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その5

 

 1617世紀の錬金術と化学』

 

P.Rattansi & A.Clericuzio (ed.),

Alchemy and Chemistry in the 16th and 17th Centuries.

Kluwer Academic, Dordrecht, 1994.

[International Archives of the History of Ideas, 140]

208pp. Index  ISBN 0-7923-2573-7

 

  グローニンゲンに集った専門家たちの中で特に近世の錬金術に関心を持つ Antonio Clericuzio 氏を中心に、新たにルネサンス文化研究の最高峰の一つである有名なロンドン大学の Warburg 研究所主催で1989726-27日にかけて行われたこの国際会議。これも、マスト・アイテムです。内容は以下の通り。
 

Michela Pereira, "Medicina in the Alchemical Writings Attributed to Raimond Lull (14th-17th Centuries)." pp. 1-16.
この人は偽ルル錬金術文書の研究の現在第一人者。ここでは、ルル文献に見られる「メディシーナ」(人間と金属の両方の病気を治すと考えられた)の概念について。 「金属の病気」とは、元来、錬金術の伝統では、卑金属は貴金属の出来損ないと考えられていて、それを 「治療する」ことが錬金作業とみなされていたからです。

Massimo Luigi Bianchi, "The Visible and Invisible. From Alchemy to Paracelsus." pp.17-50.
現代のパラケルスス研究のイタリアでは第一人者。世界的にも五本指に入るでしょう。
 
Antonio Clericuzio, "The Internal Laboratory. The Chemical Reinterpretation of Medical Spirits in England (1650-1680)." pp. 51-83.
この論集の編者であり、論集の目玉であると断言できる会心の作。スバラシイ!!
 
Norma E. Emerton, "Creation in the Thought of J. B. Van Helmont and Robert Fludd." pp. 85-101.
1984
年に出版された科学関係書に送られるある賞を受賞した彼女の著作から10年沈黙を守っていましたが、その著作がクレリキュッチオ氏のお気に入りであることからここに出てきました。良い論文。
 
Bruce T. Moran, "Alchemym Prophecy, and the Rosicrucians : Raphael Eglinus and Mystical Currents of the Early Seveteenth Century." pp. 103-119.
ドイツは、カッセルのモーリス宮廷における錬金術活動の研究を集大成した著作で知られる人です。 彼の論文群は、要チェック。
 
Karin Figala & Ulrich Neumann, "Author, cui nomen Hermes Malavici" New Light on the Bio-Bibliography of Michael Maier (1569-1622)." pp. 121-148.
フランセス・イェーツの著作などで日本でも有名となってきたミカエル・マイヤー に関する新研究。

William F. Ryan, "Alchemy and the Virtues of Stones in Muscovy." pp. 149-159.
 
Wiiliam R. Newman, "The Corpuscular Transmutational Theory of Eirenaeus Philalethes." pp. 161-182.
ゲベル
とボイルを繋ぐ糸を追いつづけるニューマン氏です。

Anita Guerrini, "Chemistry Teaching at Oxford and Cambridge, circa 1700."  pp. 183-199.
 
Index
pp. 201-208.

 

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