隠れた名著
  
 
 
その16
   
『スペインの錬金術の歴史』
Juan Garcia Font,
Histoire de l'alchimie en Espagne.
Dervy, Paris, 1980.
365pp.  Index なし ISBN 2-85076-109-5
 
  
    本書の原著はマドリッドで1976年に発売されているもので、これはその仏訳です。どちらが入手し易いか分かりませんが、ここで紹介するのは仏語訳の方です。僕もつい最近になって中古で入手したばかりです。スペインの錬金術の歴史と題して、中世イスラム治世下のスペイン時代から何と20世紀までをカヴァーしています。真面目な歴史研究と言う観点からは、17世紀の章までが重要でしょうか。中世の項目で、レイモンドゥス・ルルスの他にヴィラノヴァのアルノーやルペシッサのヨハネスが入っているところが本書のミソです。中世ラテン錬金術文書の3巨人を一人占めしてしまっています。カタローニャはスペインだからと言えば、それまでですが、何か反則のような気もします。中世の後は、いきなりフェリペ2世の時代へとジャンプするところもまたミソです。本当は、この第8章と9章をもってスペインの錬金術の歴史として欲しかった気もします。今のところは、章立ての内容紹介だけにしておいて、後でちゃんと読んだら詳しい批評を書こうと思います。ちなみに2冊持ってますので、欲しい人は僕に言って下さい。1976年に出ている事、仏訳はエソテリスム専門の Dervy 書店から出ている事も含めて、学術的と言えるかは疑問の残るところですが、中世ラテン錬金術とイベリア半島の関係、およびハプスブルグ家のスペインにおける錬金術というテーマに関しては捨て置けない文献です。
   
 
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