隠れた名著
  
 
 
その6
  
 ジョール・シャッケルフォード著
    『16-17世紀のデンマークとノルウェ−のパラケルスス主義者』
Jole Shackelford,
Paracelsianism in Denmark and Norway in the 16th and 17th Centuries.
(Ph.D. dissertation), University of Madison, 1989.
464pp.  Index なし
 
  
    ディーバス氏のセミナー出身の J.Shackelford 氏の1989年における博士論文です。10年経った今でも未公刊ですが、一件の価値ありの書物です。以下の文献表でも分るとおり、れっきとした現役で、幾つもの論文をその後この博士論文を下に書いています。パラケルススの思想を体系化し、優雅なラテン語でルネサンスの知識人たちに受け入れられやすい形にし、その思想の普及に大きな役割を果たしたとされる、16世紀後半のパラケルスス主義の分岐点の重要人物ペトルス・セヴェリヌスを中心に、その友人であった天文学者でケプラーの先生でもあるティコ・ブラーエなどといったパラケルスス主義のデンマーク・コネクションを探求しています。ディーバス氏の生徒だけあって、問題提起やその切り口は大変共通したところがあり、非常に面白いし、多くの人が待ち望んでいるテーマのを研究しています。しかし、この人の弱点は、ラテン語と古いドイツ語が読めないことです。その結果、ラテン語のみで書かれたセヴェリヌスの主著『哲学的医学のイデア』(1571年)は、当時英語に翻訳された不完全なテクストである未公刊手稿しか使っておらず、セヴェリヌスを研究するときどうしても必要となるパラケルススのドイツ語のテクストとの比較も全くされていません。パラケルススについては、従って、W.パーゲルの言ったことをそのまま鵜呑みにしています。こういう内的な欠点を抱えていますが、一見の価値は大きいです。
   
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