Salzburger Beitrage zur Paracelsusforchung』 の各号はここから外します。
 
I )  国際会議論集  幾つかのものはその内容を「補足」に掲示します。

Goldammer の還暦祝いの論集です。幅広い層の歴史家が集合しています。 Salzburger Beitraege zur Paracelsusforschung 13 ですので、そちらに詳細を載せます。     

これは、『ヘルメス主義のカイエ』のコーナーで解説しました。  

医学史雑誌 Medizinhistorisches Journal の特集号として出ました。 「補足」  

壮大なるドイツ文化におけるパラケルススについての3部作論集の第1弾です。学術的な内容充実。「補足」 

新旧の学術論文から特に優れたものを厳選したベスト版論集です。 「補足」  

上記の Lucien Braun の豪華カラー本にまさる素晴らしいカラー豪華本です。第1級の執筆陣です。家宝。  

Sudhoffs Archiv Beihefte シリーズの第31巻として出ました。 「補足」   

1993年12月にローマのゲーテ学院 (Goethe Institut) で行われた国際シンポジウムからの論集です。超レアですが、内容はドイツとイタリアのパラケルスス研究者が会した稀に見る優れたものです。これも、2000年夏に、HAB 経由で入手したものです。 「補足」  

1991年の第1弾に続く、第2弾。さらに内容充実。びっくりです。これを使いこなせるようになったらスゴイ事です。「補足」  

こちらは、Hohenheimer Protokol という地方学術雑誌の第24巻として発売されました。 「補足」   

なかなかより論文がそろっています。HAB 経由で入手することが出来ました。 「補足」  

これは、見落としがちですが、なかなか捨てがたい論文が収められています。 「補足」  

『総合重要文献』 (その9) で紹介済みです。  

『総合重要文献』 (その10) で紹介しました。

 
 
II )  一人の歴史家の論文集
 

これとその次の二冊を使えば、パーゲルの主な重要論文は一挙に集められます。
 
*Walter Pagel, From Paracelsus to Van Helmont. Studies in Renaissance Medicine and Science. Variorum, London, 1986. 350pp.  

ゴルトアンマーの過去の重要な論文が一挙に集められています。ただし、ページ数は振り直されていますので、過去のオリジナルとの混乱が起きやすくなっている気がします。 Salzburger Beitraege zur Paracelsusforschung 24 ですので、そちらに詳細を載せます。  

これどうしても欲しいのですが、残念ながら見つかりません。なかなかどこの図書館にも置いていない超レア・アイテムです...と言っていたら翌日、天から降ってくるように、僕のところに出版元に問い合わせていた本書が到着しました。Amazon.de でも買えなかったのに。詳しくは、こちらを見てください。

 

 

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