コルネリウス・ゲマ研究
コルネリス・ゲマ (Cornelius Gemma, 1535-c. 1578) は、有名な地理学者ゲマ・フリシウスの息子でルーヴァン大学の医学部教授でした。まだ専門的な研究の殆どされていない彼は、16世紀後半に活躍したフランス人カバラ主義者のギヨーム・ポステルやル・フェーヴェル・ドゥ・ラ・ボドリーと交流があり、ケプラーの新プラトン主義的な傾向にも影響を与えたようです。ジョルダーノ・ブルーノもゲマを読んでいたようですし、カンパネッラの占星術へのつながりも指摘されています。
国際会議論集
『コルネリウス・ゲマ：ルネサンス期ルーヴァンにおける医学、宇宙論、そして自然哲学』
(ローマ、セラ書店、2008年10月)
全ての ＢＨ ファン必携の書！
「最高の内容に加えて、書物作りにおける真のマスターピースだと思われる」
“al di là degli
ottimi contenuti è, a mio parere, un autentico capolavoro di tipografia.”
(Fabrizio Serra)
Hiro Hirai (ed.),
Cornelius Gemma: Cosmology, Medicine and
Natural Philosophy in Renaissance Louvain
Roma, Serra, 2008.
1. 宇宙論と占星術
「コペルニクス体系の詩：コルネリウス・ゲマとコスモクリティーク」
Fernand Hallyn, "A Poem on the Copernican System:
Cornelius Gemma and his Cosmocritical Art"
「天空の普遍的言語：コルネリウス・ゲマ、ティコ・ブラーエ、トマッゾ・カンパネッラ」
Germana Ernst, "Il linguaggio universale dei cieli: Cornelio Gemma, Tycho Brahe, Tommaso
Campanella"
「コルネリウス・ゲマと1572年の超新星」
Dario Tessicini, "«Vere Gemmeum est?»: Cornelio Gemma e la stella nuova del 1572"
2. 医学と驚異
「コルネリウス・ゲマにおける驚異の概念」
Jean Céard, "La notion de
prodige selon Cornelius Gemma"
「コルネリウス・ゲマと1574年の伝染病」
Concetta Pennuto, "Cornelius
Gemma et l'épidémie de 1574"
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおける古代神学とヒポクラテスの新プラトン主義的解釈」
Hiro Hirai, "«Prisca Theologia» and Neoplatonic
Reading of Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma"
3. メソッドと英知
「コルネリウス・ゲマと普遍メソッド」
Stephen Clucas, "Cornelius Gemma and
Universal Method"
「コルネリウス・ゲマ、哲学、そしてメソッド：『円環知のアルス』第1巻の分析」
Thomas Leinkauf, "Cornelius Gemma, Philosophie und Methode: Eine Analyse des ersten Buches
der Ars cyclognomica"
160頁、図版、索引、34ユーロ。
書評
Olivia
Catanorchi-Cinzia Tozzini, Bruniana &
Campanelliana, 15 (2009), pp. 222-223.
Patrick J. Boner, Renaissance Quarterly, 63 (2010), pp.
234-236.
Miguel A. Granada, Studium, 3 (2010), pp. 47-48.
Steven Vanden
Broecke, Isis, 102 (2011), pp.
558-559. PDF
国際会議
『コルネリウス・ゲマ：医学、宇宙論、そして自然哲学』
Cornelius Gemma (1535-1578): Medicine,
Cosmology and Natural Philosophy
2007年2月23日（金）、ゲント大学
プログラム
Welcome &
Opening
Fernand Hallyn, Introduction
Session 1:
“Prodiges”
Jean Céard (Paris
X), ““La notion de prodige dans la pensée de Gemma”
Germana Ernst (Roma
III), “Divinaton et signes célestes chez Campnella et Gemma”
Session 2: Medicine
Concetta Pennuto
(Institut d’histoire de la médecine, Genève), “Cornelius Gemma et l'épidémie de
1574”
Hiro Hirai (Centre for History of
Science,
Session 3:
Sophia
Stephen Clucus (
Thomas Leinkauf
(Münster), “Philosophia und Methode im Werk des Cornelius Gemma”
Session 4:
Cosmos
Dario Tessicini (University College
London), “The Reception of Cornelius Gemma’s Cosmological Works”
Steven Vanden Broecke (Katholieke
Universiteit Brussel), “Society, Christianity, and Philosophy in the
work of Cornelius Gemma”
論文
フェルネル、カルダーノ、ゲマにおけるヒポクラテスの新プラトン主義的解釈と古代神学
“Prisca Theologia and Neoplatonic Reading of Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma”
1. イントロ
Introduction
2. フェルネルと「神的」のヒポクラテス概念
Fernel and Hippocratic Notion
of Divine
3. カルダーノと哲学的ヒポクラテス主義
Cardano and His Philosophical
Hippocratism
4. ゲマと新プラトン主義的なヒポクラテス主義
Gemma and His Neoplatonic
Hippocratism
5. ペトルス・セヴェリヌスとパリ・コネクション
Petrus Severinus and Parisian
Connection?
メイキング風景
2011. 10. 25 火
おお、ナンシーさんからのメールで、Isis 誌の最新号にゲマ論集に対する非常に評価の高い書評が出たようです。嬉しいかぎりです。
2008. 10. 16 木
ゲマ論集の出版社の広告には本の写真があるのですが、ダウンロードできません。どうすれば良いのでしょうか？＞
出版社のリタがすぐに写真を送ってくれました。ゲマ論集のお知らせを広くしたいのですが、どうしたら良いでしょうね？＞
ブリュッセルのエラスムスの家のサイトにも宣伝を入れてもらいました。http://ns6348.ovh.net/Residents/erasmushouse/Public/Article.php?ID=798&cache
以下は、出版社の社長の言葉です： 「最高の内容に加えて、書物作りにおける真のマスターピースだと思われる」 “al di là degli
ottimi contenuti è, a mio parere, un autentico capolavoro di tipografia.” 確かにセラ書店の版組みは、これまで他では見たことないほどの美しさを誇っています。Brill や Olschki よりも上だと思います。
2008. 10. 15 水
おお、ついにゲマ論集の印刷が終わったようです。出版社から連絡がありました。今日が誕生日ということになります！＞出版社のサイトに広告が出ました。値段は34ユーロですね。国際会議のアイデアを得たときから、会議の準備と開催、原稿の整理と、足掛け３年の月日が流れました。そして、とうとう、『コルネリウス・ゲマ：ルネサンス期ルーヴァンにおける宇宙論、医学、そして自然哲学』 (ローマ、セラ書店、2008年10月) は出版されました。全ての ＢＨ ファン必携の書です。買えないという人は身近の図書館にリクエストするとか、自分のサイトに告知をアップするとか、仲間に宣伝するとかして、各自で出来ることで
ＢＨ の活動を支援してください。あなたの意識が時代を変えるのです。やっぱり夢がなくっちゃね。
http://www.libraweb.net/result1.php?dettagliononpdf=1&&chiave=2368&valore=sku&name=Gemma.jpg&h=428&w=300
（エクスプローラが使えないので、うまくリンクが出来ません。みすぼらしくてすみません。）
2008. 10. 13 月
ジェルマーナから連絡があり、ゲマ論集は今週末から来週初めに印刷が完了するようです。ついに出版です！
2008. 10. 11 土
ジェルマーナの話ですと、もしかしたらもう既にゲマ論集の印刷は終わっているかも知れません。
2008. 9. 29 月
週末の間に仕上げた、ゲマ論集の最終的な微調整のためのリストを送り出しました。6箇所の修正で終わりです。これで、10月末には実際の本が出来上がる予定です。
2008. 9. 27 土
朝からクニ君の助けを借りて、ひとつゲマ論集におきたギリシア語に関する謎を解決しました。それをジェルマーナに送信するために、土曜日ですがわざわざ研究所に行きました。今は展覧会の準備をしているので人が幾人もいて、僕一人というわけではなかったので助かりました。ただ長居はせずに14時には、近くの寿司バーのランチを食べるために研究所を後にしました。＞ 高校でギリシア語の先生をしているジェルマーナの息子さんも、同じ結論に達っしていたようで、さらにこの解答が正しいだろう確信を得ました。
2008. 9. 26 金
ゲマ論集の索引を含めた最終チェック校が来ました。これを見直したものが印刷に入り、実際に本が出るのは10月末だそうです。まだ値段は分かりませんが、これはルネサンス期のインテレクチュアル・ヒストリー研究において伝説的な存在となることを目指した野心作です。個人的には、足掛け3年のプロジェクトで、僕の２冊目の著作と同様にゲント・イヤーズを象徴する作品です。＞
ジェルマーナは、今フィレンツェで行われている大掛かりな国際会議に出なければいけないから、土曜日まで留守にするということです。
2008. 9. 17 水
ゲマ論集の校正刷りの第２弾が届きました。巻頭にあった図版を後ろに移動したためにページ数が動いているので、それにともなう修正事項が数件、それから一回目の校正指示を上手く拾いきれていないものが、数件という感じです。ただ、図版の番号が変わってしまっているのはマズイので、それだけはクリアしないといけません。しかし、アクロバット・スタンダードは非常に役に立ちます。PDF ファイルを介して編集作業をする人間には不可欠なツールだと思います。
昨日は新ボスを含め何人かと僕の到着を祝うドリンクがあり、その後は家に帰って大家さんとドリンクをしました。戻ってきてからゲマ論集の索引作りを始めたのですが、すぐに眠くなってしまい、ダウン。しかし、今日は午前に1回ティー・タイムがあり、昼にはランチ・レクチャーがあり、午後にもティー・タイムがあって、16時半からドリンクということで、全然仕事に集中できない日でした。まだ最初だから顔を覚えてもらうためにキチンと出ていますが、そのうちに幾つかはスキップしていかないと、仕事にならないと思います。
その後は、ゲマ論集の索引作りに専念しました。途中でオフィスを離れ、家に戻って夕飯を食べてから作業を続行し、21時半には一応全体の人名索引が完成しました。
2008. 8. 29 金
ジェルマーナから連絡があり、ピサの編集局での作業は上手くいったようですけれど、校正刷りを出すための担当者が来週まで休みなので、それまで待つしかありません。
2008. 8. 28 木
今日はジェルマーナがピサのセラ書店の編集局に詰めて、ゲマ論集の第１校正校に対する修正指示を取り込んで、第２校正校を出してくるはずだったのですが、結局は何の連絡も来ませんでした。ちょっと気になります。
2008. 8. 26 火
出版社のサイトに出すゲマ論集の広告文を書くように言われたのですが、序文を少しいじったものを英語と伊語の2ヶ国語で出すことになりました。英語だけ書けば、伊語の方は私がものの5分で片付けるわよとジェルマーナに言われたのですが、やっぱり自分で伊語を書きたいのが最近の僕の気持ちです。で、書いたものを添削してもらうことにしました。翻訳は間違ってないけれど、もう少し自然になるように幾つかの箇所を変更したということで、最初の無骨な文体が流麗でエレガントなものになりました。勉強になります！＞
ＢＨに集う学生さんに注目して欲しいのは、確かに言い回しは直されていますが、ロジックの展開はほぼ無傷という点です。やはり、鍛え上げられた鉄壁のロジックは、何語でも通用するのです。
Cornelius Gemma (1535-1578), il figlio del famoso matematico-cosmografo Gemma Frisius, fu il professore di medicina all’università di Lovanio. È finora
quasi totalmente trascurato dagli studiosi, mentre giocò un ruolo importante
nell’ambiente intellettuale del tardo-cinquecento. Le sue opere principali De arte cyclognomica (Anversa, 1569) e De naturae divinis characterismis
(Anversa, 1575) sono vere “gemme nascoste” della storia intellettuale dell’età
moderna, comprendo diversi problemi in astronomia, astrologia, medicina, teratologia, divinazione, profezia,
escatologia, enciclopedismo, noetica, arte della memoria, etc. Attirarono la viva attenzione di
menti eminenti del tempo come Guillaume Postel, Jean Bodin e Johannes Kepler. La sua
influenza su Giordano Bruno e Tommaso Campanella
è anche un soggetto di grande interesse. Il presente volume fornisce il primo studio sostanziale
su questa figura elusiva attraverso approcci
multidisciplinari. [Hiro’s Original]
Cornelio Gemma (1535-1578), figlio del famoso
matematico-cosmografo Gemma Frisius, fu professore di medicina all’università
di Lovanio. A tuttoggi la sua figura risulta quasi del
tutto sconosciuta agli studiosi, mentre giocò un ruolo importante
nell’ambiente intellettuale del tardo Cinquecento. Le sue opere
principali, il De
arte cyclognomica (Anversa, 1569) e il De naturae divinis characterismis
(Anversa, 1575), sono vere “gemme nascoste” della storia intellettuale dell’età
moderna: esse affrontano molteplici
problemi di astronomia, astrologia, medicina,
teratologia, divinazione, profezia, escatologia, enciclopedismo, noetica, arte
della memoria, e non mancarono di attirare una viva attenzione da parte di studiosi
eminenti del tempo come Guillaume Postel, Jean Bodin e Johannes Kepler. Anche gli
echi del suo pensiero su Giordano Bruno e Tommaso Campanella sono di grande interesse. Il presente volume presenta il primo studio complessivo
su questa figura sfaccettata grazie ad approcci
multidisciplinari. [Germana’s Elegant Remix]
2008. 8. 24 日
ゲマ論集の校正指示はダリオのものも届いたようです。残すはコンチェッタだけ。それで全部で、木曜日にはジェルマーナはピサにある出版社セッラ書店で作業するといっています。そうすれば、第2校正刷りが木曜日にはあがってくると思います。イタリアなのに、このスピードは何なのでしょうね？全てのものが理想的に動いていると信じられているとある国でも、1年経っても何も動かないところもあるのに。やっぱり口だけで、実際に動かないところは信用できません。きっと、プロ意識の欠如のせいなのでしょう。
2008. 8. 22 金
コンチェッタがもうすぐ彼女のゲマ論文用の校正指示を送ってくるようです。
2008. 8. 19 火
ところで、ゲマ論集を出すイタリアの
Serra 書店は、以前は Istituti
editoriali e poligrafici internazionali という名で知られており、100以上の学術雑誌を出版しているとんでもないところです。ピサとローマに事務所があります。
2008. 8. 18 月
ジェルマーナから非常に分かりやすいリストだと言われましたので、ゲマ論文の修正点は正確に伝わっていることを祈ります。しかし、朝の9時前に全てチェックしたのですね。＞ 続いて今日は、索引のもととなる言及される歴史的人物と研究者の名前リストを作りました。あとは、待っている間に微調整を加えつつ、最終的な校正刷りの第２弾が来たときに頁数を入れれば完成です。なお、今回は人名だけで、事項の索引つくりません。400頁もあるような大部な論集では意味があるでしょうが、150頁そこそこの小さな論集ですので、20頁にも及ぶような索引をつけて気張ってもバランスが悪くなるだけでしょう。
2008. 8. 17 日
ロンドンからジェルマーナが帰ってきたようで、早速ところ連絡がありました。僕の方でも、彼女の帰りを待っていたかのように、ゲマ論集全体の修正リストを送り出しました。反応は明日の朝になってからだと思います。
2008. 8. 13 水
午後はゲマ論集の校正刷りの修正事項とギリシア語にアクセントをつけたものをリストにしました。A4 紙で4枚ですから、それほど多いという訳でもありません。
2008. 8. 7 木
もう一度、ゲマ論集の原稿を通して読むことにしました。今日は８本中の５本を読みました。完璧をきしたつもりですが、この期に及んでも、いろいろ修正点は見つかります。＞
夜半には上記のアメリカのケントが、早速にも僕の原稿の修正案を送ってくれました。原稿を渡してから、ほぼ24時間ですから、素晴らしいスピードです。すでに版組みの済んでいる現段階では大きな変更は出来ませんが、それでも役に立つ提案を多くしてくれました。会ったこともない人ですが、深く感謝します。やはり、ファンの方々は大事にしたいものです。錬金術の探求をしているという彼は、実際に飲用金を試しているとか言っています。マッドです。＞
でも、そういうマッドな人の一人かと思っていたタロット狂のクリストフも、最後にはイタリアの一流雑誌に美術史の論文を載せてしまうことになるのですから、BH というのはとんでもない世界だとは思いませんか？日本の美術史家の多くが、どんなにがんばっても海外の雑誌に論文を乗せるは非常に難しいことなのですよ。そうです、BH はバリアー・フリーです！
2008. 8. 4 月
金曜日にアダム君 （今日は興奮して訳の分からないことばかり言っています。いや、訳は良く分かりますが、会話自体が成り立ちません。つまり、僕の言っていることを全く聞いていません）
が送ってくれたゲマ論集の校正稿の一式が、無事にウチに届きました。感謝です。やはり、個人用のインクジェットと大学のレーザープリンタの質の違いは明白です。ジェルマーナがイタリアの図書館が閉まっている間ロンドンに避難しているうちに、本格的なチェックをしなければなりません。午後から夜にかけては、この作業に集中しました。
2008. 8. 1 金
まだまだ早いですが、ゲマ論集を書評してもうためにレヴュ・コピーを送る雑誌を選ぼうと思います。以下のものを考えましたが、他に良いところはあるでしょうかね？
Renaissance
Quarterly
Renaissance
Studies
Rinascimento
Sixteenth
Century Journal
Early
Science and Medicine
Annals
of Science
Bulletin
of the History of Medicine
Medical History
Sudhoffs
Archiv
Revue
d’histoire des sciences
Nuncius
とりあえず、昼に町の電気機器屋に行って高いインク・カートリッジを入手し、僕が英訳した新ボスの論考と自分の原稿の校正刷りをプリント・アウトしてチェックしました。う～ん、それにしても、自分で言うのも何なのですが、僕のゲマ論文は非常にシャープです。
2008. 7. 30 水
おお、この間すべてのマテリアルを送ったばかりのゲマ論集の最初の校正刷りが送られてきました。素晴らしい仕事のスピードです。なかなか美しい出来です。索引のない今の段階で、全体で150頁ほどになりました。同じシリーズの『ヴィッテンブルグにおけるブルーノ』と同じくらいのヴォリューム感になると思います。早速にでもプリント・アウトして校正に取りかかろうとしたところで、プリンターがインク切れとなってしまいました。すぐに行きつけのインクの入れ替え屋に行くと、何と夏休みのようです。う～ん、何とも運が悪いですね。困っていると、ありがたいことにアダム君が、全体をプリント・アウトしたものを明日にでも発送してくれることになりました。深く感謝です。
2008. 7. 25 金
出版社の意向でゲマ論集の最終的なタイトルは、『コルネリウス・ゲマ：ルネサンス期ルーヴァンにおける宇宙論、医学、自然哲学』
Hiro Hirai (ed.), Cornelius
Gemma: Cosmology, Medicine and Natural Philosophy in Renaissance Louvain,
Rome, Serra, 2008 となりそうです。内容は以下の通り：
1.
宇宙論と占星術 Cosmology
and Astrology
Fernand
Hallyn, “A Poem on the Copernican System: Cornelius Gemma and his Cosmocritical
Art”
「コペルニクス主義についての詩：コルネリウス・ゲマとコスモ・クリティーク」
Germana Ernst, “Il linguaggio universale dei cieli: Cornelio Gemma, Tycho
Brahe, Tommaso Campanella”
「星辰の普遍的な言語：ゲマ、ティコ、カパネッラ」
Dario Tessicini, “«Vere
Gemmeum est?»: Cornelio Gemma e la stella nuova del 1572”
「ゲマと1572年の超新星」
2.
医学と驚異 Medicine and Prodigy
Jean
Céard, “La notion de prodige selon Cornelius Gemma”
「ゲマにおける驚異の概念」
Concetta
Pennuto, “Cornelius Gemma et l’épidémie de 1574”
「ゲマと1574年の疫病」
Hiro
Hirai, “«Prisca Theologia» and Neoplatonic Reading of Hippocrates in Fernel,
Cardano and Gemma”
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおける古代神学と新プラトン主義的なヒポクラテス解釈」
3.
メソッドと知 Method and
Sapientia
Stephen
Clucas, “Cornelius Gemma and Universal Method”
「ゲマと普遍的メソッド」
Thomas Leinkauf, “Cornelius Gemma, Philosophie und Methode: Eine Analyse
des ersten Buches der Ars cyclognomica”
「ゲマ、哲学、そしてメソッド：『円環的知の技』第１書の分析」
2008. 7. 21 月
ついにゲマ論集の残りの原稿と図版、その他のマテリアルを編集社に送り出しました。あとは、版組みが出来上がって来るのを待つだけです。
2008. 6. 18 水
ついにゲマ論集の原稿の一部を編集者に送り出しました。
2008. 5. 4 日
ブルーノはなかなか自分のソースを明かさない人ですが、なぜかゲマだけはハッキリと名前を出して何度も言及しているのですよね。ケプラーも、ブルーノも注目したゲマというのは、本当にスゴイ人だったのです。ところで、アントワープで1575年に出たゲマの著作を読めんだなら、1571年にバーゼルで出た似たような著作も、彼は読んでいる可能性があるのではないでしょうか？僕が見た版は19世紀末に出されたものでリプリントされて広く使われているものですが、1980年にラテン語著作の新版がイタリアで出ているようです。今のところ、この新しい版へのアクセスは出来ないでいます。
2008. 4. 18 金
今日は、ブリュッセルの王立図書館に出来上がったゲマの小著のリプリントを取りに行きます。複写局は4時までなので、1時頃の電車に乗って2時頃につき先にブツを受け取りたいと思います。18時に近くの中央駅で待ち合わせがあるので、それまでの残りの時間は図書館で作業することにしたいと思います。＞ 複製してもらったものから、欲しかった図版を抜き出しました。廃墟の真っ只中で泣き伏しているのがベルジカで、彗星を指さしているのがシビュラです。当時、宗教対立で内戦状態にあったベルギーを寓意しています。
2008. 4. 11 金
やっとのことで、ゲマの著作のリプリントが出来たという知らせが王立図書館からありました。来週の金曜日にブリュッセルに行くので、その時に受け取ってこようと思います。
2008. 3. 9 日
ゲマ論集の巻頭を飾る図版の候補を挙げておきます。意見＆感想を頂ければ幸いです。
2008. 3. 7 金
ゲマ論集の原稿を出版社に送り出す日も、そう遠くはないと思います。ジェルマーナに聞いたところ、図版は4枚から8枚まで入れても良いようです。とりあえず、もともと最低３枚は入る予定だったので、さらに入れることが出来ます。＞ ジェルマーナの話では９月までに本を出したいのなら、イースター前に原稿を送ることになるだろうということです。図版は、遅れて後から入稿することは可能だそうです。午後からアダム君とクニ君にも意見を聞いて、良さそうな図版をセレクトしました。ところで、ゲマは著作 （1575年） にオーロラの図版を最初に取り入れた人として言及されることがあるのですが、その図版自体をウェブ上ではなかなか見つけることはきでません。ここに、その超レアなアイテムを紹介いたします。なかなか、スゴイものではありませんか？
Cornelius
Gemma,
2008. 3. 6 木
起きてみると、新ボスのゲマ論文を論集用に僕が英訳したもののプルーフ・リーディングが帰って来ました。カユイところまで手が届くという表現がピッタリの素晴らしいコレクターの仕事でした。フィードバック欄には、以下のメッセージを残しました。＞
これを受けて今日の午後は、新ボスの論考をもう一度読み直しながら、細部の微調整に努めました。
“Many thanks, careful
and painstaking, you are the best corrector I have ever had. Cheers for your
professionalism! Hiro”
2008. 3. 5 水
続いて、新ボスのゲマ論文の英訳版をプルーフ・リーディングに出しました。選んだのは24時間コースなので、明日には帰ってくるでしょう。70ユーロですね。＞
ゲマ論集の関連では１月末にステーフェンに問い合わせていたことについて返事をくれるようにメールを送りました。
2008. 3. 4 火
４週間前に王立図書館に申請したゲマの著作のリプリントは、まだ届きません。3週間という話だったのですが。要請は却下されたのでしょうか？連絡が全くありません。
2008. 2. 28 木
コンチェッタから彼女のゲマ論文への僕とクリストフの修正案の直しが帰って来たので、それをチェックしました。かなり大量の朱が入っていたので、本人もショックを受けたのではないかと思いますが、ヘソを曲げることもなく、ほぼ全体をそのまま承認してくれました。助かりました。これで、彼女の論考への作業は終了です。
2008. 2. 26 火
ブリュッセルの王立図書館に注文したゲマの著作のリプリントは、３週間で出来るということだったので、今日でちょうどなのですが、まだ料金の支払いのための連絡が来ません。頁数はわずかですので、それほど高いとは思わないのですが、早く出来あがったものが欲しいので、少しヤキモキしています。
2008. 2. 20 水
22日はジェルマーナの誕生日です。去年のゲマ会議の前夜に行ったレストランにて皆で祝ったことを覚えています。明日からベルリンに行っている間はネットにアクセス出来ないので、ちょっと早めですが、お祝いメールを送ったらすぐに返事が来ました：
Hiro, come
sei gentile a ricordarti del mio compleanno, festeggiato l'anno scorso a Gand!
I tuoi auguri mi sono molto graditi.
2008. 2. 18 月
英語版のゲマ論文を英語のチェック業者に出しました。準備には細心の注意を払ってますので、それほど直されるところはないと思いますが、念には念を入れます。
2008. 2. 16 土
パリのクリストフのおかげで、ゲマ論集用のコンチェッタの論考の仏語の問題が、ほぼ解決しました。なかなか手強いものでした。単純に言語の問題だけではなく、いわゆる贅言をこらした繰り返しの目立つ悪文なので二重苦となっています。議論の中身は非常に良いのに、もったいないですよ。
2008. 2. 14 木
昨日の段階でベルリン用の原稿はだいたいの形が出来たので、今日はゲマ論集の編集作業に戻りました。トマスの論考に手を加えています。長過ぎるので注のラテン語を整理しないといけません。ハサミを入れても良いという本人の了解を得ていますが、はやりデリケートな問題です。
2008. 2. 13 水
僕は気がつかなかったのですが、ゲマ論集用のコンチェッタの論考のフランス語にはかなりの難があるようで、ここのところ僕が熱心に論文執筆をコーチングしているパリのクリストフがチェックを引き受けてくれました。はじめはシカゴで行われるルネサンス協会の年会に行く旅費を丸ごと出してくれると言ってくれたのですが、コンチェッタのフランス語のチェックの方が緊急な課題なので、それをお願いしました。＞ しかし、ゲマ論集の編集は、次から次へとすることが出てくるので、なかなか終りになりません。ま、さらに完成度が上がって来ている訳ですから文句は言えないのですが。
2008. 2. 10 日
ゲマ論集の編集を続けています。論考の並び順ですが、 3・4 を先にするか、5・6を先にするかで迷っています。
「コペルニクス体系の詩：コルネリウス・ゲマとコスモクリティーク」
1. Fernand Hallyn, "A Poem on the Copernican System:
Cornelius Gemma and his Cosmocritical Art"
「コルネリウス・ゲマにおける驚異の概念」
2. Jean Céard, "La notion de prodige
selon Cornelius Gemma"
「天空の普遍的言語：コルネリウス・ゲマ、ティコ・ブラーエ、トマッゾ・カンパネッラ」
3. Germana Ernst, "Il linguaggio universale dei cieli: Cornelio Gemma, Tycho Brahe, Tommaso
Campanella"
「コルネリウス・ゲマと1572年の超新星」
4. Dario Tessicini, "«Vere Gemmeum est?»: Cornelio Gemma e la stella nuova del 1572"
「コルネリウス・ゲマと1574年の伝染病」
5. Concetta Pennuto, "Cornelius Gemma et
l'épidémie de 1574"
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおける古代神学とヒポクラテスの新プラトン主義的解釈」
6. Hiro Hirai, "«Prisca Theologia» and Neoplatonic
Reading of Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma"
「コルネリウス・ゲマと普遍メソッド」
7. Stephen Clucas, "Cornelius Gemma and
Universal Method"
「コルネリウス・ゲマ、哲学、そしてメソッド：『円環知のアルス』第1巻の分析」
8. Thomas Leinkauf, "Cornelius Gemma, Philosophie und Methode: Eine Analyse des ersten Buches
der Ars cyclognomica"
2008. 2. 8 金
これといった動きはナシです。ゲマ論集の編集をしています。
2008. 2. 7 木
今日は、ゲマ論集の編集をチョボチョボとしただけです。
2008. 2. 5 火
今日は友人のエラスムス研究家アレクサンドルの博論の審査会で、ブリュッセルに行ってきます。審査会は午後からなので、午前中に王立図書館でゲマの著作があるかどうか調べ、あったらその複製が出来るか調べたいと思います。＞
複製を申し込みました。約3週間で出来上がるそうです。案外、簡単でした。
2008. 2. 3 日
論集の編集過程で、どうしても超レアなゲマの小著『1577年の彗星の驚異の種類と本性』 De prodigiosa specie naturaque cometae … anno 1577 (アントワープ、1578年) が、必要になってしまいました。どこかの図書館でリプリントを要請できないか調べています。
2008. 2. 1 金
さて、ゲマ論集は、あと数件やることが残っているのですが、待たないといけないことなので、しばしスタンバイ状態で先に進めません。こういうときって、なかなか他のことには集中できないのですよね。例えば、ベルリン会議の読み原稿を準備するとか、やるべきことはあるのですが。＞ 肝心要の自分の英語版のゲマ論文の見直しをしました。この期に及んで、いろいろ不完全なところが見つかり、あわわ。
2008. 1. 30 水
今日も、ゲマ論集の編集作業を続けています。ステーフェンの論考の詳細なチェックを繰り返しました。ここまで極めれば、十分ではないでしょうか？でも、出来た仕事はこれだけです。引用のラテン語訳に難を見つけたのですが、それを、気を悪くされないように指摘して直してもらうのはデリケートな作業です。＞
とりあえず、引用３か所だけを抜き出して説明メールと共に送り返しました。すぐに受け取りの返事が来ましたが、内容のチェックは追ってということなので、しばらく様子を見ましょう。
2008. 1. 29 火
昨日に引き続き、ゲマ論集の編集作業をしていますが、集中しているとは言えません。う～む。＞
原稿が全部揃ったので、論考の並び順を考えています。当初の予定とは変わって、以下のように並べるのは、どうでしょうか？まず、イントロに相応しい新ボスの論考、そして驚異と怪物、ペスト、古代神学について、そのあと占星術と終末論、最後に円環知のメソッド論を2本という形です。ルネサンス期のインテレクチュアル・ヒストリーの多様な側面を、ゲマという一人物を通して掘り下げる理想的な一冊となると思います。ゲマの世界を一言で表現するなら、全ては自然界に散りばめられた神意の徴をいかに読み解くか？ということに収束するのです！近年、こんな素晴らしい論集を僕は見たことがありません。その誕生の過程に実際にかかわれる幸せをどう表現すれば良いのでしょうか？
「コペルニクス体系の詩：コルネリウス・ゲマとコスモクリティーク」
Fernand Hallyn, "A Poem on the Copernican System:
Cornelius Gemma and his Cosmocritical Art"
「コルネリウス・ゲマにおける驚異の概念」
Jean Céard, "La notion de prodige selon
Cornelius Gemma"
「コルネリウス・ゲマと1574年の伝染病」
Concetta Pennuto, "Cornelius Gemma et
l'épidémie de 1574"
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおける古代神学とヒポクラテスの新プラトン主義的解釈」
Hiro Hirai, "«Prisca Theologia» and Neoplatonic
Reading of Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma"
「天空の普遍的言語：コルネリウス・ゲマ、ティコ・ブラーエ、トマッゾ・カンパネッラ」
Germana Ernst, "Il linguaggio universale dei cieli: Cornelio Gemma, Tycho Brahe, Tommaso
Campanella"
「コルネリウス・ゲマと1572年の超新星」
Dario Tessicini, "«Vere Gemmeum est?»: Cornelio Gemma e la stella nuova del 1572"
「コルネリウス・ゲマと普遍メソッド」
Stephen Clucas, "Cornelius Gemma and
Universal Method"
「コルネリウス・ゲマ、哲学、そしてメソッド：『円環知のアルス』第1巻の分析」
Thomas Leinkauf, "Cornelius
Gemma, Philosophie und Methode: Eine Analyse des ersten Buches der Ars cyclognomica"
2008. 1. 28 月
調子が出て来たので、新ボスの論考の英訳の直しをフィードバックしました。まだ幾つか確かでないところはあるのですが、今のところは、これ以上は出来そうにありません。もともと11月には直しを貰っていたと思うのですが、やっとのことで作業することが出来ました。
2008. 1. 26 土
ゲマ論集のためのダリオの論考の次は、新ボスの論考の英語訳のフィードバックをしないといけません。編集の作業は、まとめて連続的に見て行った方が、ずっと効率的です。
2008. 1. 24 木
もう体調の方は良いのですけれど、10日も作業が中断すると集中力は限りなくゼロに近くなっています。ま、出来ることから始めようということで、図書館に本を返しに行くという簡単なことから社会復帰したいと思います。
4時近くになってから、ゲマ論集のためのダリオの論考を読みはじめて集中力が出て来ました。編集の作業とは結局のところ、他の原稿との書式の統一を図ることが仕事のメインとなる訳ですが、他の原稿に手を入れていたのは遠い昔のことなので、いろいろな点をどう処理していたのか忘れてしまっている部分も多いです。ま、それでも、一通り済みました。ギリシア文字のフォントの問題だけが残っています。
2008. 1. 21 月
次はゲマ論集の編集作業に戻らないといけません。新ボスの論考の英語版の完成と、遅れていたダリオの論考のチェックです。それが出来たら、異常に長いトマスの論考を短くすることを承諾させるための交渉をしないといけません。これが、一番大変だと思います。その後は、ベルリン用の原稿を書くことでしょうか？
2007. 12. 5 水
今日は残務整理とメール書きに明け暮れました。ちょっと遅れていたダリオのゲマ論文が出来そうだという知らせを受けました。良かった、良かった。一瞬、またゲントに行かなければならないかと思いましたが、それは回避できました。金曜日に行きます。
2007. 11. 6 火
仏語版ゲマ論文は、泣く泣く緊急処置として引用のためのラテン語を削って文字数を落とした訳ですが、先方から返事があり、それで問題はないようです。あとは編集の人が読んで、細かいことを言って来るかも知れませんが、それは通常のプロセスです。
2007. 11. 4 日
帰って来てメールボックスを開けると、出発前に提出した仏語版ゲマ論文が、35000字の文字制限を超えているというメールがありました。そこにスペースを含むと言っています。でもですよ、最初に貰った注意書きのメールには35000字とだけ書いてあって、スペースのことは一切触れてなかったのです。脚注をカウントするのは当たり前として、スペースをカウントするとは思いませんでした。で、スペースを含める方法でカウントし直してみると41000字あります。仕方なく、すぐに出来ることということでラテン語を切り取りました。これで、34991字です。まだ文句を言ってくるでしょうか？
2007. 10. 28 日
やっとのことでマリー・ローにしてもらった仏語版ゲマ論文のプルーフ・リーディングをチェックできました。そして、一回読み直した後、編集担当のジャクリーンに原稿を提出しました。何とか締切には間に合いましたね。
2007. 10. 16 火
マリー・ローによる仏語版ゲマ論文のプルーフ・リーディングが帰って来ました。帰って来たのは金曜なのですが、オープン・オフィスというソフトで書かれていたので、どうやって開けるか分かるまでに時間がかかりました。まだ内容の吟味は出来ていませんが、今月末が締切なので早くやっつけてしまわないといけません。
2007. 10. 3 水
トゥールで会ったマリー・ローが、仏語版ゲマ論文のプルーフ・リーディングをしてくれることになりました。助かりました。
2007. 9. 30 日
ゲマ論集の序文を書いてみました。非常に短くてシンプルなものです。
Preface
Cornelius Gemma (1535-1578), the son of the famous
mathematician-cosmographer Gemma Frisius, was a professor of medicine at the
HH
2007. 9. 21 金
今はゲントに向かう電車の中で、この日記を書いています。車中では、仏語ショート版ゲマ論文の読み直しをしました。これも早く仕上げたいところなのですが、ラテン語の先生による訳のチェックが遅れています。それが終わらないと、プルーフ・リーディングに回せません。
2007. 9. 18 火
朝起きて、10月末に提出しなければいけない仏語ショート版ゲマ論文の最終チェックをしつつ、通して読み直しました。これは本当に悪い癖なのですが、自分の書いたものを後で読み直すと、非常に良く思えてしまいます。というより、主題に感動しているのかも知れません。何て、ゲマは美しいんだと。
2007. 9. 14 金
今日はゲントに行かないで、トゥール会議からの国際論集のための仏語版ゲマ論文のショート・ヴァージョン
（合計３つのヴァージョン！が存在します）の書式合わせをしました。文字数を35000字まで落とさないといけませんが、200単語のレジュメをつけると少し超過してしまいます。ギリギリまで文字数を落として、やっとの思いで制限内に収まった！とウキウキしたすぐ後に、レジュメを足さなければいけないことに気がついたからです。トホホ。何ともマヌケな。テクストをいじらないで、注だけ切ることで文字数を減らすことはもう不可能です。＞
この原稿は10月末が締切なのですが、ラテン語の訳のチェックを外注していますし、最後に誰かにプルーフ・リーディングしてもらわないといけません。
2007. 9. 12 水
来年4月に新ルーヴァンの科学史研究所でゲマかリプシウスに関して講演をしてくれという依頼がありました。謹んでお受けします、ブリジット姉さま。基本的に論題は、「占星医学者コルネリウス・ゲマ」
“Cornelius Gemma, médecin astrologue” か「自然哲学者リプシウス」 “Lipse, philosophe
naturel” になると思います。＞ 前者で行くことにしました。日程は４月25日の金曜日16時からです。
2007. 9. 3 月
新ボスから幾つか連絡があったので、新ボスのゲマ論文の英訳を提出しました。
2007. 8. 24 金
今日こそは気合を入れて、ルーヴァン会議の原稿を書きたいと思います。＞
あ～あ、やっぱりダメでした。前半は新ボスのゲマ論文の英訳のチェックを、後半はジェルマーナの論考の編集をしていました。しかし、ほぼこれでゲマ国際論集の全容が見えて来ました。この素晴らしいラインアップを見てください。
『コルネリウス・ゲマ：ルネサンス期ルーヴァンにおける医学、宇宙論、そして自然哲学』
Cornelius Gemma
(1535-1578): Medicine, Cosmology, and Natural Philosophy in Renaissance Louvain
「コペルニクス体系の詩：コルネリウス・ゲマとコスモクリティーク」
Fernand Hallyn, "A Poem on the
Copernican System: Cornelius Gemma and his Cosmocritic" 54000字・編集済み
「コルネリウス・ゲマにおける驚異の概念」
Jean Céard, "La notion de
prodige selon Cornelius Gemma" 38000字・編集済み
「天空の普遍的言語：コルネリウス・ゲマ、ティコ・ブラーエ、トマッゾ・カンパネッラ」
Germana Ernst, "Il linguaggio universale dei cieli: Cornelio Gemma, Tycho Brahe, Tommaso
Campanella" 51000字・編集済み
「コルネリウス・ゲマと1574年の伝染病」
Concetta Pennuto, "Cornelius
Gemma et l'épidémie de 1574" 40000字・編集済み
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおける古代神学とヒポクラテスの新プラトン主義的解釈」
Hiro Hirai, "Prisca Theologia and Neoplatonic Reading
of Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma" 44000字・編集済み
「コルネリウス・ゲマと普遍手法」
Stephen
Clucas, "Cornelius Gemma and Universal Method" 49000字・編集済み
「コルネリウス・ゲマ、哲学、手法：『円環知の技』の第1巻の分析」
Thomas Leinkauf, "Cornelius Gemma, Philosophie und Methode: Eine Analyse des ersten Buches
der Ars cyclognomica" 71000字・編集済み
「コルネリウス・ゲマの宇宙論的著作の受容」
Dario Tessicini, "The Reception of Cornelius Gemma's
Cosmological Works" 8月末
2007. 8. 13 月
続いて、ディディエに一部をプルーフ・リーディングしてもらった仏語版ゲマ論文のチェックをしました。始めの３頁でだけでなので、残念です。しっかりと誰かにプルーフ・リーディングをしてもらわないといけません。その後に、僕の２冊目の著作に収録されるロング・ヴァージョンと、トゥール会議からの国際論集のためのショート・ヴァージョンを作ります。
ついで、英語版ゲマ論文を読み直してみました。なかなかスラスラと流れる英語になっています。確かにプロに見てもらった訳ですが、それでも直された部分は少なかったので、英語での論文執筆も、最初に比べたらずいぶんと板についてきた感じです。＞
誰か読んでみて、何でも気付いたことを言ってくれる人はいないでしょうか？
2007. 8. 10 金
ゲマ論集の編集作業として、今日はセアール氏の論考にアタックしました。ギリシア語のフォントを各人各様のものを使っている点を何とかしないと行けなさそうです。まだ細かい点で調整しないといけないところもありますが、とりあえずこれでコンチェッタ、僕、セアール氏の3本の論考を編集したことになります。
2007. 8. 8 水
夏休みで全てが止まっている感がありますが、8月16日から世の中が動き出す気配もします。それまで、大人しく英語版ゲマ論文の完成稿づくりに、ゆるゆるとでも集中しましょう。
2007. 8. 7 火
今日は、英語版ゲマ論文をゲマ論集のフォーマットにあわせる編集作業を行いました。それから原稿の提出が遅れている人に、催促のメールを送りました。
2007. 8. 5 日
ゲマ論集のためのコンチェッタの論文のチェックを始めました。まだ編集の作業を始めた訳ではなく、とりあえず目を通しただけです。鳥肌がたつほど良い論文です！＞ 夕飯を食べた後から、編集の作業に入りました。だいたい3時間くらいかかりました。
2007. 7. 31 火
ナンシーさんから返事が来ました。直接に知っている人はいないようです。ただ、Isis 誌編集部のメール・アドレスがウェブ・サイトに書いてかるから、問い合わせてみたら？と教えてくれました。ということで、早速にもメールを書いてみました。リアクションを待ちます。
さあ、今日がゲマ論集のための原稿の締切日です。どのくらいの人が提出してくれるでしょうか？
2007. 7. 30 月
試験的に英語を直してくれる学術サーヴィスを使ってゲマ論文の英語を直してもらうことにしました。ナンシーさんによれば、僕の英語は直すまでもないそうですが、やっぱり気になります。1000単語でだいたい7ポンドかかります。注を削った状態で4300単語、単純計算で約30ポンドの計算になります。すぐに返事が来て、その請求書によると、手数料と税金がさらにかかって代金は40ポンドです。締切は自分で選べるので、3週間後の8月20日を指定しました。さて、どんなものでしょうか？＞
領収書を発行してもらったので、もしかしたらゲントが費用をカヴァーしてくれるかも知れません。ゲマ論集の一本となる訳ですから、バチは当たらないと思います。
2007. 6. 13 水
少しずつトゥール行きの電車のことなどを調べ始めました。＞ そろそろ読み原稿の準備もしないといけません。基本的には、ゲマ論文の仏語ロング・ヴァージョンを当てた訳ですが、持ち時間は25分なので短くしないといけません。しかも、ゲマとは誰かの説明をする枕を加えないといけないでしょう。
2007. 5. 22 火
締切は7月末なのに、もうトマス（ラインカウフ）がゲマ論集の原稿を送って来ました。気合いが入っている証拠でしょうか？しかし、ああ、これから本当に国際論集の編集の仕事が始まるのですね。僕としては初めての経験です。
2007. 5. 14 月
仏語版ゲマ論文は、ディディエが読んでくれると言っているので、彼にプルーフ・リーディングをお願いしようと思います。＞
そういえばラテン語の先生と連絡が取れていないので、電話してみようと思います。ゼンネルト論文とゲマ論文のラテン語の引用の翻訳をチェックしてもらないといけません。
2007. 4. 27 金
今日は6時半に起きて、ゲントに行って来ました。しかし、非常に暑くて、夏のようですね。気温は30度近くまで行っています。完全な異常気象です。第２のオフィスと化している電車の中で推敲をしています。行きはゼンネルト論文、帰りはゲマ論を読み直し、微妙なタッチを補正しました。なぜか最近、推敲は電車の中が一番はかどります。なお、ゲマ論集には会議に残念ながら出席できなかった
Martin Mulsow 氏も、英語論文「ゲマの『円環知の技について』、手法、そしてプラトンの『ティマイオス』」 "Gemma's De Arte Cyclognomica, Method and the Timaios of Plato" を寄せてくれることなりました。また一段とパワーアップです。ゲマ論集の入るシリーズから最近、『極限の錬金術：ジョルダーノ・ブルーノの『英雄的狂気』の実験室』
E. Canone & I. D. Rowland
(eds.), The Alchemy of Extremes. The Laboratory of the Eroici furori
of Giordano Bruno, Rome, 2007 という一冊が出されたそうです。ジェルマーナが一冊送ってくれると言っています。感謝です。
2007. 4. 23 月
16世紀における『養生論』を中心としたヒポクラテスのプラトン主義的な解釈の伝統について論じているのがゲマ論文なのですが、カルダーノの貢献が大きかったことを指摘しています。特に1564年にバーゼルで出版された『ヒポクラテスの「アフォリスム」注解』の中にヒポクラテスの自然哲学の全体について説明している部分があるのですが、それがゲマの1569年の著作やペトルス・セヴェリヌスの主著に与えたインパクトの可能性を探っています。双方とも、1567年頃に執筆されています。ひとつ解けない謎は、ゲマやセヴェリヌスとカルダーノの著作を結ぶ線です。もちろん直接にカルダーノを読んだこともあり得るでしょうし、カルダーノをさらに一歩進めた何かワン・クッションおいて、カルダーノ的な読みが継承された可能性もあるからです。ゲマ論文の最後の部分では、その可能性の一つとして1560年代のパリのプラトン主義サークルとの関係を示唆しています。なぜなら、ゲマはどうやらパリにいたフェルネルの弟子と交流を持っていたようですし、セヴェリヌスも主著を書いたのはパリだと言われています。二人とも非常に似たヒポクラテス解釈をほぼ同時期に展開し、二人とも鍵となる時期にパリにいた可能性が大きいのです。どうしても決定的なピースに欠けるので、最後の部分は今後の研究のヒントということで可能性を示唆して稿を閉じています。
ゲマ論文では触れられなかったことの一つに、バーゼルのテオドール・ツヴィンガーが1579年に出したヒポクラテス注解集 Hippocratis
Coi viginti duo commentarii があります。この中に今後の研究のためのヒントがあると思うのですが、僕の手元やネット上にはテクスト自体がありません。う～ん、惜しいですね。
4007. 4. 21 土
前から聞いていた『先送りされた天国：アルシュテットとカルヴァン主義千年王国主義の誕生』
Howard Hotson, Paradise Postponed : Johann Heinrich
Alsted and the Birth of Calvinist Millenarianism, Dodrecht, Kluwer, 2000 をついでに借りて来ました。基本的には、ドイツ30年戦争に先立つ時代の占星術と終末思想についての議論です。低地地方やフランスは宗教戦争が16世紀後半に起こるので、ゲマなど占星術や終末思想を医学と絡めて扱うものが多いのですが、ドイツは少し遅れるということでしょう。しかし、本書にはゲマやノストラダムスに関する言及はありません。
2007. 4. 19 木
ディディエが、仏語版のゲマ論文のプルーフ・リーディングをしてくれるそうです。ただ今はヴァカンス明けで忙しいので、5月になると言っています。僕としてはそれで構いません。よろしくお願いいたします。そういえば、彼の『ルネサンス期フランスにおける錬金術とパラケルスス主義』の第１巻がついに発売になるようです。
2007. 4. 16 月
ゲマ会議の参加者に、ゲマ論集の計画を知らせるための手紙の下書きをしました。こんな感じです：
Dear all,
I am pleased to tell you
that the proceedings of our Gemma conference will be published as a collected
volume in the supplementary series of the journal "Bruniana & Campanelliana",
where also appeared the volume "Giordano Bruno in
Your contributions
should not exceed 40,000 characters (including notes and spaces) and should
follow the style sheet of "Bruniana & Campanelliana", which you
will find attached to the present message.
The deadline for
contributions is the end of July 2007 (Tuesday 31 July 2007). It is because
Fernand Hallyn wishes that the volume will absolutely appear in 2008 and, for
this, we need to apply a subvention for publication to the Belgian University
Foundation by September 2007 with all the manuscripts duly edited for
publication. During this summer, I shall put in order all your contributions.
As most of you have already contributed to "Bruniana &
Campanelliana", I hope things will go smoothly.
Best wishes,
Hiro
2007. 4. 11 水
今日も、仏語版ゲマ論文への永遠の推敲作業を続けています。何度も読みながら、細部により磨きをかけて完成度を高めるのです。
2007. 4. 10 火
今日は昼からゲマ論文の最終的な読み直しをしています。推敲のほかに、英語版との関係で、書誌の表記が微妙に違うことから生まれるタイプミスなどを拾っています。また、英語版は字数制限が厳しいので入れられないことは、全て仏語版の方に入れています。つまり、仏語版がロング・ヴァージョンということになります。ま、普段の僕の書きものと違って、全体的に短めなので簡単ではあります。
2007. 4. 6 金
ナンシーさんから頂いたコメントをゲマ論文にフィードバックしました。次は、ヴィヴィアンに見てもらおうかと思っています。
2007. 4. 5 木
昨夜遅くに、ナンシーさんから英語版ゲマ論文の感想とコメントを頂きました。急いでませんので時間がある時にでもお願いします、と言ってあったのですが、もったいなくもすぐに読んで頂きました。深く感謝いたします。カルダーノとヒポクラテス主義に関して、世界のナンシーさんに気に入ってもらえる作品を作り上げることが出来たということだけても、本当に嬉しく思います。そうそう、もう一人のガレノス論文はヴィヴィアンに捧げましたが、こちらの一本はナンシーさんに捧げるつもりです。コメントのさわりを引用します：
I’ve now had a chance to read your paper
and enjoyed doing so. The discussion of Cardano’s and Gemma’s similar uses of Fleshes and Regimen is most interesting and thought provoking and really does
fill out the picture of the connections between their thought and
Platonizing ideas about the world soul, etc.
2007. 4. 3 火
仏語版ゲマ論文は形式が整ったので、あとは何度も読み返して推敲を重ね、最後のプルーフ・リーディングを誰かにしてもらえば良いことになります。英語版の方は、ナンシーさんのコメントを待ちます。これでゲマ論文は片付いたので、次はゼンネルト論文を完成させる作業に入りたいと思います。この調子で行けば、4月中にはすべて完成するかも知れませんね。
2007. 4. 2 月
あとは仏語版のゲマ論文の細部をいじり続けています。字数制限はないので、英語版では凝縮し過ぎだった部分を平易化して、丁寧な説明を加えています。ニューヨークのナンシーさんには、英語版のゲマ論文を読んでくれるようにお願いしました。返事待ちです。＞
ナンシーさんから返事が来て、すぐに送ってということなので送り出しました。リアクションを待ちます。
2007. 4. 1 日
昼食のために外出した後に家に帰って、気になっていたことについてチェックをしました。ゲマ論文の結論部では、今後の研究のためのヒントとして1560年代パリにおけるプラトン主義達のゲマへの影響について提案したのですが、その候補者の一人
Jacques Charpentier によるアルキノースの著作への注解におけるヒポクラテスの使用状況を調べたのです。その結果として、彼ではないことにほぼ確信が持てました。やっぱり、カルダーノという気が強まっています。
2007. 3. 29 木
午後から夜半にかけて素晴らしく集中できたので、ゲマ論文の英語版をほぼ完成することが出来ました。あとはラテン語の引用の訳をきっちりとチェックすれば良いと思います。構成は以下のようになります。
Prisca theologia and Neoplatonic Reading of
Hippocrates in Fernel, Cardano and Gemma
「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおけるヒポクラテスの新プラトン主義的読みと古代神学」
1. イントロダクション
Introduction
2. フェルネルと「神的」のヒポクラテス的概念 Fernel and Hippocratic Notion of
“Divine”
3. カルダーノと彼のヒポクラテス主義
Cardano and his Hippocratism
4. ゲマと彼の新プラトン主義的ヒポクラテス主義 Gemma and his Neoplatonic Hippocratism
5. セヴェリヌスとパリ・コネクション Petrus Severinus and Parisian Connection?
2007. 2. 27 火
一方、ゲマ会議からの国際論集は、Bruniana & Campanelliana 誌の2008年1号に150頁ほどの小特集として入るか、並行叢書の1冊として単行本として出るか、のどちらかということになりそうな感じです。後者の場合は1500ユーロほど出版費用を負担しないといけないので、読者の方のカンパを募りたいと思います。カンパして頂ける方は、ご希望であれば、お名前を謝辞に入れます。歴史に残る世界的な出版物に自分の名前を残せる良いチャンスですよ！一口5千円からとしましょうか？
2007. 2. 25 日
大成功に終わったゲマ会議は次の段階に入ります。そうです、国際論集の編集です。金曜日にボスに会って詳しい話をすることになると思います。
2007. 2. 24 土
宿舎をチェック・アウトしてコンチェッタとブリュッセルに向かいました。あいにくの天気の中、ブリュッセルの歴史的な中心と言えるグラン・プラス周辺を見学した後、コンチェッタは空港行きの電車に乗って旅立って行きました。僕はワランに向かい、リェージュのアパートに帰って来たのは11時過ぎでした。今日は、疲れたので何もしないで寝ます。
2007. 2. 23 金
マジストラルとしか言いようのない Jean Céard 氏の発表から始まったゲマ会議は、ジェルマーナのカンパネッラに関する発表を経て、コンチェッタのペスト論と流れ、午前の最後は僕の発表で幕を閉じました。なかなかの大成功だったと思います。食事をはさんでファン・アイクの≪神秘の子羊≫を見に行った後、午後のセッションとなりました。ステーフェン、トマスの発表と続き、最後はスティーヴェンの発表で全ての発表が終了し、なかなかハイ・レヴェルな会議になったと思います。僕としては、大満足です。
2007. 2. 22 木
さあ、これからゲマ会議に向けて出発します。帰ってくるのは土曜日です。それまで、ネットに接続できる可能性は低いと思いますので、あしからず。用のある方は、ピ～という発信音がしたら、メッセージを入れて下さい。
無事に空港でコンチェッタをつかまえて一緒に電車でゲントまで行き、ホテルに荷物を置いてファン・アイク作の≪神秘の子羊≫を見に行くはずでしたが、ホテルのレセプションのところにいた
Thomas Leinkauf と Germana
Ernst 両氏を迎え一緒に行動することにしました。しかし、あいにく時間切れで≪神秘の子羊≫は見ることが出来ませんでした。カフェでそれなりの時間を過ごした後、７時にレセプションで待ち合わせをすることにし、８時に待ち合わせ場所のレストランへと向かいました。食事の後、11時から僕はトマスと1時過ぎまでカフェで過ごしまた。疲れましたが、これが僕の仕事です。
2007. 2. 21 水
ついに明日からゲマ会議に突入するという段階まで来ました。会議自体は金曜日ですが、僕は木曜の朝から動き回らないといけません。＞
結局、朝は行かなくて良いことになりました。ということで、直接にコンチェッタを迎えに13時30にブリュッセルの空港まで行きます。
大きな声を出して一回ほどゲマ論文の原稿を読んでみました。31分です。ま、許される長さでしょうか？実際はスピードが出て、早くなってしまうと思うので30分で収まるとは思います。＞ 午後にもう一回読んだのですが、今回は発音のチェックを重視したので、タイムを計りませんでした。
2007. 2. 20 火
今日も出かけないといけないのですが、電車の中で推敲をし、帰ってからは読み練習に入りたいと思います。＞
結局、電車の中で、ボソボソ声で読みながら推敲しました。
ジュネーヴのコンチェッタが原稿を見せてくれました。今読み終わったところですが、感動しました。素晴らしい。点の付け方の非常に辛い僕をうならせるのは、よっぽどのことなのですが、気合が入ってます。ゲマ会議は非常にレヴェルの高いものになることを予感します。
木曜日はゲント入りするのですが、その前に空港によって1時半に到着予定のコンチェッタを拾っていくはずでしたが、新ボスに早く来いと召集がかかってしまったので、まずは10時にゲントに着くようにし、その後、空港にトンボ返りすることになりました。そうすると、6時起きですね。夜のレストランまでいろいろありますので、結構この日はマラソンとなります。
2007. 2. 19 月
推敲をしたいところですが、もう残り時間も少ないので、今日はゲマ論文の英語化に入りたいと思います。＞
北のヴェニスと呼ばれるブルージュの町まで電車で片道２時間かけて往復する間に、英語化を終わらせました。1箇所だけ、どなたかのお助けを借りないといけません。標準的な
Loeb 版のヒポクラテス英訳集の第８巻に入っている『肉について』
On Fleshes の冒頭の第１節と第２節（おそらく１頁で済むかとは思います）をスキャンして画像をメールで送ってくれる人はいないでしょうか？＞
早速にも、札幌の TKHS が助けてくれました。深く感謝いたします！
英語で６頁ほどのものなのですが、読んで何でも良いからコメントしてくれる人はいないでしょうか？言い回しの分りにくいところとか、英語の間違いとかですね、そういうのを指摘して頂けたら助かるな？と思うのです。もう残り時間がないので、すぐにやってくれる人が嬉しいです。よろしく。
2007. 2. 18 日
朝から作業に集中して午後３時過ぎには、どうやら第1校が出来上がりました。やった！最終的には、それなりに納得の行くものとなりました。かなりひっ迫した状況下での作業でしたが、それなりのものが作り出せるところが、自分の底力なのかな？と変な感慨を持っています。今回は、辛かったです。もっと早く始めればよかったと後悔するも、先に立たず、ですね。それから、タイトルを少し変更したいと思います。ずばり、「フェルネル、カルダーノ、ゲマにおけるヒポクラテスの新プラトン主義的解釈と古代神学」
“Prisca Theologia and Neoplatonic Reading of Hippocrates in Fernel,
Cardano and Gemma” です。
2007. 2. 17 土
ゲマ会議の発表原稿は、明日に集中的に取り組みたいと思います。
2007. 2. 16 金
今日はゲントに行かないで、ゲマ会議用の発表原稿の執筆に集中したいと思います。今は午後2時ですが、それまでは別件の校正刷のチェックをしていました。１日長尺のものを１本のペースで進めたいと思います。しかし、何でまた、仕事とというものは、みな同じ時期にやってくるのでしょうか？少しズラしてくれれば良いものを。
ゲマ会議用の発表原稿は、まだグチャグチャの状態ですが、最低限に触れるべきことをカヴァーして、長さ的にはオーヴァーの7頁まで達しました。これから推敲を重ねて、５頁半くらいまで落としたいと思います。ふう。少し見通しがついて来たので一安心しました。一年前にだいたいの準備をしてあったからなのですが、それでも僕のこれまでのやり方から考えれば、あまり誇りには思えないくらい後手後手に回っている作業であることには変わりありません。明日はバイトなので何もできないので、日と月で推敲し、火と水で英語化したいと思います。本当にタイトな日程です。＞
夜に長電話が２件あり、作業が思ったように進められませんでした。今は忙しいと言っていたのに！
2007. 2. 15 木
ゲマ会議の原稿はラフながら５頁を超えました。いろいろな文献をチェックしながら進めているので、なかなか思うような執筆のスピードには達しません。まだまだチェックしなければならないことが多すぎます。うひ～。ここからは、完全に缶詰状態で、作業に集中したいと思います。今日は、カルダーノのセクションを詰めました。まだまだですが、アイデアを並べるだけのラフな下書きとしてはこれでいいと思います。
2007. 2. 12 月
ゲマ会議に参加するルッカの
Germana Ernst 氏の主著が仏語訳され、出版されました。タイトルは『トマゾ・カンパネッラ：自然の書物と身体』
Tommaso Campanella
: le livre et le corps de la nature, Paris,
Belles Lettres, 2007 となります。本人からメールがあり、僕にも献呈してくれるそうです。深く感謝いたします。この本が入っている黄金のロバ L’Âne d’or という叢書は要チェックですね。
2007. 2. 9 金
ゲントに行く電車の中で、ゲマ会議のための原稿執筆を進めました。最近なぜか電車の中の方が作業が進みます。今はまだ、アイデアを殴り書きしている段階です。
2007. 2. 8 木
今日明日は、腰を落ち着けてゲマ会議の発表原稿を書くことに集中しようとしていたのですが、朝になって明日11時にゲントに来てくれ、と新ボスからメールが来ました。トホホ。
2007. 2. 2 金
ついに昨夜遅く、ゲマ論文の執筆を開始しました。今回は、いきなり苦手なイントロから書き始めています。去年はそれまでに書いたものを仕上げる、あるいは他言語にかえるという作業ばかりに終始したので、真っ白な状態から全くの新作の論文を書くなんて何カ月ぶりでしょうか？最後に書いた本当の意味での新作は、おそらく一昨年の夏のシェキウス論文です。まるで、論文の書き方を忘れてしまっているような気もします。ま、すぐにカンはとり戻ってくるでしょう。まずは、仏語で書いてロジックをしっかり固めてから、英語に直したいと思います。
2007. 1. 28 日
なかなかゲマ会議用の原稿執筆への集中力が高まらないのですが、少なくともどういう話の展開にするのかのプロット立てを頭の中で組み立てることにしました。発表時間は30分ですから、５枚書ければ良いのです。まずはフェルネルから入って、彼の新プラトン主義的なガレノス解釈について明からにしたもう一人のガレノス論文の成果に触れた後、ヒポクラテスの場合はどうなのか？という形で問題提起し、実はフェルネルではそれほど触れられていず、その役割はカルダーノが担うのだ、という形で流れができ、その後にゲマの場合を見ます。そして、最後の締めとしてゲマとほぼ同時期に活動したパラケルスス主義者のペトルス・セヴェリヌスに非常に似た傾向があるという点にサラっと触れて終わりになるかと思います。何だ！話は出来ているんじゃないですか。
2007. 1. 22 月
ついに、手紙＋仮プログラム＋地図をゲマ会議の参加予定者に配りました。＞
仮プログラムを送ったところで、最後まで発表タイトルをくれなかった Leinkauf 氏がタイトルを送ってきました。しかも、別に練りに練ったものではありません。もったいぶった意味がまるで分かりません。この人は、何を考えているのでしょうか？
2007. 1. 19 金
さて、事務方のアルレットの作業により、正式なプログラムと同封する手紙もでき、ゲマ会議参加者に配布する準備も着々と進んでいます。これまで机上の話だった会議も、だんだんと具体的な形を取り始めました。残すは、僕の原稿です。これは去年末の段階から全く進めていません。ま、テクストの読みは済ませてあるのですが…
＞ 参加者の中の希望者と前日の木曜日に、非公式ではありますが、ゲントの史跡の見学ツアー＆名物料理を堪能する企画を考えました。
2007. 1. 15 月
ゲマ会議のプログラムにおけるセッションの題名の件、まだ悩んでいます。「驚異」 Prodigy、「医学」 Medicine、「知」 Sophia、「宇宙」 Cosmos としようかとも思います。＞ 「徴」 Signum、「医」 Medicine、「知」 Sophia、「宇宙」 Cosmos にしようかと思います。
2006. 10. 27 金
ゲマ会議の方は、これからホテルの予約等に入りますが、呼びかけメールに対して気合の入っている人ほど早く返事をくれます。とにかく、僕としては、ドタキャンする人が少ないことだけを祈っています。ホテル・ド・フランドルという会場近くにある4つ星のホテルで、なかなかシックなところのようで期待しています。
***
2005. 12. 16 金
新ボスがゲマ国際会議の計画についてセアール氏にメールを送ったらしいのですが、その写しを送ったのを見たか？と聞かれました。何でも水曜に送ったそうですが、僕のところには届いていません。ハテナ？と思いつつも、家に帰ってきたら、３日遅れでメールが届きました。こういうことってあるのでしょうか？ま、セアール氏の返事待ちですが、国際会議の準備は徐々に進んでいる感じですね。
2005. 12. 15 木
今日も一日、ゲマと格闘していました。毎度言っているように、テクストが難しいという問題もありますが、ヒポクラテスやガレノス関係など、いろいろ資料などを調べながら進行しているので、進み方は非常に遅くなります。
2005. 12. 11 日
普段は僕の研究のことを話しても分からない人たち、というか研究の世界そのものから遠い人たちにとっても、国際会議をオーガナイズするということの価値は良く分かるようで、周りの皆がとても喜んでくれるので驚いています。
2005. 12. 10 土
それにしても、国際会議のオーガナイズというのは、以前からいろいろアイデアは浮かんではいましたが、実際に経験するのは初めてです。会議を準備し、開催し、そこから論集を編んで出版するところまでを手がけるのは、これまでの論文を書くのとは違い、何となく一段上のレヴェルの作業を行う感じがします。すでに博士課程の学生なのに国際会議を企画・開催してしまう人もいますが、僕としては今ここに来て行うのが自然の成り行きのような気がします。
まずは、どうしても目玉となるパリの
Jean Céard 氏の参加なくしてはありえません。氏の参加が可能な日を選ばないといけないでしょう。幸いパリからゲントまでは、３時間チョイで来られる距離です。氏のOKが出たら、それをもとにイタリアの Gernama Ernst とドイツの Martin Mulsow 各氏に声をかけたいと思います。
2005. 12. 9 金
予定していた時間に起きられず、１時間遅れでゲントに向かうことにしました。電車が１時間に１本しかないので、少し遅れるということは自動的に１時間遅れてしまいます。＞ 12時に大学に着き、図書館に注文票を出してから、仏文科へ向かいました。アシスタント室付近にいると、新ボスが現れたので、すかさず掴まえ、ひとつアイデアがあるのですけれど、実現可能だと思いますか？と話しかけました。実は、コルネリウス・ゲマについての国際シンポかジュルネ・ド・エチュードを行いたいのです、と切り出しました。そうすると、一日で良いのではない？出版物も比較的早く出せるし。でも、発表者には誰を呼ぶつもり？６人必要だよ、と言われたので、真っ先に
Jean Céard 氏の名を出すと、おお！それは良い、というリアクションが。さらに、堰を切ったように、カンパネッラの専門家 Germana Ernst とゲマの記憶術について書いている
Martin Mulsow の各氏が良いのではないでしょうか？というと、うん、それは良い。そして二人同時に、あと Steven Vanden
Broecke がいる！ということで、来年の秋の10月か11月頃に行うのが良いだろう。早速にも準備を始めないといけないな、ということになりました。素晴らしいアイデアだ、とボスも大満足の様子です。こう、話が通じる人はなかなか居ないので、僕としても嬉しい限りです。こうして、たったの一日（普通は２～３日）ですが、僕も初めて国際会議をオーガナイズすることになりました。
Fernand Hallyn
Jean Céard
Germana Ernst
Martin Mulsow
Steven Vanden Broecke
Hiro Hirai
という僕的には夢の豪華ラインナップが目標です。
2005. 12. 7 水
木曜日から切れ間なしに雑務で忙しかったのですが、今朝のアポをクリアして、やっと気分的に一息つける状態となりました。それまでの流れが途切れているので、ゲマの作業に戻るために集中力を高めるのも一苦労です。そうそう、そういう気忙しいなかでもボンヤリとですが、ゲマについての国際会議を開催できないか？と考えるようになりました。大掛かりなものではなく、一日で終るジュルネ・ド・エチュードでも良いかも知れません。僕と新ボスと
Jean Céard、Germana Ernst、Martin Mulsow 各氏といった辺りをメイン・パネラーと出来たら素晴らしいじゃないですか？題名もアレコレと想像していて、例えば「コルネリウス・ゲマ：医学、占星術、予言と驚異」
“Cornelius Gemma (1535- ca. 1578) : médecine, astrologie, prophétie et
prodiges” ていうのはどうでしょうか？＞ やっぱり、四元は良くないかもしれないですね。「医学、占星術、そして予言」の方が良いかも知れません。
夕方から夜にかけてゲマの作業に集中することがやっと出来ました。あと少しで第７章の二つに分けたうちの、それまでのまとめに当たる後半部も終わりです。前半はそれほど長くないので、あと一日分の作業で何とかなるでしょう。
2005. 12. 6 火
ゲマは、パオロ・ロッシの『普遍の鍵』でも言及されているのですが、ローマの大橋さんに指摘によれば、邦訳版ではヘインマと訳されているそうです。あな、おそろしや。こういうのは、日本で取られている現地読み主義の最果てというか、アダ花というか、何とも言えないですね。そもそも、ゲマは、Gemma と綴るのですが、フランドル人だからといってオランダ語な訳じゃなくて、ラテン語化した名前なのですから、ゲマはゲマです。仮に、何も知らない現代のオランダ語圏の人間に
Gemma の綴りを見せてヘインマに近い音を発音してもらって、それを音写したところで、何の意味もありません。同じような例で言えば、オランダ出身の人文主義者ルドルフ・アグリコラのアグリコラもラテン語化した名前なのですから、アフリコラなんて読みはあり得ないのと一緒ですよ。とにかく、現地読みに忠実にといって、訳も分からない名前が氾濫してしまうのも考えものだなと。＞
しかし、ひと昔前はこの手の本が定価３千円台だったのですね。過去20年間における物価の上昇もあるでしょうが、それでも、ある程度の普及を見込んだ人文書が平気で1万円クラスでポンポンと出される今の世界は、これで良いのかと頭を傾げたくなりませんか？
2005. 11. 24 木
今日はひたすらゲマの第７章を読みながらテクストを打ち込んでいます。前半はそれ程には面白くなかったのですけれど、なぜか後半から第２章と第３章のおさらいに入り、少し面白さを取り戻しました。これをやっている時は、他の事は出来ないので、日記の記述が淡白になります。以下に挙げるのは、ゲマの著作にある宇宙のエンブレムです。中央上にいるのが、神です。そこから、精神 mens、霊魂 anima、精気 spiritus、シンドローム syndorome、質料 materia、という階梯が、人体、世界、そして人間界に存在するとされます。
2005. 11. 23 水
午後の終りから気合を入れ直して、ゲマの打ち込みを続行して第６章を終わりました。残念ながら、この章は結局のところ、それほど僕の関心を引くものではありませんでした。明日からは、第7章の読みと打ち込みに入ります。それが終わったら、いよいよ今回の論文のメイン・ターゲットとなる第1章から５章までの読み下しを始めます。
2005. 11. 17 木
ゲマの第６章は、それまでの一般論から個別論となります。どの程度まで見ていくかまだ見極めはつきませんが、取りあえず大事なことを取りこぼさないように、テクストを打ち込みながら読んでいます。この第６章と第７章が特に長いので、ちょっと面倒です。ところで、テクストをマシンに打ち込む意味の分からない人が、いまだに居るかも知れませんが、あとあと語句検索が便利になるからという索引の代替としての意味も持たせています。
僕の不得手な分野として初期近代における予言の問題があります。ゲマを取り扱う上では、避けては通れない問題ですので、おいおい基本文献を探らないといけません。＞
一つピッタリの論集を見つけました。『16-17世紀における神の徴』
Geneviève Demersen (ed.), Les signes
de Dieu aux XVIe et XVIIe siècles, Clermont-Ferrand, 1993. ゲントにあるようですので、早速借りて、基本どころを押さえたいと思います。
いま僕が読んでいるゲマの著作『自然の神的な徴について』は一言でいうと、予言、畸形、ミラビリア、占星術といったものが混沌と入り混じった非常に不思議な世界です。まさにルネサンスですね。そういった様々なテーマをつむぐ縦糸が、フェルネルを経由して入ってきているフィチーノ的なプラトン主義です。
2005. 11. 11 金
ゲマの読みを続けています。次の６章と7章をプリントアウトしました。５章までが、宇宙の成り立ちと自然の驚異の発生に関する一般論だとすると、ここは自然の驚異の各論になります。全てを打ち込んで読み込むか、流し読みにするか迷うところです。５章まででマテリアル＆取り扱う主題的には、論文を書くのに足りているかも知れません。
2005. 11. 10 木
ゲマの読みをひたすら続けています。だいぶ彼の文体にも慣れて来ました。今度の論文でメインに使おうと思っている第５章の読みも、ほぼ出来ました。プネウマ（精気）の概念を宇宙論に応用して、世界精気 spiritus
mundi の概念をルネサンス期に定着させたのはフィチーノですが、それを医学理論に大きく反映させたのがフェルネルです。ゲマは、さらに一歩進んで、精気とペアでガレノス医学において語られる生得温熱
calor innatus の概念を宇宙論に適応します。彼のとっては、精気に運ばれている生得温熱も世界精気に宿っていなければならないのです。そして、この星辰由来の熱が、いろいろな事象を自然界に巻き起こすのです。う～む。ドープです。
もう一人のガレノス論文で僕が示したようにフェルネルは、プラトン主義的なプリズムを通してガレノスを解釈しました。ヒポクラテスについても、確かに幾つか用いているのですが、それほど多い訳ではありません。ゲマは、フェルネルと似たような仕方でヒポクラテスの著作の変った読み方をしています。しかし、問題はヒポクラテス文書の中には、それほど宇宙論的なドライヴを持った著作は多くない点です。そういう宇宙論的な傾向を持つ著作をあえて挙げるなら、『肉について』、『風について』、『養生について』だと言われています。既に、『肉について』の冒頭部における宇宙論的な展開は、フェルネルも利用しています。フェルネルをよく読んでいるゲマも、その部分を使っているのはもちろんなのですが、彼がそれ以上に大いに利用するのが『養生について』です。僕の本の中でセヴェリヌスを研究した時にも気がついたのですが、ルネサンス期には、『養生について』における宇宙論的な展開は独特のアピール力を持っていたようで、どの辺りから、そういった読み方が出てきたのか知りたいと思っています。ちなみに、セヴェリヌスの著作が出版されたのは1571年、ゲマの著作は1575年です。なお、不思議なことに、フェルネルは『隠れた事物の原因』（1548年）の中では、この著作を使っていないようです。つまり、『養生について』の不思議な魅力が理解されたのは、フェルネル以降セヴェリヌス以前のどこかではないか？という感じがしています。この1550～1570の間に活躍した新プラトン主義的な傾向の大きい医学者が、そのカギを握ることになるのでしょうが、一体それは誰でしょうね？僕には今のところ思い当たる人物はいません。
2005. 11. 9 水
ゲマに戻って集中しています。
2005. 10. 24 月
コルネリウス・ゲマというのは、ルネサンス期の南ネーデルランドの知的文化活動のある種のクライマックスに現れて来た人物であるというのが分かります。彼以降の時代の低地地方は宗教戦争に明け暮れ、なかなか知的な活動には適していず下降線をたどっていく訳で、戦火に明け暮れた時代の後に残った疲弊した荒野にポツンと現れるのが、ファン・ヘルモントということになるでしょう。
2005. 10. 21 金
前から頼んでいたマテリアルを新ボスからやっと借りることが出来ました。『人文主義のカイエ』
Les Cahiers de l’humanisme という2000年に発刊された雑誌です。お目当ては、その第２巻に新ボスが書いたゲマに関する論文です。どこまでやられてしまっているか、半分心配でドキドキしながら目を通したのですが、良い出発点というか土台を与えてくれた感じで、僕のやろうとしていることは、それ程には触れられていません。こうなったら、この論文の引いてくれた道を突き進むだけですね。どうやら、ゲマは16世紀後半に活躍したフランス人カバラ主義者のギヨーム・ポステルやル・フェーヴェル・ドゥ・ラ・ボドリーと交流があったようですし、さらにケプラーの新プラトン主義的な傾向にも影響を与えたようです。カンパネッラの占星術へのつながりも指摘されています。
2005. 10. 20 木
第4章の読みの見直しは一時棚上げにして、第５章へと入りましたが、う～ん、これはスゴイ。何とも、美しすぎます。ルネサンス・プラトン主義に特有のドライヴは、フェルネルの上を行くかも知れません。今夏にシェキウスを読んだとき以上のシビレを感じます。こういう展開が待っているとはさすがに思いませんでした。プロジェクト Ｇ
からの1本目の論文は、ここを中心に取り上げたいと思います。もう決めました。はい。
2005. 10. 19 水
今日のゲマ。第４章を打ち込んで訳しました。もう一回、通して見直ししないと行けないでしょう。ゲマによると、ガレノスが驚異的だと認めたような身体の諸部位のつくりは、驚異的なもの prodigia に入れるべきではないようです。驚異的なものは、突飛で、レアでないといけないようです。ゲマにとっての三つの世界、小世界＝人体、大世界＝宇宙、そして中間世界＝人間界には、驚異的なものは同様に出現します。この三つの世界に全ての現象は共通するというのが、ゲマのライトモチーフといっても良いかも知れません。多くの病気が自然の原理から、ごく少数の病気が神意によって引き起こされるのと同様に、幾つかの驚異的な現象は神意によって、その他の多くは自然的な原因か、超自然的な原因で起こるとされます。これらの驚異的なものは、その後に起こる事象の前触れや兆しとして送られる徴なのです。その後に起こる事象とは、人体の中では病気や健康、宇宙では天変地異、そして人間界では戦争や飢餓などです。
2005. 10. 17 月
今日は、ゲマの第３章の打ち込みと翻訳で終わってしまいました。それでも、まだまだ不十分です。ゲマによると、創造主は人間を単なる宇宙という劇場の住人としてだけではなく、全ての神的な事物の証人として配置し、過去や現在の事象から未来の出来事を察し、物体的な事物を通して非物体的な創造主の素晴らしさ理解し、上位のものへの上昇を通して神に近づき、その善性と栄光に自身の諸力を調和させるようにしました。こうして、一度は人間の身体という煉獄に落ちた知性は、諸階梯を経て永遠の光へとむかいますが、この上昇は、人体においては、身体、精気、霊魂という階梯を、宇宙においては、諸元素、アイテール、諸星辰、人間界においては、王侯や庶民、全自然のオエコノミア、古代のモデル、そしてさらには、非物体的な世界と神そのものへと連続しています。
2005. 10. 16 日
しかし、ゲマのラテン語は、なかなか難しいです。慣れるまで時間がかかると思います。一貫しているテーマは、「神的なもの」の探求です。まさにプラトン主義者ですね。で、第２章では、どのように神的なものが、世界に広がっているかが説明されます。まず彼は、多くのものが神的なものとしてガレノスにリストアップされているけれども、エピキュロス同様に物体的で知覚可能な事物ばかりに拘りすぎているので、むしろプラトン主義者の方が、事物を神的さの度合いに応じて正しく分類していたとします。次に世界の階梯について説明するのですが、一番下に質料と物体を置き、その上に、自然的なシンドロームと呼ばれるものを配置します。これは、諸性質や形状など質料に与えられるものです。その上に置かれるのが精気です。その上にはアイテール的な霊魂の乗り物が置かれ、その中に霊魂が、霊魂の中に知性が、そして、自然界の中心かつ頂点に神が置かれます。神の善性は全ての事物をイデアで満たすことから、アナクサゴラスとヒポクラテスは、全ては全ての中にあると言ったと、ゲマは説明します。
物体内の諸性質の組み合わせと形状の不明瞭さから、医師たちはしばしば形相全体あるいは隠れた性質に逃避して、磁石の働きなどを説明しますが、それらの現象はさらに事物の隠れた共感と反感に帰され、果ては神的なものの類に入れられます。こうしてフェルネルに従って事物の隠れた力能は精気に宿っているとする人々を、ゲマは批判します。彼にとって精気とは、人体において霊魂と身体の媒介物にして結び目であるだけではなく、宇宙においては、星界の力を月下の事物へと結びつけ、物体的な力能と非物体的な力能を結びつけ、全ての事物の種子的な理性を互いに混ぜ合わせます。精気は、引く、排斥する、回転させる、という三つの運動を持っていて、ヒポクラテスは『養生について』の中でこの三重の運動を神的というよりも隠れた徴によって精気に帰しています。しかし、人間の知覚や合理的な議論では到達できない神性のより明らかな徴が、この精気の上に置かれていると、ゲマは説明します。
2005. 10. 14 金
夕飯を遅めに食べたあと、ゲマのテクストの続きを読みました。おお、これはスゴイ。フィチーノ＝フェルネル路線が全開バリバリです。たしかに今夏はシェキウスを読んで、かなりの手応えを感じましたが、むしろこれこそが、僕が長年にわたって探し求めていたテクストかも知れません。
2005. 10. 13 木
コルネリウス・ゲマの『自然の神的な特徴について』の第１章の訳を続行しました。大分よくなったと思いますが、まだまだ何を言いたいのか分からないところも多く残っています。毎回、新しい著作家の作品をアタックする時の問題なのですが、文章のクセを掴むまでに時間がかかります。その人に特徴的な語彙や言い回しのチョイスがあるじゃないですか、それに慣れるのに苦労します。
まず言えることは、ゲマはミラビリア（自然の驚異的な現象）を、過去・現在・未来を示す徴だと理解しています。そして、ヒポクラテスが言う病気の中に潜む「神的なもの」が何であるかを体系的に探ることをテーマとしているのが、この著作『自然の神的な特徴について』ということになります。彼の取る方法というのは、目に見える類似物の観察から出発して、目に見えない自然の内奥の秘密の力の働きを探るというものです。
2005. 10. 12 水
夜半から、何を思ったのか、コルネリウス・ゲマの『自然の神的な特徴について』を打ち込み＆試訳を始めました。彼が挙げる重要人物とその著作は、フラカストロ『事物の共感と反感について』、フェルネル『事物の隠れた原因について』、カルダーノ『精妙さについて』、レヴィニウス『自然の隠れた奇跡について』、ポンポナッツィ『自然の驚異の原因について』、ポイツァー『占術について』、それに続いて、プラトン主義者としてプゼロス、フィチーノ、シャルポンチェが挙げられています。これだけで、傾向が分かるというものです。
なお、シャルポンチェについては深いことは何も知りませんが、『プラトンとアリストテレスの哲学一般についての比較』
Jacques Charpentier, Platonis cum
Aristele de universa philosophia comparatio (Paris, 1573) という著作を出しているようです。アルキノースの著作のラテン語訳も兼ねている感じですね。
2005. 10. 1 土
バイトの後にウチで一息つきつつ、プロジェクト Ｇ 関係で、『自然の神的な諸特徴について』 De naturae divinis characterismis (Antwerp, 1575) というルーヴァンの医師コルネリウス・ゲマの著作をガリカからダウンロードしてひも解いてみたら、これはなかなか行けている一冊であると分かりました。基本的には、自然の驚異 （ミラビリア） 文学の伝統に属する書物です。図版も豊富で面白いですよ。＞ 手持ちの資料でコルネリウス・ゲマに関する記述を探したら、Céard の他に Thorndike も扱っていました。やはり基本に返って、Thorndike から洗い直さないといけないなと感じました。
取りあえず、読もうと思った Thorndike の本の二章のうちの一つに目を通して、少しピクチャが見えてきました。ルーヴァンのメディカル・スクールとミラビリア文学の関係を３人の著作家を中心に取り扱うことで、フェルネルの新プラトン主義、もっというとフィチーノ主義の色濃い医学の影響を分析する研究となるはずです。そこでは、フェルネルだけではなく、フラカストロとカルダーノも大きな役割を果たすことになるでしょう。う～ん、これは良い。既に、これだけでアピール度のあるものと出来そうです。残る問題は、１年で実際どこまでまとめられるかです。これで、見取り図は出来ました。でも、送ってもらったピコの受容に関する論文を読むまでは、取りこぼしのないように、もう少し外堀を埋める作業を続けたいと思います。
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