薔薇十字の覚醒

 




この画像の拡大版はこちら。


   
そろそろ薔薇十字会にかんするコーナーがあっても良いでしょう。フリーメーソンとならんで、オカルト趣味でもてはやされている薔薇十字会の運動ですが、それを歴史文化現象として学術的に研究する伝統はけっして長くありません。その方向転換のきっかけを与えたイエイツの大問題作 『薔薇十字の覚醒』 以降で見ていきましょう。近年では、Carlos Gilly を中心にイエイツの過ちを修正する優れた作品が生まれています。まずは、研究の基礎として最低限のマスト・アイテムを集めます。このコーナーのタイトルはもちろん、邦題にあやかっています。

 

 

日本語で何が読めるのか?

世界の優れた新しい研究に根差したしっかりした文献は出されていないのではないでしょうか?以下のものだけを参考に挙げておきましょう。
  
フランセス・A・イエイツ 薔薇十字の覚醒(工作舎、1986年)

ヨーハン・ヴァレンティン・アンドレーエ 化学の結婚 (紀伊国屋書店、1993年)
イエイツにも『ファーマ』などの翻訳が入っていますが、ドイツ文学専門家としての巨匠の決定版。


エディゴフェル『薔薇十字団』 (白水社クセジュ文庫、1991年)
今は入手できないのかな?一番お手軽な入門書。  

V・ウルバネーク 「彗星、世界の終末と薔薇十字思想の流行」

『友愛と秘密のヨーロッパ社会文化史』 (東京大学出版会、2010年)、133-154頁。

ウルバネーク氏はチェコにおけるコメニウス研究の権威

 

 

海外の重要文献

 
『薔薇十字の聖書』
Bernard Gorceix, La Bible des Rose-Croix (Paris: PUF, 1970).
『ファーマ』以下3書の翻訳とイントロ。

『ヨハン・ヴァレンティンアンドレエ(1586-1654):神学者のフェニックス』
John Warwick Montgomery, Cross and Crucible: Johann Valentin Andreae (1586-1654), Phoenix of the Theologians (Den Haag: Nijhoff, 1973).
いろいろ問題ありともいわれていますが、参考まで。

『薔薇十字とヨハン・ヴァレンティン・アンドレアレによる理想社会』
Roland Edighoffer, Rose-Croix et societe ideale selon Johann Valentin Andreae (Neuilly-sur-Seine: Arma artis, 1982-1987).
Gilly
の研究以前では、これがベストと言われています。 クセジュ文庫の『薔薇十字会』の著者です。

『ヨハン・ヴァレンティン・アンドレアーレ:薔薇十字会のマニフェスト』
Carlos Gilly, Johann Valentin Andreae: Die Manifeste der Rosenkreuzerbruderschaft (Amsterdam, 1986).

クリスチァン・ローゼンクロイツの世界:ヨハン・ヴァレンティン・アンドレアーエ と薔薇十字会マニフェスト
F. A. Janssen (ed.), Das Erbe des Christian Rosenkreuz: Johann Valentin Andreae und die Manifeste der Rosenkreuzerbruderschaft 1614- 1616
(Amsterdam: Pelikaan, 1988)
これは、オールスター国際会議論集です。

アダム・ハスルマイアー:薔薇十字会マニフェストの創始者
Carlos Gilly, Adam Haslmayr: Der erste Verkuender der Manifeste der Rosenkreuzer (Amsterdam: Pelikaan, 1994).
薔薇十字問題の新時代はここから。
 
Carlos Gilly

キメリア・ロードストローティカ: 1610-1660年の間の手稿と印刷本から見た薔薇十字会
Carlos Gilly (ed.), Cimelia Rhodostaurotica: Die Rosenkreuzer im Spiegel der zwischen 1610 und 1660 entstandenen Handschriften und Drucke
(Amsterdam: Pelikann, 1995).

『薔薇十字の覚醒再考』
Ralph White (ed.), The Rosicrucian Enlightenment Revisited (New York: Lindisfarne, 1999).
イエイツの再考本。学術というより少し軽い目のタッチ。
 

 

 

ホーム