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ごくごく個人的な「本」日記

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202109

 

2021. 9. 30

今日も1時間半ほどオンライン打ちあわせをおこないました。やっと錯綜した迷宮から抜けだせそうな印象をもちました。

 

久しぶりにヨーロッパに注文した書物が届きました。『偽アヴィセンナの錬金術書「霊魂について」Sébastien Moureau, Le De anima alchimique du pseudo-Avicenne (Firenze: Sismel, 2016) です。2分冊で1500近くある浩瀚な書物ですが、87ユーロと送料で、お得だと思います。偽アヴィセンナはアンダルスで活躍した錬金術師で、その著作は12世紀後半にラテン語に翻訳されたものだけが残っているようです。近年のアラビア錬金術の研究では、もっとも重要な一冊といえるでしょう。

 

基本的にはジャービル文書に見出せる錬金術の伝統にもとづいているようで、とくに有機物の操作が多いのですが、蒸留器についての記述は展開されていません。つまり、アヴィセンナに間違って帰されている蒸留術水冷却装置なども、この偽書が起源というわけではないようです。

 

 

2021. 9. 29

大きなイヴェントがおわりましたので、次号のメルマガを準備しないといけません。そのまえに、朝10時くらいからオンラインの打ちあわせに参加しました。前回はかなり錯綜していた感じですが、だいぶカタチになってきました。> 午後はメルマガに集中し、原稿をドロップしました。配信は102日になります。

 

アマデオ君のおかげで、初期パラケルスス主義についての研究書『初期パラケルスス主義における神秘と魔術:フォン・ズフテンの『三力能について』をめぐる考察Simon Brandl, Mystik und Magie im Frühparacelsismus: Erkundungen um Alexander von Suchtens Traktat De tribus facultatibus (Berlin: de Gruyter, 2021) を入手しました。アマデオ君の博論や論文が引用されていますね。

 

 

2021. 9. 28

『カンタベリ物語』の版元である悠書館さんが、われわれのオンライン読書会をサポートする臨時ページを公式サイト内に立ち上げてくださいました。これは素晴らしい!ただし、一般には公開されていません。

 

アラビア・イスラム学者の中西さんから相談を受けたので、アドヴァイスしました。とくにテクストにおける「引用をめぐるインテレクチュアル・ヒストリー」について、なかなか良いお話ができたと思います。僕としては、レノニチェノ論文をはじめとする第2著作から、この問題にとり組んできたので、その経験による知見をお伝えできたでしょう。

 

 

2021. 9. 27

土曜日から告知をはじめた『カンタベリ物語』読書会は、なかなか良い感じでチケットがさばけています。このままいくと、早い時期に完売になるでしょう。皆さんも、この機会をお見逃しなく!

 

土曜日のイヴェント「配信時代のアウトリーチ」の関連ツイートをまとめていただきました。抜けているものが沢山あるでしょうが、はじめの一歩ということで、こちらからお楽しみください。

 

その流れで、有名な某書店員さんとつながりました。すかさず、中世・ルネサンスにおける魔術・錬金術・占星術についてのブックフェアと、それに連携でファン祭りのような生配信をすることを提案しました。神対応していただき、会社のオーケーをもらう段階へとコマを進めました。これは楽しくなりそうです!

 

日本18世紀学会が公開した「ハラスメント防止宣言」について、その設立に尽力した玉田敦子さんと1010日(日)21から生配信をすることになりました。宣言ガイドラインについて、その背景や注目点をたっぷりと語っていただこうと思います。こちらのリンクからご参加ください。

 

 

2021. 9. 26

まだまだ昨日のイヴェントの余韻に浸っています。本来なら、ここで関連ツイートをまとめるところですが、主催者側がやるということなので手が出せません。

 

チャット欄で、槇えびしさんのマンガ『魔女をまもる。』について動画をというリクエストをいただきました。生配信のチャット欄で作品ファンの方々と交流するのが良いのか、何人かのファンと雑談にするのが良いのか考えています。11月ごろに実現したいのですが、良いアイデアがあれば大歓迎です。

 

 

2021. 9. 25

 朝6時半に起きて、8時(日本時間で21時)のイヴェント「配信時代のアウトリーチ」に備えました。主催者とシシンさんの話が長めだったので、僕は短くまとめて正解でした。個人的には、最後のトークがもっとも面白く、役立つものだったのではないかと思います。同時チャットを賑わしていた方々は、シシンさんのファンがほとんどだと思いますが、HWの関係者がどのくらい参加していたのか知りたいところです。

 

 

2021. 9. 24

カンタベリ物語』共同新訳版の「まとめ役」の狩野晃一さんと『スケザネ図書館』のスケザネさんと一緒に、1030日(土)21からオンライン読書会を開催します。『カンタベリ物語』を構成する一篇「錬金術師の話」をテクストにし、サンプル版を配布します。悠書館のご厚意により、希望者は本書を割引価格で優先購入できます。限定20ですので、お早めに!特別ゲストとして、現代の魔女Nさんと須田千晶さんも参加します。チケットは、こちらから入手できます。ぜひこの機会をお見逃しなく!

 

 

2021. 9. 23

朝起きると、時差の関係でヨーロッパからのメールが幾つも入っていることがあるのですが、偽パラケルスス論集づくりの佳境を迎えているので、共編者のディディエや寄稿陣、そしてブリル出版からの連絡が目まぐるしいです。そのあとは、書類づくりのオンライン会にオブザーヴァとして参加しました。

 

つづいて、土曜日の歴史家ワークショップでのイヴェント「配信時代のアウトリーチ」のために、パワポの準備をはじめました。それなりにできたと思いますが、じっくりとチェックしましょう。担当者の方々による生配信のテストは上手くいったようです。

 

 

2021. 9. 22

来年4月にスウェーデンで開催される予定の国際会議に招待されました。テーマは、中世・初期近代における質料形相論原子論についてだそうです。コロナ禍におけるアメリカの旅行制限がまだ続いていますので、海外遠征は難しいような気もします。そういった趣旨の返事をしようと思っています。しかしスウェーデンの4月というは、寒いのではないでしょうか?

 

カンタベリ物語』のオンライン読書会をスケザネさんと中世英文学者の狩野さんと計画しているのですが、今日は思いきって告知用のサムネを手作りしてみました。お二人の反応を待っています。> スケザネさん、狩野さんともに気に入ってくれたようです。ご提案を考慮して、ちょっと微調整しました。

 

 

2021. 9. 21

7時半に起きて、9時(日本時間で22時)からのオンラインの打ちあわせに備えました。1時間ほどタタキ台に検討をくわえました。建設的だったと思います。そして21時(日本時間で翌日10時)からは、アロマ雑誌のオンライン取材があります。

 

ついに偽パラケルスス論集の校正刷りが到着しました。なかなか良い感じです。校正指示とともに、1012までに送りかえさないといけません。>とりあえず全体のイントロと僕自身の寄稿をチェックしましたが、ほとんど調整する箇所はないように思われます。このままスムーズにいけば、とても嬉しいですね。

 

土曜日に提出したガレノス論集への寄稿について、編者のピーター(シンガー)から連絡がきました。これから原稿に眼をとおして、なにかあれば折りかえし連絡があるようです。こちらは急ぎませんので、問題ないことを期待しましょう。

 

 

2021. 9. 20

感慨ぶかいヴェネツィアの国際会議への招待(2017年)から昨日(2021年)まで、新作のガレノス論文をめぐる4年間の記述をまとめました。こちらです。

 

 

2021. 9. 19

久々にオンライン読書会の企画を練っています。中世英文学者の狩野晃一さんと文学系ユーチューバーのスケザネさんと一緒におこないます。1030日(土)の開催に向けて、準備を進めています。詳細の告知については、もう少しお待ちください。

 

参考までに、これから年末にかけて予定している作業をリストアップしておきます。細かいものは抜かしますが、1論文審査(10月末)、1書評(11月末)、1論文執筆(12月末)、そして訳本の仕上げです。後者ふたつは納得のいくものにしたいので、来春までずれ込むこともあるでしょう。世界霊魂論文からの流れで、論文はジョルダーノ・ブルーノをあつかう予定です。

 

 

2021. 9. 18

加筆と微調整をしたガレノス論集への寄稿をプルーフ・リーディングしてもらって、編者に送りだしました。ふう。ほぼ1年にわたるココロの重荷がとれたので、今日は思う存分にスローな動きでいきます。

 

 

2021. 9. 17

昨秋から遅れていたガレノス論集への寄稿の微調整は、実際に作業をはじめてみれば、すぐに終わりました。いろいろなことが重なって、ファイルを開くことさえ臆していたのですが。編者に大変な迷惑をかけましたが、おそらく僕が最後ではないと思いたいです。ふう。

 

それと同時に、ディディエから良い報せがありました。偽パラケルスス論集の書影があがってきたのです。なかなか美しい仕上がりになっていて、とても気に入っています。FBBHに写真入りで投稿しておきました。

 

 

2021. 9. 16

悩ましいアヴィセンナと蒸留の件、まずは医学書の『医学典範』をチェックしてみました。蒸留への簡単な言及はありますが、まとまった記述は見当たりません。もちろん、水蒸気蒸留冷却コイルについての記述もないですね。幾つかのラテン語版でみたのですが、索引が良くないという可能性は残ります。

 

良い機会ですから、偽アヴィセンナの『キミアの技の霊魂De anima artis chemicae についてのセバスチャン(モロー)の研究書を思いきって注文しました。『偽アヴィセンナの錬金術書『霊魂について』Sebatien Moureau, Le De anima alchimique du pseudo-Avicenne (Firenze: Sismel, 2016) です。2分冊で1500ほどある浩瀚なものですが、87ユーロとお得な割引となっています。いまは狙い目かも知れません。ちなみに、謝辞には僕の名前も入っているようです。

 

 

2021. 9. 15

ついに遅れに遅れたガレノス論集への寄稿を微調整しはじめました。ピュアに心理的な障壁のせいで半年ほど、まったくファイルを開くことすらできませんでした。思いきってファイルを開けて淡々と作業をし、最後の懸案の半頁ほどの前口上をつくっています。こういう類の書き物がもっとも苦手なのですが、もう一日でなんとかなるでしょう。ふう。

 

 

2021. 9. 14

 アル・キンディ蒸留香水についてのテクストが独訳され、1948に出版された(1966年に再版)ようですが、オンラインでダウンロードできるのを見つけました。これは素晴らしい! 1930年代から40年代にかけて、蒸留というテーマは研究熱がかなり高かったようですね。

 

 

2021. 9. 13

例によって、アロマ雑誌のための作業をしました。今日は、とくにアヴィセンナについての事実の確認につとめました。英語で「アラビア世界で最初に」や「10世紀に最初に」という表現を、「(世界で)最初に」と誤読するのがまかり通っているように思われます。イスラム錬金術での蒸留術については、ジャービル文書やアル・ラージーを差しおいてアヴィセンナが言及されるのは変でしょう。

 

 

2021. 9. 12

もう20年前になるのですが、『アロマトピア』という雑誌にアラビアルネサンスの錬金術について寄稿しました。その関係で、BHとご縁ができた方々も多いかと思います。今回は、その寄稿を読まれた婦人画報社のアロマ雑誌のために特集号が企画されていて、いろいろ知見をアップデートしています。

 

どうも不思議な点があります。しばしばアロマ系の書物では、アラビアの医学者・哲学者アヴィセンナが、蒸気蒸留steam distillation)を発明したとか、冷却コイルcooling coil)を開発したという記述があります。しかし科学史や錬金術史、あるいは蒸留史の学術文献では、アヴィセンナにそれらの点が帰されることはありません。蒸気蒸留も冷却コイルも、ずっと後代のヨーロッパでの発明のように思われます。アロマ系の書物は典拠を示さないので、チェックするのが難しいですね。

 

 

2021. 9. 11

7時に起きて、9時(日本時間で22時)からの藤村シシンさんとの対談動画のプレミア公開にそなえています。神コラボとなっていると思いますので、同時チャット欄が盛りあがることを期待しています。動画は、こちらです。>やはりビッグ・スターのシシンさんです、一発で700を超える視聴数を叩きだしました。まだまだこれからグングンと伸びていくと思います。

 

シシンさんとのコラボ企画の2として、歴史家ワークショップの「配信時代のアウトリーチ」というイヴェントが、925日(土)21から生配信されます。さらに3として、10月後半に「ハロウィン・ナイト」というシシンさんのイヴェントに僕も参加します。後者の詳細が決まったら、お知らせします。乞う、ご期待!

 

 

2021. 9. 10

いよいよ明日は、藤村シシンさんとのコラボ企画の第1弾として、対談動画を22時からプレミア公開します。あっという間に時間が過ぎてしまう、超がつく楽しい内容となっています。ぜひともチャンネル登録して、お待ちください。

 

 

2021. 9. 9

婦人画報社のアロマ雑誌から、蒸留術についての特集号のための質問一覧が来ました。これをもとにオンラインで取材を受けたあとに、先方のライターさんが記事にするようです。それぞれの質問について、僕なりの答えを書きだしておこうと思いますが、まずは調べものをしないといけません。取材は9月後半を予定しているということで、可能な日程を提案しないといけません。

 

 

2021. 9. 8 

いつ一時帰国できるか分からないので、先延ばしにしていたアイテムを注文しはじめています。ヴァイアーにもたっぷりと言及されているという黒川正剛『魔女とメランコリー』(新評社、2012年)が、中古市場にて安価で入手できました。モノが悪くないことを期待しています。

 

 

2021. 9. 7

藤本君からオーケーがきたので、対談動画「医学とキリスト教、ジェンダー」のプレミア公開をセットしました。ここからは自由に告知ができますので、友人たちとブログSNSで盛り上げていっていただければ、とても嬉しいです。

 

中世ヨーロッパにおける真鍮の製造や使用についての良い文献がないか聞かれたのですが、これといったものは錬金術の文脈では見当たりません。真鍮は安価なものなので、それほど錬金作業の対象とならなかったのだと想像します。> あれこれ考えつつ探索していて、2008年に出された良さそうな論文を見つけました。

 

 

2021. 9. 6

今日はスローな動きのあとに、21時から対談動画を収録しました。2019に提出された博士論文をもとづいた著書『医学とキリスト教』を出版したばかりの藤本大士さんをゲストに迎えて、本書の背景や注目点、とくにジェンダーへの目配せについて語っていただきました。なかなか充実した内容になっていると思います。108日(金)21にプレミア公開する予定です。

 

 

2021. 9. 5

神慮めでたく、古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家の藤村シシンさんとのコラボ企画の第1弾として、対談動画をBHチャンネルで911日(土)22にプレミア公開します。ここだけでしか聞けない楽しい話の連続で、あっというまに時間が過ぎてしまう神コラボといえるでしょう。併設される同時チャットで、皆さんの声や質問にシシンさんと一緒に応えますので、チャンネル登録してお待ちください。

 

 

2021. 9. 4

今日はスローな動きでいきます。『ヨーロッパ中世の想像界』は、ついに3分の1まで読み進めました。ストレートに感嘆するところや、ふと考えてしまうところなど、いろいろあります。

 

 

2021. 9. 3

6時半に起きて、9時からの対談動画のプレミア公開にそなえました。今回は「中世ドイツの音の世界」ということで、中世末期ドイツの都市ニュルンベルクにおけるにまつわる研究をしている吉田瞳さんとの対談です。これまたニッチな話題なのでどうなるかと思っていましたが、なかなか順調に視聴数が伸びているので嬉しいかぎりです。

 

 

2021. 9. 2

池上さんの『ヨーロッパ中世の想像界』(2020年)の第1部第1章「薬効の在処」は、医薬や医学をめぐるイメージの分析というよりも、医学史の論考といえます。菊地原君の『パラケルススと魔術的ルネサンス』を使っていただいているのは、嬉しいかぎりです。また第2章「庭園の変容」では、桑木野君の『ルネサンス庭園の精神史』が使われています。

 

 

2021. 9. 1

子供のころから8月末から9月上旬にかけて、ちょっと低調となります。大事にはならないのですが、毎年のことですし、おそらくは星位のせいだと思っています。とくに今日はスローな動きでいきたいのですが、20から対談動画の収録があります。

 

10月末まで締切りを延ばしてもらったので、Journal of the History of Ideas 誌から依頼されていた論文審査を受けることにしました。昨秋のように、あとでスケジュールが苦しくならないことを祈ります。

 

 

 

 

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