ガファレル論集

 

 

 

 

ジャック・ガファレル(1601-1681)の主著 『前代未聞の驚異』 Curiositez inouyes (パリ、1629年)は、ルネサンス期のキリスト教カバラ的の伝統で理解された「オリエント人たち」の護符、ホロスコープ、占星術についての不思議な著作です。何度も再版され、英語とラテン語にも訳されて大きな成功を収めた本書は、啓蒙の世紀の入り口である18世紀初頭まで読み続けられました。ガファレルはフランス人原子論者ピエール・ガッサンディやガブリエル・ノデ、ペイレスクなどの時代の知の牽引者たちによる文芸共和国においては、博識なヘブライ学者として認識されていました。しかし、彼の業績は、歴史家たちには不当にも無視されてきました。ここに立ち上げるのは、世界の専門家による高質の論文を集めたガファレル研究についての最初の論集を出版するための計画です。

 

ガファレル論集は、キリスト教カバラや占星術、星辰護符、そしてトニー・グラフトンの描いた旧約聖書学と普遍史といった奇妙な世界についての話題が満載ですが、最先端のルネサンス研究に興味ある人たちだけではなく、地下出版や懐疑主義、リベルタン・自由主義思想といった往年のフランス17世紀学に興味ある人や、科学革命期のデカルト、メルセンヌ、ガッサンディに興味ある人たちにも読んで欲しいと思っています。ガファレルの影響は、英国のトマス・ブラウン卿や、ロバート・ボイルをはじめとする王立協会のメンバーにも及び、啓蒙の世紀の入り口までつづいていきます。

 

 

 

ガファレル魔術と科学のはざまで

Jacques Gaffarel between Magic and Science

(Pisa-Roma: Serra, 2014)

ISBN 978-88-6227-7303

 

イタリアのセラ書店から2014111日に発売されました!

 

 

 

 

内容

 

「『隠された神秘』 と 『前代未聞の驚異』ガファレルによる天の書物と神的なカバラの擁護」

Peter Forshaw, “Concealed Mysteries and Unheard-of Curiosities: Jacques Gaffarel’s Defence of Celestial Writing and Divine Kabbalah”

ガファレルの理解していたキリスト教カバラの伝統と内容、それをとりまく論争といった背景が描かれます。

 

「ガファレルと『神的なカバラの隠された神秘』」

Saverio Campanini, “Jacques Gaffarel e gli Abdita divinae cabalae mysteria

メルセンヌがガファレルを敵視するきっかけになったデビュー作(1625年)の何が問題とされたのかが分析されます。

 

「因果関係、礼拝の意図、信仰の基礎のはざまのテラフィンの像 オリエント学者ガファレル」

Frédéric Gabriel, Figures des téraphim, entre causalités, intention du culte et supports de croyance: Gaffarel orientaliste

カバラから離れて、当時の神学論争と絡めてヘブライ学者・旧約聖書学者としてのガファレルに光をあてます。

 

「ガッサンディとメルセンヌによる 『前代未聞の驚異』 の受容」

Sylvie Taussig, “La réception des Curiositez inouyes par Gassendi et Mersenne”

メルセンヌからガファレル論駁を依頼されたガッサンディが、ガファレル擁護にまわる流れが分析されます。

 

「ガファレルの 『前代未聞の驚異』 における像、護符、そして医学」

Hiro Hirai, “Images, Talismans and Medicine in Jacques Gaffarel’s Unheard-of Curiosities

ガファレルの護符の理論が当時の医学やキミアとどのように関連していたのかを描いています。

 

「庭と実験室における相似と像 ガファレルのジョン・イヴリンへの影響」

Juliet Odgers, “Resemblance and Figure in Garden and Laboratory: Gaffarel’s Influence on John Evelyn

ガファレルが17世紀半ばの英国王立協会の人々にどのように受けとられていたのかを庭園史の文脈から分析するという異色のものです。

 

 

 

 

 

 

メイキング風景

 

2014. 11. 28

  研究所に新しくはいったショーケースにガファレル論集が飾られました。写真は、フェイスブックをご覧ください。

 

 

2014. 11. 27

  ここのところ寝つきが悪くて疲れているようで、書評のためのクレッグの本の読書に向かえません。ひたすら、頭を使わない手作業ということで、ガファレル論集の送りだしをしています。最初にもらった30は、日本で幾人かに手渡しする分をのぞいて送りだすことができました。

 

 

2014. 11. 25

  今年は、『知のミクロコスモス』にはじまり、ガファレル論集とトニー計画という3つの大型プロジェクトに支配された1年でした。トニー計画そのものは進行が遅れたので、出版まであと半年ほど本づくりの作業が残っています。来年は、国内向けにはラリーの本の翻訳と論集1冊、海外向けにはサンディエゴ論集の作業がまっています。なかなか休む暇はありませんね!

 

 

2014. 11. 24

  ある雑誌から、ガファレル論集の書評を依頼する候補の名前をあげるようにいわれました。ルネサンスの魔術キリスト教カバラに関心をもっていて、まがりなりに英・仏・伊の3か国語が読めて、満足な英語で書評が書ける現役の人って誰がいるでしょうね?どちらにしても非常に限られている気がします。

 

 

2014. 11. 21

  漠然と考えているときは、あれこれとアイデアが浮かぶのですが、真剣に熟慮すると出てこないものです。ガファレル論集を世界のカギとなる人々に送ろうと思っているのですが、昨日あげた5名のほかに誰が良いのでしょうか?> そうだ、クリス(チェレンザ)とミゲル(グラナダ)にも送りましょう。ジェルマーナは、ギド(ジグリオーニ)に渡してくれたようです。

 

           ディディエ

トニー

リチャード(ブルム)

モーティ

ステーフェン(クルカス)

 

いろいろ考えた挙句に、魔術史家(それほどいるか疑問)と科学史家にアピールするために「魔術と科学のはざまで between Magic and Science とタイトルにいれたのですが、「古代ヘブライ人たちの擁護者The Defender of the Ancient Hebrews トニー的にしても良かったのかなと思っています。宗教学史の観点からは、後者の方がアピールしたかもしれませんね。> ヨシ君に、このアイデアをタイトルにして内容一覧をアマゾンのレビュ欄にあげてもらいました。ふかく感謝です!

 

 

2014. 11. 20

   ガファレル論集について昨日のつづきでいうと、6の寄稿者、12のサポーター、6つの雑誌だけの合計で24となります。また、今回の作業を助けてくれたエリザベトジョール(クライン)の2人にもお礼として渡すつもりです。あとはディディエ、トニー、リチャード(ブルム)、モーティ、ステーフェン(クルカス)にも送ろうかと思っています。どう考えても、最初にもらった30では足りませんね。> さらに5ほど、追加で注文しました。

 

Isis

Ambix

Renaissance Quarterly

Intellectual History Review

Aries

Revue d’histoire de la religion

 

 

2014. 11. 19

  案の定、時差ボケですが、今回は朝2時に目が覚めてしまいました。さすがに早すぎますよね。これでは午後までもたないでしょう。> 今日はオフィスに行きます。やっとのことで、ガファレル論集を手にとって見ることができるでしょう。まずは、寄稿者スポンサーの方々に1冊ずつ送ります。そのあとは、書評用の雑誌群です。

 

  届いていました、ガファレル論集が。理屈ではわかってはいても、実際に手にとると感激もひとしおです。とくに今日は時差ボケでフラフラの状態なので、頭をつかう仕事には向いていません。ということで、6名の寄稿者と寄付をくれた10名のサポーターの方々に論集を郵送する手配を続けました。> メールで送り先を問い合わせといった作業ですね。まず10冊は、送りだしました。年末の帰国時に会うことがわかっている幾人かには、そのときに手渡しします。

 

 

2014. 11. 5

  セラ書店から連絡があり、ガファレル論集を送ってくれるようです。到着するのは僕の留守中なので、実際に手にとることができるのは欧州に帰ってからとなります。本当は、シカゴの科学史学会でお披露目できれば良かったのですが、ギリギリで行き違いとなりました。

 

 

2014. 11. 1

  ニューヨークにいるあいだにセラ書店から連絡があり、ガファレル論集が出版されたことを知らされました。おお、ついに出たのですね。セラ書店のカタログの頁から注文を出せるようです。

 

 

 

2014. 10. 28

  ガファレル論集の寄稿者フレデリック(ガブリエル)は、これがイタリアから出る初めての出版物だと、とても喜んでいるようです。寄稿陣にも嬉しく思ってもらえるプロダクトをつくれて本当に良かったです。

 

 

2014. 10. 26

  ゲマ論集の出版のときの日記を見返してみると、なんと10ほどで印刷されていたようで、あらためて驚きました。ガファレル論集の書評版をおくるべき学術雑誌を考えないといけません。以下のようなところでしょうか?もちろん、B&C 誌には黙っていても告知されます。デカルトやメルセンヌなどの絡む17世紀フランスについて強い雑誌はなんでしょうね? La Lettre clandestine かな?でも書評はやってない感じですね。

 

           Renaissance Quarterly

              Isis

              Intellectual History Review

Ambix

              Aries

              Nincius

 

 

2014. 10. 25

  どうしても思い出せないので、ここに書いておきます。クロアチア出身のパドヴァ大学教授 Georgius Raguaeus について基本的なことを知りたいなと以前から思っていて、ふとしたきっかけで文献があることに気がつきました。ただ、体調不良だったせいか、その場でメモをとりませんでした。とほほ。> 灯台下暗しでした。なんと、ガファレル論集のなかでした。

 

 

2014. 10. 22

  ガファレル論集の第3ゲラ(ほぼ念校)と索引の版組がきました。2箇所だけ、修正指示が反映されてないところがありました。今回は試しに、直接に PDF 埋め込む方法をとったのですが、リタがうまく拾えていなくて精度が落ちています。ジェルマーナもそれに気がついたようで、今度はリストで指示を出しています。こちらの方が安心です。ま、でも、これで晴れて印刷機に入ります!

 

  この論集に所収された6本の論考の内容を簡単に説明しておきましょう。最初のピーターの論文で、ガファレルの理解していたキリスト教カバラの伝統と内容、それをとりまく論争といった背景が描かれます。つぎのカンパニーニ氏の論考は、メルセンヌがガファレルを敵視するきっかけになったデビュー作『神的なカバラの隠された神秘』(1625年)の何が問題とされたのかが分析されます。

 

フレデリックの論考は、カバラから離れて、当時の神学論争と絡めてヘブライ学者としてのガファレルに光をあてます。それにつづくシルヴィの論考は、メルセンヌからガファレルの著作を論駁することを依頼されたペイレスクガッサンディが、なんとメルセンヌの意に反してガファレルの擁護にまわる流れが分析されます。

 

僕の論考は、ガファレルの主著にみる護符の理論が当時の医学キミア、そしての理論とどのように関連していたのかを描いています。最後のジュリエットの論考は、ガファレルの著作が17世紀半ばの英国王立協会の設立に深く関与した人々にどのように受けとられていたのかを、とくにジョン・イヴェリンの例をとって庭園・建築史の文脈から分析するという異色のものです。

 

「『隠された神秘』 『前代未聞の驚異』ガファレルによる天の書物と神的なカバラの擁護」

Peter Forshaw, “Concealed Mysteries and Unheard-of Curiosities: Jacques Gaffarel’s Defence of Celestial Writing and Divine Kabbalah”

 

「ガファレルと『神的なカバラの隠された神秘』」

Saverio Campanini, “Jacques Gaffarel e gli Abdita divinae cabalae mysteria

 

「因果関係、礼拝の意図、信仰の基礎のはざまのテラフィンの像 オリエント学者ガファレル」

Frédéric Gabriel, Figures des téraphim, entre causalités, intention du culte et supports de croyance: Gaffarel orientaliste

 

「ガッサンディとメルセンヌによる 『前代未聞の驚異』 の受容」

Sylvie Taussig, “La réception des Curiositez inouyes par Gassendi et Mersenne”

 

「ガファレルの 『前代未聞の驚異』 における像、護符、そして医学」

Hiro Hirai, “Images, Talismans and Medicine in Jacques Gaffarel’s Unheard-of Curiosities

 

「庭と実験室における相似と像 ガファレルのジョン・イヴリンへの影響」

Juliet Odgers, “Resemblance and Figure in Garden and Laboratory: Gaffarel’s Influence on John Evelyn

 

 

2014. 10. 21

  まだ本調子ではありませんが、残っている時間もあまりありませんので、索引の新版をジェルマーナに送りだしました。どうでしょう。> これぞ索引!という一声とともに返事がきました。これからチェックをするとのことです。進行具合について編集部のリタは満足しているということですので、年内の出版は大丈夫でしょう。> 4時間後にジェルマーナからチェックが帰ってきました。これでほぼ完璧でしょう。今日中にリタに送られ、明後日には版組されて帰ってくると思います。それをチェックして、全体が印刷機に入ります。

 

  今回のガファレル論集の準備では、ちょうど忙しいときを回避するように、うまい具合にそれぞれの段階がやって来てくれたので、待ち時間というロス・タイムも少なく、スムーズに作業を進めることができました。発案からは時間がかかり、途中で寄稿者の闘病生活という試練を乗り越えての歩みでした。

 

 

2014. 10. 19

  早速のところ10時に、ジェルマーナから第2ゲラの校正指示の再チェックが送られてきました。日曜ですが、朝から作業していたのでしょう。僕が見えてなかったところが、彼女には見えています。う〜む、スゴイ。また、人名索引では脚注に1回しか出てこない人物は除いたのですが、説明していなかったので、どうなっているのか聞かれました。

 

 

2014. 10. 18

  昨日のうちにガファレル論集の第2ゲラをチェックして校正指示のためのリストをつくり、人名索引と一緒にジェルマーナに送りだしました。早ければ、来週のうちに念校がきて、それにOKが出れば、ついに印刷・製本に入るのでしょう。年内の出版が間にあうでしょうか?セラ書店は作業が早いので、大丈夫ではないかと思っています。

 

 

2014. 10. 17

  どうやら、チェコ遠征中にガファレル論集の第2校正刷りができあがったようで、送られてきました。3日という驚くべき速さです。リタはスゴイ。今週末は、じっくりとチェックし、同時に索引を完成させたいと思います。それですべて完成です。

 

 

2014. 10. 13

  これまた昨日ジェルマーナに預けたガファレル論集の校正指示リストは、無事に編集部のリタに送られたようです。彼女はテキパキと作業が早いので、案外すぐに第2ゲラが出てくると思います。チェコ遠征のあいだにできているかもしれません。

 

 

2014. 10. 12

  ジェルマーナのアドヴァイスにしたがって、朝から午後までかかってガファレル論集の校正指示のリストを完成させました。僕も、注意ぶかく細かいところが見えている方だと勝手に思い込んでいますが、それでも彼女の眼力の方がはるかに勝っています。寄稿者自身や僕にはまったく見えなかった問題のある箇所が、ポロポロと出てきます。さすが、学術編集の女神さまです!

 

 

2014. 10. 11

  ジェルマーナからの指示で、シルヴィには第2校ゲラのときにチェックさせればいいので、いまは先に進もうということになりました。この週末で校正指示の一覧表をつくって出版社に送りだします。それほど多くないと思うので、なんとかなるでしょう。チェコ遠征のための原稿が終わった後だったのでダブらなくて助かりました。>できましたので、ジェルマーナにまず送ってみてもらいましょう。

 

ただこの調子だと、おそらく第2ゲラはアメリカに行っているときに来るので、アウェイではプリントしてチェックすることはできないでしょう。

 

 

2014. 10. 10

  ガファレル論集の方は、校正がすこし遅れています。シルヴィ105日ごろから出産のため病院に入っているようです。まだリストを提出していないピーターには催促を送りました。> すぐにピーターから返事があり、925に提出したといいますが、どうみても僕には届いていません。とにかくリストを送り直してもらったのでチェックします。あとはシルヴィだけです。皆さんに質問です。出産というのは、通常の場合で何日くらい病院に入っているものでしょうか?退院後に15頁くらいのものはすぐに読めるものなのでしょうか?

 

 

2014. 9. 27

  ツノさんの到着を待っているあいだに、ガファレル論集に寄稿した僕の原稿の校正をしました。修正ゼロという輝かしい新記録です。これは編集におけるアートですね。

 

 

2014. 9. 25

  今日はガファレル論集の寄稿者に校正刷りを送りだしました。10日間でチェックをやってもらいます。そのあとは一日がんばって、索引をつくりました。疲れましたが、夕方にはほぼできあがりました。おそらく、これで大丈夫でしょう。ふう。> しかし、この本はカバラ主義者や旧約聖書に関係する預言者天使といった聖なる名前がつぎからつぎへと出てきて、本当に知的挑戦を受けている気になります。

 

  なお、この論集の出版のために寄付をしていただいた方々のお名前は、扉裏の頁にあります。ふかく感謝です。

 

 

2014. 9. 24

  そうこうするうちに、原稿一式を提出してからまだ2週間くらいしかたっていないのに、もうガファレル論集の校正刷りが送られてきました。担当のリタは、イタリアとは思えないほどの仕事の速さ正確さを誇っています。嬉しいことですが、完全に意表を突かれました。この際ですから、扉の写真をアップしておきます。

 

 

2014. 9. 8

  なかなか気持ちのエンジンがかからないと流暢にボヤいていても仕方ないので、エイヤ!っと作業に入ることにしました。先週、ガファレル論集の最終チェックジェルマーナがしてくれたのですが、そこで出された疑問点を片づけました。もう許してもらって、このまま版組に入ってもらいたいところです。

 

 

2014. 9. 4

  急きょジェルマーナから頼まれたガファレル論集のための作業は、昨日のマシンのすったもんだでできなませんでした。かわりに、彼女が自分でやるといっています。全体の最終的な見直しのために、すべての章をひとつのファイルにつなげたいようです。他ではあまり聞いたことのないやり方ですが、いつも Bruniana & Campanelliana 誌の編集作業でやっていることでしょうから、お任せします。基本的には、カンパネッラに関する事項をしっかりとしたいという欲求からきているようです。来週初めには、版組に入るらしいです。

 

 

2014. 9. 1

  ガファレル論集の図版をふくめた最終マテリアルを出版社に送りだしました。版組に入るので、泣いても笑っても、これ以降の変更はできません。これ以上は本体にお名前を入れることはできませんが、真に学問を愛する方々からの温かい寄付は、ひき続き受付けます。出版されましたら、1冊進呈します。出版されたものを買ってサポートするよりは、出版前の寄付の方がありがたいです。よろしく、お願いします!

 

 

2014. 8. 31

  ガファレル論集に入れる図版とキャプションの調整をしています。月曜日は91ですので、イタリアは夏休みが終わります。セラ書店をふくめた多くの出版社も、明日から通常営業となります。論集の作業も、版組へと入っていくと思います。

 

 

2014. 8. 24

  ガファレル論集用に、さらに小澤君とヨシ君がそれぞれ5千円の寄付をしてくれました。仲間たちに本当に感謝です。

 

 

2014. 8. 7

  ガファレル論集は、あと残りの5千円の寄付を募っています。よろしく、お願いします。

 

 

2014. 8. 5

  ガファレル論集は、平岡君から大口の2万円、集中講義に参加された愛古さんから1万円、そしてイェイツの名著の邦訳版を担当された元編集者の方からも5千円の寄付をいただきました。この場を借りて、お三方の学問を愛する心意気にふかく感謝いたします。残りは5千円で目標額に達するところまできました。あと一歩です!

 

 

2014. 8. 2

  ローマのセラ書店から、ガファレル論集の出版コストの正式な見積もりが来ました。最終的には、2500ユーロほど必要なようです。前回の呼びかけでいただいた寄付と僕の大学から得た出版助成で合計して2200ユーロほどカヴァーしていますので、あと残りは300ユーロとなりました。真に学問を愛する方々の寄付を募ります。

 

 

2014. 7. 6

  2009のプロジェクトの起草からは、かなり時間がたってしまったガファレル論集ですが、ついに出版できると思うと、とても嬉しいものがあります。まだ、実際に出たわけではないのですが、世界で誰もなしとげなかったことなので、道なき道を開拓したという充実感があります。

 

 

2014. 7. 1

  ガファレル論集のマテリアルをジェルマーナに送りだしました。まずは出版社の方で、より正確な頁数費用の計算をしてくるようです。「さあ、いくぞ!」と満を持してというよりも、「どうなっている?」と不意打ちをくらっての提出でした。

 

おそくなりましたが、ガファレル論集の目次を発表します。ルネサンス式の古代史から、キリスト教カバラ魔術科学革命、そして理想の庭園プランまで、BH な関心をぎゅっとパッケージしました。世界最先端のルネサンス研究&インテレクチュアル・ヒストリーの醍醐味を満喫できると思います!

 

「『隠された神秘』と『前代未聞の驚異』 : ガファレルによる天の書物と神的なカバラの擁護」

Peter Forshaw, “Concealed Mysteries and Unheard-of Curiosities: Jacques Gaffarel’s Defence of Celestial Writing and Divine Kabbalah”

「ガファレルと『神的なカバラの隠された神秘』」

Saverio Campanini, “Jacques Gaffarel e gli Abdita divinae cabalae mysteria

「因果関係、礼拝の意図、信仰の基礎のはざまのテラフィンの像 オリエント学者ガファレル」

Frédéric Gabriel, Figures des téraphim, entre causalités, intention du culte et supports de croyance: Gaffarel orientaliste

「ガッサンディとメルセンヌによる『前代未聞の驚異』の受容」

Sylvie Taussig, “La réception des Curiositez inouyes par Gassendi et Mersenne”

「ガファレルの『前代未聞の驚異』における像、護符、そして医学」

Hiro Hirai, “Images, Talismans and Medicine in Jacques Gaffarel’s Unheard-of Curiosities

「庭と実験室における相似と像 ガファレルのジョン・イヴリンへの影響」

Juliet Odgers, “Resemblance and Figure in Garden and Laboratory: Gaffarel’s Influence on John Evelyn

 

 

2014. 6. 30

  昨日もすこし書きましたが、ガファレル論集への僕の寄稿は、魔術的な力の働きをあくまで自然なものとして説明しようとするガファレルの議論をルネサンス末期の知の文脈において分析しようとするもので、これまで多くの研究者が触れてこなかった未知の領域を開拓していると思っています。これを集中講義のための教材にしたいところですが、もうリストは一杯になってしまっているので無理でしょう。

 

  この秋には、小澤君がらみで依頼された魔術についての論集に寄稿しないといけません。引き受けたのは良いけれども、どういうふうにアタックすればいいか、ずっと迷っていました。そうだ、このガファレル論文の邦訳版を土台にすればいいかなと思うようになりました。難題が解決した気持ちです。

 

 

2014. 6. 29

  ガファレル論集の目次、序文、謝辞、省略記号表のチェックをクレアにしてもらいました。あいにく、ガファレル肖像画はみつからないので、論集のなかでくり返し議論される図版をかわりに使うことにしました。これも、出版用に高解像度のものを準備してもらいました。

 

  この論集に寄稿した僕の論考自体は、第2著作リプシウス論文できわめた論文執筆におけるアートから離れて、つぎのスタイルを模索している段階で書かれたものです。肩の力をぬいて、下手ながらも大きな俯瞰を与えることに注意して魔術科学の絡みを描いたつもりです。さらに本来なら、トニーが教えるところのルネサンス人たちによる古代人類史研究の文脈でガファレルをとらえないといけないのでしょうが、今回はそこまではできていません。

 

 

2014. 6. 28

  昨日、めでたくも資金繰りのメドがついたので、ガファレル論集の編集作業を終わらせてしまおうと思い、目次、序文と謝辞、省略記号表をつくりました。僕のつくる論集は序文が短いと文句をつけられることがあるのですが、小品ですから前口上よりも中身を読んでもらうのが一番だと思います。ただ、まだ最終的なタイトルを悩んでいます。『ジャック・ガファレル:初期近代ヨーロッパの魔術と科学のはざまで』というのにしようか迷っています。カバラ科学革命という売れる単語を入れたい気もしますが…

 

Jacques Gaffarel between Magic and Science in Early Modern Europe

 

  いざ、出版が具体的になってくると、これまでしてきた編集作業に欠点がないか、かぎりなく心配になってきます。大丈夫だとは思いますが。

 

 

2014. 6. 27

  大学からガファレル論集の出版のための助成金として、1500ユーロまで出してもらえることになりました。今年中に出版をしないといけませんが、これで大きな推進力をえました。良い感じです。BH 熱心なファンの皆さまからいただいた寄付とともに、必要な額に迫りつつあります。このまま秋冬には出版にこぎつけましょう!

 

 

2014. 6. 17

  ゴールデン・ウィークのころからトニー本とガファレル論集のふたつの編集作業で忙しくしていたので、この日記やフェイスブックを含めたその他のことが疎かになっていますが、ご容赦ください。今年は、このふたつをドーンとお届けできることを狙っています。

 

 

2014. 6. 9

今日は、朝からガファレル論集の編集作業です。レフェリーからのリポートが帰ってきて、それを寄稿者に送ったりして、3本分について作業しました。寄稿者に2週間ほど時間を与えて、最終版を送ってもらいます。寄稿者の一人であるシルヴィは、家の工事で2週間ほどパソコンが使えないというので、それが終わるまで待ちます。そのあいだに、エリザベトにもシルヴィの仏語をチェックしてもらうつもりです。

 

 

2014. 6. 2

  ガファレル論集の出版に向けて、20万円ほど出版助成を調達しないといけません。一口で3千円から寄付を募ります。本はゲマ論集と同様にローマのセラ書店から出版されます。お名前は本に印刷(匿名も可能)され、出版された本を一冊進呈いたします。ご希望があれば、サインもつけます。知のプロダクトを世界に発信する作業に賛同者を募ります!> ちなみに、本はおそらく定価30ユーロ前後でしょうから、イタリアからの送料などを含めても、円安のいま3千円というのはまったく損のない数字だと思います。

 

           パリの C さんが、430ユーロを出してくれました。これは大きい。

           K 君が1万円を寄付してくれました。真の学問にたいする愛があります。

           大阪の K 君が200ドルを寄付してくれました。これまた、学問への愛ですね。感謝。

           N さんが30ドルを寄付してくれました。感謝です。

 

 

2014. 6. 1

  今週の作業でガファレル論集の作業はおおいに進展し、年内に出版できるかなと思っています。ただし、来週のウォリックでの占星術についての会議から帰ってきたら、短めでもいいので論集のイントロを書かないといけません。

 

  このガファレル論集は、2009年にフラッドガッサンディの論争についてのシルヴィによる長大な論文の編集をジェルマーナの雑誌のために手伝ったことをきっかけに着想し、寄稿者を選別してコンタクトをとり、寄稿をしてもらいました。比較的にすぐに原稿をよこしてくれた人もいれば、ピーターのように病気でなかなか原稿が来なかった人もいます。結局のところ口約束だけで音沙汰のなかった人もいれば、最後の最後に飛び入り的に入ってきたものもあります。全体像が見えてきて、編集をはじめようかとした矢先に、去年はケガをして1年ほどさらに作業が遅れてしまいました。最初のころに寄稿してくれた人々からは、再三の催促をもらい苦労しました。編集作業は集中的にこなせば1週間でできたわけですが、それは後から考えればということで、途中では先も見えず、なかなかに難産だったわけです。

 

 

2014. 5. 31

  昨日は奇跡的に一日で2本をこなして、ほぼ第1段階の編集は終わりました。あとはプリント・アウトして不統一なところを洗い出すだけです。ひとつ長大だったイタリア語の論考を限度内の長さにするために、思い切って切り刻むという荒療治なことをしたので、ジェルマーナに見直してもらうことにしました。

 

 

2014. 5. 30

  今日は朝から3時間ほどアダム君の博論のイントロにつきあいました。けっこう、それだけで疲れた感じです。それでも、ここのところ自分に課しているガファレル論集の編集作業のためのノルマをこなすために、奥の手として自分の論考の編集を行いました。これは単純にフォーマットを変えるだけです。> これで、残り2本となりました。もう少しです。がんばります。

 

 

2014. 5. 29

  昨日のつづきを少し。旧約聖書で語られるノアの大洪水から、ヨーロッパの各国の起源をむかえるまでの期間には、歴史はなかったのでしょうか?いや、あったはずなのです。そう考えたルネサンス人たちは、その歴史をどう記述するか喧々諤々の議論をくり返していました。まだ、バビロニアの粘土板やエジプトのヒエログリフなどが解読される以前の時代に彼らは活躍したのです。

 

  ある種の合理性をよしとする近代的な視点では、これらの人々の知の営為は誤診にもとづいたファンタジーであるとして切り捨てられてしまうでしょう。しかし、そうではなく、この人々の営為がどういう理由ではじまり、どのように行われたのかを位置づけるのが歴史家の役割でしょう。まさに、これはインテレクチュアル・ヒストリー(知の歴史)の舞台となる研究領域であるといえます。

 

  今日でガファレル論集の3本の編集を終わりました。あと3本ほど、がんばります。

 

 

2014. 5. 28

  昨日につづいて、ガファレル論集のために2本目の論考を編集しました。シルヴィにくらべて、このフレデリックの方がしっかりしています。ちょっと細かすぎるところもありますが、脇の甘いものよりは作業がしやすいです。このまま1日1本のペースをキープできれば、今週中に大まかな作業を終わらせることができるかもしれません。明日もがんばります。明日はジュリエットの論考をアタックしようと思います。

 

  トニー本に深くかかわった経験から分かったことですが、このガファレルという人物もポステルと同様に、キリスト教カバラルネサンス・プラトン主義、そして古代神学だけではなく、年代学やルネサンス期に発達したビザールな旧約聖書学の文脈から理解しないといけないのだと思います。

 

この最後にあげた思潮は、旧約聖書にある記述とギリシア・ローマ以前の人類の古代史をつなごうとした一連の試みが生んだもので、ルネサンス期に大きな展開を迎えました。僕自身も、まだどういう研究があるのか手探りの状態ですが、先行研究をマッピングするコーナーをBH内にいつかつくりたいと思っています。しかし、トニー自身もこの分野に名前をつけていないのですよね。> とりあえず、トニーのあげる文献からリスト・アップしてみました。ここでも、小澤君の活躍が光ります。

 

  よくインテレクチュアル・ヒストリー(知の歴史)と思想史の違いを聞かれますが、たとえばこの話題はインテレクチュアル・ヒストリーならではのもので、思想史ということばでは語れないものだと思います。旧約聖書で語られる事蹟と各国の先史を結びつけようとする試みは、あきらかに知的な営為ですが、これは思想と呼べるものだと思いますか?

 

 

2014. 5. 27

  ついに、ずっと後回しにしていたガファレル論集の編集をはじめました。今日は、一番大変そうなシルヴィ(タウシグ)の作業を行いました。数年前にアメリカにいたときに、フラッド対ガッサンディという長尺論文で苦しめられたことを思い出します。なんとか夏前に仕上げて、年内の出版を目指します。小ぶりな本になるとは思います。

 

 

ここで1年が経過

 

2013. 3. 21

  ずっと眠らせてあったガファレル論集のための作業を、昨日から再開させました。まずは、集めた原稿を編集せずに見た目だけ整えたものをプリント・アウトしてジェルマーナに送って、イースターの休暇中に目を通してもらおうと思います。

 

 

ここで3年が経過

 

2009. 2. 2

   ガファレル計画のプランをジェルマーナに見せたところ、素晴らしいという反応がすぐ来ました。なかなか良い感じです。この非常に強力な論集『ガファレル、護符、そして占星術』の出版を20102011を予定しています。ガファレル計画のコーナーも作りましょうね。

 

 

2009. 1. 16

ガファレル計画を進めることにしました。口上を書いています。こんな感じでは、どうでしょうか?

 

Jacques Gaffarel’s (1601-1681) Curiositez Inouyes (Paris, 1629) was a real encyclopedia for the talismans, horoscope and astrology of the “Orientals,” conceived in the context of Renaissance Christian cabalism. Reprinted several times and translated into English (1650) and Latin (1676), its success lasted at least until the early eighteenth century, the dawn of the Enlightenment. Gaffarel was not a charlatan but was seriously considered a learned Orientalist by the leading minds of the time such as Pierre Gassendi the French atomist.

Despite his considerable fame and extremely popular work, Gaffarel has been unfairly neglected by historians. In a volume of collected articles in multidisciplinary approach, the present project aims to give the first substantial survey of Gaffarel’s work and perception of talismans, horoscopes and astrology in the age of the “new philosophy.”

 

 

2009. 1. 14

   ここのところ取り掛かっていた作業 (レオニチェノ論文、審査、書評) を無事にこなしたところで少し安心してしまい、午後は仕事になりませんでした。それでも、ガファレル計画の草案を書き始めました。最低限の書誌データも必要ですが、アダム君が送ってくれることになっている記事がひとつのカギです。

 

 

2009. 1. 13

  僕のガファレル計画は、『ジャック・ガファレル、護符、そして占星術“Jacques Gaffarel, Talismans and Astrology” という題名で行くことにします。何とセクシーなタイトルだと思いませんか?10名ほどの世界屈指の著者を集めて、1冊の論集として2010年から2011年にゲマ論集と同様に B&C 誌の平行叢書の一冊として出版できれば幸いです。

 

 

2009. 1. 6

  ジャック・ガファレルの一大奇書にしてベストセラー『ペルシアのタリスマン、教父のホロスコープ、星辰の解釈についての前代未聞の好奇Jacques Gaffarel, Curiositez inouyes, sur la sculpture talismanique des Persans, horoscope des patriarches, et lecture des estoilles, Paris, 1629 のデジタル・ファイルがウェブ上にないでしょうかラテン語でないファイルを探すときはどうすればいいのでしょうか?> ガリカにありました。マヌケでした。しかし、前に見たときにはなぜ気がつかなかったのでしょうか?ま、これでガファレル計画をつつがなく進行することができます。

 

 

2008. 10. 12

  僕自身がゲマリプシウスに続いて計画しているのは、17世紀前半のフランス人著作家ジャック・ガファレル Jacques Gaffarel についての特集号を Bruniana & Campanelliana 誌に組むことです。ガファレルは、魔術占いについての非常に有名な著作『前代未聞の好奇Curiositez Inouie (パリ、1629) を記しましたが、まともな研究はほとんど存在しません。この空隙を埋めるための野心的な計画です。この計画の実現までには、1年から1年半を見ています。今回のパリ訪問で、幾人かの潜在的な寄稿予定者を見つけることが出来ました。今のところ、以下のような陣容です。

 

           Jean-Marc Mandosio

              Jean-Pierre Brague

              Nicolas Weil-Parrot

Germana Ernst

              Vittoria Fabiola

              Hiro Hirai

 

これはBHのモットーでもあるのですが、研究されつくして手垢まみれの大物をいじくり回しても、何もオリジナルなものは生まれてきません。歴史上は重要であるのに、ほとんどまともな研究がない状態のテーマを選んで、ソリッドなものを提供すれば歴史に残る作品となるわけです。