ハーヴァード大学出版局の『イ・タッティ・ルネサンス叢書』 (I TATTI
RENNAISSANCE LIBRARY)は、James Hankins 教授を主幹にしたルネサンスのラテン語名著原典の校訂・見開き英対訳の新シリーズです。2001年からのスタートで、出来立てホヤホヤです。以下は、紀伊国屋書店の広告をそのまま引用しています。(だから紀伊国屋から購入して下さいね!)
同出版局はすでにギリシア・ラテン原典対訳シリーズとして名高いロエブ古典叢書を擁していますが、 今回刊行を開始するイ・タッティ・ルネサンス叢書は、イタリア・ルネサンスの傑物たちによるラテン語の著作を、 英語との対訳の形で初めて一般に広く紹介する、新機軸となるシリーズです。シリーズ各巻とも、ページ見開きに原文と読み易く正確な英訳を配し、編者の序文、テクスト注釈、簡潔な書誌、 索引を備え、現在の学術的水準に、専門の研究者から関心のある一般の人々まで、幅広い読者が触れることができるよう配慮されています。 2001年4月に刊行予定のボッカチオ『著名婦人列伝』、フィチーノ『プラトン神学』第1巻、ブルーニ『フィレンツェの人々の歴史』第1巻、 さらにはペトラルカ『わが秘密』、カルダーノ『自伝』、アルベルティ『モムス』など、文学者・科学者・歴史家を含む多様な顔ぶれによる名著が、 続々と陽の目を見ます。未だ諸科学が未分化であり、ラテン語が学者のユニヴァーサル言語であったルネサンス期を理解する上で、 諸分野にまたがるラテン語による著作を英語対訳で集成する本叢書の企画は、画期的なものといえます。ルネサンス研究に携わるあらゆる専攻の方に、 全巻の継続注文を是非お薦めいたします。 ≪2001年4月刊行≫ ジョヴァンニ・ボッカチオ『著名婦人列伝』
名高い『デカメロン』を完成した後、ボッカチオはペトラルカの人文主義的影響の下で、ラテン語による百科事典的著作に生涯をささげます。そのうちの1巻として生まれた本書は、西洋文学において女性の伝記を専門に扱った初めての著作といわれています。取り上げられた106人の女性たちは、模範的女性から悪名高い女性まで、歴史的・神話的人物からルネサンス期の同時代の女性まで、様々な層からなり、ボッカチオの物語作家としての腕によって本書は手稿本の最後の時代においてもっとも読まれる著作となりました。ボッカチオが生涯にわたって改訂増補を重ね、後世においてはチョーサーの『カンタベリー物語』に影響を与えたといわれる名著の、初の英訳です。 マルジリオ・フィチーノ『プラトン神学』第1巻(第1?4の書)
新プラトン学派に影響を受けたフィレンツェの哲学者フィチーノ(1433-1499)は、プラトンの全著作、またプロティヌスのラテン語訳などで知られます。中でもフィチーノが心を砕いたのが、真の宗教たるキリスト教と真の哲学たるプラトニズムとの和解であり、その仕事に失われた精神性の復興と黄金時代の再来の願いを託していました。そんな彼の意図を預言者的に表現した哲学的傑作である本書は、ルネサンス期におけるプラトンの再発見に大きく貢献しました。今回初めて英訳されるこのフィチーノの主著は、イタリア・ルネサンスの精神性を理解する上で、鍵となる著作です。 レオナルド・ブルーニ『フィレンツェの人々の歴史』第1巻(第1-4の書)
別名アレティーノ、イタリア・ルネサンスを代表する人文主義者として知られるブルーニ(1370?1444)は、4人の教皇に秘書として仕えただけでなく、当時においては翻訳家、演説家、歴史家、さらにベストセラー著作家としてその名を轟かせていました。20書にわたって刊行された本書は、初めての近代的な歴史書といわれ、1444年の公刊から2世紀もの間、人文歴史学者によって模倣の対象となりました。この記念碑的名著も、今回が初めての英訳です。 ≪続刊≫
*シリーズ名の由来
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