ごくごく個人的な「本」日記
2021年02月
2021. 2. 28 日
BH本館の司書でもある黒猫のアロー君が空腹で朝4時から騒いだために、今日はどうも寝不足感がぬぐえません。どちらにしても、朝から晩まで雨の予報なので、なにもできないのですが。> それでも次号のメルマガを準備して、ドロップしました。来月2日の配信です。
超マイナーな出版社から『植物について:東西世界におけるギリシアの植物学書』 Peri phuton: Greek Botanical
Treatises in the West and the East, ed. Maria
Ferdinanda Ferrini & Guido Giglioni (Marcerata: Eum, 2020) という重要な論集が出版されました。「植物の初期近代哲学と歓迎されない客:偽アリストテレスの『植物について』」
Fabrizio Baldassarri, “Early Modern Philosophy of Plants and the Unwelcome
Guest: Pseudo-Aristotle’s De plantis,”
237-263 という論文を、そのなかから読みました。植物学の歴史というと博物誌・自然誌が注目されますが、この論文は植物の生理学についての理論書である偽アリストテレスの著作が、どのように初期近代ヨーロッパで受容されたのかを追いかけています。なかなかの力作で感銘をうけたので、著者のファブリツィオに「とても良い論文だ。おめでとう!」とメッセージを送りました。
2021. 2. 27 土
朝6時半に起きて、日本時間で21時からのオキ君との対談動画のプレミア公開をおこないました。かなり特殊なテーマの研究ですので視聴者の反応が気になったのですが、多くの方に観ていただいたようです。べつに職業をもちながら博論を書いている現在進行形の体験談には、共感を覚える人も多かったのではないでしょうか。
昨晩は20時から須田さんとラジオ形式で、「錬金術を真面目に研究する」ためのシリーズ『キミアのススメ』の第1回を収録しました。今回は、錬金術を知ったキッカケや仲間たちとの出会い、そして大学院での研究開始までの体験などを須田さんに聞いています。この動画はこちらで、3月4日(木)の21時にプレミア公開する予定です。
2021. 2. 26 金
アラビア占星術の歴史についての良い概説を探していたのですが、なかなか見当たらないので、自分で調べて専用頁を開設することにしました。いまその作業を進めています。来週には、お披露目できるかと思います。
その作業で、「アンダルスにおける秘教主義:『賢者の歩み』と『賢者の目標』の著者クルトゥビー」 Maribel Fierro, “Bāṭinism in Al-Andalus: Maslama b.
Qāsim al-Qurṭubī (d. 353/964), Author of the Rutbat al- Ḥakīm and the Ghāyat
al-Ḥakīm (Picatrix),” Studia Islamica 84 (1996), 87-112 という論文を読みました。『ピカトリクス』のアラビア語原典の著者をアンダルスで活躍した天文学者マジリティ(Maslama al-Majriti, c.
950-1007)とすることには論争があったのですが、この論文は論争に終止符をうつものです。隠秘学者クルトゥビー(Maslama al-Qurṭubī, c. 906-964)が本当の著者なのですが、当時としては珍しい「マスラマ・イブン・カジム」という同名の同時代人だったことで、後代に混同されてしまったようです。
2021. 2. 25 木
ここのところワードやアドビの使用中にマシンがフリーズするのを経験して、非常にストレスを感じていました。マシンの買い換えやソフトの更新などを考えたのですが、まずは使っていないソフトを幾つかアンインストールしたら、なんと!動きがスムーズになりました。これは眼からウロコでした。ソフト同士の組みあわせが悪くて、イタズラをしていたようです。すこし様子をみたいと思います。
2021. 2. 24 水
ベルリンのジェイムスに、アニマ・ムンディ論文のための校正指示を送りだしました。索引にひろって欲しい用語のリストも提出しました。お願いしたのは、古代神学 ancient
theology、原子 atom、気息 breath、キリスト教 Christianity、粒子 corpuscle、熱
heat、光 light、聖霊 Holy Spirit、精気 spirit です。
ガレノスの薬学では『単体薬の諸力について』が中心的な役割を担っていますが、この著作を多角的に分析する雑誌の特集号「ガレノスの『単体薬について』:解釈と伝播」 Matteo
Martelli et al (eds.), Galen’s Treatise On Simple Drugs:
Interpretation and Transmission, Special Issue, Archives internationales d’histoire des sciences 70 (2020), 6-239 が出されたようです。僕も寄稿したことがある老舗の学術雑誌なのですが、どうも2007年を最後に購読をやめた図書館が多いようで、コロンビアの図書館網もオンライン版を入れていません。なんとかして入手したいと思います。
2021. 2. 23 火
先日に収録したオキ君との対談動画は、日本時間で27日(土)21時にプレミア公開します。論理学と教育論が交錯するガレノスの著作の注解で、レオニチェノは教育法に革命を起こしたのでしょうか?彼が批判した中世の医学者トリジャーノから、なにも学ばなかったのでしょうか?ここにアリストテレスの伝統は、どのように絡んでくるのでしょうか?答えは、こちらの動画でどうぞ。
今日はやっとのことで、アニマ・ムンディ論文の校正をしました。5か所ほど微調整と2か所の疑問点があります。後者については、すぐに解決すると思います。5か所のうち1か所は間違いではないので、流してもかまいません。そうすると、本当に修正が必要なのは4か所ということになります。
スプリンガー書店の『初期近代哲学辞典』も、僕の監修した化学・錬金術の部門のための記事が、すべてオンラインで先行出版されましたので、これでお役御免ということになりそうです。全体でも残すところ、あと40本くらいの記事ですべてが完成です。まだオランダ時代にはじまった企画ですので、5年くらいかかったことになるでしょうか。一方の『ルネサンス哲学辞典』は、それよりも先に開始されたのですが、まだ60本くらい残っているので、もう少しだけ時間がかかりそうです。
アラビア占星術についての手ごろな通史本というのはあるのでしょうか?ぱっと見たところ、古い便覧的な 『アラビアの数学者と天文学者』
Heinrich Suter, Die Mathematiker und
Astronomen der Araber (Leipzig, 1900) というものが眼についただけです。
2021. 2. 22 月
つぎのアイデアとして、錬金術を研究する楽しさを伝えるためのラジオ対談を、土曜日に須田さんと収録することにしました。どういう感じになるかは開けてみてのお楽しみですが、将来的にはシリーズにできれば良いなと思っています。また先週の火曜日に到着したアニマ・ムンディ論文のゲラを、そろそろ校正をしないといけません。
博論をもうすぐ終える加藤ルー君に手伝っていただいて、尚古主義を研究するための専用頁を開設しました。こちらです。
2021. 2. 21 日
朝10時から、アムステルダムに住んでいるオキ君との対談を収録しました。簡単な編集をほどこして、彼にチェックしてもらうためにリンクを送りました。来週にはプレミア公開できると思います。オキ君とは久しぶりに話をしましたが、元気そうでなりよりでした。
2021. 2. 20 土
早速のところ、尚古主義の基本文献リストを加藤ルー君がまとめてくれました。それを並び替えて、それぞれのアイテムに一行コメントをつけています。ルー君が関与した BH 内のコーナーも、レトリックと百科全書主義につづいて、これで3つ目となります。週明けくらいには、専用頁をお披露目したいと思います。さらに研究を盛りあげるために、基本論文集などをつくると良いかも知れないという話をしました。
2021. 2. 19 金
朝6時すぎに起きて、日本時間で21時からのライプニッツ研究者の今野諒子さんとの対談動画のプレミア公開に備えました。同時チャットの方は、前半は今野さんもシャイでしたが、後半からは参加者の皆さんとの交流もかなり盛りあがったと思います。プレミア公開から24時間以降に、しっかりとした視聴数もでてくると思います。
2021. 2. 18 木
昨日ここで書いた論文を出したオキ君との対談動画を日曜日に収録することになりました。これまた興味ぶかいものになるかと思います。乞う、ご期待!
アニマ・ムンディについての論集で一緒になっていうアラビア学の権威ピーター・アダムソン氏と、ツイッター上でやりとりました。最近になって、世界の一流の研究者たちもツイッターを使いだしているので、こうして直接に交流できるところが良いですね。
以前からフォローしてもらっているフィチーノ研究の貴公子デニス・ロビショー君と、はじめてツイッター上でやりとりをしました。ちょうど彼もダレルと一緒に準備している、フィチーノの宇宙論についての雑誌特集号のゲラが届いたという話から、僕のリチェティ論文に言及しているというので、世界霊魂についての新作のゲラを送りましょうという流れになりました。
「発散気」 effluvia 概念の専門家シルヴィアにも、昨日のうちに世界霊魂についてのゲラを送っており、お世辞でしょうが、とても喜ばれています。僕の論文では、「世界精気」 spiritus mundi が「流れ出す」
effluere とフィチーノが表現するものを、若きカンパネッラが利用している様子が示されているので、彼女にとっては利用価値が大きいだろうと思います。
2021. 2. 17 水
オランダ時代にオフィスを共有していたオキ君は、この日記に何度も登場していますが、彼の世界デビュとなる論文「ガレノス『医術』序文にたいするレオニチェノ以前の注解伝統を再考する:トリジャーノの『超注解』における論理学と教育論」 Oki
Utamura, “Revisiting the
Exegetical Tradition of Galen’s Prologue to the Art of Medicine before Leoniceno: Logic, Teaching, and Didactics in
Pietro Torrigiano’s Plusquam commentum,”
History and Philosophy of Logic 41
(2020), 352-375 が出ました。医学が論理学や教育論と交錯する領域をせめる刺激的なインテレクチュアル・ヒストリーの一本となっています。こちらから無料でダウンロードできます。
古事学や古物研究とも訳される
antiquarianism の伝統は古代ギリシア・ローマから存在しますが、ルネサンス期に復興してから近代にかけて隆盛をきわめました。古典学や古代史、博物学、化石学、博物館の誕生と幅ひろい分野にインパクトをあたえたとされています。ながいこと本格的な研究がおこなわれていなかったのですが、モミリアーノの有名な論文の見直しを契機として、近年もっとも注目される分野横断的な研究領域のひとつに育っています。この研究を盛りあげるために、博論を終えようとしている加藤ルー君と、まずは基本文献のリストをつくることにしました。近日に公開できると思います。乞う、ご期待!
2021. 2. 16 火
予定よりも1週間ほど遅れて、今朝になって世界霊魂についての論集全体の校正刷りが送られてきました。まだ中身はチェックしていませんが、レイアウトやフォントはブリルのものよりも美しいかも知れません。同時に、書影もお披露目されたようです。本の全体像が見えましたので、速報として短い動画をつくりました。こちらです。
同時に、待たせていたイアンブリコス研究の権威フィナモアさんに、依頼されていた論文審査評に世界霊魂についての僕の新作論文の校正刷りをつけて提出しました。審査員としての僕の匿名性は守れなくなってしまうのですが、今回は特例的に先行研究の成果を利用するという点で、学問の進歩にとっては良いことだと思います。
2021. 2. 15 月
アメリカは祝日なので、スローな動きでいきます。
バロックの天才ライプニッツを研究している今野諒子さんを特別ゲストに迎えて、フランス留学の体験から博士論文の内容、工作舎の『ライプニッツ著作集』第2期の第2巻「法学・神学・歴史学」への参加、そして現在の研究プロジェクトや今後の展望などについて、たっぷりと語っていただきました。この対談動画は、2月19日(金)21時にプレミア公開します。併設される同時チャットで、今野さんが皆さんの声に応える予定ですので、チャンネル登録してお待ちください!
2021. 2. 14 日
昨日から原因不明のフリーズを繰りかえすうちに、あるときハイフネーション機能に対応していないという警告が出ました。ああ、これが原因なのかも知れません。この機能をファイルの方でオフにしたら、なんとか作業することができました。この機能のためにはソフトを更新しないといけないようです。しかしマシンを不安定にすることを避けるために、不要不急の更新はスキップしたいと思います。これまでこの機能なしで問題なかったですし、どちらにしても出版用の版組ソフトとの互換性はないでしょう。
この2日間でチェックした原稿を、中西さんに送りかえしました。変更部を確認いただき、さらなる微調整をお願いしました。
ロンドンの師ヴィヴィアンからメールがきて、パラケルススの外科学について質問されました。ルネサンス期にパラケルススの著作中でもっとも人気のあった『大外科学』ですが、学術的な研究はほとんどないようだと応えました。すぐに返事がきて、自分の考えの通りだといっています。ところでヴィヴィアンは、最初のワクチンを打ったようです。僕の知りあいでは、これで3人目ですね。
2021. 2. 13 土
先日に文字起こしをした対談原稿に、中西さんが大幅な加筆増補をしたヴァージョンを送ってくれました。たっぷりとした注のなかで議論を展開するのは非常にもったいないので、できるだけ本文にとり込むようにしました。なぜか作業中に何度もワードがフリーズして、四苦八苦しました。なにが原因なのでしょうか?
2021. 2. 12 金
朝6時に起きて、日本時間で21時からの馬場さんとの対談「驚異の部屋(ヴンダーカマー)と百科全書主義」のプレミア公開にそなえました。爆発的ではありませんが、それでも着実な視聴数をえていました。
2021. 2. 11 木
馬場さんの動画の告知にたいする反応が、僕の想像を超えて非常に大きいので驚いています。これは面白い現象です。ひとつには、告知に使ったインペラートのヴンダーカマー像の威力が、やはり強力なのでしょう。それから「驚異の部屋」(ヴンダーカマー)という概念そのものも幅ひろく知られるところとなって、関心を呼んでいるのかも知れません。博物館の起源にたいする興味も大きいのでしょう。プレミア公開は明日の21時です!
20時からは、ラプニッツ学者の今野諒子さんとの対談動画を収録しました。緊張したでしょうが、それでもしっかりとしたお話しぐあいで、安心して聞いていられました。天才ライプニッツの初期作品である『自然学新仮説』 Hypotetis
physica nova を中心とした博士論文をフランスで仕上げたということで、とても興味ぶかいお話を聞くことができました。今週の金曜日21時からプレミア公開の予定です。併設される同時チャットで、今野さんも皆さんの声に応える予定ですので、チャンネル登録してお待ちください!
2021. 2. 10 水
世界霊魂論文の校正ゲラは、1週間ほど遅れるという連絡がありました。とりあえず審査評に手を入れなおしました。あとはプルーフ・リーディングをしてもらうのが残っています。
昨晩、馬場さんとの対談「ヴンダーカマー(驚異の部屋)と百科全書主義!?」を収録しました。あいにく僕の機材の調子が良くなかったようで音声に難があるのですが、馬場さん側には問題ありません。収録し直すほどでもないので、このまま2月12日(金)の21時にプレミア公開します。併設される同時チャットで馬場さんも皆さんの声に応えますので、ぜひとも遊びにきてください。チャンネル登録して、お待ちください!
2021. 2. 9 火
本来なら昨日には世界霊魂論文の校正ゲラが送られてくる予定でしたが、どうしたものかと思っています。校正だけなら、ゲラが到着するまで気長に待てば良いのですが、先日も言及した審査評にくわえるために雑誌編集長を待たせているからです。
今夜は20時から、ドイツ文学者の馬場さんとの対談動画を収録する予定です。学魔系のマニエリストにふさわしく、初期ロマン主義におけるヴンダーカマー(驚異の部屋)から百科全書主義、そして余裕があれば洞窟についても語ってくれるということで、とても楽しみにしています。
2021. 2. 8 月
ここのところの作業の流れで、中西さんにお教えいただいた『アラビアのヘルメス:異教の賢者から学問の予言者へ』 Kevin Van
Bladel, The Arabic Hermes: From Pagan
Sage to Prophet of Science (Oxford: Oxford UP, 2009) から、星辰魔都ハラーンについての第3章を読みました。たくさんの知見を高度に凝縮しているので難解にみえますが、論述は明解でわかりやすいと思います。僕の好みですね。
この本を翻訳してはどうかとも思ったのですが、幾つもの小さな謎をつぶしていく論証が連続することから、それが苦手な読者も多いかも知れないという意見をもらいました。たしかに、そうでしょう。もう少しリーダブルだとありがたいのですが、小さな謎が多いのが中世のアラビア世界の特徴でもあります。
それから素朴な疑問として、アラビア・イスラムの思想史についての書籍は、本屋ではどの棚にならぶのかという問題があります。この学術書の邦訳版を出しても、「哲学・思想」ではなく、魔法やタロットなどもならぶ「精神世界」の棚におかれてしまうのでは、まったく意味がありません。> 東洋思想の棚、あるいは宗教の棚というご意見をいただきました。なるほど。
2021. 2. 7 日
星辰魔都ハラーンについての記事が増えてきましたので、中西さんにも手伝っていただいて、専用頁を開設しました。こちらです。徐々に充実させていきたいと思います。関連してイブン・クッラについての頁も、そのうちに制作したいと思います。
2021. 2. 6 土
もう少しハラーンについての記述をつづけましょう。この日記にも以前に書きました(2018年11月8日)が、1990年代に決定的な著作がだされます。『月神の都市:ハラーンの宗教的な伝統』
Monica Green, The City of Moon God:
Religious Tradtions of Harran (Brill, 1992) です。つづいて、魔術書『ピカトリクス』研究の権威ピングリーが、論文「ハラーンのサービアの徒と古典伝統」
David Pingree, “The Sabians of Harran and the Classical Tradition,” International Journal of the Classical
Tradition 9 (2002), 8-35 を出します。この辺りになると、星辰魔術を語るときにハラーンは避けられないものとなりました。
昨日ここに挙げた Tardieu の論文を読んだのは、古代末期の新プラトン主義者で、アリストテレス注解者のシンプリキオスの受容について研究していた時期だと思うのですが、どうしてもその記述が見つからずに途方にくれていました。そうしたら、中西さんが見つけだしてくれました。さすがです!
2021. 2. 5 金
アラビア学者グタスによる名著『ギリシア思想とアラビア文化』(原著1998年)では、星辰魔都ハラーンについての記述はそれほど詳しくない気がします。錬金術史研究の先駆者ルスカによる『エメラルド版』 Tabula
smaragdina (1926) は、伝統的にヘルメスに帰された『エメラルド板』についての記念碑的な研究書ですが、やはりハラーンについての記述は非常にかぎられています。
『エメラルド板』が収録された最古の書物とされる『創造の秘密の書』 Kitab sirr al-khaliqa は、バリーヌース(Balinus, fl. 813/33)が古代ギリシアの数学家であるテュアナのアポロニオス(Apollonios, c. 15-100 AD)になりすまして、アラビア語で執筆したとされています。その原型となったのはシリア語のテクストで、9世紀シリアが注目されるわけですが、たとえば『創造の秘密の書』を研究した Ursula Weisser, Das Buch über das Geheimnis der Schöpfung von Pseudo-Apollonios von Tyana (Berlin: de Gruyter, 1980) でも、ハラーンについての言及は非常に限定されています。
ハラーンについての関心が甦ってきたのは、80年代後半のような気がします。きっかけは「コーランのサービアの徒とハラーンの「サービア」の徒」 Michel Tardieu, “Sabiens coraniques et “Sabiens” de
Harran,” Journal asiatique 274 (1986), 1-44 と「アル・キンディの霊魂論におけるプラトン主義とヘルメス主義」 Charles Genequand,
“Platonism and Hermetism in Al-Kindi’s Fi al-Nafs,” Zeitschrift für Geschichte
der arabisch-islamischen Wissenschaften
4 (1987-1988), 1-18 といった2論文あたりなのかとも思います。
2021. 2. 4 木
昨晩プレミア公開したばかりの対談「謎が謎を呼んでいるヘルメス主義の正体!?」は、なんとも驚異的な伸びを記録しています。公開後の24時間で視聴数360を超えました。瞬間風速として、これまでで最大かもしれません。チャンネル登録者数も500に迫りつつあります。まだ目標の1000までは遠いのですが、これからも面白いコンテンツを提供していきたいと思います。
前回の神秘主義と魔術についての対談の文字起こしをしています。こちらは40分ほどの動画ですから普段より短めですが、加筆して久しぶりにキンドル版にしたいと思います。プラトン的な対話篇として楽しむだけではなく、研究者にも利用できるように脚注を充実させる予定です。乞う、ご期待!
2021. 2. 3 水
朝6時に起きて、日本時間で21時からの対談動画「謎が謎を呼んでいるヘルメス主義の正体!?」のプレミア公開にそなえました。あの鏡リュウジさんとローマの大橋さん、宗教学者の山城さんが併設された同時チャットに参加され、これは予期せぬ神回となりました!
星辰魔都ハラーンについての Zoom 会を開催しようと考えているのですが、どういうかたちが良いのか考えています。大人数のオープンか、少人数のクローズドか、はたまたワイン片手にワイワイと楽しいのが良いのか。アイデアがあったら、お寄せください。>
日本時間で金曜日21時からワイン片手になりました。米東海岸は朝7時にあたりますので、僕は飲めないですけれど。
アズーロさんに教えてもらった論文である矢野文夫「サービ教徒と星学」『オリエント』第20巻(1977年)191-204 が、こちらから無料でダウンロードできます。これはスゴイ!
2021. 2. 2 火
昨日の午後に文字起こしした神秘主義についての対談原稿を推敲しました。あとは中西さんにもチェックしていただいて、必要最小限の脚注をつけたいと思います。
明日の21時には、ヘルメス主義についての対談動画「謎が謎を呼んでいるヘルメス主義の正体!?」をプレミア公開します。僕と中西さんで併設される同時チャットで皆さんの声に応えますので、遊びにきてください。ぜひともチャンネル登録して、お待ちください。こちらの動画についても、将来的には文字起こししたいと思います。ところで、いま気がついたのですが、この動画は公開前から「いいね」が、なんと8個!もついています。これは驚くべきことですね。中西さんの人気はすさまじいですね。
2021. 2. 1 月
これからの予定としては、まずは2月前半でガレノス論集への寄稿を微調整することと、2月8日に到着する予定の世界霊魂についての論文の校正をし、2月後半でドイツの国際会議で発表したゼンネルトについての発表原稿を論文化する作業があります。こうして予定をならべてみると、かなり忙しくなるのが分かりますね。
といいつつ、中西さんとの神秘主義についての対談を文字起こししました。推敲してから最小限の注をつけて、なんらかのかたちで公開したいと思います。