今日、初めてますむらひろし氏自身のサイト 『ごろなお通信』を見てきました。僕は、随分前から、おそらく、1986年頃からの氏の作品のファンです。と言っても、こちら(ベルギー)に来てからは、ちゃんと手元に持っていないし、その後のプロダクトをしっかり追えていませんが。『地下世界の自然学』 (Physica subterranea) のコーナーの前口上を見られた方で、するどい方は、気がついていたかもしれませんが、火山とか地下世界とか、鉱物の結晶とか宮沢賢治が好きで猫が好きなら、氏の作品も好きにならざるを得ない訳です。(アドレスを教えてくれた E.Honma さんのHPにリスペクト!)。最近は、賞を取られたり、ヒデヨシがCMに起用されたりと、大きくブレイクしているますむら氏なわけですが、僕も、もうちょっと『地下世界の自然学』のコーナーが充実させられたらファンメールでも送ってみたいと思います。 こう考えると、僕の作品が、西欧初期近代の文化・思想の文脈での鉱物界をめぐる詩的とも言える科学思想を多く取り扱っているのも、不思議なことではないのかもしれません。日本の地学史家の中にも宮沢賢治の地学思想に真面目な関心を持っている人が居ても良いのでは?と思って、探りを入れているのですが、まだ鉱脈を探り当ててはいません。あまり詳しく知っている訳ではありませんが、賢治研究でもそろそろ、科学思想史的なアプローチを前面に押し出したものが行われても良いと思います。BHを訪問してくれる学生さんで、そういうことを本気で研究したいと言う人がいたら応援します。 |
ちょっと反応が遅れましたが,BHの「つれづれ」1月21日に「宮澤賢治」について科学史家が何か言うべきという主旨のことが言われていました.詳しくは私も知らないのですが,新潟大学の井山弘幸先生が文学と科学の関係について研究をしていて,1998年の夏に先生の研究室を尋ねた時は本棚の1つが賢治関係の文献で埋まっていて,これから論文を書くとか,もう書いたとかそんなことを言っていた記憶があります.井山先生は文学などに現れる科学・科学者のイメージについて興味深い例をたくさん挙げています.ただ,肝心の賢治について何か書いているのかどうかは私には判りません.誰か知っている人がいたら教えてください. |
どうなんでしょうね。賢治の件。『グスコーブドリの伝記』などを読むと思うのですが、地下世界の自然学の伝統を良く知っている人間から見るとまた、ただの国文学部の人がテクストを読んでいるのとは別の角度から切りこめて、面白いものが出てくるはずだと思っているのです。 英国の劇作家シェークスピアや詩人ミルトンの自然学的(宇宙論的?)バックグランドを研究したものがあるようにです。フランスの詩人ロンサールについてもいろいろあるのだから、ルネサンス期は、案外そういう例は幾つもあって面白いものも出されています。後は、ドイツ・ロマン主義文学における自然思想史研究などが良くあるパターンなのではないでしょうか?文豪ゲーテの錬金術的ソース研究などです。 そういう感じで、宮沢賢治も彼の科学的、特に地球科学というか、地学というか、Geocosmic
な思想を形作ったソースを研究しつつ、彼のテクストを分析すると、歴史学的手法で新たな宮沢賢治の作品世界を探ることが出来るはずだと、BH的観点から思っているわけなのです。これも、学術研究のタネとして、良いアイデアなんですよね。誰かやってみません、BH参加の学生さん?
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大島丈志と申します。千葉大学社会文化科学研究科日本研究専攻に所属し、知識人と農業、そこから生まれる文学について研究しています。現在は、宮沢賢治を中心に研究を進めています。『地下世界の自然学』に宮沢賢治に関する興味深い記事を見つけたので、是非、お話伺いたく、メールを出しました。 私は、『地下世界の自然学』にあったように、『グスコーブドリの伝記』は、自然学の側面から非常に多くの切り口を持った作品であると考えています。卒業論文では、宮沢賢治存命中の岩手県を中心として、「冷害」の側面から、修士論文では、「農村における商品経済の浸透」の側面から『グスコーブドリの伝記』の成立を実証的に論じてきました。今後は、宗教的側面からのアプローチをすると共に、近代日本における科学技術者の側面などからも考察してゆきたいと考えています。また、なぜ、宮沢賢治が、人造宝石を作ろうとしたのか?そして、作品に宝石をちりばめたのかなど、その思想的背景に強い興味を持っています。アドヴァイスなどいただけたら幸いです。 宮沢賢治と地質学に関しては、亀井茂・宮城一男が、『グスコーブドリの伝記』と自然科学という視点でアプローチを行っています。 ずいぶん長い自己紹介になりました。
大島丈志
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ついに!と言う感じで、僕の呼びかけに応えてくれた学生が現れました。千葉大の博士課程の大島君です。宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』を研究しています。 BH内の『地下世界の自然学』で訴えている「賢治と地学思想史」の関係に興味を持っているとの事。しかも、アタゴオル好き、と文句ナシです。僕は、彼の研究に全面的に協力するつもりですが、その成果については、乞うご期待です。 |
メールをありがとう。呼びかけて良かったと感激しています。日記(2月23日)でウェルカム・メッセージを出しました。 > 『地下世界の自然学』に宮沢賢治に関する興味深い記事を見つけたので、
どうやって、辿りついたのでしょうか?経緯を教えて下さい。 > 『地下世界の自然学』にあったように、『グスコーブドリの伝記」』は、自然科学の
全く同感。それも詩的なまでの科学、というより自然学なんだよね。国文としてのテクスト・クリティークもあるだろうけれど、僕は、賢治は思想史の文脈で理解すべきだと思ってる。そこには、君が取り上げてきたような農業や経済、宗教、そして、今僕ら二人が議論しようとしているような自然学としての切り口がある。これまでの文学部の人は、僕良く知らないのでちょっと浅薄な意見になるけれど、そういった文脈で真摯な態度で賢治を読んだ人は少ないのじゃないかな?
「クラムボンは笑ったよ」、なんかにも、そこ彼処に結晶や鉱物が出てくるので僕は好きです。 > アドヴァイスなどいただけたら幸いです。 具体的に何が出来るか分からないけれど、もちろん僕のできる限り全面的に応援致します。 > 宮沢賢治と地質学に関しては、亀井茂・宮城一男が、「グスコーブドリの伝記」と
これの書誌データを教えて下さい。2重カッコで無いので、論文ですか? > ずいぶん長い自己紹介になりました。私もやはりアタゴオル好きです。 おぉ!と、既にスミレ博士になりきってしまう。 > よろしくお願いいたします。 こちらこそどうぞよろしく。返事待ってます。 ひらい@BH P.S. 君のメールは HTML 形式だからテクスト形式にした方が良い。Outlook
を使っているなら、ツール>オプション>送信 でその中の下の方にある「HTML形式」を「テキスト形式」に変えるだけで
OK。
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ひらいさん。こんにちは。多大な歓迎どうもありがとうございました。 > どうやって、辿りついたのでしょうか?経緯を教えて下さい。 たまたま、千葉大大学院の先輩にあたる望月さんとお話する機会があり、様々な情報があり、すごく良いサイトだと紹介してもらいました。賢治の話が出ているということなので、望月さんの勧めもあり、いきなりですが、メールを出してしまいました。 > 全く同感。それも詩的なまでの科学、というより自然学なんだよね。国文としての > テクスト・クリティークもあるだろうけれど、僕は、賢治は思想史の文脈で理解すべき > だと思ってる。そこには、君が取り上げてきたような農業や経済、宗教、そして、今 > 僕ら二人が議論しようとしているような自然学としての切り口がある。これまでの > 文学部の人は、僕良く知らないのでちょっと浅薄な意見になるけれど、そういった > 文脈で真摯な態度で賢治を読んだ人は少ないのじゃないかな? 賢治作品には、常に「自然とは何か」という問いかけがなされていると思います。不勉強のため、「自然学」は、私にとって、ほとんど未知の領域です。今後研究を進めていきたいと考えています。御指導よろしくお願いいたします。 「思想史の文脈で理解するべき」には、ほんとうに共感します。うれしいです。私は、卒論・修論と農業と賢治作品でやってきました。そこでは、必ず、「君の研究は文学じゃない」と批判されてきました。確かに、テクストの読みの必要性は認めます。しかし、それだけでは研究として豊かなものにならないと思うのです。 > > 宮沢賢治と地質学に関しては、亀井茂・宮城一男が、「グスコーブドリの伝記」 > > と自然科学という視点でアプローチを行っています。 > > これの書誌データを教えて下さい。2重カッコで無いので、論文ですか? ・地質学の視点から 亀井茂「宮沢賢治と盛岡高等農林学校断片(六)―宮沢賢治江刺郡地質調査の動機と目的をめぐって―」 (『早池峰』21号 1995.3) 亀井茂「宮沢賢治と盛岡高等農林学校断片(八)―賢治らの盛岡附近地質調査の動機と経過―」 (『早池峰』25号 1999.3) 宮城一男『農民の地学者 宮沢賢治』築地書館 1975.1.10 宮城一男「『グスコーブドリの伝記』―自然改造へのねがい」(『文藝読本 宮沢賢治』 1977.11.3) ・科学技術と宮沢賢治の視点から 矢幡洋『宮沢賢治の教育論』朝文社 1998.3.25 もれているデータは、次回に追加します。
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> 多大な歓迎どうもありがとうございました。 いえ。 > たまたま、千葉大大学院の先輩にあたる望月さんとお話する機会があり、様々な > 情報があり、すごく良いサイトだと紹介してもらいました。賢治の話が出ているという > ことなので、望月さんの勧めもあり、いきなりですが、メールを出してしまいました。 そういうことなのね。望月さん関係か。千葉大だから、いつか紹介しようと思った。 > 賢治作品には常に「自然とは何か」という問いかけがなされていると思います。 > 不勉強のため、「自然学」は、私にとって、ほとんど未知の領域です。 > 今後研究を進めていきたいと考えています。御指導よろしくお願いいたします。 具体的にどう進めて行ったら良いか僕も良く分からないけれど、やるだけの事はやりましょう。 > 「思想史の文脈で理解するべき」には、ほんとうに共感します。うれしいです。 > 私は、卒論修論と農業と賢治作品でやってきました。そこでは、必ず、「君の > 研究は文学じゃない」と批判されてきました。確かに、テクストの読みの必要性は > 認めます。しかし、それだけでは研究として豊かなものにならないと思うのです。 日本の学問の貧困なところは、そういった縄張り意識で、それを超越してしまうようなオリジナリティがあるものはつぶされてしまう。全く悪いところ。文学部の方が自由にやれるのかな?と思っていたけれど、国文はそうではないのね。一番ゴチゴチの部類なのかな? BHに来ている人は、大抵が初期近代の西欧文化を研究している人なんだけれど、彼等が一様に嘆くのは、学壁の厚さというか、くだらない縄張り意識でがんじがらめにされている周りの状況です。これは、どんな学問分野にも当てはまる話で、オリジナルな視点ほど学術研究にとって尊いものはないはずなのに、オリジナルであればあるほど虐待されるという貧しい精神性の現われが旧弊な日本の学術社会にはあります。 僕に言わせれば、君がやろうとしている事は、文学批評 literary criticism というより精神史 intellectual history だと思います。BHは、early modern intellectual history をやっている人が集まってきているところなので、少し時代性・文化背景にズレがあるにせよ、用いられる手法は共通なので得られるのもは、それなりに大きいのでは?と勝手に期待しています。 > もれているデータは、次回に追加します。 詳細なデータをありがとう。助かります。 その後、これを機に、Google で『グスコーブドリの伝記』と入れたら、ホントいろいろあるなあ、と言う感じで沢山の人が案外簡単に賢治を論じているのを見かけました。「地学者」が開いてるHPもあってびっくりです。昨日見つけたサイト情報をBHの『賢治』のコーナーにアップしておきます。 もう一つ僕が知りたいのは、Kenji Studies の基本文献です。どう言ったものが、基本文献として挙げられるのでしょうか?あらゆる面についてです。沢山あるとは思いますが、マストアイテムとなるようなものを教えて下さい。 返事待ってます。 |
> ついに、という感じで、『宮沢賢治と地学思想史』のプロジェクトを進める上で強力な学生 > が現れました。千葉大の博士課程の学生です。期待大です。ただ、賢治の地学は明治 > 以降のものだから、(アレニウスとかみたいです)、山田さんも手を貸して下さいね。 記事を読みました。前の学校で同僚だった国語の先生から、賢治の研究は、国文学者では限界があって、自然科学や仏教学の知識のある人がやらなければいけないと言っていたのを思い出しました。それに加えて科学史家も入れば言うことないかも知れませんね。(火山学者が『グスコーブドリ』を取りあげていた記憶があります。) 修士論文を宮沢賢治で書いているなら、日本語論文はほぼ漁り尽くしているでしょうが、外国語でなんかはどうなんでしょうね?UMIなんかも調べているんでしょうか? |
初めまして. 僕がいつも愛読しているサイトで宮澤賢治の自然科学を研究しようとしている人たちが発言しています.(僕にはアカデミックでわかりませんが).サイトの主催者も参加者も皆「アタゴオル」ファンということです. -------------------------------------------------------------------------------- いらっしゃいませ。 賢治と鉱物といえば、宮城一男弘前大教授の本が好きです。さっき、覗きました。大変面白いです。 鉱物学と賢治、これからも、探索されるジャンルです。 [2001/03/10/05:45] |
今,ますむらひろしさんの「ごろなお通信」のBBSをみていたら, BHのことを紹介してくれた人がいるようです (あなた?) ますむらさんも見に行ったと書いています. 平井さんのところには何かメールは来ているのでしょうか? |
> 今,ますむらひろしさんの「ごろなお通信」のBBSをみていたら,
そこまでは、みてませんでした。何と!僕自身は、もうちょっと、『地下世界の自然学』のカッコがついたらファン・メールでも出そうかしらと、大島君と話していたところです。 > ますむらさんも見に行ったと書いています.
いや、別に向こうからは何もないです。来たらどうしよう?緊張します。
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元気かな?実は、僕等の『宮沢賢治と地学思想史』での会話をますむらひろし氏自身が尋ねてきて見たみたいだよ。詳細は、HPに載せておいたよ。今、君が、ますむら氏自身にメールを出せば、君が誰か分かってもらえると思うよ、想像だけど。 |