ネーデルランド(低地地方)
文献案内と基礎知識
|
|
大体こんな感じに歴史の時代区分を見ておくと良いかもしれません
ブルゴーニュ大公家の治世 (1396-1467)
ハプスブルグの時代(1482-1555)
南ネーデルランドの商業都市ゲント生まれの神聖ローマ帝国皇帝カール5世治世などのフランドルを中心とした黄金期です。宗教戦争の時代、政治・宗教的に北(新教派)と南(旧教派)へと分かれて行きます。
1579年に北はユトレヒト同盟を組みます。
アルベルト(アルブレヒト、アルベール)大公とイザベラ時代(1598-1621)
南は、スペインの保護領となっていきます。 北は、1648年のオランダ共和国設立に向って進んでいきます。
この辺の歴史に詳しいベルギー観光局のページを見つけました。
「低地地方」の文化と歴史の理解のための基礎文献
政治・経済史一般
森田安一編、『スイス・ベネルクス史』、(山川出版、1998年)。
ホイジンガ、『中世の秋』、(中央公論社、1976年)。
ジョゼフ・カルメット、『ブルゴーニュ公国の大公たち』、(国書刊行会、2000年)。
堀越孝一、『ブルゴーニュ家』、(講談社現代新書、1996年)。この人は日本語がメチャクチャです。
Luc
Duerloo et Wener Thomas (eds.), Albert et Isabelle. Brepols, Turnhout,
1998.
スペイン領南ネーデルランドの統治者 『アルベルトとイザベル』展覧会カタログ。英語・オランダ語版あり。
スピノザと低地地方のマラノ(イベリア半島を追われたユダヤ人)の歴史
小岸昭、『スペインを追われたユダヤ人』、(人文書院、1992年)。
マラノの歴史で、オランダが結構登場。
工藤喜作、『スピノザ』(清水書院、人と思想シリーズ、1981年)。
マラノの子孫であったスピノザを通して17世紀のオランダの歴史・文化が見えてくる好著。
フランドル絵画と芸術(日本でもフランドル絵画史を研究してる人は本当に多いですね)
O.
ベネシュ、『北方ルネサンスの美術』、(岩崎美術社、1971年)。
永遠のクラシックです!最終章のネーデルランドの科学と文化の考察も面白い。
マンフレート・ルルカー、『シンボルとしての樹木』(法政大学出版局、1994年)。
ヒエロニムス・ボッシュの絵画を例にしています。
M.P.J. Martens
(ed.), Bruges et la
Renaissance: de Memling à Pourbus. Flammarion, 1998.
『ルネサンスにおけるブルージュ』展覧会カタログ。英語・オランダ語版あり。
開催日・場所: 英国ロンドン大学の付属研究機関の一つで、ルネサンスから印象派までの絵画・素描コレクションで知られるコートールド・ギャラリーから、珠玉の素描コレクションを出品。同館の主任学芸員ウィリアム・ブラッドフォード氏の監修する、16-17世紀オランダ・フランドルの風景素描100点によって、風景が描かれるようになった過程をたどりながら、当時発達したさまざまな新しい技法・材料や、風景と素描の役割の展開に迫ります。 Journal of the
Warburg and Courtauld Institutes
の名をBHの訪問者は、
知っていなければなりません。でも、この展覧会と結びつけられた人は? タイトルで、「オランダ・フランドル」と言っているけれど、つまりは「ネーデルランド」(低地地方)の事ですよ。東京を逃がした方は、静岡と郡山で見られます。 |
2002. 07. 20 土
『ハンザの商人とメディチ家の銀行:ヨーロッパの文化交流の市ブルージュ』 Les marchands de la Hanse et la banque
des Médicis: Bruges, marché d’échange culturels en Europe, Bruges, Stichtingsboek, 2002 という本を入手しました。ブルージュ2002
という文化祭典の一部をなす展覧会のカタログです。ブルゴーニュ家とイタリアや北ドイツのハンザ同盟諸都市の接点であった中世有数の港湾都市ブルージュにおける文化交流をテーマにした優れもの。1300年-1600年という時代がターゲットになっています。他に英語版とオランダ語版があると思います。
『ファン・アイクからボッシュまでの素描画』 Dessins de Jan Van Eycke à Hieronimus
Bosch という展覧会のカタログが欲しかったのですが、ハードカヴァー版しかなかったので、ソフトカヴァー版が入荷するのを待ちます。しかし、今年のフランドルは、初期近代のフランドル文化に関する展覧会だらけです。こういう時に低地地方に居れないというのは、何だかもったいないです。
前回お知らせした『ブリューゲル工房展』 De Firma Brueghel に続いて街で見かけたポスターによると、6月14日から8月18日まで、アントワープのルーベンスの館で『フランドル素朴派:ファン・アイクからヒエロニムス・ボッシュまで』 Heerlijke Primitieven / Les
primitifs flamands : Dessins de Jan Van Eycke à Hieronimus Bosch という展覧会が開かれているようです。この時期に渡欧する方は、是非ともアントワープまで足を伸ばしてください。しかし、ほんと今年は、ルネサンス期のフランドル文化好きには、当たり年ですよ。ブルージュもブルージュ2002 ということで、いろいろ企画があるようだし。
2002. 09. 24 火
ウェルカム所長 Hal さんの新作のサイン入り抜き刷りを貰いました。 「身体と感情:物質主義と初期近代国家」 Harold J. Cook, “Body and Passions : Materialism
and the Early Modern State”, Osiris, 17 (2002), pp. 25-48 というもので、題名に現われませんが17世紀中葉のオランダにおけるデカルト生理・心理学と重商主義のディスクールの絡みを検証しています。materialism は普通「唯物論」と訳されますが、ここでは霊魂とその作用を物質に還元することの謂いなので、マルクス主義と勘違いしないように物質主義としておきました。ま、どっちでも良いですが。
その他の参考文献一般
もっと詳しくは、E.Honma 氏のサイト中「オランダ」のコーナーを参照のこと。
蘭学史家の神戸大学・塚原東吾研究室
『日本(語)のオランダ』 一般基礎知識&リンク集。