ごくごく個人的な「本」日記
2023年11月
2023. 11. 30 木
ルーヴァンでの国際会議についてのコーナー「精気・スピリトゥス」を開設しました。会議後についての情報も集めていきます。良い機会ですので、基礎文献についても再整備しました。
次号のメルマガの原稿をドロップしました。「エリクシルの旅(後編)」です。12月2日の配信となります。
国際会議の原稿で言及したマテリアルを確認したりしています。今回は分析対象となるテクストの著者の引用がユルイこともあって、ソースの厳密な分析は難しいので、論文化のときに必要な部分を確認しているという感じです。ガレノスやアクチュアリウス、そしてアヴィセンナなどです。
しかし形而上学や霊魂論、医学に比べると、アヴィセンナの『動物論』は研究があまり進んでない感じですね。精気や生殖など霊魂論に近隣する哲学的にも重要なことを議論しているのですが。
2023. 11. 29 水
『オックスフォード版ガレノス必携』の告知が、オックスフォード大学出版のカタログに出ていました。全部で29章からなり、560頁のマッシヴな構成です。来年の3月19日が出版予定日のようです。まだ書影は入っていません。僕の寄稿と論集の出版までの流れは、こちらにまとめてあります。
ベルギーのルーヴァンでの国際会議のための発表原稿は完成しましたので、関連する文献をチェックしています。とくに「疑念から確信へ:ガレノスの自然精気の概念化と解釈における諸相」Julius
Rocca, “From Doubt to Certainty: Aspects of the Conceptualization and
Interpretation of Galen’s Natural Pneuma,” in Blood, Sweat and Tears: Changing Concepts of Physiology from Antiquity
into Early Modern Europe, ed. Manfred Horstmanshoff et al. (Leiden: Brill,
2013), 629-659 という論文は、あまり知られていない気もしますが、すごい力作でした。
この論文は自然精気と銘打っていますが、生命精気と動物精気もあつかい、ガレノスによる素描から後代における定式化までの過程を追っています。とくに古代アレクサンドリア、そしてフナインの役割に光を当て、これまでガレノス主義をめぐる記述で曖昧だった部分が明確になりました。革命的です。ギリシア、イスラム、ラテンと3つの文化圏を横断する論考で、素晴らしいの一言につきます。
矢口さんが邦訳したフナインの『問題集』や、橋爪さんが訳した『イスラーム医学』を読んだ方々も、もうすでに読んでいるかも知れませんが、もしまだなら、おススメです。
2023. 11. 28 火
10日前から開始したリハビリは効いているようです。すでに10月から寝るの姿勢と枕を変えることで、首から手首にかけての痛みと痺れは改善されていたのですが、リハビリでの首牽引や運動で、ほとんど問題を感じないところまできています。半年間の四苦八苦は、なんだったのか!皆さんも体調に問題があるときは、すぐに専門家に診てもらうことをお勧めします。
昨日、ガレノス論集がもうすぐ出版されると告知したら、ブルーノ論文を寄稿した「汎神論と汎心論」特集号の編者でもあるリチャードから、いま書いている論文でガレノスにも触れるので原稿を見せてくれと連絡がきました。ありがたいことです。すぐにファイルを送りつつ、12月11日ごろに校正ゲラもくると返事しました。
2023. 11. 27 月
『オックスフォード版ガレノス必携』の編者から連絡があり、校正ゲラが12月11日ごろに到着し、1月2日を校正指示の締切とする連絡がありました。僕にとっては、12月7日からのヨーロッパ遠征、そして年末年始にもあたりますが、3週間も猶予があるのでなんとかなるでしょう。先日のブルーノ論文でかかわった Taylor & Francis の3日間という荒唐無稽さとは異なって、とても健全なものだと思います。
しかしこれで、2024年前半には英語論文が2本ほど出版されることが確定しました。
2023. 11. 26 日
朝6時に起きて、8時からの翻訳家のローマの大橋さんとの生配信「西洋占星術の起源は古代ギリシア!?」に備えました。世の星クラの期待はとても大きかったようで、同時視聴者数も最大で60名となり、大橋さん関係の動画のなかではもっとも伸びていると思います。同時チャット欄も盛りあがり、非常に楽しかったです。
2023. 11. 25 土
どうも昨日は体調がイマイチで、思ったように作業することができませんでした。今日から巻きなおします。>
だいぶ集中して、ほぼ完成に近づいてきました。3400語ですから、35分前後で話せる感じです。持ち時間は50分ですから、質疑の時間も十分でしょう。結局のところ、医学と哲学の交錯を考えるということで、第1書に議論を絞ることにしました。
明日の生配信「西洋占星術の起源は古代ギリシア!?」のための接続テストとして、ローマの大橋さんとオンラインで簡単にお話ししました。一年ぶりでしたが、お元気そうでなによりです。『ギリシア占星術』の全邦訳の動きも好調なようで、嬉しいかぎりです。
2023, 11, 24 金
数年前にマドリッドでの国際会議で、精気をめぐるルネサンスの論争について発表したのですが、発表原稿を論文にしなかったので、部分的に切りだせば導入部に使えそうです。それを加えても、粗削りの状態で3600語なので、40分に欠けるくらいの分量となりちょうど良さそうです。ということで、これから推敲をかさねて磨きます。
パラケルスス研究の新ラウンジも、ほぼ完成したので公開しました。
2023. 11. 23 木
ブルーノ論文の校正指示リストを提出しました。クニ君の話では、彼の論文は10日以内くらいで先行出版されたそうですので、年内は間違いないでしょう。
今日は、ルーヴァンでの発表原稿の導入部の流れを練っています。フィチーノとフェルネルの話を中心にして、その後の精気についての議論がどのように展開したのかを、まとめたいと思います。
2023. 11. 22 水
ついにブルーノ論文の校正刷りがきました。今週のアメリカは、日本のお正月に対応するような休暇期間なのですが、そういうときに「3日間」で校正リストを提出しろというのは、かなり強引かなと思います。それでも午前中で集中して作業を終えました。明日もう一度だけ見直して提出します。
じつはこの特集号「汎神論と汎心論」への寄稿群の電子版が、先週あたりから徐々に先行出版されています。このリズムでいけば、僕のブルーノ論文も年内には先行電子版が陽の目を見るかも知れませんね。
午後は、昨日の作業のつづきとして、刈りこみを進め、3000語まできました。なんだか「医学と哲学のあいだにある精気」という発表原稿の本体は、第1書の議論だけで良いかも知れないなという気になってきました。あとは、イントロと著者以前の議論をまとめる部分をつけたせば、それで完成かも知れません。あと2週間もあれば余裕だなと見えてきました。
2023. 11. 21 火
今日は第1書の枝葉末節を切りおとす作業を進めました。ここだけで、6000語ほどあります。
2023. 11. 20 月
なんとか今日の頑張りで、第2書をラフにまとめることができました。明日からは、第1書と第2書から枝葉末節を切りおとして、それぞれのパートを1000語くらいに絞りつつ、発表原稿のかたちに近づけたいと思います。
2023. 11. 19 日
今日はスローな動きとなりました。
2023. 11. 18 土
なんとか第1書の議論をまとめることができました。まだまだラフなもので、矛盾や不明瞭な点が多いのですが、なにが著者にとって重要なのか明確になってきたと思います。いったん終了して、つぎは第2書に入りたいと思います。3日くらいでなんとかしたいと思います。
2023. 11. 17 金
第1書の議論をまとめる作業をつづけています。あと1日で、最初のラフなまとめは終われるかと思います。
2023. 11. 16 木
こちらの朝8時から魔術研の代表と、ロンドンからシカゴまでの航空券を入手しようとしたのですが、クレカで決済できません。セキュリティが厳しいのだと想像しますが、どうしたものでしょうか?つづいて10時からドイツにいるポスドクのY君と通話し、お昼になりました。
先々週にMRIの検査をしたのですが、頸椎骨が変形したことで神経を圧迫しているです。そのために今年2月から肩から手頸にかけてシビレや痛みがでていたのです。一時期よりはだいぶ良いのですが、とくに9月までは悩まされました。昼食後に初めてリハビリにいき、神経を圧迫している骨と骨の隙間をひろげる首牽引をやってもらいました。夕方から明日の朝には効果が出てくるといわれたので、なんだか楽しみです。
2023. 11. 15 水
朝9時からイタリア在住でパラケルススを研究している大学院生と話をしました。なんと!エリクシルもコレクションしているということで、とても楽しかったです。良い機会ですので、「パラケルスス研究の新ラウンジ」の改訂版をつくっています。その最初の部分を公開します。まずは「日本語で何が読めるのか」、そして「原典テクストの現代語」です。
そのあとは、いま遂行している作業のつづきとして、第1書の前半を読みくだして執筆をはじめました。議論が面白いところを抽出して、ラフにまとめていきます。明日は、第1書の後半で同様の作業を進めます。
2023. 11. 14 火
あとちょっとで、いま読んでいる第2巻も終わります。明日でしょうね。
2023. 11. 13 月
今日は、いま読んでいるテクストの第2巻の冒頭の4章分を読みながら訳しています。
2023. 11. 12 日
夜半になって、 Intellectual History Review 誌の特集号「汎神論と汎心論」に寄稿した僕のブルーノ論文についての連絡が届きました。2週間後に校正用の版組校(ゲラ)が送られてくるようです。しかしなんと驚いたことに、校正に与えられた期間は3日間と、あまりの短さです。しかも、かなり版組の品質が悪いと噂にきいています。なんとも心配だけが大きくなります。
とりあえず、2週間のあいだにできるだけ国際会議のための発表原稿の作業を進めないといけません。
2023. 11. 11 土
国際会議の準備を進めているところですが、今日は朝から生配信があるので、スローな動きとなります。
2023. 11. 10 金
とてもラフなのですが、なんとか第1書を終えることができました。ルーヴァンでの国際会議までちょうどあと1カ月なのですが、間に合うか心配です。というよりも、良い切り口を見出せるかといった方が良いかも知れません。
2023. 11. 9 木
最初はいつも五里霧中なのですが、だんだんと著者のクセや好き嫌いなどが見えてくるものです。
2023. 11. 8 水
もくもくと昨日の作業のつづきをしています。淡泊な記述で、すみません。
2023. 11. 7 火
ラテン語を読んで、ラフに訳しています。じつは10年前に写経してあったテクストでした。
2023. 11. 6 月
ローマの大橋さんが全訳した『ギリシア占星術』の邦語版『西洋占星術の起源』(八坂書房、2023年)が、はるばる遠い海を超えて、ついにアメリカ東海岸のBH本館に届きました!すぐさま、担当の方に写真を送りました。
10月はアメリカの親族のことで、なかなか実質的な作業をすることができませんでした。11月は気分転換して望みたいと思います。ということで、12月にルーヴァンで開催される国際会議のための発表原稿を書きはじめました。
2023. 11. 5 日
かつてないほどスローな動きとなっています。
2023. 11. 4 土
今日もスローな動きでいきます。
2023. 11. 3 金
今日はスローな動きできます。
2023. 11. 2 木
BHの活動の最初期に「パラケルスス研究のラウンジ」をつくりました。それは2000年代の初めで、90年代の研究の盛りあがりを中心にまとめたものでした。それから年月がかなり過ぎ、研究の様相もずいぶんと変わってきました。そこで、あらたにパラケルスス研究の新ラウンジをそのうちに立ちあげたいと思います。> 近年の新情報だけ集めたものをつくるか、以前のヴァージョンをアップデートしていくか、やり方については迷っています。
2023. 11. 1 水
魔術研では、シカゴで開催される次回のルネサンス学会にふたつのパネル企画を申請しています。今日は、その審査結果が出て、イスラム魔術とルネサンス錬金術の双方のパネルが採択されました。つぎはシカゴ遠征の準備をはじめます。>早速のところ、航空券を入手しました。自分のメモ用に書いておくと:
3月20日(水)16時 ニューヨーク発
― 18時 シカゴ着
3月24日(日)10時 シカゴ発
― 13時半 ニューヨーク着
ケフ子さんのソロ発表も採択されたようです。シカゴで会いましょう!