雑誌の紹介
『文芸共和国便り』
Nouvelles de la Republique des
lettres
『文芸共和国便り』 Nouvelles de la Republique
des lettres (ナポリ) という雑誌なのですが、Paul
Dibon と Tullio Gregory という哲学史研究上の2人の巨人が主幹であるというこの組み合わせから、そのすごさが何となく分かって頂けるかもしれません。基本的には哲学史ですが、ルネサンス・バロック期の科学・文化関係の記事がけっこう収容されています。Istituto
Italiano per gli Studi Filosofici という研究機関が発行元で、1981年創刊の年2分冊。分冊が別々の頁振りになっている点が要注意で、しかも、通しの巻番号がついていないという、図書館での注文票を書く時、ちょっと取り扱いに注意しなければいけない雑誌です。もちろん、自分の文献表でも、第1分冊か第2分冊かしっかり表示しなければなりません。収録論文は、多い順に、イタリア語、フランス語、英語、そしてスペイン語です。残念ながら、内容等についてウェブ上の資料はありませんし、実は手近(リェージュやルーヴァン)にない雑誌なので、しっかり目を通すことができていませんが、僕の論文ストックから幾つか紹介します。(後記:ベルリンの岩田君の協力で全論文リストを入手しました )
Marc Bedjai, "Le docteur Franciscus van den Enden, son cercle et l’alchimie
aux Provinces-Unies du XVIIe siecle." NRL, (1991), pt. 2, pp. 19-51.
17世紀のオランダのキミアの状況。グラウバーやスピノザも登場します。
Massimo Luigi Bianchi, "Il visibile e l’invisibile.
Dell’alchimia a Paracelso.゛ NRL, (1989), pp. 23-60.
パラケルススの物質理論における可視性と不可視性の問題。本論文の英語ヴァージョンは、『16-17世紀の錬金術と化学』に納められています。
Eugenio Canone, "Il Catalogus librorum di Isaac Beeckman." NRL, (1991),
pt. 1, pp. 131-159.
ベークマンの蔵書目録
Antonio Clericuzio, "Spiritus Vitalis
: Studio sulle teorie fisiologiche da Fernel a Boyle." NRL, (1988), pp.
33-84.
クレリキュッチオ氏の初期の作品。素晴らしいです。
Allen G. Debus, "Myth, Allegory, and Scientific
Truth : An Alchemical Tradition in the Period of the Scientific Revolution."
NRL, (1987), pt. 1, pp. 13-35.
ディーバス氏の後年の作品。17世紀のキミアのテクストにおける神話や寓意について。マイアー周辺です。
Benedito Gemelli, "Leibniz e l’atomismo classico : dal meccanicismo
al biologismo." NRL, (1997), pt. 2, pp. 49-76.
ライプニッツの原子論。機械論から生物論へ。
Cristiana Innocenti, "Il fondamento astrologico della realita nel "De
incantaionibus" e nel "De fato" di Pietro Pomponazzi." NRL, (1997), pt.
1, pp. 49-77.
ポンポナッツィの2主要著作における実在の占星術的基底
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Prismi: Editrice Politecnica Napoli,
Via E.Caracciolo 13, 80122 Napoli
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