キルヒャー研究


 


 

 

アタナシウス・キルヒャーにおける天地創造のキミア的解釈と生命の粒子的な起源

Interprétation chymique de la création et origine corpusculaire de la vie chez Athanasius Kircher

 

Annals of Science 64 (2007), 217-234 に掲載

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                                          1.   イントロダクション  Introduction

                                          2.   種子の理論と『創世記』のキミア的解釈  Concept de semence et interprétation chymique de la Genèse

2-1.  カオス的質料、パンスペルミア、普遍的種子  Matière chaotique, panspermie et semence universelle

                                          2-2.  三原質とパラケルスス主義の影響  Les trois principes et l’influence du paracelsisme

                                          2-3.  自然の塩、アイテール的な火、「神的なるもの」  Sel de la Nature, feu éthéré et « to theion »

                                          2-4.  形成力  La vertu plastique

                                          3.    自然発生の問題  Le problème de la génération spontanée

                                          3-1.  生物の体から落ちた種子  La semence séparée du corps des vivants

                                          3-2.  物質的霊魂と生命の粒子  L’âme matérielle et les corpuscules de la vie

                                          3-3.  自然発生は真に自然発生か?  La génération spontanée est-elle vraiment spontanée ?

                                   4.   キルヒャーのソースについて  Bref coup d’œil sur la source de Kircher

 

 

この論文の日本語版がキンドルで読めるようになりました > キンドル版

 

 

 

簡略英語版

 

“Athanasius Kircher’s Chymical Interpretation of the Creation and Spontaneous Generation”

in Chymists and Chymistry: Studies in the History of Alchemy and Early Modern Chemistry, ed. Lawrence M. Principe,

(New York: Science History Publications, 2007), 77-87.

Lawrence Principe 編集のフィラデルフィア国際会議の論集に所収。

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メイキング風景

 

2012. 4. 1

  明日はメルマガの第2回の配信です。キルヒャー論文の後半をお届けします。日本時間の21時過ぎということです。楽しみにして、お待ちください。

 

 

2012. 3. 31

  メルマガ用に、好評のキルヒャー論文の後半をドロップしました。配信は4月2日21時ごろの予定です。乞うご期待!> メルマガに登録するには迷いがあるという人のために、バックナンバー単発でも入手できるようです。

 

 

2012. 3. 30

  午後は、もうすぐ好評の専用メルマガ BH のココロ』に投下する予定のキルヒャー論文の後半を推敲しなおしました。もう大丈夫だと思います。

 

 

2012. 3. 25

  さて、明日から始まる週には、水曜日に古巣ゲントで行われているチャールズ(ウォルフ)のセミナーで、僕の第2著作お披露目をおこないます。それから、好評いただいているメルマガ『BHのココロ』にために邦語版キルヒャー論文の後半を準備しないといけません。旅行中に空き時間をみつけては、ぼちぼち始めていたのですが、本腰を入れます。

 

 

2012. 3. 5

  おかげさまで、メルマガの創刊号は好調です。ありがとうございます。創刊号に収録された大好評の邦語版キルヒャー論文が読みたいけれど、まだまだメルマガに登録する決心がつかないという人のために特別な方法を用意しました。BH にサポートを送ってくだされば、キルヒャー論文をお送りします。> 早速にも、東京の O さんからサポートをいただきました。ふかく感謝いたします。

 

  今週は忙しくなるし、16日から1週間ほどアメリカに行くので、なんとも約束できないのですが、できれば号外としてキルヒャー論文の後半を今月中にドロップするための準備をしたいと思います。

 

 

2012. 3. 1

  ついに、邦語版キルヒャー論文の前半を投入したメルマガ『BHのココロ』の創刊号を発行しました。日本時間で3月2日の午前零時20に配信される予定です。ということは、あと少しでしょう。乞う、ご期待!> 皆さん、届きましたか?スパム・メールと勘違いされて、フィルターに引っかかってしまうことがあるようですので、ご注意ください。

 

 

2012. 2. 27

  あと数日でスタートするメルマガ『BHのココロ』の創刊号に投下する邦語版のキルヒャー論文の微調整を行っています。

 

 

2012. 2. 25

  3月になりますので、ファン待望のメルマガ BHのココロ』 の創刊号の準備をおこないたいと思います。ウォーム・アップの企画として、伝説的なキルヒャー論文の邦語版をお届けします。この論文は、僕の作品のなかではとても人気のあるのですが、ロング・ヴァージョンは仏語でのみ発表されているということもあり、読みたいけれど手が届かないとの声を聞きます。それがついに皆さんの手元に届けられるのです。最終的な細部の微調整をおこないますので、投下まで数日ください。

 

 

2012. 1. 1

  フロリダで迎える元旦です。サンサンと降りそそぐ太陽にジリジリと焼かれつつ、ひとりきりで大きなプールにプカプカ浮かびながら、いろいろなことを考えました。そして、ひとつの答えが見つかりました。それは、今年は専用メルマガを始めるということです。この BH 日記そのものを完全に移行してクローズドにすることも考えましたが、それよりはむしろ、これまでの僕の作品群からファンの皆さまの希望の多いものを邦訳して連載するという方向で検討しています。そうです、あのフィチーノ論文も、キルヒャー論文も、そして僕の第1著作の『ルネサンスの種子の理論』も、もっと気軽に読むことが出来るようになるのです。なんと、それだけではありません。あまりに過激すぎて、この日記上で発表できず、お蔵入りになった秘密の過去ログも、惜しみなくドンドン放出していきます。今年14年目を迎える BH が長年のファンの皆さまに捧げるビッグなお年玉です。

 

 

 

仏語版と英語版の出版まで

 

2007. 8. 19

  おお!僕のキルヒャー論文の英語版も収録されているフィラデルフィア会議の論集がついに発売されたようです。『キミストとキミア:錬金術と初期近代化学Lawrence M. Principe (ed.), Chymists and Chymistry: Studies in the History of Alchemy and Early Modern Chemistry, New York, Science History Publications, 2007 というタイトルになっています。キミア研究の世界の最前線が詰まっているメモリアルな一冊です。この夏の一冊をまだ決めてない人&全てのBHファンは、是非とも入手して下さい! 午後には、僕のところにも、速達で現物が送られて来ました。僕のキルヒャー論文は77-87頁で、ビルの論考の直前に収録されています。

 

 

 

2007. 5. 19

  昨夜9時過ぎにアメリカはボルチモアのラリーから、フィラデルフィア会議の国際論集ための英語版キルヒャー論文の校正刷りが届きました。5月末までに戻さないといけません。校正刷りなどが来るたびに興奮するのですが、これは消防士の緊急出動のようなもので、最近はこの緊張感を味わうだけのために生きている気がします。ちなみに僕の論文は7となっています。ラッキーです。しかしですね、これはあのアレン(ディーバス)の不朽の記念碑『ケミカル・フィロソフィ』(邦題『近代錬金術の歴史』)と同じニューヨークの出版社なので、全く同じ活字ですよ。う〜ん、感動的です。まだまだ駆け出しの学生だったときに穴があくほど読み込んだあの名作と同じ版組みですよ。ホロホロとがこぼれます。フィラデルフィアに行って本当に良かったです。この論文をアレンに捧げるのも、僕にとっては全くの自然な成り行きなのです。> 校正も超スピードで終わりました。修正は既に出版された論文&もうすぐ出版されるレオニチェノ論文の頁打ちを入れる3か所だけです。クリストフに後者の頁打ちを問い合わせるメールを送りました。彼なら、2週間後に出る ESM 誌の最新号の頁打ちをもう知っているはずです。

 

 

2007. 3. 28

   仏語版キルヒャー論文の入った Annals of Science 誌の最新号(20074月)は、今日正式に発刊されたようです。早かったですね。この間のギリシア語の修正が時間的にギリギリであったことが分かります。しかし、長かったですね。ウォーバーグ研究所での国際会議が行われたのが200310です。その直後に一時帰国した時のBHミーティングで、日本語版も発表しています。それから考えると3年半が経っている訳ですよ。僕の2冊目の著作の第2部をカヴァーする一連の研究は、この論文が発端だった訳です。

 

 

2007. 3. 27

  仏語版キルヒャー論文の掲載される Annals of Science 誌の最新号(20074月)は、ついに印刷に入ったようです。印刷機から出て配布されるのはいつになるのでしょうか?非常に楽しみです。ギリシア語の問題は完ぺきではありません(英語圏の普通の学術出版社って、そんなものなのでしょう)が、許しましょう。その辺は、ブリル書店の方がしっかりしています。> どういうことかは分りませんが、Annals of Science 誌の寄稿者となったので、1936年の創刊号から最新号までの全ての内容のPDFファイルにアクセスが出来るようになりました。これは、スゴイや。

 

  取りあえず、キルヒャー論文のPDF版を世界中に配りまくっています。ビルからすぐに返事があり、リチェティについてさらに何か書くつもりはあるか?彼は非常に面白そうだ、と言って来ました。ふふん。やはり、ビル嗅覚は鋭い。そういうものを敏感に見抜く力は、クリストフアントニオよりも数段上かも知れません。すかさず、うん、いま僕の2冊目の本を書き終わろうとしているのだけれど、その最終章はゼンネルトリチェティについてで、昨日のリール会議でアントニオの前で発表したよと返事をしました。リアクションを待ちます。

 

 

2007. 3. 16

  キルヒャー論文の校正指示をフィードバックしたPDFが送り返されてきました。まだギリシア語のアクセントの問題が残っていますが、それはもう一度ケアしてくれるそうです。それ以外は問題ないようです。頁打ちは、217-234 ということになりそうです。しかしですね、4月号なのに、この段階でこういうことをしているということは、僕が連絡するまで作業を忘れていたということでしょう。うん、ヨーロッパでは良くあることです。黙っているものは、泣きを見るのです。

 

 

2007. 2. 2

  あまりこだわるつもりはないのですが、キルヒャー論文の欄外上に編集社がつけたショート・タイトルが、「アタナシウス・キルヒャーにおける生命La vie chez Anathasius Kircher となっているのはどういうものかな?と気になっています。「キルヒャーにおける創造と自然発生Création et génération spontanée chez Kircher かの方が当たっているような気がするのです。もう校正指示を提出してしまった後なので、変更することは可能か分りません。> とりあえず、校正指示を受け取ったか&問題ないかどうかを問い合せるメールを送りました。> 受け取りの返事が来ました。問題があったら、知らせてくれるということです。

 

 

2007. 2. 1

  昨日送り出したキルヒャー論文の校正指示の受け取りは、まだ来ません。どうなっているか、気になります。もう少し待ってから、担当のジムにメールを出して聞いてみましょう。

 

 

2007. 1. 31

  わっ!何だ。たった2日しか経ってないのに、夕方になって、もうキルヒャー論文の校正刷りが出来たという知らせが来ました。驚くべき超特急です。直しの方も、2月8日までにしないといけません。2月はスゴイ月になりそうです。> 予想していた通りのギリシア語のアクセント以外は、それほど問題がなく、校正も2時間ほどの特急で終わりました。校正刷りの出来が良い程、校正指示の煩雑さは小さくなります。なかなか素晴らしい仕事をする出版社だと思います。> しかし!この出版社は、抜き刷50部注文すると3万円もとるという、後にも先にも聞いたことのないケチな面も持っています。抜き刷の注文は諦めて、コピーを配ることにします。

 

 

2007. 1. 29

  夕方になってオックスフォードの出版社 Taylor & Francis 書店からメールが来ました。Annals of Science 誌に掲載予定のキルヒャー論文が版組に入ったという知らせでした。どうやら、7月号ではなく4月号に入る予定のようです。この非常に進んでいる出版社には、版組の状況の進み具合をオンラインで著者が確認できるキャッツ・アイというシステムがあり、僕の名前のアカウントを作ったという知らせでした。う〜む、世の中、先には先があるものです。とにかく、早いところ契約書にサインして送り返さないといけません。契約内容では、著者自身も他国語版を勝手に作ることを禁止されます。結構、厳しいですね。キルヒャー論文の場合、英語版は全く同じものではないので何とかなるでしょう。それから、校正刷りを受け取るタイミングは3週間後のようです。つまり、ゲマ会議の直前ということになります。ちょっと、つらいかも知れません。

 

 

2007. 1. 26

  おお、Annals of Science 誌の編集部から連絡があり、これから特急でキルヒャー論文の版組みに入るので、ことが上手く運べば4月号、そうでなければ7月号に掲載されるということです。4月号の場合は、校正刷りが2月末までには届くそうです。

 

 

2007. 1. 22

  夜には、仏語版のキルヒャー論文の修正校をカナダにある Annals of Science 誌の編集部に送り出しました。単に人為的なミスで投稿の受け取りから審査までは時間がかかりましたが、次の版組出版の行程こそはスムーズに進むことを期待します。これで、現在のところ審査中の論文はなくなりました。編集段階で遅いものも多いですが、論集よりも雑誌は早く進むかと思われます。

 

 

2007. 1. 19

  仏語版のキルヒャー論文の二つ目の審査評が来ました。幾つか細かい点の指摘はありますが、Annals of Science 誌の審査は通りました。これで A1 雑誌論文となります。週明けにでも、微調整したものを送り出したいと思います。ちょっとだけ審査評を引用します:

 

I found the essay to be an important and original contribution, and recommend that Annals of Science publish it. The article does an excellent job […].

 

 

2007. 1. 18

   ラリーからキルヒャー論文の英語の直しが帰ってきました。彼がマークを付けたのは4箇所だけです。ちょっと修正の少なさに驚いています。4箇所だけなので、すぐに確認して速攻で送り返しました。1月末までにということなので余裕です。我ながらマーヴェラスなスピードです。この論文は、僕のアメリカ進出の第一弾となります。ラリーの言葉を引用します:

 

              “Thank you for providing so excellent a paper, and for following the editorial guidelines so well !”

 

ま、これがプロの仕事ですね。こうなったら、パラケルスス論文もいつまでも寝かせていないで、さっさと投稿してしまおうと思います。

 

 

2007. 1. 12

  僕としては初めてのA1ランクとなる雑誌 Annals of Science  誌に投稿していたキルヒャー論文ですが、審査員一人からの審査評が、やっとのことで帰ってきました。ま、問題なしです。来週には、もう一方も来るということです。編集長の話では、問題がないようなので、その後すみやかに版組みの段階に入れそうだということです。しかし、7月に投稿して、夏休みの2ヶ月間忘れられるという目にあい、かなり時間がかかりました。今年の前半中には出版されることを祈ります。> 審査評を少し引用します:

 

The article “Interprétation chymique de la création corpusculaire de  la vie chez Athanasius Kircher” is worth being published. It has the merit of placing Kircher’s contribution to seventeenth-century natural philosophy within a rich context of sources and influences, all of them meticulously detailed. The author demonstrates to know the subject he/she is dealing with competently and confidently and he/she is able to establish connections and cross-references among various research fields. He/she is at his/her best when describing the world of Paracelsian medicine and mineralogy and its influences on Kircher.

 

 

2006. 12. 4

   フィラデルフィア会議からの国際論集へ寄稿予定の英語版キルヒャー論文ですが、「まだ締め切りまでには1ヶ月近くあるけれど、もう準備OKだと思うので原稿を送れるので、どうしたら良い?」とラリーに聞いてみました。いつものように、ずっとキープしていじり続けるもの良いのですけれど、今回はスパッと提出してしまいたい気持ちなのです。

 

 

2006. 12. 3

   もう一度、英語版キルヒャー論文の細部を微調整しました。まだ締切日には時間がありますが、一時帰国の直前ですので、もうすぐラリーに送り出してしまおうと思います。僕のフィチーノ論文が今でもルネサンス思想研究の世界にとってそうであるように、この一本が英語しか読まないキミア史に興味ある人たちへの僕の作品世界へのショーケースとなる訳ですのでドカンと行きたいところですが、紙幅に限りもありますし、スマートにまとめたもので満足したいと思います。

 

 

2006. 12. 2

  何となくですが、気分的にはカッシーノ会議行きの迫った12月のことを良く思い浮かべる今日この頃です。ああ、もう6年前にもなるのですね。しかし、年末のメインの仕事であった英語版キルヒャー論文を終わらせることが出来て、ホッとしています。> もちろん、フィラデルフィア会議の発表時にも言ったように、英語版キルヒャー論文はアレン(ディーバス)に捧げます。To Allen と一言だけ題字のタイトルの下に入れる予定です。

 

 

2006. 11. 29

  今日は午前中から、英語版キルヒャー論文の仕上げ作業を行いました。これまでなかなか集中できなかった理由の一つに、マシンの空冷ファンがブンブンいう音が異常に大きすぎて気が散るというのがありますが、午前中は何とか乗り切りました。ご飯を食べて買い物を済ませた午後も、同じように集中できることを祈ります。

 

   英語版キルヒャー論文も、だいぶ出来てきたので、ここら辺りで一度読んでくれる人を募集します。5000語(約8枚)と普通の論文(約17枚)よりは、ずっと短めです。遠慮なく連絡ください。

 

 

2006. 11. 24

  ゲントの行き帰りの電車の中で、ついに英語版キルヒャー論文の仕上げ作業を開始しました。基本的には、フィラデルフィア会議での読み原稿の書式を整理して注を付ければ良い訳ですが、なかなか手をつけることが出来ないでいました。よりによって電車に乗っている時に始める気になるというのも変な話です。

 

 

2006. 10. 4

  フィラデルフィア会議の論集の話が来ました。出版社はアレン(ディーバス)の本を幾つも出している Science History Publications 出版です。原稿の締め切りは2007元旦ということです。いや、めでたい締切日と申しましょうか、何と言いましょうか。論集自体の出版は2007年末を予定しているようです。僕としては、仏語版を Annals of Science 誌に既に投稿済みですので、英語版は気楽に片がつくと思います。リミットは5000と短めですが、要点を絞れば何とかなると思います。> 僕のOKのメールに対して数分で返事が来ました。これで決まりです。BHのワールド・ワイドな展開が続きます。

 

  今確認したところ、英語版のキルヒャー論文の読み原稿のテクストだけで3200あります。これにを加えただけで自然と5000語程度になるのではないでしょうか?基本的には、僕の本以降の仕事を見せるショーケースですから、できるかぎりの新作情報は入れたいと思います。これなら、パリ会議後の数週間で片がつくと思いますので、元旦という早い締め切りでも大丈夫でしょう。> 以前にも書きましたが、僕が博論を書いていたときに持っていたは、将来アントニオラリーの名が連なる国際論集に彼らの作品と肩を並べる、あるいは凌駕する自分の作品を載せることでしたから、今回アントニオはいませんが、夢の一部を達成することになります。マーヴェラス!あ〜、フィラデルフィアに行って良かった。

 

 

2006. 9. 15

  よくよく考えないまでも、Lawrence Principe 編集によって、例えばシカゴ大学出版から出される William Newman も寄稿している錬金術に関する英語による国際論集というだけで絶対買いだ!といえるほどスゴイことなのですが、そこに僕のキャッチーなキルヒャー論文の英語版が入るということはとんでもないことではないでしょうか?博論を書いている頃は、日々そのような状況を夢見て黙々と研究の日々を送っていた訳ですが、ついに夢が実現する直前にまで来ている感じです。良いなあ〜。

 

 

2006. 9. 14

  う〜ん、キルヒャー論文の方は、やはり夏休みのブラック・ホールに入っていたようで、ちゃんと秘書さんから編集担当に渡ったのかどうかを問い合わせた僕のメールでやっと気がついたようで、これから急いで審査の遅れを回復するために全力を尽くすといっておられます。とほほ&お願いいたします。確認を促すメールを送っておいて良かったです。送っていなかったら、何ヶ月も忘れられていたかも知れません。今回の教訓としては、長い休み直前に投稿するのは危険度大ということです。休みが終わって皆が帰って来た頃に出すのが、確実だと思います。休みの前に出したって、しっかり受け取ってもらったとしても、レフェリーが留守にしているようでは、結局ことは進まないのですから。

 

 

2006. 7. 19

  朝に最初のホテルを引き払い、会議の主催者が用意したホテルに引っ越ししました。部屋の中にインターネットのLANケーブルがあり、ジャックに差し込むだけで、無料でネットをサーフィンできます。ああ、何と快適なのでしょう。日本では今は当たり前なのかもしれませんが、欧州ではまだまだですし、アメリカでも、これまでのところにはありませんでした。世の中の全てのホテルが、こうあって欲しいものです。驚いたのは、この1週間で約750を越すゴミ・メールが来ていることです。でも、大事なものが2〜3通ありました。なかでも、アメリカに来る前に Annals of Science 誌に投稿したキルヒャー論文の受け取り通知が来ていました。これで、少し安心です。

 

2006. 7. 11

  ついに、キルヒャー論文を Annals of Science 誌に投稿しました。初見だからとバカにされないように、細心の注意を払って投稿規程の書式を尊重したつもりです。実質上、世の中は夏休みに入ってしまっているので、審査には時間がかかるかも知れませんね。

 

2006. 7. 2

   金曜日にゲントに行ったときに、新ボスに次の論文は何か聞かれ、もうすぐ Annals of Science 誌に投稿するキルヒャー論文ですと答えておいたので、今日は原稿を ISIS 誌に出た僕の本の書評と一緒にメールで新ボスに送りました。> Bravissimo ! という返事が返ってきました。他愛ないことなのですが、新ボスに褒められると非常に嬉しいです。

 

2006. 6. 22

  来週火曜日のフェットの計画を練ることで一日が終わるかと思っていましたが、何とかキルヒャー論文の最終的な見直しを終了しました。もう、これでよしとしましょう。未練がましく何度もいじっていないで、ドカンと投稿しようと思います。

 

2006. 6. 21

  投稿する前にもう一度だけ読み直しておこうと思っていたキルヒャー論文ですが、月曜に読み始めて、途中で一昨日・昨日といろいろなことがあり中断していました。今日こそは作業を再開し、今週中には投稿したいと思います。

 

2006. 6. 16

  やっと少し落ち着いてキルヒャー論文の書式変更の作業に戻って来れました。おそらくこれで大丈夫だと思います。レジメは200字と言われているので、僕のは少し短い気もしますが、そろそろ Annals of Science 誌に投稿したいと思います。送り先はカナダですね。> ちなみに、SKMT君に取ってもらったサンプル論文は、3月に受理、7月に査読後の再提出、11月号に掲載というタイムスケジュールとなっています。夏休みを挟みますから、どうなるか分かりませんが、単純計算ですと6月受理、10月に再提出、1月号に掲載という感じでしょうか?1月号というのはないので3月号でしょう。年越しですな。

 

2006. 6. 13

  2週間前まで最高気温15というのような天候だったのですが、先週半ばから急にになり、今日はついに30を越しています。こう、急激に暑くなると体はついていけません。というか、気持ちの方でしょうか、なかなか何も手につきません。旅の準備など、いろいろとしないといけないことは多いのですが。キルヒャー論文のレジュメを書かないといけないのですが、それも出来ていません。> 少し涼しくなったところで、書いてみました。まだ納得の行くものではないのですが、お見せします。こんな感じになりますが、いかがでしょうか?

  

Le célèbre père jésuite Athanasius Kircher tentait d’interpréter la Création du monde et d’expliquer l’origine de la vie dans le dernier livre de son encyclopédie géocosmique, Mundus subterraneus (Amsterdam, 1664-1665). Son interprétation dépendait largement du ‘concept de semence’ qui provenait de la tradition de la philosophie chymique de la Renaissance. À travers cette tentative, Kircher développait notamment une théorie corpusculaire de la génération spontanée des êtres vivants. La présente étude examine cette théorie et sa relation avec l’interprétation chymique kirchérienne de la Création afin de la mettre dans son propre contexte historique et dévoile l’une de ses sources les plus importantes.

 

僕が日記上で機械的な逐語訳といってピンと来ない人がいるでしょうから、例を挙げますと、以下のようになります。一旦、しっかりした欧語の論述ストラクチャーが出来てしまえば、一語一語置き換えていっても、それなりの文章にはなります。

 

The famous Jesuit father Athanasius Kircher tried to interpret the Creation of the world and to explain the origin of life in the last book of his geocosmic encyclopedia, Mundus subterraneus (Amsterdam, 1664-1665). His interpretation largely depended upon the ‘concept of seeds’ which was derived from the tradition of Renaissance chemical philosophy. Through this tentative, Kircher namely developed a corpuscular theory for the spontaneous generation of living beings. The present study examines this theory and its relationship with Kircherian chymical interpretation of the Creation in order to place it in its own historical context and will uncover one of its most important sources.

 

最近凝っている伊語にすると、こんな感じでしょうか?

 

Il famoso padre gesuita Athanasius Kircher provava ad interpretare la Creazione del mondo e a spiegare l’origine della vita nell’ultimo libro della sua enciclopedia geocosmica, Mundus subterraneus (Amsterdam, 1664-1665). La sua interpretazione dipendeva largamente sul ‘concetto di seme’ che era derivato della tradizione della filosofia chimica del Rinascimento. Attraverso di questo tentativo, Kircher sviluppava una teoria corpuscolare della generazione spontanea dei vivi. Il presente studio esamina questa teoria e la sua relazione con l’interpretazione chimica kircheriana della Creazione allo scopo di rimetterla nel suo proprio contesto storico e svela una dei sue fonti più importanti.

 

まだまだ初心者ですので、足りないところは多いかと思います。それぞれの言語に詳しい人のリマークを大いに歓迎します。今回は、ドイツ語までするのはやめておきましょう。

 

2006. 6. 7

  昨晩は帰ってくるのが遅かったのに、朝の6時には眼が覚めてしまいました。そのおかげで、一日中、体のリズムが狂った感じで、何も出来ませんでした。とくに、キルヒャー論文のレジュメを書けなかったのは痛いです。

 

2006. 6. 6

  SKMT君に、最近 Annals of Science 誌に載った仏語の論文のPDFファイルを取ってもらいました。書式等の参考にしたいと思います。感謝。> 結局、午前中はキルヒャー論文の書式の修正に当てました。あとは英語のレジメを考えるだけです。

 

2006. 6. 5

  教えてもらった頁にある説明で、Annals of Science 誌のだいたいの投稿規程は分かりました。やはり、新しい編集体制になってからは、英語だけでなく学術メジャー言語の仏語独語も受け付けるようです。英語の要約をつけないといけないようですが、それ以外には完成しているキルヒャー論文の原稿を大きく変更しなければいけない箇所はないようです。特徴は、ダブル  ” ではなく、シングル  ’ のコーテーション記号を多用する点でしょうか?ま、何といっても最初の投稿ですので、編集側にあなどられないように完璧を目指しましょう。原稿は、メールに添付で送れば良いようです。今日は明日の伊語会話のテストのための準備をしようと思うので、水曜日に作業をしましょう。で、木曜日に投稿できれば完璧です。

 

2006. 6. 4

  キルヒャー論文を Annals of Science 誌に投稿するために、クリストフに誰か編集ボードに知り合いはいないか?と聞いたら、Brian Vickers 氏を紹介されました。で、早速にもメールを打ったのですが、今は留守中という自動メッセージが帰ってきました。> 返事が来ました。この頁へ行けと教えてもらいました。感謝です。

 

2006. 6. 1

  ついに、キルヒャー論文が完成しました。作業を始めたのが2003ですから、今回はずいぶん長くかかりました。あとは、Annales of Science 誌の投稿規程を調べて、書式の細かいところを調整するだけです。

 

2006. 5. 15

  やっとのことでリチェティ論文の仏語版も片付いたことですし、ずっと放り出してあるキルヒャー論文も、この際ですから完成させて、どこかの雑誌に早いところ投稿してしまうべきだろうと考えています。当初は、Revue d’histoire des sciences 誌を念頭においていたのですが、パラケルスス論文が近いうちに載る&出版作業の進行が非常に遅い(今は2年かかるという噂です)ということもあり、別の良いところはないか?と漠然と思っていたのですが、Annals of Science 誌が近年は仏語論文も載せるようになったので、そちらを狙ってみようかと考え始めました。これから投稿規程などを探りたいと思います。ま、英語に直しても良いのですが、どうせフィラデルフィア会議から出る国際論集に英語のショート・ヴァージョンが入ることになるでしょうから、ロング・ヴァージョンは仏語で通したいと思います。> 通して読みながら手を入れましたが、無駄は省いてありますし、リールのセミナー仲間のリュックに去年の段階でプルーフ・リーディングもしてもらっているので、スラスラと流れるように読めます。修正点は、1年分のブランクがあるので書誌データ関係のアップデートと、シェキウス論文やリチェティ論文を製作する過程で見えたことをフィードバックすることです。

 

  僕の悪い癖は、ディープかつマニアックに誰も分からないようなところ(それだからオリジナルなのですが)に突入していってしまう点なので、たまにボイルキルヒャーのようなビッグ・ネームを扱うと、周りの反応が違うことが良く分かります。オリジナルな研究を生み出すのは難しいでしょうが、手垢のついた有名人を扱っている方が万人ウケするということです。孤高のオリジナルをよしとするか、万人ウケをよしとするか、これは、もう好みの問題ですね。

 

 

*** 一年経過 ***

 

 

2005. 7. 18

夕方からは、先日リールのセミナー仲間のリュックがプルーフ・リーディングしてくれたキルヒャー論文の修正事項を確認しました。それほど大きな問題はありませんでした。もう少し注も修正した方がいい箇所が幾つかありますが、ほぼ完成に近づきました。

 

2005. 7. 6

  キルヒャー論文のプルーフ・リーディングしてもらったものが帰って来ました。明日以降に時間を見つけて修正事項を確認したいと思います。

 

2005. 6. 6

  週明けでちょっと心配しましたが、朝から5時まで集中でき、キルヒャー論文も、ほぼ完成となりました。次は、プルーフ・リーディングの段階に入ります。

 

2005. 6. 2

  今日も昨日に続いて、キルヒャー論文の推敲を行っています。だいぶ形になってきましたが、まだまだイマイチな部分もあります。さらに推敲を進める余地があります。

 

2005. 6. 1

  今日は日がな一日、キルヒャー論文の推敲作業を行っています。

 

2005. 5. 31

  今日から、ずっと長いこと放置してあったキルヒャー論文の作業を再開しました。2年前のBHのミーティングで聞いてもらったものは、ロンドンのウォーバーグ研究所で行われた国際会議での発表と同じく、短尺版をもとにしていたのですが、今回はそのもとになった長尺版の整備をしています。当時、推敲の途中から短尺版に移った手前、ロング・ヴァージョンの方は議論の不整備なところが、かなり多いのです。ラテン語のテクスト理解から、しっかり追い直して行かないといけません。

 

 

 


新たにか、種子からか:キルヒャーと自然発生の問題

“De novo” or “Ex Semine”: Kircher and the Problem of Spontaneous Generation

 

国際会議

初期近代ローマの科学文化

Scientific Culture in Early Modern Rome

ウォーバーグ研究所 (ロンドン)、20031011日発表

 

1.   イントロダクション  Introduction

2-1. 天地創造、カオス的質料、パンスペルミア  La Création, la matière chaotique et la panspermie

                                          2-2. 普遍的種子、三原質とパラケルスス主義  La semence universelle, les trois principes et le paracelsisme

                                          2-3. 自然の塩、アイテール的な火、「神的なるもの」  Le Sel de la Nature, le feu éthéré et « to theion »

                                          2-4. 形成力とキルヒャー的実験・観察  La vertu plastique, les expériences et observations kirchériennes

                                          2-5. 個別的種子と植物的霊魂  La semence particulière et l’âme végétative

                                          3.   自然発生の問題  Le problème de la génération spontanée

                                          3-1. 生物から落ちた種子  La semence séparée des vivants

                                          3-2. 物質的霊魂と生命の粒子  L’âme matérielle et les corpuscules de vie

                                   4.   キルヒャーのソースについて  Bref coup d’œil sur la source de Kircher

 

 

 

メイキング風景

 

2003. 10. 11

  なにぶんにも寝不足ですが、何とか8時に起きることができ、10時にはウォーバーグ研究所に着きました。ドア・オープンでは、オーガナイザーのマリア・ピアやアントニオ、ハルさんといった懐かしい顔に合いました。僕の番は、始めの2つの発表後のコーヒーブレイクの後です。セッション司会の Antonella Romano 氏はサンパチックな人でした。6枚中の最後の1枚を読み始めたところで、時間サインが出て、結論は駆け足になりましたが、発表は成功裏に終わったと思います。やっぱり、アントニオが一番関心を持ったようで、休み時間に直ぐに声をかけてくれました。キミア系でない人には難しかったかも知れません。会議の後、ポーラ・フィンドレン氏をつかまえて話をすることが出来ました。良かった良かった。他の人たちは、もともと3つの大きな参加グループ (ローマ勢、パリ勢、英米圏) があり、それぞれに分かれて散っていきました。彼らは、昨日の夕べを一緒に過ごしているので、互いに親しくなっているのでしょうが、僕は最後に転がり込んできたので、会議参加者と交流を深めるのには乗り遅れた感じです。でも、ま、きっちり自分の仕事をこなすことはできたので良しとしましょう。しかし、キャサリン・パーク氏は近寄りがたくて、気軽に声をかけられなかったですね。逆に、ナンシーさんとは、ヴェローナとロンドンの両方で一緒だったので、移動に関する共通の話題があったせいか、前よりもずっと親しく話が出来ました。旦那さんが日本人であることは以前に書きましたが、職業は画家だそうです。

 

  何はともあれ、僕にとっては今回の発表が英語圏でのデビューみたいなものですので、世界のトップレヴェルが集まる国際サーキットで、英語の原稿を書いて、読んで、質疑応答ができるという自信がつき、確かな一歩を印せたと思います。今回の発表を見たり、誰かを介して話を聞いた人が次の舞台へ声をかけてくれることを希望します。課題は、休み時間の社交がキチンとできることです。この辺まだ苦手なので、もっと向上させたいと思います(日本人社会ではデシャバリだと言われますが、どちらかというと人が話し掛けてくれるのを待つことの多い、国際舞台ではまだまだ内気な私です)

 

2003. 10. 10

  ナガ〜イ一日が終わりました。クレイジーな一日でした。何から書いて良いか分かりませんが、とにかく2日目の会場となったドゥモ横にある図書館はHABのメイン・ルームの雛形ではないか?という感じの初期近代の革張り本に囲まれた素晴らしい場所でした。僕の番は、最後から一つ前で大体5時ごろだったと思いますが、ライアン専用の空港バスがやはり存在するということが分かり、それがどこにどうやって着くのかばかりが気がかりでした。ともかくも、15分と決められた割には、皆45分も平気で話すので、僕の15分きっかりの発表は本当に短く感じました。ま、その前には、リンチェイ・アカデミーの国宝級 Vasoli 師の年齢を感じさせない流れるような発表があり、伊語の深みは分からない僕にとってはとても口惜しかったのですが、とにかくご挨拶だけはさせてもらいました。

 

  空港バスは、駅まで乗ったタクシーの運転手のお兄さんが、駅のまん前にある看板を示してくれました。そこで待つこと30分、やってきたバスに乗り込み無事に Brescia の空港に着きました。しかしそこからが大変でした。予定を1時間ばかり超過して到着した飛行機でロンドンに着いたのは12時過ぎで、空港列車の最終便に滑り込みセーフという感じで切符も買わずに乗り込み (車内で車掌からカードで買えました)、終点のターミナル駅であるリヴァプール・ストリート駅に着いた時は既に地下鉄も終わった午前2時前でした。タクシーに乗っても良いか聞いていなかったので、仕方なくホテルの一番近くに行くだろうと思われるナイトバスで、トッテンハム・コート通りまで行き、そこから歩いてホテルに着いた時は午前3時となっていました。ホテルの部屋は、ツインをシングルで借りている形で80ポンドと、これまで泊まった中では一番良いかも知れません。明日の朝は、10時開始なのでそれに間に合うように起きたいと思います。

 

2003. 10. 8 -10. 16

   「ただ今、ヴェローナでのフラカストロ国際会議とロンドンでの国際会議「初期近代ローマの科学文化」に参加するため留守にしています。16日の夜半には戻ってくる予定ですが、緊急の用件のある方は、ピ〜っという音の後にメッセージをお残し下さい。」

 

2003. 10. 6

  ラフに英訳したキルヒャー研究の読み原稿の細かいところをチェック。少々時間的に怪しくなってきましたが、何とかまとめたいと思います。

 

2003. 10. 4

  これからキルヒャー研究の読み原稿を英語化します。> 細かい点は除いて、一応通して出来ました。あと、1〜2日で細部に手を入れたいと思います。

 

2003. 9. 19

  一応、読み原稿は6頁で30に収まるようにしました。あとは仏語をチェックした後、英語に直します。これだと余計な時間がかかるように思うかも知れませんが、何度も言う通り、僕としてはより自由に操れる仏語で、ロジックなどを整えてから英語に直す方が、すっきり行きます。来週からは、フラカストロの原稿を書く作業を始めたいと思います。英語に直すのは、その後でも遅くないでしょう。今回のキルヒャー研究は、この英語での発表を下にしたショート・ヴァージョンと仏語のロング・ヴァージョンの2つを追々作成するつもりです。

 

2003. 9. 18

  論文としてほぼ出来上がったキルヒャー研究は、脚注を後ろに飛ばして、テクストだけにまとめてみると12ありました。これを25分で読める長さ (いつも言うように僕は仏語の場合、A4紙1枚を読むのに5分かかります) に縮めないといけません。午後の作業で、8頁にまでなりました。あと、3頁短くしないといけません。書いている本人としては、いろいろ思い込みがあるので切りたくないのですが、他人となったつもりで客観的に見て、蛇足な部分を思いっきりドライに切り捨てなければなりません。

 

2003. 9. 17

  キルヒャー研究は、ついに前半部と後半部をつなぎ合わせました。それほど議論の行き違いもなく、すんなり行ったと思います。結論にかえての短いソースの考察もほぼ出来ました。イントロを作って論文としては一旦完成とし、あとはドラスティックにハサミを入れながら時間内で読みきれる分量することです。今は、後のチェック用にラテン語のテクストを大量に入れたままで、雑誌論文のフォーマットにして30頁くらいありますが、それを半分くらいにしないといけないかも知れません。一昨日出した見出しを微調整しました。魅力的な内容とは思いませんか?

 

              1.   イントロダクション  Introduction

2-1. 天地創造、カオス的質料、パンスペルミア  La Création, la matière chaotique et la panspermie

              2-2. 三原質とパラケルスス主義の影響  Les trois principes et l’influence du paracelsisme

              2-3. 自然の塩、アイテール的な火、「神的なるもの」  Le Sel de la Nature, le feu éthéré et « to theion »

              2-4. 形成力とキルヒャー的実験・観察  La vertu plastique, les expériences et observations kirchériennes

              2-5. 個別的種子と植物的霊魂  La semence particulière et l’âme végétative

              3.   自然発生の問題  Le problème de la génération spontanée

              3-1. 生物から落ちた種子  La semence séparée des vivants

              3-2. 物質的霊魂と生命の粒子  L’âme matérielle et les corpuscules de vie

            4.   キルヒャーのソースについてのメモ  Bref coup d’œil sur la source de Kircher

 

  さて、イントロについても考えないと行けません。レディやボイル等の有名人の名前を絡めつつ、伝染病の発生や化石の形成、発酵の概念と密接に関連する自然発生の問題が、キルヒャーにとっていかに重要であり、しかも当時の学者たちに数々の論争を巻き起こさせる強力なインパクトがあったということを述べ、彼の『地下世界』における議論をケース・スタディとして、その後の研究の第一歩を印したい、という感じで持っていくつもりです。>まだ良く推敲していませんが、この線でまとめてみました。

 

2003. 9. 16

  キルヒャー研究の作業を継続しています。読み原稿は、別に作らないとダメかな?と思うようになりました。今日は結局、原稿の前半3分の2の部分の推敲を繰り返しました。明日は、再び後半3分の1に戻りたいと思います。

 

2003. 9. 15

  メールの返事や日記を書いたり、郵便局へ行ったり、買い物をしたりで、午前は終わりました。気分を入れ替えて、午後はキルヒャー研究に没頭したいと思います。>だいぶ形になってきました。夕方からは、幾つかの注目点に関して、僕のこれまでの仕事と絡めて、コメンタリーを入れています。まだイントロと結びは、まったく出来てませんが、だいたいの議論の内容は、以下の感じです。まだ細かい変更は入ります。

 

              1.   イントロダクション  Introduction

2-1. 天地創造、カオス的質料、パンスペルミア  La Création, la matière chaotique et la panspermie

              2-2. 三原質とパラケルスス主義の影響  Les trois principes et l’influence du paracelsisme

              2-3. 自然の塩、アイテール的な火、「神的なるもの」  Le Sel de la Nature, le feu éthéré et « to theion »

              2-4. 形成力とキルヒャー的実験・観察  La vertu plastique, les expériences et observations kirchériennes

              2-5. 個別的種子と植物的霊魂  La semence particulière et l’âme végétative

              3.   自然発生の問題  Le problème de la génération spontanée

              3-1. 普遍的種子と個別的種子  La semence universelle et la semence particulière

              3-2. 物質的霊魂と生命の粒子  L’âme matérielle et les corpuscules de vie

            4.   キルヒャーのソースについて  Bref coup d’œil sur la source de Kircher

 

2003. 9. 11

  キルヒャー研究は、後半の3分の1にあたる自然発生についての議論がほぼ出来てきました。粒子論による生命の起源の説明です。粒子論哲学が花盛りの時期に書かれた著作なので、ガッサンディボイル、その他の粒子論者のアイデアとの関係を探るうえでも、大事な展開だと思います。一先ずこの部分はここまでにしておいて、明日からは真中の部分をアタックしたいと思います。>ところで、結びで触れるつもりですが、キルヒャーの粒子論は、良く知られている1640年代以降の粒子論から取られたものではありません。それ以前の先行グループの中に彼のソースはあります。鋭い人は、ゼンネルトと思うかも知れませんが、違います。この辺りが、17世紀の粒子論に関心を持っている人には、目玉となるのかも知れません。ま、時間内に上手くまとめられるか分かりませんが、乞う、ご期待。

 

2003. 9. 10

  昨日の作業で、キルヒャー研究は、あと2日あればトピック別のシャッフルは終わりかな?というところまで来ました。そうしたら、推敲を重ねつつ、各留意点にコメンタリーを付けていきます。まだまだです。

  

2003. 9. 8

  前から漠然と考えていたことですが、キルヒャー研究を進めることで、次の5〜10年で何をすべきかが、だんだん見えてきました。まだ途方もなく曖昧としていますが、徐々に形を作っていきたいと思います。

 

2003. 9. 5

  この2〜3週間はいろいろ忙しかったです。というより、待ち時間や複数の並行作業のせいで、一つの仕事に集中できていないというのが真相です。特に、キルヒャー研究は遅れています。このままでは、フラカストロに割く時間がなくなってしまいます。> 分析することになっている部分のエッセンシャル・リーディングが、ラテン語テクストを含めて40ほどにまとまりました。議論を絞りつつ、トピックごとにシャッフルしていきたいと思います。

  

2003. 9. 3

  やっと昨日、キルヒャー研究で満足のいく進度を得ました。もう少しでテクスト再読が終わります。キルヒャーは同じ議論をいろいろな章で繰り返しつつ発展させるので、著者の議論の展開を地を這うように追っていく方法ではなくて、トピックごとに、かなりシャッフルする必要がありそうです。特に、以下のことを中心にまとめるつもりです。

 

              天地創造と万物の種子 (パンスペルミア)

              普遍種子と個別種子

              塩=硫黄=水銀蒸気とスピリトゥス

              種子的粒子の集合と生命の誕生

              物質的霊魂とスピリトゥス

             

2003. 9. 1

  午後は、いよいよお尻に火のついた感のあるキルヒャー研究に戻りました。まだ、原稿を書く段階には入っていません。う〜む、ヤバイです。

 

2003. 7. 17

  さて、キルヒャーのテクストは、一般論から個別論の色合いが大きくなってきたので、僕にとっては少し退屈で辛いです。しかし、僕の番が入っているセッション実験文化の絡みからだと、この辺りを良く見ておかないといけないのかな?という気もします。そういう縛りを気にしないで、ブットビに面白い話題でグイグイ責めてしまうという手もありますが。今の段階では何とも言えません。

 

2003. 7. 15

  調子が悪かったのか、集中力に欠けたのか、昨日読んだキルヒャーのテクストは意味を取るのが難しかったです。これまでずっとスラスラと来たので、不思議です。まだまだ修行が足りないですね。> キルヒャーは、かの有名な動物と植物の中間種 Zoophyte の他に、キノコ類を植物と鉱物の中間種とし、Geophyte と名づけています。普通は、Lithophyte というのが多いのですが、それとは微妙に違うオリジナルのネーミングです。> 今のところ、ロンドン会議に向けての頁をキルヒャーに当てているのですが、キルヒャー専用の頁を作って、そこからリンクを張る方が正しいと思うようになりました。後で時間があったら、そうしたいと思います。

 

2003. 7. 11

  昨日の発見の興奮も覚めやらない状態ですが、そちらに気をあまり取られないように、粛々とキルヒャーを読み続けています。今回の発表は、キルヒャーのソースよりも、実験文化の枠で彼をどうやって切るか?に重点があるので、そちらの手がかりを早く見つけたいと思います。

 

2003. 7. 10

  こつこつとキルヒャーを読む毎日です。> またロンドンにおけるような大発見をしたような気がします。おお!これは、すごい。センネルトキルヒャーを結ぶ、とてつもなく大きなミッシングリンクを掘り当てた感じです。

 

2003. 7. 9

  昨日から本格的にキルヒャーのテクストを読み始めました。序文から始めたら、かなり難しいラテン語なので、しまった!と思ったのですが、普通の論述に入ったら、それほど難しい文体ではありません。あ〜、良かった。慣れて、彼の文章のクセが分かれば、問題ないでしょう。> うはは、このテクストは非常に面白いリッチですよ。僕の本の延長線上ど真ん中といった感じです。

 

 

 

 

 

基本文献

 

キルヒャーの著作は図版が多いことから、世界各地で展覧会が行われ、そのカタログとしての本が出版されることが多いのですが、同じようなものが後を絶たないので、本質的に役に立つ文献の数は限られてきます。個別の研究論文には他にもマイナーなものが幾つかあるのですが、まとまったものを幾つかセレクトしました。

 

カタログ&図版集

 

Joslyne Godwin, Athanasius Kircher, London, 1979 [邦訳 キルヒャーの世界図鑑:よみがえる普遍の夢』、工作舎、1986].

 

Stadt Rastatt (ed.), Universale Bildung im Barock : Der gelehrte Athanasius Kircher, Karlsruhe, Badischen Landesbibliothek, 1981.

 

Brian Merrill & A. D. Larsen) (eds.), Athanasius Kircher (1602-1680) : Jesuit Scholar, Provo (Utah), Friends of the Brigham Young University Library, 1989.

 

Ingrid D. Rowland, The Ecstatic Journey : Athanasius Kircher in Baroque Rome, Chicago, University of Chicago Library, 2000.

 

Daniel Stolzenberg (ed.), The Great Art of Knowing: The Baroque Encyclopedia of Athanasius Kircher, Stanford, Stanford UP, 2001.

 

Iconismi et mirabilia da Athanasius Kircher, Roma, Enel, 1999.

Umberto Eco, “Perché Kircher ?,” pp. vii-xii なぜキルヒャーか

Eugenio Lo Sardo, “Le macchine cortigiane,” pp. 1-61 宮廷機械術

Roman Vlad, “Kircher sapiente musicologo,” pp.63-67 叡智的音楽学者キルヒャー 

Maurizio Sonnino, “Il Latino di Kircher,” pp.69-71. キルヒャーのラテン語

Iconismi (図版+本文伊語抄訳)

Ars magna lucis et umbrae, pp. 73-133.

De arte magnetica, pp. 135-159.

Musurgia universalis, pp. 161-200.

Phonurgia nova, pp. 201-225.

English version, pp. 227-278

 

 

モノグラフィと総合論集

 

P. Conor Reilly, Athanasius Kircher S.J. : Master of a Hundred Arts, 1602-1680, Rome, Edizioni del Mondo, 1974.

叢書 Studia Kircheriana の一冊目

 

Valerio Rivosecchi, Esotismo in Roma barocca : studi sul Padre Kircher, Roma, Bulzuni, 1982. 165pp.

 

Jose Alfredo Bach, Athanasius Kircher and his Method : A Study in the Relations of the Arts and Sciences in the Seventeenth Century (Ph. D. diss.), Univ. of Oklahoma, 1985.

 

Enciclopedismo in Roma barocca : Athanasius Kircher e il museo del Collegio Romano tra Wunderkammer e museo scientifico, Venezia, Marsilio, 1986. 376pp.

 

Martha R. Baldwin, Athanasius Kircher and the Magnetic Philosophy (Ph. D. diss.), Univ of Chicago, 1987.

    Introduction, pp. 1-

    The Society of Jesus, pp. 60-

    Kircher’s Magnetic Antecedents, 90-

    Magnetic Theory in Kircher’s Day, 138-

    Magnetic Astronomy, pp. 194-

    Magnetic Geography, pp. 244-

    Magnetic Botany, pp. 333-

    Magnetic Medicine, pp. 359-

    Tarantism, pp. 406-

    Magnetic Theology, pp. 453-

    Bibliography, pp.481-501

 

John E. Fletcher (ed.), Athanasius Kircher und seine Beziehungen zum gelehrten Europa seiner Zeit, Wiesbaden, Harrassowitz, 1988.

初の総合論集。独題ですが、英語論文多数。

 

Thomas Leinkauf, Mundus combinatus : Studien zur Structur der barocken Universalwissenschaft am Beispiel Athanasius Kirchers SJ. (1602-1680), Berlin, Akademie, 1993.

伝統的な哲学の立場からの総合研究。これがキルヒャーの思想世界を一番深く探っていると言えるのでは。

 

Paula Findlen (ed.), Athanasius Kircher : The Last Man Who Knew Everything, London, Routledge, 2003.  

出たてホヤホヤの最新論集。

 

 

研究論文

 

Harry Beal Torrey, “ Athanasius Kircher and the Progress of Medicine, ” Osiris, 5 (1938), pp. 246-275. 

 

John E. Fletcher, “ Medical Men and Medicine in the Correspondence of Athanasius Kircher, ” Janus, 56 (1969), pp. 259-277.

 

Gerhard F. Strasser, “ Spectaculum Vesuvii : Zu zwei neuentdeckten Handschriften von Athanasius Kircher mit seinen Illustrationsvorlagen, ” in Richard Brinkmann et al. (eds), Theatrum Europaeum : Festschrift für Elida Maria Szarota, Munich, Wilhelm Fink, 1982. pp. 363-384.

 

Luigi Belloni, “ Athanasius Kircher : Seine Mikroskopie, die Animalcula und die Pestwürmer, ” Medizinhistorisches Journal, 20 (1985), pp. 58-65.

 

Catherine Chevalley, “ L’Ars magna lucis et umbrae d’Athanasius Kircher : néoplatonisme, hermétisme et ‘nouvelle philosophie’, ” Baroque, 12 (1987), pp. 95-109.

 

Carlos Ziller Camenientki, “ L’extase interplanétaire d’Athanasius Kircher, ” Nuncius, 10 (1995), pp. 3-32.

 

Michael John Gorman, “ The Correspondence of Athanasius Kircher : The World of a Seventeenth Century Jesuit : An International Research Project,” Nuncius, 12 (1997), pp. 653-658.

 

Ralph H. Major,  “Athanasius Kircher,” Annals of Medical History, 3rd Series, 1 (1939), pp. 105-120.

 

Gerhard F. Strasser, “ Ein Polyhistor als Pathologe : Athanasius Kirchers Durchgründung der laidigen ansteckenden [...] Pestilentz, ” in P. Kröner et al. (eds), Ars medica : Verlorene Einheit der Medizin,  Stuutgart, G. Fischer, 1995, pp. 55-64.

 

Gerhard F. Strasser,  “ Science and Pseudoscience : Athanasius Kircher’s Mundus Subterraneus and his Scrvtinivm Pestis, ” in Gerhald S. Williams & Stephan K. Schindler (eds), Knowledge, Science, and Literature in Early Modern Germany, London, North Carolina Press, 1996, pp. 219-240.

 

 

 

地下世界の自然学

 

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