New Paracelsus Lounge

 

パラケルスス研究のラウンジ

  

  

 

その1

 

 日本語で何が読めるのか?

  

 

A テクストの翻訳
   
日本語へのパラケルススのテクストの翻訳は、ほとんど進んでいません。主なものは、2冊です。戦前に作られたズートホフ版からのアンソロジー(テーマ別抜粋集)であるJ.ヤコビ編 『自然の光』(人文書院、1984年)。それから、パラケルススの最初期のテクストである  Volumen paramirum の全訳 『奇蹟の医書』(大槻真一郎訳、工作舎、1980年)。訳者は、他の2つの「パラ」三部作に属する著作である Paragranum Opus paramirum を随時訳したいといっていますが、結局のところ20年経った今でも、まだどれも出ていません。
   
この状況をライバルの英語圏とフランス語圏とで見てみると、英語圏では、ヤコビのアンソロジーの他にも最近(1990年)別のアンソロジーが出されています。また、大掛かりな翻訳は、17世紀のラテン語版を利用した19世紀末のヘルメス主義者 A.Waite の翻訳集が広範囲な著作をカヴァーしています。フランス語圏では、パラ3部作の翻訳はすでに1968年の段階で終っています。L.Braun 氏が幾つもの断片を70年代後半からそこここに発表するかたわら、80年代半ばからは積極的な二人組みの翻訳家が3冊のパラケルスス著作集を出しています。エソテリスム関連の流れでしばしば出される魔術や予言に関する偽パラケルスス文書の部分的な翻訳を除いても、その質量ともに圧倒的に差が開いていることが分ります。
  さらに、1993年には、岡部雄三氏による幾つかのパラケルススのテクストの翻訳が出されています。「聖ヨハネ草について」「磁石の力について」「魔術について」、そして、「神と人の合一について」で、『キリスト教神秘主義著作集 16: 近代の自然神秘思想』 (教文館、1993年)に所収されています。

 

工作舎から、11月中旬にパラケルススの『パラグラヌム Paragranum の待望の邦訳が『奇蹟の医の糧』というタイトルで出版されることになったという報せを受けました。訳者の一人であるハーネマン澤元さんは、第1回のBHミーティングに参加していました。いやあ、良かったですね、おめでとうございます。これを機に、長く在庫切れだったパラ三部作の第一弾『奇蹟の医書』も新装版にて復刊されるそうです。買い逃していた人は、チャンスです!(2004114日記す)

 

   


  
 
 
B
 研究
   
翻訳よりはずっと多いと思いますが、この方面は、僕はあまり詳しく知りません。古い順に良く知られているものを挙げると以下のようになります。
 
1.オリジナル
 
小川政修、『パラツェルズス伝』(築地書店、1944年)。こりゃ、古すぎる。
 
大橋博司、『パラケルススの思想と生涯』(思索社、1976年)。
 
種村季弘、『パラケルススの世界』(青土社、1976年)。近年新装版が出されています。
 
木村雄吉、「パラケルススの医学術思想」 雑誌 『自然』(19785月号、6月号、7月号掲載)。
 
岡部雄三、「自然の黙示録−パラケルススの伝承空間−」、『ドイツ文学』、第86号(1991年)、3546頁。

 

金子務、「パラケルスス再評価と17世紀科学革命論への視座」 、『パラケルススからニュートンへ』(平凡社、1999年)、210-234頁。
 
岡部雄三、「天のしるしと神のことば−パラケルススにおける予言と預言について−」、樺山紘一・他著 『ノストラダムスとルネサンス』、岩波書店、2000年、207-234頁。
 
 
菊地原洋平、「パラケルススの物質観:四元素と三原基の構造関係について」、『科学史研究』、第40巻(2001年)、24-34頁。

 

菊地原洋平、「パラケルススの植物観にみる形態と象徴」、『モルフォロギア』、第24号(2002年)、47-67頁。

 

菊地原洋平、「あるいは彼自身困難な存在 パラケルススの「癒し」をめぐって」、『アロマトピア』、第53号(2002年)、35-39頁。


 
 
2.翻訳
 
J. M. Stillman
『パラケルスス』(創元社、1943年)。

E. Kaiser 『パラケルススの生涯』(東京図書、1977年)。
原著は、1969年公刊の158ページの小品ですね。
 
A. Koy
e 『パラケルススとその周辺』(風の薔薇、1987年)。
パラケルススに関する章は1つだけで、その原論文は1933年にでたものです。
 
K. Goldammer
『パラケルスス : 自然と啓示』(みすず書房、1986年)。
原著は、1953年出版されたもので、W.パーゲルが多いに刺激されたと語っているものですが、原著自体が比較的レア・アイテムであることと、まだ他のメジャー学術言語に翻訳されていないことからとても便利な翻訳です。
 
 
  その他にも、ある著作の一章がパラケルススに当てられているもの等は、沢山あると思います... ただ、歴史系では、『化学史研究』にはパラケルススに関する研究はほとんど無いみたいです。あと見るべきは、『生物学史研究』や『医史学雑誌』、『科学史研究』 などです。思想史や宗教史そしてドイツ語・ドイツ文学の学会系の雑誌などあたってみるのも手です。一概に言えるのは、本邦でも1970年代には盛んに翻訳やオリジナルの研究書が出されていたということです。

追加 

 

雑誌『モルフォロギア』1985 (7) 特集 パラケルススとゲーテ」

F. ヴァインハンドル(大橋博司訳)「パラケルススとゲーテの哲学」pp. 2-13.

Ferdinand Weinhandl, “Gegenwartsbedeutung der philosophischen Grundhaltung von Paracelsus und Goethe, (1954)”. [Paracelsus-Studien, S. Domandl (ed.), Wein: Notring-Verlag, 1970に再録]

小原正明「パラケルススからゲーテへ:スパギリークの変遷に関連して」pp.14-24.

高橋義人「ホムンクルス:錬金術から神話的自然讃歌へ」pp. 25-44.

 

 

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