隠れた名著
その2
ブルース・モーラン著
『化学薬学、大学に入る : ヨハネス・ハルトマンと
17世紀初期のキミアトリアの教育計画』
Bruce T. Moran,
Johannes Hartmann and the Didactic Care of "Chymiatria"
in the Early Seveteenth Century.
American Institute of the History of Pharmacy, Madison,
1991.
88pp. Indexなし ISBN 0-931292-23-9
本書の著者は、別項で紹介した16世紀末-17世紀始めのドイツはヘッセンのカッセルのモリッツ公の宮廷における錬金術サークルについての研究
『ドイツ宮廷の錬金術世界』の B.T.Moran 氏です。本書は、ほぼ同時期に出されたその姉妹編ですが、比較的知名度が低いのでこのコーナーにて紹介します。モリッツ公のお気に入りキミストであったヨハネス・ハルトマンが、どのようにパラケルス主義の医化学を推進するオズワルド・クロルやジョゼフ・ケルセタヌスの著作に沿って「化学」教育をマールブルグ大学に創設するのかというのがテーマです。
初めて西欧に化学の教授職が置かれたとき教えられたのは、パラケルスス流の「キミア」だったのです。また、本書のテーマの文化的・歴史的バックグランドをより良く理解するために、同コーナーに納めた「化学と大学」を参照することもお薦めします。
本書は、2部構成で全部で88ページの小品です。始めに、歴史的バックグラウンドと主人公であるヨハネス・ハルトマンについて、そして第2部では、現存する講義ノートから一体どんなことが教えられていたのかと言う実践面での問題について分析されています。
Introduction
p. 1-
イントロダクション
Part 1
"Chemiatria" at Marburg and its Theoretical
Foundations p. 7-
マールブルグにおける「キミアトリア」とその理論的基盤
Didactic Pharmacy and Textbooks of Chemistry in the
Seventeenth Cenruty
17世紀における教育的薬学と化学のテキストブック
Hartmann's Career to 1609
1609年以前のハルトマンのキャリア
Hartmann's Entrance Oration and the Definition of
"Chemiatria"
ハルトマンの初心演説と「キミアトリア」の定義
Hartmann's Vital Philosophy
ハルトマンの「生きた」哲学
Libavius's Response
リバヴィウスの対応
Part 2
The Practical Component of Academic
"Chymiatria" p. 45-
教育的「キミアトリア」の実践的内容
The Rules of the Laboratory and the Duties of Teacher
and Student
事件室でのルールと教師と生徒の義務
Opium and "Laudanum Opiatum"
阿片と「阿片化ローダヌム」
Laboratory Didactic and the Production of "Laudanum
Opiatum"
実験室での教育と「阿片化ローダヌム」の製造
The Fullness of Instruction : The "Aurum Potabile" and the
Preparation of Purgatives
指導の完全性 : 「飲用金」と下剤の調製
Sympahtetic Cures and Remedies Made with Blood
共感療養と血液から作られた医薬
Croll's "Basilica Chymica" and the Winter Term (1615-1616)
クロルの『化学の殿堂』と1615年-1616年の冬学期
Conclusion
p. 85-
結論
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