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ごくごく個人的な「本」日記

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201410

 

2014. 10. 31

  何回か仏語のプルーフ・リーディングをしてくれたエリザベスにユニクロでお土産を買って(3月のときには忘れたのでした)、近くにあるアップル・ストアでアイパッド・ミニ2を入手しました。結局のところ、ミニ3とのほとんど違いはないということなので、1万円ほど安いほうにしたわけです。ミニ2に当たるものは、以前は4万円だったので、3万円になったのは良いことです。

 

  山田さんが、僕の第2著作についてとても力作の紹介文を書いてくれました。もともと山田さんが博論を始めた15年前に頻繁にメールでやりとりして議論したことに形成力の話があるのですが、それをテーマにした一連の研究から生まれた本なので、読むべき人に読んでもらい、その真意を理解してもらったという嬉しい話です。

 

 

2014. 10. 30

  6時前に起きて、645ごろにホテルをチェックアウトして駅に向かいました。ギリギリで空港行の電車を逃し、つぎの電車まで30も待たないといけません。普段は15おきのはずなのですが、早朝なので間隔が長いようです。仕方ないので空港に一番近そうな駅まで行って、そこからタクシーに乗ろうと思い、スカルベークというところまで行ってみました。しかし、この町は工場地帯の真ん中でタクシー乗り場すらない状態です。仕方ないので一駅分のブリュッセル北駅に戻りました。つぎの空港行に乗って到着してデルタのデスクにかけ足です。どうやら、ギリギリで間に合いました。危なかったです。ふう。

 

そういえば気がついたのですが、デルタ・マイレージがシルヴァーになってから、職員の対応はこころなしか丁寧になった印象があります。飛行機への搭乗時もゾーン1で並ばずに優先的に乗れますし、普通のエコノミーよりも心なしか座席の間隔が広い気がします。たんなる印象でしょうかね?

 

フライトはスムーズで映画を3本ほど見ているうちにニューヨークに到着しました。地下鉄に乗ってブルックリンのナンシーさんの家を目指しました。ちょっとした用事があるようで、カギを残しておいてくれたので、ナンシーさんが帰ってくるまでジンジャーと留守番です。

 

 

2014. 10. 29

  今日は、ブリュッセルでファン・ヘルモントについての半日シンポです。まず昼食を一緒に食べるために13に待ち合わせです。会場は、その名もファン・ヘルモント棟のなかの会議室です。立教大学の古い建物もそうですが、人物名がついているのは良いですね。

 

  ジョーの発表はファン・ヘルモントにおけるキリスト教的な要素について分かりやすい入門編。そして僕の初期ファン・ヘルモントのパラケルスス主義についての発表の後、エリザベトはリバヴィウスについてとても良い発表を行いました。いままで研究者が読んだことのないテクストを丹念にひもといて、彼の医学におけるキミアの取り扱いを、しっかりと歴史的なコンテクストにおいて分析しています。彼女の博論の1章にあたるものでしょう。1年半前の最初の発表からみると、大きく成長して嬉しいかぎりです。シンポジウムは17時に終わり、その後にドリンクと食事で21時まで。なかなか中身の濃い一日でした。

 

 

2014. 10. 28

  明日が出発です。今日中にカバンを準備しないといけません。> 木曜日の到着時の手はずについて、ナンシーさんから電話がありました。

 

  ガファレル論集の寄稿者フレデリック(ガブリエル)は、これがイタリアから出る初めての出版物だと、とても喜んでいるようです。寄稿陣にも嬉しく思ってもらえるプロダクトをつくれて本当に良かったです。

 

 

2014. 10. 27

  どうも、冬時間になったようですね。気がつきませんでした。水曜日は12にブリュッセルにとった宿舎に着くようにしたいので、11に電車に乗らないといけません。14からファン・ヘルモントについての講演会が行われます。そして、そのまま翌日にはニューヨークに向かってフライトしますので、あと1日しか旅の準備の時間はありません。

 

  水曜日のために簡単なパワポをつくりました。

 

 

2014. 10. 26

  一昨日・昨日は暖房なしいでは、いられないくらい寒くなりましたが、今日は少しもちかえしています。このくらいが、この時期の普通ではないでしょうか?その前のは、ちょっと異常でした。これからクニ君も根占先生もヴェネト周辺にいくようですが、向こうは寒くないですかね。

 

  この水曜日の原稿も大丈夫なようです。あとは簡単なパワポをつくります。残りの時間は、シカゴの発表に向けて準備をします。

 

  ゲマ論集の出版のときの日記を見返してみると、なんと10ほどで印刷されていたようで、あらためて驚きました。ガファレル論集の書評版をおくるべき学術雑誌を考えないといけません。以下のようなところでしょうか?もちろん、B&C 誌には黙っていても告知されます。デカルトやメルセンヌなどの絡む17世紀フランスについて強い雑誌はなんでしょうね? La Lettre clandestine かな?でも書評はやってない感じですね。

 

           Renaissance Quarterly

              Isis

              Intellectual History Review

Ambix

              Aries

              Nincius

 

 

2014. 10. 25

  どうしても思い出せないので、ここに書いておきます。クロアチア出身のパドヴァ大学教授 Georgius Raguaeus について基本的なことを知りたいなと以前から思っていて、ふとしたきっかけで文献があることに気がつきました。ただ、体調不良だったせいか、その場でメモをとりませんでした。とほほ。> 灯台下暗しでした。なんと、ガファレル論集のなかでした。

 

  次号のメルマガとして、先週のチェコ遠征で発表した原稿を邦訳しました。明日もう一度、じっくりと推敲してからドロップします。それほど大変ではないでしょう。題して、「ヘルメスの夢とゴルゴンの神話:ゲオルグ・アグリコラにおける占星術・キミア批判と人文主義」です。

 

 

2014. 10. 24

  遅ればせながら、『近代ヨーロッパにおける魔術:古代知と自然哲学のはざまでFabrizio Meroi (ed.), La magia nell’Europa moderna: tra antica sapienza e filosofia naturale (Firenze: Olschki, 2007) という論集を手頃な価格で入手することができました。受けとって気がついたのですが、イタリア・ルネサンス学の大スターたちが饗宴しています。第1部などはフィチーノピコについての論集なのではないかと思わせます。ほかにも故ヴァゾーリ師によるボダンの魔術論についての論考など、全部で30以上も収録されていて目が離せません。2003にフィレンツェで行われた国際会議がもとになっているのですが、僕はまだ駆け出しでした。この目で目撃することができなくて、なんとも残念です。つぎあたりの2005のロンドンでのフィチーノ会議には呼んでもらえました。

 

  来週の水曜日にブリュッセルで、ファン・ヘルモントについて30ほど話さないといけないのですが、僕の本の彼についての章の前半を見てみたら、6枚くらいなのでちょうどいい分量です。それほど大がかりな作業をしないでも、そのまま発表原稿にできそうです。助かりました。そのつぎのシカゴでの発表の作業に打ち込めそうです。

 

 

2014. 10. 23

  昨日は、オランダに向かう電車のなかが非常に寒くて、オフィスに着くころには声枯れしてたようですが、クニ君と話をするまで気がつきませんでした。ちょっと微熱をかんじたのでバッファリンを飲んだら、夜には復調しました。危なかったです。

 

  今週の金曜日が書類提出の締め切りらしい人のため、真夜中に緊急ブート・キャンプを開きました。はたして、成果はあがるでしょうか?> 最初に幾つか基本的な指示を出して、欧州組が寝ている8時間のあいだに改訂版を提出してもらい、それをたたき台にハングアウトで2時間くらいコーチをしました。最初のヴァージョンでは落ちていたと思いますが、最終版ではどうでしょうね?

 

 

2014. 10. 22

  ガファレル論集の第3ゲラ(ほぼ念校)と索引の版組がきました。2箇所だけ、修正指示が反映されてないところがありました。今回は試しに、直接に PDF 埋め込む方法をとったのですが、リタがうまく拾えていなくて精度が落ちています。ジェルマーナもそれに気がついたようで、今度はリストで指示を出しています。こちらの方が安心です。ま、でも、これで晴れて印刷機に入ります!

 

  この論集に所収された6本の論考の内容を簡単に説明しておきましょう。最初のピーターの論文で、ガファレルの理解していたキリスト教カバラの伝統と内容、それをとりまく論争といった背景が描かれます。つぎのカンパニーニ氏の論考は、メルセンヌがガファレルを敵視するきっかけになったデビュー作『神的なカバラの隠された神秘』(1625年)の何が問題とされたのかが分析されます。

 

フレデリックの論考は、カバラから離れて、当時の神学論争と絡めてヘブライ学者としてのガファレルに光をあてます。それにつづくシルヴィの論考は、メルセンヌからガファレルの著作を論駁することを依頼されたペイレスクガッサンディが、なんとメルセンヌの意に反してガファレルの擁護にまわる流れが分析されます。

 

僕の論考は、ガファレルの主著にみる護符の理論が当時の医学キミア、そしての理論とどのように関連していたのかを描いています。最後のジュリエットの論考は、ガファレルの著作が17世紀半ばの英国王立協会の設立に深く関与した人々にどのように受けとられていたのかを、とくにジョン・イヴェリンの例をとって庭園・建築史の文脈から分析するという異色のものです。

 

「『隠された神秘』 『前代未聞の驚異』ガファレルによる天の書物と神的なカバラの擁護」

Peter Forshaw, “Concealed Mysteries and Unheard-of Curiosities: Jacques Gaffarel’s Defence of Celestial Writing and Divine Kabbalah”

 

「ガファレルと『神的なカバラの隠された神秘』」

Saverio Campanini, “Jacques Gaffarel e gli Abdita divinae cabalae mysteria

 

「因果関係、礼拝の意図、信仰の基礎のはざまのテラフィンの像 オリエント学者ガファレル」

Frédéric Gabriel, Figures des téraphim, entre causalités, intention du culte et supports de croyance: Gaffarel orientaliste

 

「ガッサンディとメルセンヌによる 『前代未聞の驚異』 の受容」

Sylvie Taussig, “La réception des Curiositez inouyes par Gassendi et Mersenne”

 

「ガファレルの 『前代未聞の驚異』 における像、護符、そして医学」

Hiro Hirai, “Images, Talismans and Medicine in Jacques Gaffarel’s Unheard-of Curiosities

 

「庭と実験室における相似と像 ガファレルのジョン・イヴリンへの影響」

Juliet Odgers, “Resemblance and Figure in Garden and Laboratory: Gaffarel’s Influence on John Evelyn

 

 

2014. 10. 21

  まだ本調子ではありませんが、残っている時間もあまりありませんので、索引の新版をジェルマーナに送りだしました。どうでしょう。> これぞ索引!という一声とともに返事がきました。これからチェックをするとのことです。進行具合について編集部のリタは満足しているということですので、年内の出版は大丈夫でしょう。> 4時間後にジェルマーナからチェックが帰ってきました。これでほぼ完璧でしょう。今日中にリタに送られ、明後日には版組されて帰ってくると思います。それをチェックして、全体が印刷機に入ります。

 

  今回のガファレル論集の準備では、ちょうど忙しいときを回避するように、うまい具合にそれぞれの段階がやって来てくれたので、待ち時間というロス・タイムも少なく、スムーズに作業を進めることができました。発案からは時間がかかり、途中で寄稿者の闘病生活という試練を乗り越えての歩みでした。

 

  以前から欲しいと思ってマークしていたけれど、なかなか入手できなかった『オランダ黄金時代に自然の書物を読むEric Jorink, Reading the Book of Nature in the Dutch Golden Age, 1575-1715 (Leiden: Brill, 2010) を見つけました。これ、ぜひともヨシ君には読んでブログに感想を書いて欲しいのですよね。

 

 

2014. 10. 20

  今日で3日目ですが、まだ背中が痛いです。熱はないのですが、このウィルスはしぶといです。この忙しいときに丸2日もベッドに寝ていたのですから、そろそろ勘弁してほしいところです。

 

  先週のワークショップの後、ランチのときに旧友のトマスがしみじみと話したのですが、彼の苗字は Nejeschleba というもので、過去には子供ときに学校で友達からバカにされたようです(いまは彼の子供たちが同じ境遇にあるようです)。また現在では、チェコ以外の世界の人からは名前を憶えてもらえないという悩みがあるようです。

 

  アメリカは世界のいろいろなところから異なる文化的な背景をもつ人々が集まるメルティング・ポットですので、発音記憶するのが難しい名前はニックネームで代替えする習慣が根付いていることは知られています。じつは、名前だけではなく苗字も変えることがあるようです。クレアの先祖はドイツ系のアルザス人で Veltin という名前(ドイツ・ビールの銘柄にもあり)だったようですが、19世紀末に移民してきたときに、発音的にはほとんどおなじでも英語的な表記の Felton になったようです。

 

 

2014. 10. 19

  これからつぎの週末に向けて、来月のシカゴ遠征のための発表原稿づくりをします。今回は、エミーさんとのニューヨークでの発表と同様に、菊地原君との共同発表ということで彼の本の4を土台にして、僕なりに肉づけしたものにします。「パラケルススにおける梅毒、性、想像力“Syphilis, Sexuality and Imagination in Paracelsus” という題なのですが、すでに米国科学史学会のプログラムで僕たちの発表タイトルをチェックした出版社 Pickering & Chatto の編集者から興味ぶかいテーマなので話がしたいとメールをもらいました。つまり、こういうタイトルの本を出さないか?という依頼だとは思うのです。

 

  早速のところ10時に、ジェルマーナから第2ゲラの校正指示の再チェックが送られてきました。日曜ですが、朝から作業していたのでしょう。僕が見えてなかったところが、彼女には見えています。う〜む、スゴイ。また、人名索引では脚注に1回しか出てこない人物は除いたのですが、説明していなかったので、どうなっているのか聞かれました。

 

 

2014. 10. 18

  チェコ遠征中にだんだんとプランが固まってきたのですが、1217日(水)の夕方に池袋の立教大学で、時の人、原基晶さんと、カバラ学者の山本伸一さんを迎えて、「ダンテ、魔術、カバラ」(仮)という夢の饗宴をおこないます。学生や一般の人が気軽に聞くことができる楽しい会にしますので、みなさん是非とも日程を空けておいてくださいね!予約不要・無料です。もちろん、レセプションもありますよ!

 

  昨日のうちにガファレル論集の第2ゲラをチェックして校正指示のためのリストをつくり、人名索引と一緒にジェルマーナに送りだしました。早ければ、来週のうちに念校がきて、それにOKが出れば、ついに印刷・製本に入るのでしょう。年内の出版が間にあうでしょうか?セラ書店は作業が早いので、大丈夫ではないかと思っています。

 

 

2014. 10. 17

  昨夜は、ジョンの次男坊があいにくの病気で、レンカ夫人も大変そうです。僕たちもワークショップと旅の疲れから、簡単な食事をとっただけで就寝しました。今朝は8時前に起きて、ジョンの運転で空港まで送ってもらいました。そこから11の便でオランダのアイントホーヘンまでフライト。そして14時発の電車でリェージュまで帰還です。16時過ぎに到着すれば、良い方でしょう。> 電車が遅れたので、乗り換えのためにマースの駅で走りました。本当は、駅や空港で荷物を転がしながら走るのは、とても危険だと身をもってしっているのですが。

 

  チェコは食事が美味しいことは驚きでした。ゲルマン文化圏では、とにかく不味いものしかお目にかかったことはないので意外でした。反対に困ったのは、インターネットがホテルの部屋にないことです。空港に来て、やっとつなげることができました。久しぶりに3日間もネットのない生活をしました。

 

  どうやら、チェコ遠征中にガファレル論集の第2校正刷りができあがったようで、送られてきました。3日という驚くべき速さです。リタはスゴイ。今週末は、じっくりとチェックし、同時に索引を完成させたいと思います。それですべて完成です。

 

 

2014. 10. 16

  ワークショップの2日目です。1本目は中世チェコの錬金術レシピ本にみる旅行譚についてでした。主人公の旅を再構成するのですが、そもそも著者がテクストのなかで語っている言及(バルトロメウ一行が通過した町々の名前や描写)だけが根拠なので、架空の話である可能性も大きいのではないか?と突っ込みをいれました。架空の旅行譚は中世錬金術のテクストにはよくある話です。その後の2本はチェコ語の発表に英語の同時通訳がつきました。ひとつは美術史、もうひとつはエソテリスムのアプローチで、どうも歴史研究としてはピンとこないものでした。

 

  休憩の後は、ヴァイゲルのクロルやクーンラートへの影響についての発表。この系統の研究は最近あまり聞かないので、僕にとっては新鮮なものでした。そして最後はチェコ語(予定より1時間も超過していたので、同時通訳のお姉さんは帰ってしまいました)の発表。これは専門家のものではないので、ディディエ(カーン)による重要な研究の成果を踏まえていなかったので、ディディエが指摘した間違いをいまだに踏襲して話を構成しているものだったので、質疑であえなく撃沈されていました。

 

  今回のワークショップの主催者トマスは、じつは2000 HAB で開かれたサマー・スクールの同期生で、14ぶりに旧友を温める機会を得ました。2〜3年前にルネサンス・テクスト研究所 Center for Renaissance Texts というものを立ち上げて、一連の重要な研究者を招いては、ルネサンスにかんする講演会やワークショップを精力的に企画しています。とくに、去年のパトリッツィについての国際会議はかなり大がかりなものだったようです。

 

  ワークショップ終了後にトマスを囲んで昼食をとり、同じくアグリコラについて発表したジョン(ノリス)と一緒に電車で1時間ほどの隣町ブルノにあるジョンの家に向かいました。今夜は彼のところにお世話になります。

 

 

2014. 10. 15

  8時半にイヴォと待ち合わせして地下鉄で中央駅まで向かいました。そこで他の2人と合流して4人で、945分発の列車に乗りました。ビジネス・クラスの4人で1部屋になっている列車です。1215にオロムスに到着し、そのままトラムで大学のある中心部に行き、ランチを食べました。僕はチェコの食べ物が好きかもしれません。

 

  予定どおり15時からワークショップが開始されました。ただのワークショップかと思っていましたが、受付プログラムの印刷などかなり気合が入っています。僕の発表からはじまって、ジョン(ノリス)と一緒にアグリコラについてのセッションを行いました。およそ20分のコーヒー・ブレイクのあとは、ジョン・ディーについてのセッションです。

 

  う〜ん、ディーについてのセッションは、なんともコメントできない状態のものでした。とくに最初の1本は、流暢な英語でエレガントな身なりの紳士が発表するのでカッコは良いですが、内容は読書メモに毛の生えたものを素人向けの話したという感じで、ご自分で数年前に書かれた論文の宣伝だったような印象も否めません。重要な地位にいるようですから、学問というよりも、政治的な背景で呼ばれたのでしょう。

 

  最期のラファルの発表は、いつものようにディーの右腕だったケリーの未亡人が誰とくっついて、云々というセンディヴォギウス伝説についての謎解きでした。最初に聞いた人には新鮮に聞こえるかも知れませんが、何回もヴァージョン違いを聞かされると、そろそろどうなのよ?という気もします。ちなみに、フェイスブックで紹介した彼の本ですが、なんで英語にしなかったのかと聞いてみました。どうやら、教授資格をとるためにポーランド語で出さなければいけなかったようです。物価の安いはずのあちらでも、60万円くらいを自腹で払って、400ほど刷ったようです。自分で売らないといけないようで、これは大変ですな。

 

 

2014. 10. 14

  さあ、今日からチェコ遠征です。余裕をみて10の電車でアムステルダムの空港に向かい、16のフライトです。到着した向こうでは、豪華論集『ルドルフ2世と錬金術』を編集したイヴォが迎えに来てくれるそうです。宿舎は、プラハ大学芸術学部のゲストハウスをとってくれたようです。いろいろお世話になります。

 

  18時と遅い時間に着いたので、あまり残された時間は多くなかったのですが、イヴォの案内で1〜2時間ほどプラハの中心街を見学。これは本当にスゴイところです!もっと驚いたのが観光客の多さです。う〜む、次回はちゃんと時間をとって滞在した方がいいですね。

 

 

2014. 10. 13

  昨夜のうちに、クレアに発表原稿のプルーフ・リーディングしてもらいました。原稿の方は、もうこれでいいでしょう。つづいて今日は、引用箇所だけをしめす簡単なパワポをつくり、明日の電車の券を手配し、旅行カバンの準備をはじめました。なお、今回の遠征は火曜から金曜までの3泊です。

 

  これまた昨日ジェルマーナに預けたガファレル論集の校正指示リストは、無事に編集部のリタに送られたようです。彼女はテキパキと作業が早いので、案外すぐに第2ゲラが出てくると思います。チェコ遠征のあいだにできているかもしれません。

 

 

2014. 10. 12

  ジェルマーナのアドヴァイスにしたがって、朝から午後までかかってガファレル論集の校正指示のリストを完成させました。僕も、注意ぶかく細かいところが見えている方だと勝手に思い込んでいますが、それでも彼女の眼力の方がはるかに勝っています。寄稿者自身や僕にはまったく見えなかった問題のある箇所が、ポロポロと出てきます。さすが、学術編集の女神さまです!

 

  気がついていませんでしたが、トニーアン(ブレア)が1991年の科学史学会でおこなったパネルをもとに、「人文主義と科学を再吟味する」 “Reassessing Humanism and Science” という4本の論文からなる小特集1992年に JHI 誌上で組んでいました。当のトニーは読者としてのケプラーという論考を寄せています。

 

  変成・消化・想像@ベルリンのために「錬金術・化学史協会SHAC Development Fund にアプライしました。ちょっとした額でも良いですので、もしスポンサーになってくれたら幸いです。

 

 

2014. 10. 11

  ジェルマーナからの指示で、シルヴィには第2校ゲラのときにチェックさせればいいので、いまは先に進もうということになりました。この週末で校正指示の一覧表をつくって出版社に送りだします。それほど多くないと思うので、なんとかなるでしょう。チェコ遠征のための原稿が終わった後だったのでダブらなくて助かりました。>できましたので、ジェルマーナにまず送ってみてもらいましょう。

 

ただこの調子だと、おそらく第2ゲラはアメリカに行っているときに来るので、アウェイではプリントしてチェックすることはできないでしょう。

 

  紺野さんに見てもらった第9章をフィードしました。最初の3分の1はクニ君も見てくれたので、それもフィードしました。これで紺野さんは序章から最終の第9章までの長いマラソンを完走しました。お疲れさまでした&ふかく感謝いたします。

 

  来週は火曜日にチェコ遠征に出発しますので、今週末はいつもよりさらに短い感じがします。月曜日に旅の用意をするとして、あと1日しか残っていません。

 

 

2014. 10. 10

  鉱山学者のアグリコラは、1520年代にボローニャパドヴァで学び、医学人文主義のサークルに所属してヒポクラテスの編纂グループにも参加します。これは、レオニチェノと近い知的環境に位置していたことを意味します。彼が地下世界への星辰の影響を太陽熱に絞るのは、レオニチェノも感化されたピコの影響であり、究極的にはピコのソースであるアヴェロエスの路線なのです。この辺りのこと、今度のチェコでのワークショップで話します!

 

  そうしたアグリコラは、地元にもどってからもカトリック教徒でありつづけますが、占星術を信奉するメランヒトンやその他のルター派の人々に囲まれて生活し、彼らと友好的な関係をキープしていたのは、歴史のアヤとして非常に面白いと思っています。> さらに面白い歴史のアヤは、旧東ドイツの科学史家たちがアグリコラを英雄としていた点です。占星術などの迷信神秘主義を否定した唯物論の勝利の一端ととらえていたのだと思います。しかし、そんなに単純ではないのですよね〜、歴史の真実は。

 

  ガファレル論集の方は、校正がすこし遅れています。シルヴィ105日ごろから出産のため病院に入っているようです。まだリストを提出していないピーターには催促を送りました。> すぐにピーターから返事があり、925に提出したといいますが、どうみても僕には届いていません。とにかくリストを送り直してもらったのでチェックします。あとはシルヴィだけです。皆さんに質問です。出産というのは、通常の場合で何日くらい病院に入っているものでしょうか?退院後に15頁くらいのものはすぐに読めるものなのでしょうか?

 

 

2014. 10. 9

  ひき続き、アグリコラについての発表原稿をひたすら推敲しています。> だいぶ煮詰まってきました。あとは際限ないので、このくらいで良いかもしれません。

 

  なんだか知りませんが、アカデミアの僕のアカウントが月間の訪問者数で世界のトップ・クラス(上位1パーセント)に選ばれたようです。瞬間最大風速みないなものでしょうから、いつまで続くか分かりません。

 

 

2014. 10. 8

  季節の変わり目で急に寒くなったせいか、昨日ずっと原稿執筆のためにイスから動かずにカラダが冷えたせいか分かりませんが、ちょっと体調を崩したようです。うまく眠れずにフラフラ感があります。オフィスにいっても、作業らしい作業はできませんでした。雑用だけこなして宿舎に向かいました。

 

 

2014. 10. 7

  気分を入れかえて、チェコ遠征のための読み原稿づくりをはじめました。30の発表ですが、なんとかラフ校はできました。週末まで何回か推敲して完成させたいと思います。題して、「アグリコラ、人文主義、キミアの批判“Agricola, Humanism and Criticism of Chymistry” です。

 

  紺野さんにチェックしてもらった第6章から第8章のフィードバックをしました。新版をプリント・アウトしたので、チェコ遠征が終わったら時間をみつけて最終的な読み直しをしたいと思います。

 

 

2014. 10. 6

  来週のチェコ遠征のための発表原稿をつくらないといけません。そろそろお尻に火がついてきました。

 

それでも今日は、トニー計画の作業をつづけ、第4章を最終稿としました。残りの時間で文献表をほぼ完成させました。これは大きい進歩です。なお、いまのところ以下のような進度になっています。すべての項目が第9章までくれば完了です。最終稿にする作業は、邦語として本当に意味がとおるかを一文一文チェックし、全ファイルをとおして漢字の開き具合を統一するので膨大な時間がかかります。

 

           紺野さんのチェック        第8章

           紺野チェックの反映       第8章

           最終稿                        第5章

 

 

2014. 10. 5

  トニー本の原稿を読んでいただいている超有名ブログ『石版!』の紺野さんから、7のチェックを受けとりました。ふかく感謝です。つづいて8をすぐに送りだしました。僕の方は、第6章のフィードをします。このペースでいくと、すべてを10月中には終わらせることはできるかなとも思いますが、10月には遠征があるので、まだよく分かりません。文献表づくりも、第7章から第9章が残っています。

 

  それでも気合を入れて4に戻り、前半を見終りました。この作業は、1日で25くらいが限界です。明日は後半を片づけたいと思います。> もうひとがんばりして、残り10頁にしました。

 

   メランヒトンについての大部な研究書『自然科学と宗教改革:メランヒトンの教育における改革のための自然学 Dino Bellucci, Science de la nature et Réformation: la physique au service de la Réforme dans l’enseignement de Philippe Melanchthon (Rome: Vivere In, 1998) を読みたいと思っていたのですが、どの図書館にもないし、入手するには高価すぎるので、今日まで躊躇していました。しかし今日は、この人の監修でメランヒトンの『自然学入門』と『霊魂論』が羅伊対訳で Melantone, Opere scelte (Claudiana, 2009) として2巻本で出されていたことを知りました。ほとんど誰にも知られていないのではないでしょうか?120ユーロくらいします。思案のしどころです。どうせなら、安価なボンピアーニのシリーズで出して欲しかったですね。

 

 

2014. 10. 4

  来年の3月にユトレヒト大学で占星術についての国際会議を開催するのですが、930までに応募のあった発表者の書類を吟味しています。全体で12の発表者を考えているのですが、すでにダレルをふくめた5人の招待者がいます。いまのところ、博士以上を4名、博士課程の人を3名ほど選ぶ予定です。

 

  同じく3月にベルリンでおこなわれるルネサンス学会のために企画したパネル「変成・消化・想像」の専用頁をクレアにつくってもらいました。短時間のわりには、なかなか良いものができました。コチラです。

 

  今日は、トニーの本のなかの長尺の第4章をスキップして、第5章をチェックしました。どうも意味のとおっていなかった間違いを直すことができました。これは良かったです。こんなところで、完成校としましょう。

 

 

2014. 10. 3

  メルマガでも配信しましたが、今夏の集中講義で話したとおり、長いこと恣意的な判断から疑似科学とみなされて、歴史家たちの考察から外されてきた錬金術が見直され、過去20のあいだに集中的に研究されたことによって、従来の科学史の地図を大きく塗りかえました。いまでは、キミアの歴史は真面目な研究に値する豊かな領域であると、ひろく認識されるようになったのです。ラリー(プリンチーぺ)の『科学革命』を読めば、そのあたりは手にとるように分かると思います。

 

 

2014. 10. 2

  来週の水曜までに、アグリコラについての30の発表をまとめたいところです。

 

  ゴロピウス・ベカヌスは最初の人間アダムの話していた言語が古オランダ語であったと主張したことで有名ですが、彼による奇書『アントウェルペンの起源』(1569年)には、ゴート・デンマーク人の起源についての章があることに気がつきました。『知のミクロコスモス』所収の小澤論文「ゴート・ルネサンス」で有名になった話につながるものだと思います。こういう議論を、16-17世紀の幾つかの著作家についてみていくと、とても素晴らしい研究になりそうですね。> 関心と意欲のある人は、ぜひともトライしてください。僕もお手伝いします!

 

 

2014. 10. 1

  これから1011には、2週間に1回のリズムで移動発表があります。最初のふたつは、僕の本のそれぞれの章をもとにして英語で30の発表に仕立てます。最後の一本は菊地原君との共同発表で、エミーさんとのニューヨークのときのようにします。アメリカ滞在中には作業はほとんどできないので、10月中に3本を準備しないといけません。ちょっと忙しくなりそうです。

 

           1015日 チェコ ―― アグリコラ、人文主義、錬金術

           1029日 ブリュッセル ―― ファン・ヘルモント

           1106日 シカゴ ―― パラケルススと梅毒

 

 

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