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その4
 
C.クリスチアーニ & M.ペレイラ
『ソルとルナの技:ラテン中世における錬金術と哲学』
Chiara Crisciani & Michela pereira,
L'arte del sole e della luna : Alchimia e filosofia nel medioevo.
(Biblioteca di medioevo latino, 17)
Centro Italiano di studi sull'alto medioevo, Spoleto, 1996.
17cm*24 cm, 354pp.  ISBN 88-7988-466-2
   
    金と太陽を同時に象徴する男性的原理「ソル」(Sol)と銀と月を同時に象徴する女性的原理「ルナ」(Luna)は、中世錬金術では、基本中の基本概念です。そこから、しばしば錬金術は「ソルとルナの技」とも呼ばれていました。このテーマをタイトルとした本書は、1970年代末から活躍するイタリアの錬金術史研究キアラ・クリスチアーニ氏と偽ルル錬金術文書の専門家として名を馳せた新進気鋭のミケーレ・ペレイラ氏との共著の形を取っています。内容は大きく分けて3部構成になっていて、1)長めのイントロダクション、2)中世ラテン錬金術理解のキーとなる重要テキストのイタリア語訳、そして、3)近年出版された重要な著作からの抜粋や論文のイタリア語訳、となっています。従って、全文イタリア語です。特に専門家にとって興味あるのは、第1部と最後の文献表でしょうか。第2部のテクストの選択と構成は良くできていて、テクストを読みながら中世ラテン錬金術の変遷の歴史的な流れがつかめるようになっています。(錬金術の西欧への導入、伝搬と議論、基本学説の確立、キリスト教色を深めて行く過程、そして政治権力との関係と)。第3部は、英仏語の元となった論文が比較的容易に手に入るので、イタリア語圏の読者以外には、余り直接的な価値は無いと思われます。例えば、日本向けには、全体が翻訳された形なら、より広い読者層に価値のあるものとなるでしょう。
 
   
 
 
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