アナクサゴラス論文

 



 

(ルネサンス期ヨーロッパでのアナクサゴラスの想像図)

 

20224月にスウェーデンのストックホルム大学主催で、国際会議「粉々になる質料形相論」がオンラインで開催されました。この国際会議に招待され、ソクラテス以前の初期ギリシア哲学者のひとり、アナクサゴラスがルネサンス期にどのように再発見されて、ルネサンス期ドイツの医学者で哲学者であるシェキウスによって驚くことにアナクサゴラスが原子論者として紹介されるにいたる不思議な経緯についての論文を発表しました。以下では、国際会議への招待から開催、そして国際会議をもとにした論集への寄稿、その論集の出版までの流れをまとめてみたいと思います。

 

 

 

「シェキウス、シンプリキオス、原子論者アナクサゴラス:アリストテレス注解とルネサンス粒子論」

 

“Jacob Schegk, Simplicius and ‘Anaxagoras the Atomist’: Aristotelian Commentaries and Renaissance Corpuscularism”

 

 

『粉々になる質料形相論:中世末期の元素、原子、粒子』

In: Hylomorphism into Pieces: Elements, Atoms and Corpuscles in the Late Middle Ages,

ed. Sylvain Roudaut & Nicola Polloni (Cham: Spiringer, forthcoming in 2024)

 

 

イントロダクション

1. アナクサゴラスとシンプリキオス

2. シェキウス

結論

 

 

 

 

日記の記述から

2023. 9. 1

去年春にスウェーデンで開催された国際会議『粉々になる質料形相論』から論集が生まれます。僕のアナクサゴラス論文の原稿は、締切どおり今年1月末に提出してあります。今日は編者から連絡があり、寄稿群のなかでは僕の論考だけが何の修正も必要としない完成度だといわれました。お世辞でしょうが、入魂作なので嬉しいかぎりです。

 

 

2023. 1. 31

最後のもう一度だけ、プルーフ・リーディングの終ったアナクサゴラス論文を読みなおしました。これで良いだろうと思いますので、編者のシルヴァン(ルドー)に送りだします。

 

 

2023. 1. 30

朝にちょっとしたハプニングがあったのですが、気を取りなおしてプルーフ・リーディングを終わらせて、脚注の書式変更をおこないました。明日が締めきりなので、焦らずもう一度だけ確認して提出したいと思います。どちらにしても、編者やレフェリーの要望で微調整をする段階がくるかと思います。しかし何度もいいますが、オーサー・デイト式は美しくないですね。

 

 

2023. 1. 29

週末のプルーフ・リーディングを待っています。そのあいだは、書誌の書式をオーサー・デイト式に変更する作業を進められません。仕方ないので、スローな動きに。

 

数年来の課題なのですが、最近作をあつめた英語の第三著作をまとないといけません。コロナ禍でつくった世界霊魂論文からブルーノ論文と今回のアナクサゴラス論文という連作は、なかなか良い流れを生みだしていると思っています。残り2つほど考えているピースがあり、ひとつはスピリトゥスについての議論、もうひとつはダイモンについての議論です。前者については半分できていますが、後半をつくらないといけません。

 

ルネサンスのガレノス論争

星辰医学

世界霊魂〜アナクサゴラス〜ブルーノ

スピリトゥス(パパレッラと?)

カルダーノとダイモン

テレジオ

フィエヌスと想像力

ガファレルと図像力

 

 

2023. 1. 27

今日は脚注を抜きだして、文献一覧をつくりました。オーサー・デイト式のものなので、スプリンガーの書式は本当に好きではありません。やはりブリルが一番だと思います。あとは今週末にプルーフ・リーディングをしてもらえば完成です。

 

 

2023. 1. 26

要旨キーワードもつけたので、アナクサゴラス論文はほぼ完成です。最近は英語論文のタイトルを「簡にして要」にしようと努めているのですが、「アリステレス注解とルネサンス粒子論“Aristotelian Commentaries and Renaissance Corpucularism” という副題をつけようかと思っています。

 

だいたい片づいたので、Taurellus, Gorlaeus, Comenius, Jungius, Kepler, Cudworth などで関連事項を調べています。もっとも興味ぶかいのは、コメニウスカドワースかも知れません。限定的なテクストについてですが、ケプラーシェキウスの関係を調べた人がイタリアにいたのには驚きました。さすがイタリア人、目のつけどころが違います。

 

 

2023. 1. 25

今日もアナクサゴラス論文の推敲をしつつ、微調整をつづけています。結論部ですが、フランシス・ベイコンの場合にも言及することができました。

 

 

2023. 1. 24

ついに、アナクサゴラス論文の原稿がほぼ完成しました。本当はここから推敲に推敲を重ねて、もっと磨きをかけたいところですが、今月末の締めきりが迫っているので無理はできません。

 

 

2023. 1. 23

アナクサゴラス論文の原稿の仕上げをおこなっています。

 

 

2023. 1. 22

今日はアナクサゴラス論文の前半を中心に、イントロを加筆して1を整備しました。だいぶ良い感じになってきました。明日はこのペースで後半を中心に作業したいと思います。ところで論文のタイトルは、「シェキウス、シンプリキオス、そして「原子論者アナクサゴラス」 “Jacob Schegk, Simplicius and ‘Anaxagoras the Atomist’” でいきたいと思います。

 

 

2023. 1. 21

ほかのことはすべて放置していた昨日と今日での突貫工事で、なんとかアナクサゴラス論文の全貌がみえてきました。もう少し全体を整えて結論を加筆すれば、ほぼ完成になるかなと思います。

 

 

2023. 1. 19

午前中は野暮用でバタバタしていますが、午後からは落ちついて、論文の仕上げに取りかかれるでしょうか?これはルネサンス期のアナクサゴラスの受容についての不思議な話となっています。

 

 

2023. 1. 17

木曜日から日曜日までまとまって静かな時間がとれるので、去年の4月に開催された質料形相論についての国際会議をもとにした論集に寄稿する論文を書きます。1月末が締めきりなのですが、今回は小型なものに抑えるつもりです。もとの発表原稿を微調整して、それに脚注をつければ良いだろうと思っています。ルネサンス期のシンプリキオスの受容については、ブルーノ論文と重なるところもありますが、議論の流れで仕方ありません。

 

 

 

このあいだ1年が経過

 

2022. 4. 19

基本的な作業は、去年に出版した世界霊魂についての論文と先日に発表した原子論者アナクサゴラスについての原稿のための調査でできていますので、あとは論述を組みたてて、脚注をふくめた論文を完成させないといけません。

 

 

2022. 4. 8

国際会議「粉々になる質料形相論」の2日目です。8(現地時間で14時)のセッションから参加しました。ビル(ニューマン)の偽ゲベルについての発表のあと、僕の番でした。予想どおり、人によっては想像すらできない次元の話であり、呆気にとらえられている人もいたとは思いますが、質疑での反響は大きいものでした。画面しに人々の興奮が伝わってきます。さすがにイスからころげ落ちた人はいなかったかも知れません。 

 

 

2022. 4. 7

仮想空間にあるスウェーデンでの国際会議「粉々になる質料形相論」の1日目でした。今日は中世末期からクザーヌスポンポナッツィまで、明日はポンポナツィから17世紀初頭までが中心となります。ファブリツィオエリザベトの発表は明朝のセッションなので、時差のせいで僕はリアルタイムで視聴できません。僕の番はビル(ニューマン)のあと、最後にある基調講演のひとつ前、現地時間では1445(アメリカ東海岸時間では845)からとなります。

 

声に出して読む練習をしてみましたが、まあ大丈夫だと思います。

 

 

2022. 4. 6

明日からのスウェーデンでの国際会議「粉々になる質料形相論」にそなえています。オンラインなので遠征はなく、時差のせいで現地時間では14からのセッションだけに参加できます。なぜヨーロッパ人は、発表者が数人いる北米からの参加に配慮しないのでしょうか。これが最初はないのですが、理解に苦しみます。

 

 

2022. 3. 31

さあ、パワポの作成も発表原稿のプルーフ・リーディングも終わり、これで準備はオーケーだと思います。

 

 

2022. 3. 29

今日は、来週の国際会議「粉々になる質料形相論」での発表のためにパワポをつくりました。デザインに凝るわけでなし、話が見通しやすくなれば良いだけなので、これで良しとしましょう。

 

 

2022. 3. 28

メルマガの原稿をもう一度だけ見直しして、ドロップしました。配信は42になります。個人的には、これまでの原子論研究をひっくり返すような衝撃作だと思っています。来週の国際会議での人々の反応が楽しみです。

 

 

2022. 3. 27

メルマガ用に準備した発表原稿の邦訳版を見直して推敲をつづけました。ほぼこれで良いと思います。明日もう一度だけ見直してからドロップします。

 

 

2022. 3. 26

次号のメルマガのために、できたばかりの発表原稿邦訳しました。明日にもういちど推敲して投下したいと思います。

 

 

2022. 3. 25

昨日に仕上げた発表原稿は、この週末にプルーフ・リーディングしてもらいます。ところで題名の方は、「シェキウスと原子論者アナクサゴラスの伝説“Jacob Schegk and the Myth of Anaxagoras the Atomist” でいこうかと思っています。邦訳版をつくって、次号のメルマガで配信したいと考えています。

 

 

2022. 3. 24

昨日の夕方から夜にかけて微熱で苦しんだのですが、今朝は平熱にもどりました。まだ完全な復調とはいえませんが、残り時間が少ないので、今日はクスリを飲んでベッドのなかで作業することにしました。そのかいあってか、お昼までには発表原稿がほぼ完成しました。あとは、この週末にプルーフ・リーディングしてもらえば、オーケーです。今回は苦しみましたね。ふう。

 

 

2022. 3. 23

最終節をラフなかたちで埋めたところで、3000を少し超えるところにきました。あとは推敲しながら枝葉をはらい、足りないところは強調すれば良いかと思います。ただ運の悪いことに体調を崩したようで、途中でクスリを飲んで休むことにしました。

 

 

2022. 3. 22

今日から例によってカンヅメとなって執筆に専念します。30の発表ですから3000ほど必要ですが、ラフな原稿で2000まできました。数日前から論述の展開をずっと考えていたので、それを紙に流しこむだけでスムーズに前進しました。明日には最終節を下書きして、なんとか全体を整える作業に入りたいと思います。

 

 

2022. 3. 21

いま分析しているルネサンス期のテクストは、(デモクリトスとは異なるタイプの)原子論キリスト教徒にとって重要だと主張する非常に興味ぶかいものです。あと1週間でうまく発表原稿をまとめないといけません。

 

 

2022. 3. 20

いま読んでいるルネサンスのテクストのクライマックスで投下されるプラトンの『ピレボス』からの引用を同定することができました。なるほど理に適っている展開です。あとは週明けから、発表原稿を執筆したいと思います。もう一週間、とても忙しい期間がつづきます。

 

 

2022. 3. 17

なんとかラフな下訳づくりも終わりました。まずは下訳を吟味しながら、この部分について原稿を書いていこうと思います。とくに今回は、すでにほかの部分もどのようにしようかいろいろ考えていて、楽しい気分でいます。

 

 

2022. 3. 16

打ちこみをもとにして、非常にラフな下訳をつくりはじめました。なかなか難しいテクストなので苦しいのですが、まずは必要な部分とそれほどでもない部分を分別する作業だと思っています。

 

 

2022. 3. 15

今日も打ちこみの作業を継続しています。なんとか夕方には、だいたい終えることができました。明日からは、訳していこうと思います。

 

 

2022. 3. 14

今日はルネサンス期のラテン語テクストの打ちこみをしています。議論をだいたい追えたところで、必要なところを訳していこうと思います。ただひたすらガマンの作業です。

 

 

2022. 3. 13

なんとかシンプリオスのテクストで必要だと思えるところは読めたので、つぎは受容側となるルネサンスのテクストを読みたいと思います。この作業を手際よく進めないと、時間が足りなくなってしまいます。しかし、ルネサンスにおけるシンプリキオスの受容についての研究は、それほど進んでいないように思えます。影響力は大きかったと個人的には思えるのですが、ことさら彼を称揚する著名人やテクストがあまりなかったからなのでしょう。

 

 

2022. 3. 11

久しぶりにシンプリキオスのアリストテレス注解を読んでいます。ほかの注解にはない豊富な情報量による展開が面白いのですが、シンプリキオスは言葉づかいの微細なところにも注力するので、ときに議論がとても難しく、理解するのには胆力を要求します。昨日は、ひとつの話題を追うのが精一杯でした。まだアヴェロエスの大注解の方が、僕の性格にはあっている気がします。今日は、べつの話題を追いました。このふたつの部分をだいたい押さえたところで、ルネサンス期にはどうなるのかを見ていきたいと思います。

 

 

2022. 3. 10

アナクサゴラスは、いわゆるソクラテス以前の哲学者として知られていますが、原子論者としてのアナクサゴラスというナゾ(国際会議の参加者たちには意味不明に見えるかも知れません)のテーマは、僕が博論を書いているときに出会った不思議な現象がその出発点になっています。いつかはと思いつつ、ずっと実現していなかったプロジェクトなので、時間内に上手くカタチになるか分からないのですが、ついに着手することになります。

 

ルネサンス期における原子論の復活の流れでいえば、古代ローマの原子論者ルクレティウスに影響をうけたフラカストロと有名な悲劇の哲学者ジョルダーノ・ブルーノのあいだに位置する1550年代くらいが物語の舞台になるかと思います。スカリゲルよりも微妙に前になるのでしょう。

 

 

2022. 3. 9

国際会議マラソンのつぎの行先はスウェーデンです。4月上旬に開催される国際会議は『粉々になる質料形相論』というテーマで、初期近代におけるアリストテレス主義の変容と原子論の復活をさぐるものだと考えれば良いでしょう。発表にむけて原稿を執筆しないといけません。今回は、ルネサンス末期に流布した「原子論者アナクサゴラス」という神話というか誤信に迫るつもりです。

 

 

2021. 9. 22

来年4月にスウェーデンで開催される予定の国際会議に招待されました。テーマは、中世・初期近代における質料形相論原子論についてだそうです。コロナ禍におけるアメリカの旅行制限がまだ続いていますので、海外遠征は難しいような気もします。そういった趣旨の返事をしようと思っています。しかしスウェーデンの4月というは、寒いのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

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