ごくごく個人的なアウトプット

 

 

 

 

海外編

 

 

ゼンネルト研究の基礎

 

 

アップデート英語版

 

ダニエル・ゼンネルトにおける生きた原子、質料形相論、そして自然発生

“Living Atoms, Hylomorphism and Spontaneous Generation in Daniel Sennert”

 

初期近代の科学と哲学における質料と形相

in Matter and Form in Early Modern Science and Philosophy, ed. Gideon Manning (Boston-Leiden: Brill, 2012), pp. 77-98.

 

 

 

 

オリジナル仏語版

 

ダニエル・ゼンネルトにおける生きた原子、霊魂の起源、そして自然発生

“Atomes vivants, origine de l’âme et génération spontanée chez Daniel Sennert”

Bruniana & Campanelliana 13 (2007), pp. 477-495 所収。

 

PDF

 

1. イントロダクション  Introduction

2. 通常の発生における霊魂の起源  L’origine de l’âme dans la génération normale

2-1. 形相付与者と星辰の影響  Le donateur des formes et la causalité astrale

2-2. 形相の抽出理論  La théorie de l’éduction des formes

2-3. ヤーコブ・シェキウスと形成力  Jacob Schegk et la force plastique

2-4. 種子と種子的精気の本性  La nature de la semence et du spiritus séminal

3. ゼンネルトにおける自然発生  La génération spontanée selon Sennert

3-1. 霊魂、種子的原理、そして粒子  L’âme, le principe séminal et les corpuscules

3-2. 生物の原子とその霊魂  Les atomes des vivants et leur âme

4. 結論  Conclusions

 

 

 

 

メイキング風景

2012. 9. 7

  先日セキュリティをはずした英語版レオニチェノ論文の PDF academia にアップしなおしたら、今度はちゃんと表示されるようになりました。やはり、これが原因だったのしょう。ちなみに、まだ大っぴらな宣伝をする前の段階で30の方が訪問したことになります。ついでに以前にアップした他の論文を久しぶりに覗いてみたら、セネカ=リプシウス論文の訪問者はさらに増えて410、そして英語版のゼンネルト論文も4月半ばにアップしてからひと夏を過ぎた段階なのに、なんと300!を超えました。これはスゴイ。やはり英語で書く威力は絶大なんでしょうね。

 

 

2012. 6. 18

  クニ君にもらったダグ(ハッセ)の新作論文を読んだら、アダム君の論文とともに僕のゼンネルト論文もコルコデアに関する部分で言及されていました。ダグによると形相付与者コルコデアを最初に結びつけたのはアーバノのピエトロだということですが、アルベルトゥスのほうが先だと思うのですよね。しかも、あとになって見つけたのですが、そもそもコルコデアアヴェロエスの注解のラテン語訳にも出てくるのですよね。この点に関しては、後代の挿入ではないか?という疑いもある(ヘブライ語の手稿にはないようです)のですが、中世ラテン語の手稿をチェックできる人に見てもらいたいところです。

 

 

2012. 4. 26

  どういうことなんでしょう?Academia.edu にアップしたセネカ=リプシウス論文の訪問者は、いつのまにか300を越えていました!僕の作品のなかでは非常に地味な小品であると個人的には思っていたのですが、アクセス数ではもしかしたらダントツでトップです。> ここから有益な教訓をひきださなくてはなりません。なにが原因なのでしょうか?他の作品に先行してアカデミアに発表したからだけなのでしょうか?しかし、それよりも先に発表したリチェティ論文は60ほどにとどまっています。いま現在のところの上位5つをあげると、だいたい以下のようになります。

 

           セネカ=リプシウス 300 (24日から)

           ゼンネルト 170  (414日から)

           医学と占星術 140 (31日から)

           リプシウス 110

           キルヒャー 70

           リチェティ 60

 

  ギデオンから連絡があり、ゼンネルト論文を掲載したカリフォルニア会議からの論集『初期近代の科学と哲学における質料と形相』は、ついに印刷機に入ったようです。ここから5〜6週間でできあがりとなります。僕の第2著作の経験からいうと、じっさいに入手可能になるのは、さらにそこから1ヶ月くらいかかるでしょう。

 

 

2012. 4. 23

  アカデミアで公開したゼンネルト論文は、1週間でなんと150の訪問者をむかえました。いや、スゴイ。思いかえせば、ゲント時代に英語で作品を発表するようになれることを目標にかかげました。そんななかでの、2006フィラデルフィアでの国際会議への招待、2007ワシントンでのアメリカ科学史学会の年会への参加、2008カリフォルニア会議への招待、そして2008-2009フィラデルフィアの CHF での研究フェロー生活という一連の動きは、アメリカ進出を狙った第1期でした (その後にクレアと出会い、2010からいったんは欧州に戻ってきたわけです)。ゼンネルト論文は、この第1期のクライマックスに当たる作品ではないかと思います。例のごとく論集の出版までに時間がかかりましたが、豪華な執筆陣にとりかこまれるかたちで、さらに多くの人の眼にとまることを期待します。

 

 

2012. 4. 17

  アカデミアで公開したゼンネルト論文ですが、タグをつけてから1日ほど経過したところで訪問者は120です。タグをつける以前は、この BH の日記とツイートによる紹介だけだったので訪問者はおもに日本からでしたが、タグをつけた以後は世界中からの訪問ということになっています。セネカ=リプシウス論文にくらべたらとてもマニアックなテーマをあつかっている論文ですから、まあ、このくらいの数ではないでしょうかね?

 

 

2012. 4. 15

  昨日の午後にアカデミアで公開したゼンネルト論文ですが、ほぼ1日でのべ60の方が訪問したようです。

 

 

2012. 4. 14

  ギデオンからゼンネルト論文の第2校正刷りが送られてきました。チェックだけですので、すぐに出来ると思います。ここで1週間が与えられていると思いますが、それを返してから6週間で本が出版されることになるのだと思います。6月上旬ということでしょうね。この論集『初期近代の科学と哲学における質料と形相』は、この春にもっとも注目される書物であり、これから長いこと初期近代における物質形相のアイデアに関心あるすべての人にとってマスト・アイテムとなるでしょう。

 

  早速、その第2校正刷りのチェックをしましたが、問題はありませんでした。その旨をメールでギデオンに伝えて、この件は完了です。> もう、修正事項はありませんので、このヴァージョンがそのまま皆さまに公開します。アカデミアから、どうぞ。

 

 

2012. 4. 12

  今年の6月刊行予定のカリフォルニア会議からの国際論集『初期近代の科学と哲学における質料と形相 Gideon Manning (ed.), Matter and Form in Early Modern Science and Philosophy, Boston-Leiden, Brill, 2012 ですが、ろそろギデオンのところにの校正刷りが送られてくるはずです。ギリシア語のアクセントなどはギデオンに任せておけない感じもしたので、手伝うよともうしでたら、こころよく受けつけてくれました。PDF が送られてきたら、僕にも転送してくれるそうです。> ブリルのサイトにいったら、ジャケットのデザインがアップされていました。どういう意味の図版なのでしょうね?これはです。

 

 

2012. 3. 11

  もう一度とおしてゼンネルト論文の校正刷りのテクストを読みなおしてみました。来週は修正指示のリストを作りたいと思います。> クレアにも一回ほど読んでもらって修正点を確認し、校正指示のリストをつくりました。修正箇所は前回のセネカ=リプシウス論文よりも多くなりましたが、今回はブリルなので第2著作の校正時に行ったように僕自身が修正事項を PDF に打ち込んでもいいと思います。それなら、編者のギデオンもそれほど文句をいわないでしょう。> 打ち込みました。

 

 

2012. 3. 9

   プリント・アウトしたいものがあったのでオフィスへ。とりあえず、今週ずっと書いていた2つの書類の下書きと、昨日うけとったゼンネルト論文の校正刷りをプリント・アウトしました。その後は、校正刷りの注のチェックから始めました。まだまだ秋にやっていた僕の第2著作の校正刷りの記憶がしっかり残っているので、それほど距離感はかんじませんし、ギリシア語のアクセントづけの作業もすでにリストがあるので簡単です。テクストはどうでしょうか?クレアと出会う前に提出した原稿なので心配です。いちおう、リチャード(アーサー)が見てくれているので、英語はそれなりのレヴェルだとは思いますが、編者のギデオンがどこまでフォローしてくれているかという疑問が残ります。あんまり頼りになる感じの人ではないので、気を抜けません。いったんオフィスを離れて、家で作業のつづきをすることにしました。

 

   その作業も18時半には終わりました。前回のセネカ=リプシウス論文と同様に、細かい修正の必要な箇所がけっこうあります。こればかりは仕方ありませんね。当時の僕の英語力は、この程度のものだったのです。ぐすん。ただ、今回はギデオンが介入してあきらかに僕の意味するのとは異なる理解をしているところが幾つかあり、これらは直さないと意味がつうじないと思います。そういう場所は、もとの文章では意味不明だったのでしょう。作戦としては、完璧はねらわず (それは僕の第2著作を読んでください)、あきらかにマズイものだけ直したいと思います。

 

 

2012. 3. 8

   おお、ギデオンから英語版のゼンネルト論文の校正刷りがきました。2週間でチェックをしなければなりません。そうすると、ここから3〜4ヶ月カルテック論集は出版になると思います。頁打ちは、77から98になっています。しかし、この道にはいって20ちかくになりますが、1ヶ月あまりのあいだに別個の3つの論文の校正刷りが一挙にとどく、このような校正ラッシュは初めてだと思います。これで残りは、テレジオ論文とポールの論集への寄稿したレオニチェノ論文です。

 

 

2011. 6. 29

  どうやらギデオンの話では、例のカルテック論集は僕の第2著作と同じシリーズに入るようです。ちょっとこのシリーズの生い立ちは複雑で、もともと別々にあった5つのシリーズを統合したもので、ESM 誌のシリーズもその一部ということになっています。

 

 

2011. 6. 26

  ギデオンの話では、カルテック論集はサイン済みの契約書が寄稿者すべてから送り返された段階で校正に入るということです。ここからは、けっこう進みが速いかもしれません。寄稿者は、会議のオリジナル・メンバー全員に加えて、ギデオンその人の論考が入るということです。ということは、ほぼこのプログラム通りのなんとも豪華な執筆人による論考がならぶ、歴史的な論集になるということでしょう。がありますね。

 

  気になったので、このあいだのリチェティ論文の場合を振り返ったのですが、ブリルから契約書が送られてきたのが1月半、次に校正刷りがほぼ3ヵ月後4月上旬、そして出版はそこから3ヵ月後7月頭という感じです。これがブリルにおける作業のだいたいのリズムだと考えられます。編集校を受け取り、版組みにはいる前に契約書を交わすということなのでしょう。ということはカルテック論集も、もうブリルに編集校は渡っていて、これから版組みに入るということだと思います。そうすると、ここから6ヶ月くらいで論集は日の目を見るのではないでしょうか?

 

  論集がどのシリーズに入るのかは、月曜日にギデオンが教えてくれるそうです。しかし、よくよく考えると、今夏から来年の初めにかけて半年のうちに、ブリルから BH 絡みの本が一挙に3冊も出ることになります。ESM 誌といい、完全にブリル人です。

 

 

2011. 6. 23

  カルテックのギデオンからメールがあり、質料形相論に的をしぼった野心的な20085月のカリフォルニア会議をベースにした国際論集が、ついに来年にブリル書店から、『初期近代科学と哲学における質料と形相Matter and Form in Early Modern Science and Philosophy という題名で出版されることが決まったようです。ビルダニエル・ガーバーなどの稀代の大物が一堂につどう、何ともめまいのするような記念碑的な書物の寄稿陣に名前を連ねることができるなんて光栄な話です。まずは、契約書にサインして送り返さないといけません。

 

 

 

ここで2年経過

 

2009. 5. 31

  いきおいに乗って、英語版ゼンネルト論文も編集担当のギデオンに送り出しました。締め切りから丸々5ヶ月がかかってしまいました。すいません。

 

 

2009. 5. 28

  僕の2冊目の著作を Brill 書店から英語で出すことを考えています。ここに来て、レオニチェノゼンネルトの章も英語にしたわけですし、あと残りはキルヒャーフェルネル2章分になります。それほど大変な作業ではないように思えてきました。7月にベルギーに帰ったら、フェルネルの部分を英語化してみたいと思います。そうすれば、英語のショート版も出ているキルヒャーの部分を片付ければ終了です。あとは、アダム君に示唆されたような、この5年間の作業を俯瞰するような、つまり著作全体の意味を説明するようなイントロを書けば良い訳です。この著作の意味を示すようなグローバルなものを書くという作業は、2年前の僕には気分的に出来ませんでしたが、アメリカ生活を通して成長した今なら行けそうな気がします。

 

 

2009. 5. 22

  今日も朝から英語版ゼンネルト論文の作業をしています。最終段階に入って、もうほぼ完成に近づいています。ところで、すでに年末の締め切りから5ヶ月!が経とうとしているのですが、編集を担当しているロスのギデオンからは何も言ってこないので、さすがに心配になってまだ間に合うかどうか問い合わせるメールを出したら、すぐに返事が返ってきて大丈夫だと言われました。数日ほど待ってもらうことにしました。良かった。しかしです、アメリカ行きとマシン・トラブルがあったせいでもあるのですが、ポールには英語版レオニチェノ論文を6ヶ月も待ってもらいましたし、マルコにはセネカ論文を最終的には8ヶ月も待ってもらいました。どうもいけない傾向にあります。まったくもって、手本には出来ない行為です。

 

 

 2009. 5. 21

  朝から英語版ゼンネルト論文の仕上げをしています。最初に仏語版から訳した2年前から時間がたっているので、現在の僕の英語の流れのスムーズさと比べると劣るようなので、この際ですから通して読み直しつつ、細かい表現などをチェックしたり書き直しすることにして、その作業に没頭しているという次第です。

 

 

2009. 5. 17

昨日は、長らくたまっていた宿題を片付けようと、まずはギデオンに送らなければいけない英語版ゼンネルト論文の書式の修正をおこないました。これはすぐに完了です。時間を見つけて一回通して読みたいと思います。

 

 

2009. 1. 7

  僕のゼンネルト論文を読んだ Andreas Blank からコメントが送られてきました。なかなか突っ込んだもので、内容にも大いに共感してくれています。感謝です。こうして、世界の最前線にいるライプニッツ学者たちに読んでもらえることは、大いに励みになります。

 

 

2008. 12. 19

  ライプニッツ研究の世界における最も熱いニューウェイヴとしては、すでにカリフォルニアで春にジュスティンに会っていますし、アーサーは僕のゼンネルト論文の英語を見てくれたくらいの仲です。ここにきて、今日はここのところ何回かBHでも言及したことのあるイスラエルの Andreas Blank から直接にメールをもらいました。ゼンネルト論文を読ませて欲しいという要望でした。僕の研究というのは、種子の理論にしても形成力の話にしてもコズミック・ヒートにしても、結局はライプニッツ研究と深く関わっているものですから、彼らに利用してもらうことは本当に光栄なことです。こうして、BH の世界進出はさらに進んでいます。しかし、いつになったら世の人々はその真価を本当に理解するのでしょうか?

 

 

2008. 8. 13

  ゼンネルトが用いる forma informans forma assistens の概念についてサーヴェイして分かったことを、まとめておきましょう。この2つの概念はペアになっていて、アヴェロエス主義者のブラバンドのジゲルスの流れを引く Thomas Walton という人物あたりに起源を持ち、その後にルネサンス期パドヴァの伝統の一部となったようです。それぞれがどういう意味を持つのかというのは意見の分かれるところで、特にどちらが人間霊魂に対応するのかという問題が、ポンポナツィからザバレラまでパドヴァの自然学者の間で盛んに議論されたようです。われらがゼンネルトのソースはもちろんリチェティで、二人ともパドヴァの伝統を引き継いでいるということになります。この問題について何か本質的な研究があるか?といえば、ないというのが実状です。本来なら、Bruno Nardi 辺りが、まとめておくべきでした。このサーヴェイの副産物としては、同じ起源かどうかは分かりませんが、同じ伝統内でよく議論された別の概念である forma specifica というのは、forma generica に対して形成された概念だと分かったことです。

 

 

2008. 5. 13

  カリフォルニア会議の発表原稿の作業をしないといけないのですが、どうも集中できません。> 下敷きになるゼンネルト論文の長さはテクストだけで11あります。持ち時間の1時間のうち40くらい話すとして、多くても8くらいまで落とさないといけません。> 午後になんとか集中して8枚まで落としました。余計な枝葉を取ったので、だいぶ議論がストレートかつクリアになったのではないでしょうか?

 

 

2008. 5. 10

  僕の本ゼンネルト論文でも既に触れていますが、ゼンネルトの生命思想の根幹を担っているのは、霊魂至上主義だと思います。これは、形成力種子などの説明原理を用いるのではなく、霊魂に帰す態度です。この点に関して、彼はスカリゲルの教えにかなり影響を受けているのではないか?と思います。

 

 

2008. 5. 8

  実は、10日後にはロスアンゼルスに向かって旅立つというところまで来てしまいました。そろそろ本気でカリフォルニア会議の発表原稿に取り掛からないと、いくらゼンネルト論文を流用するといっても、マズイですよね。最近得られた知見をもとにアップデートしたいと思っていますし、会議の趣旨により合わせるためにイントロも変更しないといけないでしょうし、こうして考え出すとやるべきことはいろいろあります。

 

 

2008. 4. 11

  英語版ゼンネルト論文の審査結果が郵便で送られたと、Isis 誌の編集部から聞かされた訳ですが、そうなると落ち着いていられません。

 

 

2008. 4. 10

  英語版ゼンネルト論文の投稿から5ヶ月が経過したので、いったいどうなっているのか Isis 誌に質問のメールを送りました。リアクションを待ちます。同時に、RSPT 誌にパリで2週間前に投函した紙ヴァージョンの仏語版リプシウス論文の原稿が届いたか尋ねるメールを送りました。こちらも、リアクション待ちです。> Isis 誌からは、先週手紙を出したので、来週までに届かなかったら、連絡してくれと言われました。

 

 

2008. 3. 12

   おお、仏語版のゼンネルト論文が出たようです。Bruniana & Campanelliana 誌の最新13 (2007) 後半号の PDF が届きました。頁は、477-495 となるようです。

 

 

2008. 1. 27

   ところで、Isis 誌に投稿した英語版のゼンネルト論文の審査は、どうなっているのでしょうか?そろそろ結果が来ても良い頃だとは思いますが、気になります。確かかどうか分りませんが、聞くところによると、この科学史の超古株雑誌には、まだ日本人の論文は載ったことがないようです。日本には科学史家を名乗る人間が沢山いて、その中の幾人もが Isis 誌を定期購読しているようですが、みんな、何をしていたんでしょうか?ひたすら不思議でなりません。世の中は何かが間違っているとは思いませんか?

 

 

2008. 1. 3

  2007年は英語論文が2本(シェキウスキルヒャー)ほど出版され、ゼンネルト論文を Isis 誌にも投稿し、さらに自分の英語の原稿を3本、他の人の手伝いを2本ほどしたこともあり、本当にスローではありますが徐々に&着実に英語圏への進出を進めております。以前に、英語で書かないうちはダメだと言っていた先輩がいたのですが、ここまでくればもう文句は言えないのではないでしょうか?そういっていた本人は、海の藻屑と消えて行った訳です。だいたいアーリー・モダンをやっていて、英語しか読めないこと自体がおかしいとは思うのですが、ま、仕方ないですね。

 

 

2007. 11. 17

  カルテックの非常にエライ人からメールの返事がありました。ナンシーさんにいろいろアドヴァイスを貰っていましたので、今のところコトの運びは順調です。次は、僕もゲントで面識がある、その同僚からアプローチがあるだろうとのことです。カルテックでの会議には、高い確率でビルが登場することが予想されます。僕としては入魂のゼンネルト論文を下にしたものをぶつけていくつもりなので、おそらくは英語版ゼンネルト論文のレフェリーになっているであろうビルとの手合わせの場面がやって来るかも知れません。火花を散らせるタッグ・マッチとなるかも知れません。風雲急を告げます。

 

 

2007. 11. 9

   今朝は時差ボケにもかかわらず9時前には起きられました。早く起きると午前中に一仕事終えても、まだ時間があります。まずは仏語版のゼンネルト論文の校正指示を作ってローマに送り出しました。

 

 

2007. 11. 2

  ついに、Bruniana & Campanelliana 誌に掲載予定の仏語版ゼンネルト論文の校正刷りが届きました。ここワシントンのホテルの部屋にはプリンターがないので、欧州に帰ってからプリント・アウトして、校正をしたいと思います。頁打ちは、477-495ですね。> ホテルの中で一度通して読んでしまいました。文字化けを避けるために、アクセントなしで出したギリシア語に編集部の方でアクセントを振ってくれていますが、幾つか間違いがあるのでそれを補正しないといけません。あとは問題ないようです。しかし、皆さんには申し訳ないですが、つくづく自分なりに良く書けた論文だなあと勝手に感心しています。この仏語版は、Bruniana & Campanelliana 誌に出るものなので、主にヨーロッパのルネサンス哲学の専門家向けですが、早く世界向けの Isis 誌に載る英語版が出ないかなと思っています。

 

 

2007. 10. 4

  やっと Isis 誌から英語版ゼンネルト論文の受け取りの連絡がありました。良かった、良かった。

 

 

2007. 9. 25

  まだ Isis 誌からは郵送で送った英語版ゼンネルト論文を受け取った旨の連絡は来ません。ちょっと気になります。金曜にゲントに行った時には、外行きの郵便棚にはなかったので、おそくともその時までには事務の人が出してくれたとは思います。あと1週間待って連絡がない場合は、ちょっとメールで聞いてみようと思います。

 

 

2007. 9. 11

   ジェルマーナの要望に応じて仏語版のゼンネルト論文用の英語の要約を作って、原稿を送り直しました。

 

In the treatise De spontaneo viventium ortu, published in his masterpiece Hypomnemata physica (Wittenberg, 1636), Daniel Sennert (1572-1637) of Wittenberg built his corpuscular interpretation of the origin of life upon a singular synthesis of Aristotelian hylomorphism and Democretean atomism. The present study examines Sennert’s theory of biological generation and especially his ideas on the atoms of living beings and the souls conveyed by these atoms. It reveals that his reading of the Paduan medical professor Fortunio Liceti’s (1577-1657) work De spontaneo viventium ortu (Vicenza, 1618) reinforced his atomist conviction after 1619.

 

 

2007. 9. 10

  ジェルマーナから仏語版ゼンネルト論文にOKが出ました。ちょっと文字数をオーヴァーしていたのですが、問題ないようです。良かった。リチェティ論文の時の感じからすると、ここは版組みが速いのでボッツェが出て来るのはスグかも知れません。> 英語の要約を出さなければならなくなりました。

 

           Caro Hiro: il tuo articolo va benissimo da tutti i punti di vista e ti ringrazio di avere rispettato con molta precisione le famose Norme...

 

 

 

2007. 9. 8

  ジェルマーナから仏語版ゼンネルト論文の受け取った旨を伝えるメールをもらいました。すぐに目を通してくれるそうです。しかし、ルネサンスの新プラトン主義をメインとする Bruniana & Campanelliana 誌の色に会わないかも知れないので、ちょっと心配ではあります。

 

 

2007. 9. 6

   夕方までの空き時間で、Bruniana & Campanelliana に投稿するための仏語版ゼンネルト論文を最終調整しました。注とスペースを含めて55000文字と言われていますが、少しだけ超過しています。でも、これが精一杯な気がします。もうこれ以上は切れない感じです。今夜にはメールで、ジェルマーナ宛に送り出します。> 真夜中の12時に送り出しました。

 

 

2007. 9. 4

  そろそろ仏語版ゼンネルト論文を完成させて、Bruniana & Campanelliana 誌に向けて送り出さなければなりません。英語版の方は、やっと金曜日に大学から出せそうです。

 

 

2007. 8. 28

  そうそう、Isis の編集部に返事をする際に、新作のゼンネルト論文を投稿しようと思っているのだけれどメールでの投稿も受け付けるのでしょうか、と聞き直してみました。この点に関しては、雑誌の投稿規定には何も書いてありません。> ダメみたいです。4部の紙コピーを送れと言って来ました。話のわからない連中です。

 

 

2007. 8. 27

  そうそう、Isis の編集部に返事をする際に、新作のゼンネルト論文を投稿しようと思っているのだけれどメールでの投稿も受け付けるのでしょうか、と聞き直してみました。この点に関しては、雑誌の投稿規定には何も書いてありません。> ダメみたいです。4部の紙コピーを送れと言って来ました。話のわからない連中です。

 

 

2007. 8. 14

  待っている間に仏語版ゼンネルト論文を Bruniana & Campanelliana 誌のために書式を揃えようかと思っています。締切9月初頭です。> 一応、昨晩に作業したのですが、55000字まで落とさないといけないところ、今現在63000字あります。> 午前中の作業で57000字まで落としました。主に注を削っているのですが、引用のためのラテン語を切らないとなると、ここらが限界です。ここまで注を削ると、自分が裸になった気分がします。

 

 

2007. 8. 13

  まずは、昨日返してもらったラテン語の先生による仏語版ゼンネルト論文のラテン語部分の添削をチェックしました。ほとんどいじられていません。この期に及んで、なぜまだ見てもらうかというと、完全にこれは自分を安心させるためにしているようなもので、添削料安心料ということです。

 

 

2007. 8. 12

  夜遅くに仏語版ゼンネルト論文のラテン語引用チェックが帰って来ました。先生によると、今回も大した間違いはなかったということですが、明日にじっくりと見直したいと思います。

 

 

2007. 8. 9

  早いところ英語版ゼンネルト論文のコピーを4部とって投稿しないといけないのですが、ここ数日の間机の上に放りっぱなしです。そして、9月初頭には仏語版の方をジェルマーナに提出しないといけませんので、そっちの作業も始めないといけません。

 

 

 

2007. 7. 31

  ナンシーさんから返事が来ました。直接に知っている人はいないようです。ただ、Isis 誌編集部のメール・アドレスがウェブ・サイトに書いてかるから、問い合わせてみたら?と教えてくれました。ということで、早速にもメールを書いてみました。リアクションを待ちます。> 英語版ゼンネルト論文を、もう一度通して読み直してみました。これで、もう大丈夫だと思います。編集部からのリアクションを待って、無いようでしたら規定通りに郵送で投稿したいと思います。

 

 

2007. 7. 30

  ま、とにかく、ゼンネルト論文のラテン語のチェックを、いつもの先生に要請しました。引用は全部で14つあります。10日くらいでやって頂だければ、幸いです。> やっとのことで、英語版ゼンネルト論文の英語をリチャードに見てもらったものをチェックすることが出来ました。これであと1回くらい通して読んだら、いよいよ Isis 誌に投稿することが出来ます。投稿要綱を調べています。郵送じゃないといけないみたいですね。でも、今送っても編集部は9月まで夏休みなのでしょう。本来なら6月中に投稿出来れば良かったのですが、ま、仕方ないですね。編集委員の誰かにメールで直接に投稿出来ないか知りたいので、ナンシーさんに知り合いがいるか聞いてみたいと思います。

 

 

2007. 7. 8

  リチャードが英語を見てくれたゼンネルト論文が、やっと帰って来ました。来週、ゆっくりとチェックしたいと思います。

 

 

2007. 6. 26

Isis 誌に投稿するに当たって、英語版ゼンネルト論文に150語程度の要約を付さないといけません。まだラフですけれど、以下のように書いてみました。

 

In his treatise De spontaneo viventium ortu, published at the end of his masterpiece Hypomnemata physica (Wittenberg, 1636), the professor of medicine at Wittenberg, Daniel Sennert (1572-1637), built his corpuscular interpretation of the origin of life upon a singular synthesis of Aristotelian hylomorphism and Democretean atomism. By this theory, he tired to explain among other things the spontaneous generation of lesser living beings. The present study examines Sennert’s theory of biological generation and in particular his ideas on the atoms of living beings and the souls conveyed by these atoms. It reveals that Sennert’s reading of the Paduan medical professor Fortunio Liceti’s (1577-1657) work De spontaneo viventium ortu (Vicenza, 1618) was a major factor by which his atomist conviction was especially reinforced after 1619. The present case-study of Sennert sheds light on the impact of biological speculations on the evolution of early modern matter theories.

 

 

2007. 6. 25

  リチャードが英語を直してくれるといったので原稿を送った英語版ゼンネルト論文は、まだ帰って来ません。> とりあえず、Isis 誌の書式設定に従ってデータの書き方を変更しました。あとは直しが帰って来て次第、投稿です。

 

 

2007. 6. 14

  英語版ゼンネルト論文をリチャード(アーサー)に送り出しました。英語を直してくれる約束です。それが帰って来たら、要求されている書式に整えて Isis 誌に投稿したいと思います。近年は近現代のことを扱った社会学系の研究ばかりが載る雑誌となってしまっていますが、去年あたりから古い時代のことも再び取り戻すと宣言しているので、タイミング的には良いのではないでしょうか?きっとレフリーの一人は、ビルとなることでしょう。アブラののった創刊10年目くらいの元気のいい雑誌に出すことも良いことですが、やはり老舗は読者が多いので60年以上続く Annals of Science 誌に続いて別も狙うことの意味は大きいでしょう。また、これはリチャードの直しが帰ってくるタイミングに依存しますが、人々が夏休みに出かけてしまう前にレフェリーに渡る感じで出せば、今年中には出るかも知れません。無理かな?去年、キルヒャー論文をフィラデルフィアに行く直前の7月に投稿したのですが、それは遅すぎました。編集長が夏休みで留守となり、向こうが作業を始めたのは9月になってからでした。

 

 

2007. 6. 7

  今日は、昨日は出来なかったゼンネルト論文の英語版の見直しを行いました。その後、アダム君にも読んでもらっています。> 5点ほど英語の用法について気がついたことを指摘してくれた以外は、これといった重要な指摘はナシでした。僕を唸らせるような知的にチャレンジングな質問なり、リマークを考えるように要請しました。

 

 

2007. 6. 5

  今はポスト・フェステム現象のため、何もする気になりません。> それでも、ゼンネルト論文の英語版の見直しをしました。リチャードが直してくれるというので、早く送ろうと思います。

 

 

2007. 5. 29

  ゼンネルトライプニッツの関係についてヒット論文(日記2006. 9. 27参照)を書いているリチャード(アーサー)に、僕の仏語版ゼンネルト論文を送ってコメントをくれと頼んでいた訳ですが、そのリチャードから返事があり、論文についての感想にも増して、英語版をよこしてくれれば英語を直してあげると言ってもらえました。これはラッキーです。僕から頼んだ訳ではないのですが、向こうから自発的にオファーしてくれました。ISIS 誌への投稿を狙っているだけあって、これは鬼に金棒です。

 

 

2007. 5. 25

  朝早くにジェルマーナから来たメールに返事を書いた後は、これといったことをしていません。アダム君を駅に迎えに行く時間まで手持無沙汰です。しかも、今日は気温が25まで上がって暑く、僕は既にバテ気味です。このくらいの気温でヘロヘロなのですから、南の国には住めませんね。ジェルマーナのメッセージはというと、スペースを入れて45000字から55000字までゼンネルト論文用の紙幅を増大してくれたことです。今の段階で64000字ありますから、Bruniana & Campanelliana 誌に出すなら脚注を中心に軽量化しないといけません。

 

 

2007. 5. 21

  ジョリーさんに頼んであった仏語版ゼンネルト論文へのコメントをもらいました。デカルト主義と粒子論の関係を良く知っている人なので、その人が異論ナシと判断することで安心する一方、貰ったリマークは直接すぐに何かに反映させられないことばかりで、ちょっとガッカリ。クリストフ以外に誰か骨のあるコメントをしてくれる人はいないでしょうか?ここまで来ると、もう後に残るはアントニオか、ビルか、ということになってしまうのでしょうか?それじゃ、つまらない気がするのです。

 

  ガッサンディ論文の抜き刷りを送って以来コンタクトのある Richard Arthur に仏語版ゼンネルト論文のPDFを送りました。コメントをくれる約束になっています。新進のライプニッツ学者ですが、初期近代の生物学にも関心を持っていて、例の「ゼンネルトとライプニッツにおける動物発生」という論文(日記2006. 9. 27参照)を書いた人です。> そうか、この際だから思い切って François Duchesneau 氏にコメントを貰うべきでじゃないか?と思うようになりました。既に顔見知りではある訳ですが、まだ真に僕の研究の意味を理解していない感じがしますので、ここで相手のに飛び込んで勝負するという思い切ったアクションが必要かとも思います。> ライプニッツ絡みということで、ボルドー会議を主催したミリアムにもメールを書いてみました。昨秋にパリで会ったときは研究のことで少し悩んでいたようでしたが、最近どうしているのでしょうか?気になります。

 

 

2007. 5. 14

  金曜日にリュックから帰って来たプルーフ・リーディングをチェックしました。非常に良い出来です。感謝。これで仏語版ゼンネルト論文は、ほぼ完成です。ジェルマーナの弟子に最初の英国人原子論者 Nicholas Hill を研究しているサンドラという人がいるのですが、彼女にも読んでもらってヒルの理論との相違についてコメントを貰おうかと思うのですが、ジェルマーナのアドヴァイスに従ってメールを書いたら、すぐにOKの返事が来ました。PDFファイルで送ってみようと思います。> 送ってみました。

 

  4月は停滞していると個人的には思っていたのですが、ゼンネルト論文とゲマ論文の完成作業をしていたので、それで良しとすべきなのでしょう。

 

   Bruniana & Campanelliana 誌の2007年後半号に仏語版ゼンネルト論文を載せることを基本的には OK してもらえました。原稿の締め切りは8月で、公刊は来年初頭でしょう。しかし、スペース込みで45000に落とすという縛りがかかってしまいました。現在は70000近くあります。45000字に落としてまでも載せるべきか悩みます。仏語も載せる国際的読者層のあるルネサンス哲学ということなら、B&C 誌が最高でしょう。しかし、もっと科学史的な視点を持つ読者のいる場所を探すべきなのでしょうか?悩みます。科学史の人のために英語版を用意するのですから、無駄な枝葉を削いで、B&C 誌のように早く出るところを優先すべきなのかも知れません。キルヒャー論文が出たばかりの Annals of Science 誌をもう一度使うという手もあります。ここなら切る必要はないでしょう。でも、その後に英語版を出す意味がなくなってしまいます。う〜む、ジレンマに陥ってしまいました。

 

 

2007. 5. 12

  リールのセミナー仲間のリュックが、仏語版ゼンネルト論文のプルーフ・リーディングをしてくれました。バイトから帰って来てからチェックしたいと思います。> この週末は無理そうですので、月曜日にしましょう。週末の動きに関しては、プライヴェート版をご覧ください。

 

 

2007. 5. 11

ゼンネルト論文のタイトルを微妙に修正することにしました。内容をより正しく表現するために、原子に形容詞「生きた」をつけることにします。こうすることで、より目を引くものとなるかと思います。「ダニエル・ゼンネルト(とフォルチューニオ・リチェティ)における生きた原子、霊魂の起源、そして自然発生“Atomes vivants, origine de l’âme et génération spontanée chez Daniel Sennert (et Fortunio Liceti)”、英語版では、Living Atoms, Origin of Life and Spontaneous Generation in Daniel Sennert (and Fortunio Liceti)” という感じです。

 

 

2007. 5. 10

  仏語版のゼンネルト論文は、生きた原子というアイデアを巡ってブルーノも登場するので、また Bruniana & Campanelliana 誌に投稿しようかな?という気がしてきました。リチェティ論文の続きでもある訳ですし。> ジェルマーナにメールで聞いてみました。同じ投稿者が頻繁に顔を出すのを嫌がるところもあるからです。> すぐに返事が来て、編集主幹のカノーネ氏と相談してみるそうです。

 

 

2007. 5. 4

  午前中は日本語のテクストの校正を。午後から夜にかけては、ゼンネルト論文の英訳の完成作業を行いました。ほぼこれで、一応の英語化のプロセスは済みました。あとはプリント・アウトして何回も読み返しながら、推敲を重ねるだけです。しかしですね、こうして集中して仕事をしていると、余計なことを考えなくて良い&作品の数が増えるということで一石二鳥です。

 

というところで、1000単語辺り6.95ポンドで立派な英語に鍛え直してくれるというサーヴィスからメールが来ました。別に頼んだ訳ではありませんが、タイミングはちょうどですので興味半分に調べてみました。例えば、ゼンネルト論文はだいたい10000あるので70ポンドかかる計算です。円安なので1万7千円くらいになります。しかしですね、注はラテン語や外国語だらけなので、何だか損した気分になります。外国語の部分を削ってから見てもらえば、もっと安く上がるのかも知れません。> 注なしだと7000字となります。約12千円、これならまだ許せる額ではないでしょうか?中を取って8000字くらいでしょうか?

 

 

2007. 5. 3

  ゼンネルト論文のラフな英訳を完了しました。次に一文一文チェックを入れています。だいたい3分の1まで終わりました。論文の英語化のスピードもだいぶ速くなって来ました。何事も要は慣れですね。もともと仏語からして不器用なモノトーンで単調な文体ですので、英語化のコツも掴んでしまえば簡単です。まあ、扱う概念やテーマ自体が複雑なのですから、文章くらいは明瞭簡潔なものにしようというのがモットーですし、前にも書いたように実際に非仏語圏の人間から、こんなにクリアで分りやすい仏語は見たことがないとお世辞にも言われる訳ですから、それなりの目的は達していると思います。

 

 

2007. 5. 2

  ゼンネルト論文を投稿すべき場所を探しています。何か良い雑誌はないでしょうか?> あまりに何もしないと身も心も腐ってしまいそうなので、ゼンネルト論文の英語化を始めました。まずはスピード重視のラフな訳で、半分ほど終わりました。

 

 

2007. 4. 30

  先週、ずっと後回しにしてきたアヴェロエスの『「霊魂論」大注解』のラテン語版を借り出して来ました。パラパラと見て気がついたのは、以前にここにも書いた formare informare の違いの問題です。これはシェキウス論文だけではなく、ゼンネルト論文でもカギ概念として出てくるので、決定的な説明を探していたのですが、ここに来て少しヒントとなるものが見つかりました。ラテン語版アヴェロエスにおいては、informare というのは、「知性を介して形成するformare per intellectum の意で、ギリシア語の noein に当たるようです。また、この noein という語自体は文脈によって「理解するintelligere とも訳されるところが厄介ですが、理解するとは知性を介して諸概念を脳内の形成することだと考えれば納得がいくかと思います。おそらくはトマスアルベルトゥスの議論にこれを当てはめることは出来るでしょう。ただ問題なのは、ルネサンス期の霊魂論で、例えばゼンネルトが「原子内の霊魂は原子を informare する」というときは、どの程度このアヴェロエス主義の伝統での用法を意識して使っているのか、一歩引いて考えないといけません。

 

 

2007. 4. 23

  今日は朝から幾つもメールが来ています。これまでの3週間の何もなさがウソのようです。やっぱり、こうでなくっちゃね。> クリストフは、最近の Isis は近年どんどん社会学的なものに傾いてきているから、むしろゼンネルト論文は Journal of the History of Ideas を狙ったら良いのでは?と言っています。そうですか。僕としては、JHI には英語版のパラケルスス論文を送るつもりでいたので、少し考え直さないといけません。

 

 

2007. 4. 22

  昨日ゼンネルト論文の新ヴァージョンにコメントをくれたクリストフに、バイトから帰ってきてから返事を書きました。以下の感じです:

 

Many thanks for your kind comments. Now I am enough confident of my arguments. As it will be the last chapter of my second book on plastic force and soul-vehicle, I wanted to make it something special in terms of quality and achievement. Anyway, this piece is dedicated to you, Christoph. If I turn it into English, do you think it deserves to be posted to ISIS?

 

   SKMT君にもゼンネルト論文を読んでもらって、気がついた点を幾つか指摘してもらいました。毎度、注意深く読んでくれること、感謝いたします。

 

 

4007. 4. 21

   ついに、ゼンネルト論文に対するクリストフの反応が来ました。いろいろ長く詳細な議論が興奮気味に書いてありますが、彼の評価の第一声を上げると以下の感じです:

 

I have read the second version of your Sennert article. This is fascinating material indeed, and you give an exceptionally useful and well-organized overview. A real pleasure to read.

 

これで、このゼンネルト論文が2冊目最終章コーダに相応しいものになっているという自信を持つことができました。ではダメなのです。Wunderbar なものでないと。> しかし、これでいいのか?といろいろ迷いもあったので、やっぱり自分は世界のトップが良いと判断する仕事をしているのだなと確認することができて、率直に嬉しくなりました。さて、次の問題は、この論文を一体どこに発表するかです。このまま仏語で出すにしても、たいていの仏語を受け付ける国際的なオーディエンスのある雑誌は使い果たしてしまった感があります。むしろ、そろそろこの辺りで自信作は英語に訳して ISIS 誌くらいを狙うべきなのでしょうか?

 

 

 

2007. 4. 19

  そうそう、ゼンネルト論文を投稿すべき雑誌を探しています。どこが良いのでしょうか?

 

 

2007. 4. 18

  クリストフは水曜までにゼンネルト論文のアップ・デート版を読むようにすると言っていましたが、結局のところ今日はリアクションがありませんでした。

 

 

2007. 4. 16

  クリストフから英語版シェキウス論文を読んだのでクスカワさんに回したということ、ゼンネルト論文の最新ヴァージョンを水曜日までに読むようにすること、新装 ESM 誌のこと、などについてまとめてメールが来ました。

 

 

2007. 4. 8

  リールのセミナー仲間のリュックにゼンネルト論文のプルーフ・リーディングをお願いしてみました。返事を待ちます。> OKだそうですので、ファイルを送り出しました。感謝です。

 

 

2007. 4. 7

  ゼンネルト論文に磨きをかけているのですけれど、もう一度クリストフに見せてコメントをもらいたいのと、仏語圏ではジョリーさんにもコメントをもらおうかなと思っています。とか、いろいろ考えているうちに、いっそのことこの前リチェティについてさらに何かする気はあるかと探りを入れて来たビルその人に見せてコメントをもらうのが良いかも知れないと思うようになりました。ちょっと大胆ですが、やはり世界のトップに見てもらうのが良いでしょう。アントニオには既に聞いてもらっている訳ですし。> 一日考えてから、ビルにメールを送ってしまいました。返事を待ちます。

 

 

2007. 4. 4

  昨日は、丸一日をかけてゼンネルト論文の完成作業に集中しました。これで、なかなか良いものになったと思います。ゲマ論文同様に、あとは何回も読み直し、推敲を重ね、磨きをかけて熟成させるだけです。> まだ構成を紹介していなかったですね。以下のようになります。

 

1. イントロダクション  Introduction

2. 通常の発生における霊魂の起源  L’origine de l’âme dans la génération normale

2-1. 形相付与者と星辰の影響  Le Donateur des formes et la causalité astrale

2-2. 形相の抽出理論  La théorie de l’éduction des formes

2-3. ヤーコブ・シェキウスと形成力  Jacob Schegk et la force plastique

2-4. 種子と種子的精気の本性  La nature de la semence et du spiritus séminal

3. ゼンネルトにおける自然発生  La génération spontanée selon Sennert

3-1. 霊魂、種子的原理、そして粒子  L’âme, le principe séminal et les corpuscules

3-2. 生物の原子とその霊魂  Les atomes des vivants et leur âme

4. 結論  Conclusions

 

2007. 4. 3

  仏語版ゲマ論文は形式が整ったので、あとは何度も読み返して推敲を重ね、最後のプルーフ・リーディングを誰かにしてもらえば良いことになります。英語版の方は、ナンシーさんのコメントを待ちます。これでゲマ論文は片付いたので、次はゼンネルト論文を完成させる作業に入りたいと思います。この調子で行けば、4月中にはすべて完成するかも知れませんね。

 

 

2007. 3. 19

  今日は、ゼンネルトに関する2次文献を次々に読み直しています。後で注を整理するためと、僕の議論と同じことを言っている人はいるかどうかを確認するためです。それほど決定的なことを言っている人は、いまのところいません。だいたい皆、同じところをグルグルと回っている感じです。皆の関心の置きどころというか、視点というのが共通しているのでしょう。それはそれで基本的なことを押えるためには非常に役に立ちます。で、僕のしなければいけないことは、そういう基本的な議論を踏まえた上で、これらの人が見なかったようなテクストやテクストの部分を注意深く読んで、さらなる一歩を踏み出すことです。そういう意味で、自然発生の議論というのは、5書構成のゼンネルトの主著の最後を占めるのですが、ほとんど誰も真面目に読んだことはない部分です。最後なんだから重要なんだと僕は思えたのですが、実際そうでした。ボイルが、ガッサンディが、ライプニッツが、そして他の17世紀の人間が興味津々に注意深く読んだものを、なぜ現代の歴史家は読もうとしないのでしょうか?

 

 

2007. 3. 18

  金曜の段階ではゼンネルト論文は、読み原稿としては良いものの、まだまだ人に見せられるものではなかったのですが、あまりの嬉しさにゼンネルトの専門家であるクリストフに原稿を送りつけてしまいました。10日以内に注意深く読むよ、と返事が来ました。ゼンネルト論文は、ルネサンス哲学の世界とボイルに代表される粒子論哲学の世界を結ぶカギとなる作品です。果たして他の入魂作に比べて、どこまで近づくことが来たかは今の段階ではまだ自分でも冷静に見ることは出来ていません。他に比べもののない Incomparable H の世界が十分に展開されていることを望むばかりなのですが。リールでの発表時に、僕にとっては永遠の第一想定読者であるアントニオを再び唸らせることが出来れば本望です。実は僕の場合は、これだけを楽しみに研究をしているところもあります。

 

 

2007. 3. 17

  アダム君と突っ込んだ議論したことがあるのですが、ラテン語の informare という用語の意味について考えています。アダム君によれば、informare formare は同じ意味で「形成する」だそうですが、シェキウスはまず形成力 formare し、後から来る霊魂 informare するという使い方をするところから何か違いがあるだろう僕は思っていました。今回のゼンネルト論文でも、この点が一つの大きな焦点というかクライマックスになるのですが、ゼンネルトは一個一個のアトム内にある霊魂がアトム informare するとまで言っています。そして、一か所で言い換えをして animare というのです。やはり結論としては、informare formare の同義語というよりも、むしろ animare の同義語だと考えるのが良い気がします。

 

 

2007. 3. 16

  おお、ついにゼンネルト論文の第一草稿が出来ました。まだまだ注も推敲もラテン語の引用の訳のコントロールも中途半端ですが、これで一安心です。こういうことなら、フィレンツェに行っても良かったかな?ま、とにかくも発表はテクストさえ出来ていれば良いので、これで26日のことは一件落着です。この論文が僕の2冊目の著作の最終章となる訳ですが、これで今夏にゲマ論文とゼンネルト論文を仕上げ、簡単なイントロ結論をつければ良いことになります。

 

 

2007. 3. 15

  今日も一日がかりで、ゼンネルト論文の推敲に集中しました。後半部も終わり、後はイントロを整理して、もう少し全体の流れを聞いて分りやすく整理すればOKかと思います。時間をかけた入魂の論文群とは訳が違いますが、キルヒャーシェキウス、そしてリチェティ論文といった積み重ねがあるので、段々と加速度がつくのは当り前かとも思います。日曜までは手をつけられないので、再び作業に戻れるのは月曜以降になるでしょう。やっぱり、フィレンツェに発作的にフライトしなくて正解だったと思います。

 

 

2007. 3. 14

   まだまだ不十分ですが、ゼンネルト論文は一応テクストを読みながら要点をまとめることは終わりました。分量的にもOKだと思います。次は、議論を整理する段階に入ります。今日の作業で一番良かったのは、これまで決定的な何かを見出せないままでいたのですが、議論のクライマックスとして持ってくるべき部分を発見したことです。これに向けて段々とが増してくるようにストーリーを展開させれば良い訳ですから、ある意味で目標が見つかったことになります。> 午後と夕飯後の作業で、イントロを除いた前半部分の議論がだいたい固まってきました。案外と早かったですね。明日は、後半部分を攻めます。

 

 

2007. 3. 13

  一日中ゼンネルト格闘しています。まだまだ議論も構成もカオス的な状況ですが、分量的にはだいぶ良いところまで来ました。この日記やプライヴェート版ブログを書いている時間も取っていません。

 

 

2007. 3. 12

  ああ、何とかゼンネルトに戻らなければ。間が一度あくと、ノリを取り戻すには苦労します。あとちょうど残り2週間となってしまいました。

 

 

2007. 3. 9

  ちょっと素っ気なかったゼンネルト論文のタイトルを変更します。題して、「ダニエル・ゼンネルトにおける原子、霊魂の起源、そして自然発生“Atomes, origine de l’âme et génération spontanée chez Daniel Sennert” です。

 

 

2007. 3. 8

  う〜ん、つまるところ、あと2週間しか残っていないので、雑念を捨ててゼンネルト論文の執筆に取り掛からないといけません。一応、テクストは読み終わりました。何度も言いますが、これが僕の2冊目の著作の最終章でもあるのですから、何としても良いものにしなくてはなりません。> 非常にラフながらイントロから書き始めました。とりあえず、ただただ言うべきことを頭に思いつくままに並べている段階です。まだ全体の構成などは決まっていません。前回のゲマ論文同様に、これまで取ったことのないスタイルで論文を執筆しています。ま、ゲマの時はフェルネルカルダーノゲマと議論を展開するという一応の大まかなストーリーが題名の段階からあった訳ですが、今回のゼンネルトには、そういう骨子すらありません。

 

 

2007. 3. 6

  日がな一日ゼンネルトを読むと疲れます。夕方前には、放心状態となっています。久しぶりなので、読書のための集中力が落ちているのかも知れません。> ふと気がついたのですが、去年の夏の終りにメガネを新調したので、そのせいで読書が辛いのではないでしょうか?で、早速にも古い方の眼鏡をかけてみると、スラスラと読めるではないですか!新し眼鏡は、度が強いので近くを長時間じっと見つめることには向いていないようです。何だ、理由が分かると話は早いです。これで、急に2〜3日前からベルギーに来てからはなかった肩コリがし始めた原因も分りました。

 

 

2007. 3. 5

  レオニチェノシェキウスといったものはピュアにルネサンスの人文主義医学の世界なのですが、ゼンネルトになってくると、ファン・ヘルモントボイルへのつながりが手に取るように分かるようになって来ます。ゼンネルトというのは、そういう意味でルネサンス医学&自然学の総決算であると同時に、17世紀の新哲学への架け橋になっていると思います。思うだけではなくて、実際にテクストを読んでまとめてみたいと思います。それが僕の2冊目の著作の最終章になる訳ですから。天よ、力を下さい!

 

 

2007. 3. 2

ひたすらゼンネルトを読んでいます。こうして、黙々とテクストを読み込むことは、本当に久々です。一昨年末ゲマのテクストを読んだ時以来でしょうか?ま、それでも、その後は他の仕事をしているので良いのかも知れませんが、ほぼテクストを読み込むことだけを10年間してきたので、それをしないと何だか基本をないがしろにしているようで罪悪感があります。なお、このゼンネルトの章で僕の2冊目の著作も完成する訳ですから、がんばります。

 

 

2007. 2. 28

  ゼンネルトをちょびちょびと読み続けています。

 

 

2007. 2. 27

  昨日は日がな一日ゼンネルトを読んでいましたが、非常に文字が小さいのでなかなか進みません。

 

 

2007. 2. 26

  実はこれから間髪を入れずに、326日のリール会議に向けてゼンネルトの研究に移行しないといけません。一時期は熱く燃え上がったゼンネルト研究に対するですが、その後に一旦その熱を冷ますことになったので、また温め直しをしないといけません。なかなか難しいものです。> まずはテクストをプリント・アウトしてと思ったら、あらら、もうインク切れですか?この間カートリッジを買い換えたばかりなのになあ。

 

  ゼンネルトの同じ作品のPDFファイルを2種類ほど持っているのですが、最初見ていた方は見づらいなあと不満に思っていましたが、もう一方の方を見ると、こちらはプリント・アウトしても十分に読書に耐える質をキープしています。助かりました。

 

  ゼンネルトは、アヴィセンナのいう形相付与者の理論に言及するときに、レフェランスとしてスカリジェの問題集 97 番を引いています。要メモですね。

 

 

2007. 2. 7

  なかなか入手困難だった論文「後期パドヴァ霊魂論とその影響Emily Michael, “The Nature and Influence of Late Paduan Psychology”, History of Universities, 12 (1993), pp. 65-94 のコピーをアダム君から送ってもらいました。感謝です。僕が最近取り組んでいるゼンネルトリチェティの研究への良いヒントがあるでしょうか?> 二つの意味で良い論文でした。一つは、もちろん16世紀末から17世紀前半のパドヴァ学派がデカルトガッサンディの霊魂論に与えた影響を大味ながら大胆に見るものですが、もう一つは、良い具合にアタックすべき点を沢山残している点です。外堀を埋めるだけで、肝心要の部分を攻めていません。これを踏み台にして、ヒットを放つチャンスだと思います。僕の狙った通り、しっかりとリチェティも登場します。

 

 

2006. 12. 5

  927日の日記で触れた「ゼンネルトとライプニッツにおける動物発生」という論文を書いたカナダのライプニッツ学者 Richard Arthur という人にガッサンディ論文の抜き刷りを送っていた訳ですが、やっと今日になってからリアクションが来ました。今秋は非常に忙しかったという返事の遅れた理由が述べられた後、僕の手紙と研究に大いに励まされたとフランクに書かれています。あたかも、僕の仕事を黙殺しようとしているかの印章を与える ガッサンディ学者 Samuel Fisher よりはよっぽど素直で良いリアクションだと思います(後者は、僕の在ロンドン時代にガッサンディ論文の手稿を見せてくれと自分から頼んできたのに、送ってあげても、ありがとうの一言さえ言わなかったようなタイプです)。そうですね、一般的に言っても、17世紀前半におけるキミアの影響力など全く理解しようともしないガッサンディ研究者たちよりも、カバラにも興味を持つくらいのライプニッツ研究者たちの方が、学術的にオープン・マインドというか、頭が固くないと思いますよ。

 

 

2006. 10. 11

  早速にもゼンネルト研究のための準備ページを作成しました。どちらにしても、僕の2冊目の著作ではゼンネルトに当てた章が来ることになっていたので、2冊目の作業が無理矢理にでも進められるのだとポジティヴに考えるようにしました。

 

 

2006. 10. 10

   ゼンネルトにおける自然発生の理論について話そうと思っていたリールの化学と医学に関する会議は、僕の希望していた5月ではなく、3月末となりそうです。受けるか、どうか分かりません。ゲマ会議と近すぎて準備できない可能性が大です。しかし、ゼンネルトを研究したいはどんどん高まっていたところなので悩みます。本当に、世の売れっ子と言われるスターたちは、どうやってこういう事態を切り抜けているのでしょうか?いまのところ、今後の予定はこんな感じです。> ワーク・イン・プログレス(WIP)で良いというので、受けちゃいました。ということで、ちょっと3月はホットになりそうです。タイトルは、「ゼンネルトの自然発生論“Sennert on Spontaneous Generation” と英語ならではの潔いほど簡素なものです。

 

 

2006. 10. 1

  ついに10となりました。あと3週間でパリ会議です。そろそろ本腰を入れて準備する時が来ています。まずは、ジャック・ロジェの不朽の名作の読み直し&問題提起から始めたいと思います。僕は前から初期近代の生命と物質の問題は、リチェティゼンネルトの取り扱いが焦点になってくるだろうと思っているのですが、そこに直接的に踏み入る時間はありません。あくまでも、僕の本との会議の問題設定の接点を探る作業をしないといけないのです。> なぜこうもゼンネルトに注目するかというのは、ライプニッツを初めとする17世紀の代表的な思想家の多くが実はゼンネルトから大きな影響を受けているにも関わらず、殆どこの点は研究がなされて来ていないからです。先日もここに書いた通り、近年になってやっと世界の最先端を行く研究者たちは、この点に気がつき始めましたが、まだまだ開拓は始まったばかりです。ゼンネルトの思想とその影響が大幅に研究され、深く理解された時には17世紀の哲学史の総書替えが迫られることになるでしょう。それほど大きな地殻変動を起こさせるポテンシャルを持ったテーマなのです。そして、このゼンネルトの仕事の基礎になるのが、何を隠そう世界の誰も手も殆どつけていないリチェティな訳です。これで、僕がなぜこうもリチェティにこだわっているのが理解されるかと思います。

 

 

2006. 9. 27

   SKMT君に送ってもらった「ゼンネルトとライプニッツにおける動物発生Richard T.W. Arthur, “Animal Generation and Substance in Sennert and Leibniz”, in Justin Smith (éd.), The Problem of Animal Generation in Early Modern Philosophy, Cambridge, Cambridge UP, 2006, pp. 147-174 という論文を読みましたが、ガッサンディも含めて僕のやって来たこと今取り組んでいることに非常に近いことを取り上げています。アントニオの本2001年)は大きく利用していますが、残念ながら非常にシャドウィな雑誌に載った僕のガッサンディ論文(2003年)を知らないようなので早速にも抜き刷りを送ることにしました。しかしですね、ライプニッツ学者の最前線もついにゼンネルトに関心を持つに至った訳です。リチェティシェキウスにも言及しています、この人は。やっと哲学の世界でもデカルト直前の辺り、つまり16世紀末から17世紀初頭がホット・ポイントとなってきているようです。こうして、10年後20年後の真に革新的な研究のメイン・ストリームは出来上がって行くのです。> ゼンネルト熱がムラムラと高まってきました。2月にあるゲマ会議のことを放り出して、走ってしまいそうです。イカン、イカン。ゼンネルト研究は、会議が終わってから5月にかけて行います。

 

 

2006. 9. 11

  最近はライプニッツ学者の最先端の人たちも、ようやくゼンネルト重要さに気づいてきたようですが、僕に言わせれば、まだまだ序の口です。彼を中心テーマにすえた国際会議の開催が求められている時期ではないでしょうか?そういう気がするのです。そういう機運がさらに高まるのを待っている間に僕としては、2冊目の著作のゼンネルトの章に当てるために、5月を目処に彼の自然発生の議論にアタックするつもりです。

 

 

2006. 9. 8

   ビル(ニューマン)も引いているゼンネルトに関するカッシーノ論集に入っている論文「霊魂の粒子:ダニエル・ゼンネルトの原子論の医学的・ルター派的な背景Michel Stolberg, “Particles of the Soul: The Medical and Lutheran Context of Daniel Sennert’s Atomism,” Medicina nei Secoli 15 (2003), 177-203 は、発表を聞いたときとは全く異なるかなり深い出来となっていることを悟りました。さっそく、シェキウス論文へフィード・バックしないといけません。これで、シェキウスの理論がルター派神学ではないことが確信できました。気合の入った論文で、17世紀前半の英国やドイツの霊魂論を知りたい人には是非とも一読をお勧めします。

 

 

2006. 9. 7

  だんだんゼンネルトを本格的にアタックしたい気持ちが強くなってきました。狙い目はもちろん自然発生の問題と発生論です。前者はリチェティの流れから、後者はシェキウスの流れから、という具合に2つの潮流が合流する地点となるからです。一応、今後の予定的には来年の5月に自然発生について発表する機会が来るかと思います。

 

 

2006. 9. 6

   ギドに昨日送ってもらったコメニウスにおける形成的精気 Spiritus Plasticus の概念に関する論文を早速のところ読んでみました。非常に短いながら、ゼンネルトアルシュテッドコメニウスといったプロテスタント思想家のつながりが良く見えます。これがケンブリッジのプラトン主義者たちやボイルの議論にまで流れて行くのだと思います。彼らは皆、ルネサンスのキミアに大きく影響を受けているようですが、さらにその一つ前の段階としてキミアの影響を殆ど受けていないシェキウスが存在することになります。そうです、背景が良く見えてきました。> ギドに、シェキウス論文の原稿を見せたい&コメントしてくれないかと頼んだら、1分もしないうちに即答で是非見せてくれと言われました。分かる人には分かるのです。

 

 

2006. 8. 27

  ここのところ個人的には非常に満足できる仕事をしていると思っているのですが、僕の2冊目レオニチェノもう一人のガレノスシェキウスと、そうそうたる入魂作が並び、少し引いて冷静な目で客観的に見ても、ground-breaking なものになるだろうと感じています。ただし今回は遠大なものにせず、あと2〜3年内には出せるくらいの分量に押さえたいと思います。あまりに大部だと必要な労力も並大抵ではありませんが、それよりも何よりも、執筆、版組、出版という全てのプロセスで時間ばかりがかかり、良くありません。ま、本文150+文献表と索引で、全体で200頁以内くらいがちょうど良いのではないでしょうか?リチェティキルヒャー、これから書くゲマ論をカウントとすると、既に140頁前後にはなるかと思います。あとは、まだ具体的なことは何も決めていないのですが、次にゼンネルトにでもついて書ければ、それで良いのかも知れません。

 

 

2006. 5. 30

  クリストフからメールがあり、先週月曜日のリールのセミナーに僕が来なかったことは、非常に残念だったと言われてしまいました。ごめんなさい。何でも、彼の話の1セクションは僕の本を読んだところから来たゼンネルトの原子論に関する一連の質問から成り立っていて、ディスカッションで大いに盛り上がるはずだったのに… ということです。課せられた学問的使命を果たさなかったということになりますね。すいません、反省しています。

 

 

ごくごく個人的なアウトプット