ごくごく個人的な「本」日記
2015年12月
2015. 12. 31 木
大晦日です。皆さんにとって、2015年はどんな一年だったでしょうか?BHとしては、5年越しのトニー計画からついに『テクストの擁護者たち』を出版できたのが大きかったと思います。また今年の後半には予定にはなかったボッティチェリ計画を展開して、『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』の準備をがんばりました。あと2週間で出版されますので、お楽しみに!
来年は、サンディエゴ会議からの国際論集とラリーの『錬金術の秘密』の出版準備を優先的にすすめたいと思います。今後もBHの活動をお支援ください!熱心なファンの皆さまには、BHサロンに入っていただきたいと思っています。他では見られない秘蔵の動画や出版物のプレゼントなど特典も盛りだくさんです!
15時前に宿舎を引き払い、カワゴエに向かいました。せっかく買った山形の蕎麦は食べ損ねました。明日にします。
2015. 12. 30 水
そろそろメルマガの準備をしないといけません。今回はなににしましょうか?すこし考えます。>
記録用に撮った年末トークショーの動画から、古代神学とシビュラの預言の関係について説明した部分を文字起こしして、ドロップしました。1月2日の配信です。お楽しみに!
2015. 12. 29 火
あのスプリンガー書店の2004年以前の全タイトルが、無料でダウンロードできるようになりました。これは事件です。
International Archives of the History of Ideas や
Boston Studies in the Philosophy of Science といったシリーズに良書がたくさんあります。昨晩は大騒ぎで、30冊くらいダウンロードしました。> 是非とも、ブリルもこの試みに同調して欲しいですね!
土曜日のイヴェントでは、フィチーノと古代神学についてたっぷりと話ができたので良かったと思います。
2015. 12. 28 月
昨日のイヴェントでは、斉藤さんが引きだしの多い方で人前でのトークにも慣れていて、とてもスムーズかつ広がりのある話ができたと思います。今年一番の会心のできでした。これをもとに本をつくりたいと思いました。美しい挿絵入りの音楽手稿を多数ふくんだ150頁くらいの小著が良いでしょう。ちょうどこれから出る
『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
が良いモデルになるのではないでしょうか?
あの紀伊国屋書店の主催でファン投票による今年の人文書ベスト30に、BH叢書の
『テクストの擁護者たち』
も選ばれました。投票いただいた皆さま、どうもありがとうございました!
2015. 12. 27 日
今日は14時から新大久保で、今年最後の公式イヴェントがあります。古楽研究家の斉藤基史さんとの年末トーク
『ルネサンスの音楽と知のコスモス:シビュラの預言と古代神学』
です。偽書『シビュラの預言』が『カルデア人の神託』や『ヘルメス文書』とともに、どのようにフィチーノを中心とするルネサンス人たちに受け入れられたのかについて話をします。お楽しみに!
2015. 12. 26 土
新潟大学の逸見先生が書かれた 『テクストの擁護者たち』
の紹介が、雑誌 『週間読書人』 (12月25日・1月1日合併号)に掲載されました。特集の対談
「人文学は滅びない」 ともリンクした内容となっています。力作の一本で、とても素晴らしい内容です!
「人文学の危機が大きな懸念をもって語られる現在、その原点をふたたび問うためにも、広く読まれるべき力作」
BH 叢書でも大変お世話になっている勁草書房の編集部が、1月上旬からウェブ・サイトを立ち上げるようです。どのような展開になるのか、ワクワクしますね!
2015. 12. 25 金
今日はスローな動きで、27日(日)のトーク・イヴェント 『シビュラの預言と古代神学』 のためのパワポの準備をします。フィチーノをメインに据えて、ルネサンス期における『ヘルメス文書』や『カルデア人の神託』の受容について話をします。
2015. 12. 24 木
昨日ここに書いた索引の問題の解決と、最後にパリから飛びこんできたクリストフの亡き親友への献辞の挿入願いを、出版社の担当の方と確認して、今年の4月に本格始動したボッティチェリ計画からの
『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
はめでたく責了しました!
2015. 12. 23 水
山のなかではネットにつなぐのが難しかったです。
ボッティチェリ計画から 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の念校と索引が届きました。25日までに確認して返さないといけません。> 校正指示したものが上手くとり込まれているかだけ、先に確認しました。本体はほぼ問題ないようですが、どうも索引の元ファイルづくりで大ポカをしたようで、さ行の語順がメチャクチャでした。これは僕としたことが、本当に申し訳ないです!
2015. 12. 22 火
今日はちょっと山形の山のなかにいってきます。> 知らず知らず『十四代』の故郷にいったことに気がつきました。
2015. 12. 21 月
時差ボケと週末のイヴェントでの疲れが重なったものを癒すべく、スローな動きをしています。
2015. 12. 20 日
今日はスローな動きで、昨日のトーク・イヴェント
『本と読者、研究者をつなぐプロデュース術』
で撮影した動画を編集しています。酒井さんとの話に刺激を受けて、BH 叢書を立ち上げたときに開催したブック・フェアで配布したブック・ガイドをアップしました。ご自由にダウンロードください。
2015. 12. 19 土
午前中に宿舎の部屋を302号室から201号室に引っ越しました。今日のトーク・イヴェント 『本と読者、研究者をつなぐプロデュース術』
のために、13時過ぎに下北沢に向けて出発します。>
この日は各地でイヴェントが重なり、予約者数の伸びが鈍くて一時はどうなるかと思ったのですが、フタを開けたら大入りの満員状態でした。とても刺激的なトークとなったと思います。会場にお越しいただいた皆さま、どうもありがとうございました。>
こちらに関連ツイートをまとめましたので、どうぞお楽しみください。
2015. 12. 18 金
酒井泰斗さんとの年末トーク 『本と読者、研究者をつなぐプロデュース術』
も、明日となりました。今日は、話す予定の内容についてリストをつくります。ただ午後イチで、検診のため歯医者に行かないといけません。
2015. 12. 17 木
今日から立教大学の校宅に入ります。午後にカギを受けとりに出かけようと思います。クレアは16時半に羽田に到着予定ですので、池袋に着くのは18時ごろでしょう。> 結局のところ19時すぎになったでしょうか?近くのスーパーに食料品を買い出しにいって、夕食後は時差ボケでダウンでした。
2015. 12. 16 水
昨日は19時に着陸して、その数時間後には眠っていたので、まるで15日が存在しなかったかのようです。今日は16日なのですね。時差ボケで朝4時半に目が覚めました。今日一日はスローな動きでいこうと思います。>
時差ボケと格闘しつつ、ネット越しにはいってくる小さいオシゴトをいくつか片づけました。まあ、良い方ではないでしょうか?
偽パラケルススについての国際会議の関係者たちに、ディディエが送るためのメッセージを添削しました。それをクレアにプルーフしてもらってから渡しました。彼はさらに自分流の思いこみで手をくわえるので、最終的には英語のレヴェルが下がってしまいます。よく意味が分からない行為なのですが、本人のやりたいようにやらせるしかありません。
依頼された国際論集『プロティノスの遺産』に寄稿する原稿のアブストラクトを送りました。基本的には、プロティノスから影響を受けてフィチーノが展開した自然や不可視の種子の概念が、アグリッパやフェルネル、パラケルスス主義者たちにどのように受容されたのかを見渡します。基本的には、僕の本の前半で展開した話をアップグレードする予定です。> リアクションが帰ってきました。手ごたえは良いようです。
2015. 12. 15 火
フライトは思ったよりも混んでいて、横になることはできませんでした。それでもスムーズに定刻より40分前に羽田に到着しました。そこから電車で品川と池袋で乗りかえて、カワゴエについたのは21時半でした。
2015. 12. 14 月
お昼にディディエと会食して、クリストフの家で午後をすごし、19時に空港に向かって出発しました。21時には到着して、チェックインしました。22時半には搭乗がはじまり、定刻どおりの23時半に離陸しました。
2015. 12. 13 日
昼食後、クリストフに 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の第2ゲラを見せました。とても満足のいくできのようです。訳者の豊岡さんと
FB をつかって、5分ほどテレヴィ電話もしました。そのあとは、生没年のわからなかった幾人かの登場人物について調べものをしました。これでだいだい良いのではないでしょうか?
2015. 12. 12 土
さあ、帰国前のパリ遠征に出発です。10時の新幹線に乗り、12時にパリ北駅に到着しました。クリストフトと待ちあわせして昼食をとり、さきにカギをうけとりました。そして17時に落ちあってシルヴァン(マットン)の家に向かいました。家のなかは迷宮のようで、初期近代の貴重本で埋まっています。まさに現代のヴンダーカマーです。そのあと計画中のA論集について話しあい、21時前にシルヴァン宅をあとにしました。夕飯を食べたあとにクリストフに
『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
のカヴァ案をみせました。なかなか感動していましたよ!> じつは、シルヴァンはあのクリステラーのもとでポスドクをしたということで、彼によるディアチェットの
『美について』 の校訂版は、その成果のようです。
ピッツバーグ国際会議からの注目論集 『初期近代の医学と自然哲学』
Peter
Distelzweig et al. (eds.), Early Modern
Medicine and Natural Philosophy (Berlin: Springer, 2015) の電子版が、ついに出版されたようです。論文単位でダウンロードできます。僕の寄稿 「ゼンネルト、ガッサンディ、キルヒャーにおける原子論と生命の起源」
の頁打ちは、255-269頁 となりました。
2015. 12. 11 金
『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の再校ゲラの小解説とあとがきに頁打ちの変更が出たので、それを索引に反映させました。これで僕の作業は一応できました。あとは訳者の豊岡さんの見直しをまって、来週には提出したいと思います。年末までに責了ということですが、なんとか前倒しできたらと思っています。1月16日にはじまるボッティチェリ展に間にあうように、見本ができあがることを狙っています。書店での発売は1月22日ごろになる予定です。
今日の午後にはリェージュに引揚げ、明日の朝にはパリに向かいます。
2015. 12. 10 木
今日はついに、ボッティチェリ計画から生まれる 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の第2ゲラが届きました。まずは、第1ゲラの校正指示がしっかりと反映されているかを確認して、問題のあった数点だけのリストを作成し、最後に索引用に頁数をひろいました。これらふたつの校正リストと索引のファイルを豊岡さんにも確認してもらって、月曜の始業に間にあうように提出したいと思います。しかしですね、カヴァ図版とともにしみじみと見返すと、とても美しい本になったと思います。> 宿舎にもどって、第2ゲラを端から端まで読み直しました。最初のリストよりは校正指示は増えましたが、それでも2頁くらいです。
2015. 12. 9 水
日記の記述が一日分先行しております。
今週は水から金までオランダでオシゴトの後に土曜日からパリに移動し、月曜の深夜フライトで日本に向かいます。到着は火曜日の夕方になります。ということで、もう残り時間がないので今日中にカバンの準備をしないといけません。
2015. 12. 8 火
19日(土)に予定されている酒井さんとのトーク 『本と読者、研究者をつなぐプロデュース術』
は、知的興奮にみちたパッション溢れる楽しい会にします。夏の
『テクストの擁護者たち』
出版記念イヴェントの続編として、人文学の危機と未来について話しあいたいと思っています。残席も限られていますので、お早目にチケットを入手してください!
1月に出版される 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の出版記念イヴェントは、2月6日(土)という日程と会場(正式に決まり次第、報告します)がさっくりと決まりました。勁草書房営業部、さすがです!
昨日の午後に作業をしたジオコスモス計画のルネサンスの章を見直しました。これで良いのではないかと思います。あとは結語を加筆していただければ、OKかなと思います。
2015. 12. 7 月
昨夜はジオコスモス計画のフックの章が送られてきたので、見直しをしました。だいぶ完成校に近づきました。幾つか残っている疑問点を問いあわせつつ、他章との書式の統一をはかります。本体8章のうち4章が戻ってきたことになります。年内にあと2つくらいいけるでしょうか?> 今日、もう一度ゆっくりと読み直して再確認します。
ボッティチェリ計画からの 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』
の出版記念イヴェントを2月上旬にできないか、出版社の方にお伺いを立てています。特別ゲストとしてフランスから著者のクリストフも駆けつけるという話はしてあります。
午後から夜にかけては、ジオコスモス計画のルネサンスの章を他の章とのバランスを考慮して編集し直しました。
2015. 12. 6 日
今年は忙しかったことから、ながいことキンドル版を出せていません。最後のものは、アダム君との新春放談
『危険な物質主義の系譜』
と菊地原君とのコラボ企画 『パラケルススにおける梅毒、性愛、そして想像力』
です。そろそろ新作をドロップした方が良いだろうなと思っています。年明けには準備したいと思います。理想的には、対談テープの文字起こしやメルマガ原稿の整理を手伝ってくれるバイトを雇えたら良いのですよね。
2015. 12. 5 土
BHファンには嬉しいお知らせです。キリスト教カバラの専門家ピーター・フォーショー博士の講演会を、2016年の1月8日(金)18時から、東京大学の本郷キャンパスにて開催します。無料&予約不要ですので、ぜひご来場を!僕が司会をします。
「祈祷室と実験室にて: ハインリヒ・クーンラートの
『永遠なる叡智の講堂』 (1609年)における錬金術、魔術、そしてカバラ」
ライプツィヒ出身のドイツ人パラケルスス主義者・神智学者ハインリヒ・クーンラート(1560 -1605年)は、もっとも偉大なヘルメス主義者たちの一人とされ、彼の主著『永遠なる叡智の講堂』(1595/1609年)は、「神智学の聖書」あるいは「神智学的な錬金術と秘教諸学の書物でもっとも重要な一冊」とされてきています。本講演では、『永遠なる叡智の講堂』の二つの版に収められた複雑な銅版画を背景として、クーンラートの錬金術、魔術、キリスト教カバラについての関心を分析し、17世紀の薔薇十字運動からスイス人心理学者ユングにいたるまでの数世紀にわたる受容について語ります。
ピーター・フォーショー博士。オランダ・アムステルダム大学、ヘルメス学史研究所、初期近代西洋エソテリスム史准教授。錬金術、魔術、キリスト教カバラを中心とする秘教哲学の知的・文化的な歴史と、その宗教、科学、医学との関係を研究。学術雑誌『アリエス:西欧エソテリスム研究』編者。共編著に、『言葉と世界:聖書解釈学と初期近代科学』(2007年)、『マルシリオ・フィチーノとその影響』(2011年)、『深淵における光:西欧エソテリスムにおける視覚とシンボル』(近刊)。現在、単著『マグスの肖像:ハインリッヒ・クーンラートの初期近代祈祷室と実験室における秘教神智学』と『永遠なる叡智の講堂』の英訳をオックスフォード大学出版局から出版準備中。
2015. 12. 4 金
昨日の夜から充電できなくなり、マシン・トラブルとなりましたので、ランチ後に早めにオフィスから引き上げることにしました。14時前の電車に乗ったのですが、なんと人身事故で森のなかで電車がとまり、警察の現場検証などで2時間ほど電車のなかにカンヅメ状態となりました。このまま日が暮れるのかと思うころになって電車が動きだし、乗換駅に到着。つぎの電車をまっていると、そちらのマーストリヒト行の主要路線でも人身事故。これで駅が大混乱となりました。ティルブルグというところに迂回してアイントホーへンの駅に着き、そこから折り返し運転をしているマーストリヒト行に乗りました。普段は2時間半の旅程を8時間かけてリェージュに帰ったのは21時半を過ぎていました。夕飯を食べる気力もなく、そのまま眠りにつきました。明後日はオランダの伝統的なシント・ニクラースの日なのですが、それを迎えられない人もいるのだなと思わせる一日でした。
なおリェージュに帰って、このマシンを別のケーブルにつなぐと普通に充電できることがわかりました。どうやらケーブルがダメになっているようです。本体でなくてよかったです。助かりました。
2015. 12. 3 木
しっかりと調べたわけではないのですが、ルネサンスといえばどうしても人文主義との関係で修辞学に関心が集中するので、キケロの哲学的な著作の受容を研究したものは多いようでいて、じつはそれほどでもないような気がします。個人的には『神々の本性について』や『占いについて』の場合について興味をもっています。
ボッティチェリ計画は、図版のレイアウトのことで2日ほどやりとりして、これで校正もつぎの段階に進むことになるでしょう。
2015. 12. 2 水
まだデータが不完全ですが、ついにアマゾンにも 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎:ルネサンスの音楽と知のコスモス、そしてタロット』
の頁ができました。図版多数で、知的興奮にみちたスリリングな一冊ですので要チェックですよ! > BHサロンに入会いただいた方にはもれなく全員に、特別にサイン入りで1冊をプレゼントしようと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
ヨシ君とクニ君は、ヨシ君の本の完成にむけて深〜く潜行中ということです。正月明けに1週間ほどブート・キャンプをする予定ですので、それまでにある程度のたたき台ができあがっていると良いでしょう。
2015. 12. 1 火
まだかすかに時差ボケが残っている感じで、夕方になると眠くなります。そして、夜中ごろから目がぱっちりと醒めるという日々です。一時帰国に向けて出発する14日まで、残った作業をひとつひとつ整理していきたいと思います。