ごくごく個人的なアウトプット
海外編
その6
16世紀におけるフィチーノの種子の理論の運命
La fortune du
concept de semence de Marsile Ficin au XVIe siècle
『アカデミア』 第4号 (2003年) 所収予定
Accademia, 4 (2003)
1.
Introduction : le concept de semence chez Ficin
イントロダクション: フィチーノにおける種子の理論
2.
La première réception du concept ficinien : Marulle, Augurel et Agrippa
フィチーノの理論の最初の受容:マルルス、アウグレッリ、そしてアグリッパ
3.
Le rôle de Fernel : introduction du concept ficinien dans la médecine
académique
フェルネルの役割: 種子の理論の学術医学への導入
4.
La cas de Paracelse : interprétation de la Genèse et ombre
d’Augustin
パラケルススの場合: 『創世記』解釈とアウグスティヌスの影
5.
La synthèse de Séverin : la genèse de la « philosophie des
semences »
セヴェリヌスの綜合: 「種子の哲学」の誕生
メイキング風景
2002. 08. 17 土
前から約束していて、去年の夏、原稿を落としてしまった論文「フィチーノの種子の理論の行方」をやっと書き始めました。フィチーノ論文の要点をおさらいしつつ、フェルネルやパラケルススへのインパクトを分析した後、それらがセヴェリヌスによって統合されるまでの部分を博論から要約したようなものです。
2002. 08. 18 日
昨日書き始めた論文の続きをやろうと思ったのですが、その前に小川君の原稿のチェックを始めてしまったので、これで今日は終わりそうです。
2002. 08. 19 月
いま執筆中の論文「16世紀におけるマルシリオ・フィチーノの種子の理論の行方」 La fortune du concept de semence de Marsile Ficin au
seizième siècle は、言ってみれば、年頭に英訳版が出たフィチーノ論文の続編なのですが、大きく分けて、1)フィチーノの理論のおさらい、2)フェルネルのフィチーノ理論の受容、3)パラケルススの場合、4)セヴェリヌスの種子の哲学への綜合、といった4部構成にしようと思っています。まず手をつけたフェルネルの部分は、大体の目処が立ちました。この前に雑誌 Corpus 用に博論から切り出したフェルネル論文の要約というか、フィチーノ色の強い部分を抽出したものです。世界のフィチーノ研究者は、基本的にパラケルスス主義やキミアとは無縁のお上品な世界にいる人達なので、フィチーノの哲学との絡みという観点からパラケルスス主義にも彼らの目を向けさせるというが、この論文の任務です。種子の理論を中心にして、16世紀の生命の起源にまつわる新しい思索へのフィチーノのインパクトを探るということですね。
2002. 08. 21 水
今日は、パラケルススの部分を始めました。フェルネル5枚に対して、パラケルススは4枚ぐらいの分量です。パラケルススの位置づけは、フェルネルのように直接フィチーノから何をどう持ってきているという話ではなく、フェルネルとパラケルススの綜合をどのようにセヴェリヌスが行っていくかを説明するためにあります。あるいは、フェルネルからいきなりセヴェリヌスに行った方が良いのかな?問題は、紙幅との噛み合いですね。そういうことで、明日は、一先ずパラケルススを置いておいて、セヴェリヌスに着手してしまいましょう。
2002. 08. 24 土
フォルトゥーナ論文は、一応20頁程 (印刷フォーマットで30頁) の中にフィチーノ、アグリッパ、フェルネル、パラケルスス、セヴェリヌスまで入れました。後は、それぞれの字面を直していく推敲を繰り返すのみです。また少しカゼを引いてしまいました。こじらせないようにしたいと思います。
2002. 08. 28 水
今日は、メールも郵便も来てないし、フォルチューナ論文に集中すべきでしょう。一昨日と昨日で、アグリッパ、フェルネル、パラケルススの各部分を推敲し、今日はセヴェリヌスの部分を行います。各セクションの構成は、まだ仮題ですが、だいたい以下の感じです。ま、誰にでも分かりやすい展開ではあるでしょう?継時的には、パラケルスス
(1530年台) の方がフェルネル (1548年) よりも先ですが、実際的な影響が感じられるようになるは1560年台からなので、直接的にフィチーノから学んだフェルネルをまず説明して、パラケルススの場合はどうか?というのをその後に並べてあります。この二人のアイデアを統合するのが、セヴェリヌスです。いつものごとく、メイキング風景をまとめる頁を作りました。
1.
Introduction : le concept de semence chez Ficin
イントロダクション: フィチーノにおける種子の理論
2.
La première réception du concept ficinien : Marulle, Augurel et Agrippa
フィチーノの理論の最初の受容:マルルス、アウグレッリ、そしてアグリッパ
3.
Le rôle de Fernel : introduction du concept ficinien dans la médecine
académique
フェルネルの役割: 種子の理論の学術医学への導入
4.
La cas de Paracelse : interprétation de la Genèse et ombre
d’Augustin
パラケルススの場合: 『創世記』解釈とアウグスティヌスの影
5.
La synthèse de Séverin : la genèse de la « philosophie des
semences »
セヴェリヌスの綜合: 「種子の哲学」の誕生
2002. 09. 04 水
引越し中。みな、熱に浮かれて、気が触れている気がします。フォルチューナ論文を一応の形で書き上げました。後は、ロンドンに帰って、何回も読み直して細かい点に修正を入れます。まだ、繰り返し的な部分が多いかも知れません。
2002. 09. 07 土
フィチーノ協会の Toussaint 氏と連絡が取れました。約束のフォルチューナ論文がだいたい出来たけれど、何回か読み直したり、注を整理したいので、あと1〜2週間待ってくれないでしょうか?とお願いするためです。去年の夏に原稿を落としてから、何だか近寄りがたい感じがして連絡をしていなかったし、Accademia の第3号を送ってくれないので、怒っているのかな?と心配しましたが、数分で返事が返ってきました。今は、1999年フィレンツェでのフィチーノ会議論集の編集作業で忙しいから、待ってくれるそうです。良かった。もし、氏が受け付けないと言ったら、Early Science & Medicine 誌に投稿しよう、と考え始めていたところでした。これで、また Lüthy 氏に2000年の夏に約束した論文は、直ぐ出せそうになくなりました。フォルチューナ論文自体は、引越し作業中にプルーフ・リーディングをしてもらい、後は、もう少し注を整理すれば完成です。今日、オフィスで読み直しましたが、なかなかどうして、まんざらでもない出来です。しかし、僕の悪いところは、論文を書き上げたばかりは満足していないのに、後で読み直すと、「まんざらでもないな」と、性懲りもなく思ってしまうところです。ところで、このように、あっという間に論文が出来てしまうことを不思議に思ったり、論文作成など簡単なものなのだと誤って思ってしまう方が居ないように言っておきますが、博論からの切り出しなので速いのであって、仕込みには数年かかっていることをご了承ください。現に、フェルネルの著作の出版史論文の方は、亀の歩みでしょ?世の中そんなに甘くないですよ。> 件の『アカデミア』第3号を送ってくれるそうです。
2002. 09. 08 日
今日はオフィスで、フォルチューナ論文の注を整理していますが、細かい作業なので疲れます。気分転換にネットにつなぐのですが、メールも来てないしと。
2002. 09. 09 月
結局、フォルチューナ論文の注を整理する昨日の作業は、なかなか身の絞まったものとなりました。ロンドンのフェルネル計画の作業も、毎日これくらい出来るとサクサク進むのにと思ってしまいます。> ほぼ完成。あと幾つか最終チェックをするだけとなりました。
2003. 9. 15 月
今日受け取ったフィチーノ協会の会報に次の『アカデミア』 4号 (2003年) の内容予告が出て、僕の論文「16世紀におけるマルシリオ・フィチーノの種子の理論の運命」 “ La fortune du concept de semence de Marsile Ficin au XVI
siècle ” がカウントされていました。5月に、編集部から、すぐに原稿を送れと言われてから、ずっと連絡がなかったので心配しているところでした。これで、2003年のものとして出るものは、ガッサンディ論文、ボイル研究、そして、このフォルチューナ論文の3つとなりそうです。つい、1ヶ月前まで、このままでは今年は何も出ないかもしれない、ヤバイ、と思っているところでした。少し安心です。