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ごくごく個人的な「本」日記

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20148

 

2014. 8. 31

  ガファレル論集に入れる図版とキャプションの調整をしています。月曜日は91ですので、イタリアは夏休みが終わります。セラ書店をふくめた多くの出版社も、明日から通常営業となります。論集の作業も、版組へと入っていくと思います。

 

  暑いさなかの先週土曜日に、学習院女子大学(GWC)でおこなわれた真夏の研究会の模様をつたえるヴィデオをあつめて、プレイ・リストをつくってみました。これは、計2時間にわたる知の饗宴の再現です。BHファンの皆さま、存分にお楽しみください。

 

  スプリンガー書店のオンライン版『ルネサンス哲学百科事典Encyclopedia of Renaissance Philosophy のために、菊地原君に依頼していた2本の原稿「徴の理論」と「梅毒」が来ました。締め切りどおりで、彼は仕事人であるなと再認識しました。これから僕が英訳しながら、必要ならば肉づけして投稿します。

 

  ところで、最終的には日本からは何人のルネサンス学者がこの百科事典のために記事を寄稿するでしょうか?これまでの本邦におけるルネサンス学の成果を見るうえでも興味があります。

 

 

2014. 8. 30

  これは以前からクニ君と話していることなのですが、国際会議に参加して20という短い時間で自分の研究を発表するという機会を経験している日本の研究者は多くないようで、そのなかなかでも、アーギュメントをつくることを身につけていない人が少なくないという問題があります。どうしても、「あれもある、これもある」というふうに、言いたいことを羅列するだけになります。それでは、結局のところ何が言いたいのか伝わらず、聴衆との対話がなりたちません。アーギュメントをつくることを効果的に意識してもらうにはどうしたら良いかを考えています。要するに、著作や論文、あるいは研究会での報告とは異なる作法で話を提示をしないといけないのだと思います。

 

 

2014. 8. 29

  昨日は帰ってきてから旅行の後片付けをし、そのあとは今夏におこなった学術イベントで撮りためた動画を編集して、ネットにアップする作業を続けました。国際シンポ「アリストテレス主義伝統とキリシタンの世紀」の11本、『知のミクロコスモス』記念イベント、そして真夏の研究会5本です。ちなみに、今日も時差ボケの感覚はほとんどありません。

 

 

2014. 8. 28

  フライト中は姿勢が不安定で首がつかれましたが、なんとか11時間中の9時間ほど眠れました。現地時間で、3過ぎに到着。眠れると楽です。荷物を受けとって、4。あと1時間ほどでパリ北駅行の始発電車が出ます。北駅から切符がとれたら、6時発の直通リェージュ行の新幹線に乗ろうと思います。上手くいけば、8時半には BH 本館に着きます。

 

  パリ市内に向かう電車が途中で止まってしまうアクシデントがありましたが、それでも540ごろに北駅に着きました。急いで自動券売機で新幹線の切符を買い、列車に飛び乗りました。先にオンラインで切符を買っておいた方が良かったかもしれません。とにかく、新幹線はスムーズで定刻どおり8にはリェージュに着きました。バスと歩きで、8時半にはBH本館に戻りました。

 

  その後の一日を過ごした感想ですが、羽田からの深夜フライトは、飛行機のなかで自然に眠れるので、起きたときには早朝3時ですがパリについているので、その後の一日が時差ボケをあまり感じずに過ごすことができます。なかなか良いかもしれません。

 

 

2014. 8. 27

  さあ、今日は羽田から22のフライトで出発です。羽田から国際線の出発は、今回が初めてです。浜松町からモノレールに乗っていこうと思ったのですが、大きな荷物をもって夕食をとるとなると品川駅の構内の方が良いだろうというアドヴァイスをいただきました。たしかに、その方針で行きたいと思います。16時ごろに家を出て品川に向かい、そこで食事をして、20時前に空港でチェックインという感じでしょうか。

 

  ちょっと足元がおぼつかないということで、母親が途中まで荷物を運ぶのを手伝ってくれることになりました。品川駅で一緒に食事をして、そこからはひとりで京急に乗りましたが、停電の影響でダイヤが大幅に乱れています。それでも、なんとか予定していた時間に羽田空港に着きました。遅い時間のフライトのせいか、チェックインはガラガラでスムーズでした。搭乗ロビーで待つことにしましたが、3時間も無料な WiFi があるのは嬉しいですね。

 

 

2014. 8. 26

  今日は今回の一時帰国の最後の日ですが、幾つかやり残している事務作業をしました。つよい雨が断続的に降ったので、ちょっと不便でした。明日の帰欧のためのフライトは22なので、カバンづくりは明日の日中にする予定です。

 

  夜に、トニー計画の序章について2時間ほど訳者の福西さんと今後の作業について話をしました。ご苦労さまでした。

 

 

2014. 8. 25

  今日は帰欧前の最後になる検診をうけて、トニー計画に関連する調べものをするために東大駒場の図書館に来ました。新しい建物になってから使うのは初めてです。あんがい簡単に片付いたので、お世話になった科哲の人たちに挨拶しようと思ったのですが、知っている人は誰もいません。それでも森脇君と住田君と合流して、お昼ご飯を食べに行きました。そのあとは、金曜から皆さんととり組んでいた作業の仕上げを院生部屋で行いました。夕方からは、むちゑさん、オルさまと新宿で寿司会です。これが今回の一時帰国の最後の行事となります。

 

 

2014. 8. 24

  昨日、ラリーの『科学革命』の邦訳版(丸善、2014年)を訳者の山田さんから頂戴したので、一気に読んでしまいました。これまでの幾多の伝統的なナラティヴから考えたら、かなり革命的な内容です。これを読んだ人々は、近代科学の誕生にたいして新しいイメージを描くようになるのでしょう。このイメージを紡いできた1990年代の運動の真っただ中で、自分は博論を書いていたのだなという感慨をえました。個人的には、自分はこのまたつぎのナラティヴを紡ぎださないといけない立場にいるのだと感じています。

 

  一点だけ気がついた点を。ラリーが採用する独特な用語 chymical の訳語に「キミストリー的」と当てていますが、連発される部分ではちょっとツライかなと思いました。この用語が専門家たちのあいだで使われ出した15年前くらいからいわれているように、「キミアの」とか「キミア的な」のほうがスムーズではないでしょうかね?好みの問題でしょうか?

 

  ガファレル論集用に、さらに小澤君とヨシ君がそれぞれ5千円の寄付をしてくれました。仲間たちに本当に感謝です。

 

 

2014. 8. 23

  さあ、今日の午後は、ついに JARS 主催の「真夏の研究会 ボッティチェッリからスピノザまで」です!今回は根占先生の秘蔵っ子愛美さんのデビュです。スペインの田邊さんも、駆けつけてきてくれました。一方の加藤ヨシ君は、傑作を披露すると意気込みタップリです。

 

  会場には12時半くらいに着いたでしょうか?もう何人か来ていました。レセプション用のボトルを冷蔵庫に入れて、パワポ用のプロジェクターを調整しました。愛美さんは人前では最初の発表のようですが、そう思わせないほど堂にいっていたと思います。アマデオ君はサーヴィス精神旺盛すぎて、前置きが長かった気がします。良いところで終わってしまったので、次回はもう少し本題に時間を割いた方がいいでしょう。田邊さんは1週間前に急に呼ばれたというハンデがありましたが、こなしてくれました。僕は引用をひとつパワポに入れ忘れるという大ポカをしました。申し訳なかったです。ヨシ君は傑作を発表するという孤高感があったので、次回は聴衆との対話をもう少し考えた方が良いかもしれません。

 

  持っていったシャンペンでレセプションをしたあとに、恒例の『茜どき』で打ち上げです。2次会はその向かいの地下、そしてタクシーで新宿3丁目に移動しての3次会でレモンチェロをいただき、カワゴエに帰るために皆さんとお別れしました。終電一本前でした。途中、話題の新版ダンテ『神曲』を出された原基晶さんと、二人きりでタクシー移動をさせていただきました。

 

  真夏の研究会の模様をつたえる関連ツイッターをまとめてみました。

 

 

2014. 8. 22

  今日は午前中、郵便局公民館と暑いなかを動き回りました。午後はなんとか集中して、明日のための原稿を仕上げました。前回は1分を300で多すぎましたので、今回は250でいきます。そのあとはパワポをつくりました。

 

気がつくと、編集者の手もとにあって出版待ちとなっている僕の論文が、いつのまにか7本になってました。人文学で出版待ちの英語の論文を7本も抱えている人ってどれくらいいるのでしょう?どれも論集に収録されるものなので、いつ出るのか分かりませんが、出るときには一時に来るというのが、これまでの経験からいえることです。

 

 

2014. 8. 21

  池袋の立教大学の宿舎を引き払って、カワゴエに向かいます。けっこう荷物が重いです。しかも、そとは灼熱です。> たった30分ほどの電車での移動ですが、荷物と灼熱でくたくたになりました。

 

  家に帰ったら、モンテーニュの『随想録』の新版(国書刊行会、2014年)が届いていました。これは、なんと1200をこえるマッシヴ!な一冊です。『広辞苑』などの辞典を思わせます。

 

  朝から夕方まで断続的に、学生さんの書類づくりのお手伝いをしました。上手くいくことを祈ります。

 

 

2014. 8. 20

  今日は調整日として、ゆっくり過ごします。外は非常に暑いです!

 

 

2014. 8. 19

  今日は18から、BHの仲間&ファンを招いたホーム・パーティを行います。参加希望の方は連絡ください。> 18時からスタートして、午前3時半までつづいた第2ラウンドもあり、とても楽しかったパーティの模様はフェイスブック版に写真とラヂオ放送をアップました。

 

  ベルリンのルネサンス学会のためのもうひとつのパネル企画は、「変成、消化、想像Transmutation, Digestion and Imagination というもので、錬金術史の研究の最前線を開拓する2つのセッション、6本の発表からなります。ファンにとっては息を飲むような半日でしょう。

 

              「ゼンネルト、金属変成、リバヴィウスの普遍薬」

              Daniel Sennert, Transmutation, and the Catholicum Libavianum - Joel A. Klein (Columbia University)

 

              「リバヴィウスにおける消化と金属変成」

              Libavius on Digestion and Transmutation - Elisabeth Moreau (Université Libre de Bruxelles)

 

              「トマス・フィエヌスにおける想像、母親の欲望、発生学」

              Imagination, Maternal Desire and Embryology in Thomas Fienus - Hiro Hirai (Radboud University Nijmegen)

 

              「初期近代におけるパリンゲネシスについての諸実験」

              Early Modern Experiments on Palingenesis - Didier Kahn (CNRS, Paris)

 

              「天地創造と金属変成:普遍溶媒アルカエストの宗教的な背景」

              Genesis and Transmutation: The Religious Background of the Universal Solvent Alkahest – Jo Hedesan (University of Oxford)

 

              「ボイルにおける種子、金属変成、生命の誕生」

              Robert Boyle on Semina, Transmutation, and the Generation of Life - Ashley Inglehart (Indiana University)

 

 

2014. 8. 18

  アメリカのルネサンス学会は最近、4年に1度くらいの割合で年会を欧州で開きます。過去には、ケンブリッジヴェネツィアなどが選ばれました。そして来年の3月末は、ベルリンです。今回は JARS として『キリシタンの世紀』に関係するセッションを一つと、僕は個人的にディディエとキミアについての2つのセッションを提案していました。今日は、その3つのパネル企画の採択の通知が来ました。これはメデタイです!

 

  『キリシタンの世紀』にかんするセッションでは、「キリシタンの世紀とイエズス会」という題名で、われらが折井さん、今年の国際シンポジウムに参加してくれたアンジェロさん、そして根占先生の3名が以下のような発表をします。

 

           「翻訳において失われるもの、加えられるもの:日本イエズス会の初期出版物における改宗」

Lost and Found in Translation: Proselytization in Early Jesuit Publications in Japan (Yoshimi Orii)

 

「世界は創造される:1600年ごろの中国と日本における宇宙誌とカトリックの真実」

‘The World is Created’: Cosmography and Catholicae Veritates in China and Japan around 1600 (Angelo Cattaneo)

 

              「キリシタンの世紀における人文主義、アリストテレス主義、そしてプラントン主義」

              Humanism, Aristotelianism and Platonism in Japan’s Christian Century (Ken Nejime)

 

 

2014. 8. 17

  今日は、ひとつ締め切りのちかい原稿の見直しをします。2012年の秋にピッツバーグでおこなわれた医学と哲学の関係についての国際会議からの論集に寄稿したもので、「生きた粒子の謎:ゼンネルト、ガッサンディ、キルヒャーにおける原子論と生命の起源“Mysteries of Living Corpuscles: Atomism and the Origin of Life in Sennert, Gassendi and Kircher” という題名です。基本的には、おもに仏語で過去に出版したゼンネルトガッサンディキルヒャーの各人についての論考に依拠して、三者三様にみえる粒子論的な体系の隠されたつながりについて議論しています。僕にとっての新発見を示すというよりも、仏語の読めない17世紀研究者たちに、これまでの僕の研究から粒子論にかんする部分をダイジェストして提示することを意図しています。昨秋に原稿を提出してから、レフェリーのコメントつきで微調整のために夏休み前に帰ってきていました。ごくごく簡単な作業なので、それほど時間はかからないでしょう。

 

  上記の件、今回はをつめる気はないし、残り時間もすくないので、最低限のことだけして提出しようと思います。

 

 

2014. 8. 16

  やっと自由の身になりました。今日は、なにも考えません。> 夕方にちょっとだけ、世界中に散らばった『知のミクロコスモス』の仲間たちと歴史とは何かについて、まったりとフェイスブックのチャットで語り合いました。至福のひととき。

 

自分は自由になるために生きているのだ、と確信する今日この頃。

 

 

2014. 8. 15

  フロイスの『日本史』の第3巻では、根占先生の研究によって日本にひろく知られるようになったイエズス会のアジア方面の最高指揮者である巡察師ヴァリニャーノがついに安土にきて信長と交流するという序盤のクライマックスにさしかかりました!> 波乱万丈の物語が展開するフロイスの著作は、マンガアニメになったらすごく楽しいと思うのですよね。アイデアを探索中のクリエイターの方、ご一考を!

 

  スペインのコルドバで博論を仕上げている田邊まどかさんが一時帰国していて、真夏の研究会で発表してくれることになりましたので、最新版のプログラムをあげておきます。年末研究会に引きつづき、5本の発表と内容も華やかになりました。乞う、ご期待!

 

 

2014. 8. 14

  トニー本の翻訳の作業で、『キケロー選集 15』(岩波書店、2002年)に入っている『縁者・友人宛書簡集』をチェックしないといけないことになりました。手元で参照できる方はいませんか?> ツイッター上の心優しいお方に、お助けいただきました。ふかく感謝いたします!

 

  あまりの面白さに、フロイスの『日本史』第2巻も一気に読み終えてしまいました。信長のフロイスにたいする意外なほど好意的な態度が描かれていて、とても興味ぶかいです。フロイスの右腕でもある、ほとんど盲目の日本人ロレンソ修道士は、もともと極貧の放浪する琵琶法師だったというところにも、映画や小説におとらないドラマ性があります。多くの人が彼の話術に引き込まれたようですので、かなり語りのうまい人だったのでしょう。さあ、明日から本能寺の変までを扱う第3巻です。

 

 

2014. 8. 13

  今日の午前中にあった主治医の先生の回診で、僕の退院は土曜日の朝と決まりました。これで、一安心です。あと二日の辛抱です。それと連動してか、、来週火曜日にパーティを開きます。参加したい人は、声をかけてください!

 

  トニー本の第1章の見直しも終わったので、フロイスの『日本史』の第2巻を読みはじめました。僕の研究におけるモットーは、これまで(おそらく)誰も考えなかったことを考え、実行しなかったことを実行するです。簡単なようでいて、じつは難しいのです。さて、はたしてこのフロイス読書はつぎの計画のきっかけを与えるでしょうか?乞う、ご期待!

 

 

2014. 8. 12

  トニーを読んでいると感じるのですが、ルネサンス期における歴史学の状況は、フランスのジャン・ボダンなどを分析の対象として、おもに1960年代から80年代にかけて研究が進んだようです。これは、1560年代ごろに西欧における歴史意識に大きな変動があったと考えられたからです。近代的な歴史学のはじまりという認識だったのだと思います。しかし、この辺りの動向は、日本におけるルネサンス学の関心がイタリア中心だったこともあって、あまり紹介されていない気もします。僕が門外漢だから知らないだけかもしれません。また、本邦ではインテレクチュアル・ヒストリーが弱かったこともあって、日本人の歴史家たちは歴史学の歴史にはあまり興味をもたなかったのではないかとも思われます。この問題については、知り合いの研究者たちの意見を聞いてみたいと思っています。

 

ボダン絡みですが、つぎの論文 David Wootton, “Pseudo-Bodin’s Colloquium Heptaplomeres and Bodin’s Démonomanie,” Beiträge zur Romanistik 6 (2002), 175-225 のコピーか PDF を入手できる人はいるでしょうか?

 

  ボダン関係をみていたら、『知のミクロコスモス』に寄稿していただいた平野隆文先生が、1999年に東大に提出した博士論文がヒットしました。もう少し調べると、魔女の法廷:ルネサンス・デモノロジーへの誘い』 (岩波書店、2004年)という単著として出されていたようです。書題からはすぐには分かりませんが、じつはボダンの『悪魔論』を分析したものです。灯台下暗しとは、このことですね。これは入手せねば!

 

 

2014. 8. 11

  今日はがんばって、第1章をほぼ終わらせました。明日にはなんとかなると思います。なお、岩波文庫で以下のものを持っている人は、お助け下さい。

 

キケロ『書簡集』

ペトラルカ『わが秘密』

モンテーニュ『エセー』

 

 

2014. 8. 10

  今日は一日、台風のせいで窓辺が薄暗かったせいか、うまく作業できず、半分まできたところで今日は終了です。

 

 

2014. 8. 9

  今日・明日は、トニー計画で残っている第1章を片づけたいと思っています。> どうも辺りがうるさくて集中力にかけ、全体の3分の1にあたる30頁のうちの10頁だけこなすので精一杯でした。明日はもっとがんばります。

 

  『科学史研究』誌の最新号(2014年の7月号)に掲載された小特集は、僕の第2著作をめぐるレヴュ・シンポジウムです。思えば、2011年の12月に本が出てから2年半が経ちました。昨日は、この小特集を読み返しました。自分の原稿についていうと、秋口の超多忙なときに短時間で書いたのでうっかりしていたのだと思いますが、インテレクチュアル・ヒストリーという語を使っていないのは、マズイですね。いまだに思想史と他所では評されているので、その違いをもっと徹底して示さないといけないと心に誓いました。また、『知のミクロコスモス』に言及しなかったのも大きな反省点です。

 

 

2014. 8. 8

  来たる8月23日の土曜日、学習院女子大学で JARS 主催による「真夏の研究会」を開催します。今回は、根占先生の秘蔵っ子である豊岡愛美さんのデビュです。いまのところ以下の4つの発表(それぞれ仮題)がエントリーされています。予約不要・入場無料ですので、奮ってご参加ください。> 本邦にレセプションの文化を導入したいという動機から、今回も素敵なドリンクを用意してお待ちしています!

 

                      豊岡愛美 「ボッティチェリ≪プリマヴェラ≫における徳の一考察」

                      村瀬天出夫 「ルネサンス期ドイツにおける終末論とパラケルスス主義」

                      ヒロ・ヒライ 「魔術と科学のはざまで―ガファレル、古代ペルシア人の護符について」

                      加藤喜之 「デカルト主義者クラウベルクとスピノザの神」

 

  術後の経過も順調で、今日からベッドの位置がかわって窓辺の明るいところになったので、気分的にも作業ができるようになりました。台風がくるというこの週末には、トニー計画の残っている第1章の見直しを完成させたいと思います。

 

 

2014. 8. 7

  術後3日目にして歩けるようになりましたので、こっそりと病院を抜け出して、宿舎で洗髪して生きた心地を味わいました。

 

  フロイスの『日本史』の第2巻が読みたいところですが、いつ手元にくるか分かりません。カワゴエの実家をアマゾンの荷の受けとりにしたのは間違いだったと思います。

 

  ガファレル論集は、あと残りの5千円の寄付を募っています。よろしく、お願いします。

 

 

2014. 8. 6

  あまりの面白さに、フロイスの『日本史』の第1巻を昨日のうちに読み切ってしまいました。ルネサンス人であるフロイスの記述する歴史は、古代ローマの原始キリスト教会にまつわる人々の言行に大きく霊感を受けていると思うのですが、初期のキリスト教父の作品を読むような感じもあります。これは、おなじく原始キリスト教会を強く意識していたルネサンス期フランスの新教徒たちの様子とも重なります。

 

  たとえば、古代ローマの原始キリスト教会のイメージやモデルが、ルネサンス期にどのような役割を果たしたのかという問題を、異教徒たちに囲まれて生活することになった新世界にわたった初期の新教徒たちやアジアのイエズス会士たちに与えたインパクトを比較することで分析するのも面白いテーマだと思います。> 新世界の新教徒たちとアジアのイエズス会子たちの比較に、エラスムスをはじめとするルネサンス人たちにおける原始キリスト教会像の伝統の理解と絡めるのが、BH流のグローバル・ヒストリーインテレクチュアル・ヒストリーの融合といえるでしょう。

 

  当時の日本の人々は、現代人が考えるような西欧文化に根ざしたキリスト教というイメージではなく、インドの天竺から渡来してきた伴天連と呼ばれる人々が広めようとした新しい教義ぐらいに受けとったようです。つまり、異なる宗教というよりは、ことなる宗派ですね。おそらく、神道も仏教も同時に受け入れてしまうような宗教観が、そうさせていたのだと思います。フロイスによると、キリシタンの拡大にもっとも抵抗したのは既得権益を享受していた仏僧たち、なかでも法華宗の人々だとされています。おもに政治的な理由からです。また、死後は無に帰ることを教える禅宗は、キリシタンの唱える霊魂不滅論に教義上の理由から対立したようです。

 

  最初から第2巻ももってきてもらえば良かったなと、後悔しています。

 

 

2014. 8. 5

  昨日は、麻酔が切れた夜ごろから少し痛みを感じたのですが、それとて前回とは比べ物にはなりません。

 

  午後には松葉ヅエで歩けるようになり、トイレにも行けるようになりました。いろいろ事務関係の書類もこなしています。

 

  ガファレル論集は、平岡君から大口の2万円、集中講義に参加された愛古さんから1万円、そしてイェイツの名著の邦訳版を担当された元編集者の方からも5千円の寄付をいただきました。この場を借りて、お三方の学問を愛する心意気にふかく感謝いたします。残りは5千円で目標額に達するところまできました。あと一歩です!

 

 

2014. 8. 4

  今日は13から手術です。> 無事に済みました。前回ほど大変ではありませんでした。

 

 

2014. 8. 3

  明日の手術のために今日から10ほど入院します。そのあいだは、この日記の記述やメールへの返事はスローになりますので、ご容赦を。

 

  10時に入院して、暇なので、ルイス・フロイスの『日本史』の第1巻を読みはじめました。これがとても面白いのです。グイグイと引きこまれています。『日本教会史』といった方が、良いタイトルだと思います。

 

 

2014. 8. 2

  ローマのセラ書店から、ガファレル論集の出版コストの正式な見積もりが来ました。最終的には、2500ユーロほど必要なようです。前回の呼びかけで桑木野君とクニ君からいただいた寄付と僕の大学から得た出版助成で、合計して2200ユーロほどカヴァーしていますので、残りは300ユーロ(約4万円)となりました。あと、もう一息です。真に学問を愛する方々の寄付を募ります!一口5千円からお願いします。本が出版されたときには、1冊お送りします(1冊と送料で、約5千円になると思います)。

 

 

2014. 8. 1

  さて、8月です。23の土曜日に学習院女子大学で研究会を行う方向で調整中です。加藤ヨシ君と村瀬アマデオ君、そして根占先生のところの院生の豊岡さんの発表を予定しています。色をつけるために、僕も何かやるかもしれません。

 

           豊岡愛美「TBA

           村瀬天出夫「ルネサンス末期ドイツのパラケルスス主義と終末論」

           加藤喜之「スピノザとネーデルラントの神学者たち」

 

  3日の日曜日から10日ほど入院するので、ルイス・フロイスの『日本史』を第1巻から第4巻まで注文しました。足利幕府の滅亡から織田信長の活躍、そして秀吉の天下統一までを宣教師フロイスが記述したものです。第1巻第2巻第3巻第4

 

 

 

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