New Paracelsus Lounge
 
パラケルスス研究のラウンジ
  
  
 
その4
 
 最近の研究動向
 
 
イタリア語圏
 
Paracelsica Italiana
 
 
   伝統的には、それほどパラケルススに関する学術研究の分野での目立った貢献があったわけではありませんが、その状況も1980年代後半から大きく変わってきています。ドイツ中心主義に人は、ご用心を!パラケルスス研究も、ドイツ語だけできれば良いという時代はとっくに終わっています。 Julius Paulus のパラケルスス文献表(1996年)に記録されているイタリアにおけるパラケルススの著作の翻訳活動は、以下のようになります。
   
  ちなみに、以上の12の書物の中で、M. L. Bianchi 氏は、1、4、5,12しかカウントしていません。それ以外のものは、やはりエソテリスム趣味の偽パラケルスス文書に過ぎないからだと思います。従って、パラケルススの思想を知る上で大事な著作の中では、『パラグラヌム』と 『惑える医師たちの迷宮』、そして『七つの自己弁明』が、イタリア語圏の読者に特に与えられていると言えるでしょう。

  パラケルススを扱った総合的な著作は、60年代から見れば、以下のようになります。
 

 
  以上の作品が記録されていますが、mago と付くのは、みな売りのための文句でありエソテリスム趣味の文献です。比較的に大部の Franz Hartmann の著作は、1980年にドイツで出されたヘルメス主義的オカルト思想の業書の一つです。本当の意味で学術的な動きは、ルネサンス期のオカルト思想の学術的歴史の研究家である G.ザニエ氏の著作から始まります。といっても100ページ余りの小品です。次に重要なのは、パーゲルの『パラケルスス』の翻訳でしょう。フランスが1963年でしたから、26年遅れで紹介されたことになります。そして、今現在一番活発にパラケルススの研究で論文を発表しつづけているのが、M. L. ビアンキ氏です。また、同氏は、イタリアで今まで最も読まれているパラケルススの著作『パラグラヌム』の Sudhoff のドイツ語版のコンピュ−タ解析による詳細なインデックス Lessico del Paragranum di Theophrast von Hohenheim detto Paracelsus - I  : Indici. (Lessico intellettuale europeo, 47), Ateneo, Rome, 1988 も出しています。
 
    以上のような流れを踏まえた上で考慮した時、ある意味でイタリアにおけるパラケルスス研究の一大分岐点となったのは、1993年12月にローマのゲーテ学院(Goethe Institut)で行われたイタリア及びドイツの精鋭研究者を一堂に集めた記念すべきパラケルスス国際シンポジウムです。その模様は、論集として出版されました。   
  
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