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ごくごく個人的な「本」日記

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202303

 

 

2023. 3. 31

つづいてマデイラ遠征でのセミナーの準備をしています。

 

 

2023. 3. 30

来月のマデイラ遠征では講演のほかにセミナーをするので、準備をはじめました。若手研究者や大学院生たちとガレノスの『胎児の形成についてDe foetuum formatione を読む予定です。英語訳で25あるので、幾つかの長めの断片を読みながら議論するつもりです。手はじめに、どこを切りだせば良いかを見極めたいと思います。

 

 

2023. 3. 29

エンペドクレス・アラブス:新プラトン主義的な解釈Daniel De Smet, Empedocles arabus: une lecture néoplatonicienne (Brussels: Royal Aademy of Belgium, 1998) を読んで、初期イスラム圏の新プラトン主義についての研究もそれなりに進んでいると感じました。しかし純潔同胞団の正しい年代が認識されていないことから、見落とされている点も多いと実感します。

 

 

2023. 3. 28

昨日から読みはじめた論文「ルネサンス・オカルト主義の断片化と魔術の衰退」を読了しました。オカルトの概念をしっかりと定義しないでルーズに議論をすすめ、そこに無批判に占星術錬金術などを詰めこんでいて、ヴィクトリア心霊主義からつづく旧来の視点に違いはないと思います。『ヘルメス文書』を過大視するところも、イエイツが好きなことを隠せておらず、とても興味ぶかい点です。

 

 

2023. 3. 27

今日は、長尺の論文「ルネサンス・オカルト主義の断片化と魔術の衰退John Henry, “The Fragmentation of Renaissance Occultism and the Decline of Magic,” History of Science 46 (2008), 1-48 を読みはじめました。いろいろ気がつくことはありますが、まずは読みとおしたいと思います。

 

 

2023. 3. 26

今年度の魔術研科研費はキッカリと使いきりました。基本的には、日本プエルトリコへの出張費本代です。来年度のものは41ではなく、43からが良いようです。幾つか電子版のない紙の本を注文したいので、スタンバイの状態です。

 

先日の論文で Glasner は、エピキュロスの「最小」(ミニマ)の概念がアリストテレス主義だけではなく、イスラム圏のカラム神学の原子論にも影響したのではないかと主張しますが、より後者に時代的にも近いものの影響も考慮に入れるべきではないでしょうか。ここで気になるのは、古代ギリシア末期のアリストテレス主義のイスラム世界への影響です。とくにシンプリキオスは、その大部な注解書の現代語訳が遅れたために、あまり真面目に研究がされてこなかったという側面もあると思います。

 

 

2023. 3. 25

6時に起きて、9時からの魔術研の主催による公開オンライン講座に備えました。今回は小野純一さんを講師として、「イスラム神秘思想:イブン・アラビーの文字神秘主義」というテーマで、入門編としての講義をしていただきます。Zoom 40、ユーチューブで25の方々が参加されました。このテーマに詳しい方々も何人かいて、質疑も盛りあがりました。大成功だったと思います。小野さん、お疲れさました!

 

 

2023. 3. 24

昨日にひきつづき、今日も暖房工事があります。これで終わってくれると嬉しいのですが。一戸建の冷暖房を統御するもので、ヒートポンプと呼ばれます。既存のものは、2000年代に設置されたものでしょう。新しいものは32くらいの大きさで、150万円くらいします。工事中は複数人が出たり入ったりするので、まったく落ちつかないですね。

 

自然ミニマについての論文「自然ミニマについてのイブン・ルシュドの理論Ruth Glasner, “Ibn Rushd’s Theory of minima naturalia,” Arabic Science and Philosophy 11 (2001), 9-26 を読みました。アリストテレスの『自然学』にたいする中注解のなかで、アヴェロエスはもっとも詳細に議論を展開しています。ただし、この中注解はヘブライ語訳のみで、ラテン語訳されなかったので、その影響は限定的だったようです。良い機会ですので、自然ミニマの専用頁を開設しました。

 

 

2023. 3. 23

今日は暖房工事の業者が入るので、なんの作業もできないでよう。そうだ、メルマガの原稿を準備しようかと思います。

 

 

2023. 3. 22

週半ばですが、今日はスローな動きでいきます。

 

 

2023. 3. 21

やっと文献の人力スキャンの新たな申請法がわかったような気がします。試しに注文してみましたが、だいたい3時間くらいで届きました。画像の歪みが大きいですが、読むことはできます。とにかく速いですね。全米の図書館網から自宅まで本を配送するサーヴィスもあるようです。こちらは電子版がなく、中古市場にもない超レアアイテムに利用したいと思います。

 

 

2023. 3. 20

「あと約5万円分をなんとか電子書籍で埋めたい」という話が、魔術研の代表からきました。候補を探していたら、仏訳版の『ピカトリクス』を入手できました。欲しい人はDMください。> いざとなると、これだというものが頭に浮かばない状況ですが、それでもアグリッパ『隠秘哲学について』の校訂版(1992年)が良いのではないかと提案しました。

 

 

2023. 3. 19

今日はスローな動きでいきます。

 

 

2023. 3. 18

今日は朝6時に起きて、9時から生配信をおこないました。サバティカルで一年をパリで過ごした仏文学者の玉田敦子さんを特別ゲストに迎え、コロナ後のフランス社会やパリの様子から図書館通い、友人や同僚、そして著作の執筆まで、いろいろな話をうかがいました。とても楽しかったです。

 

 

2023. 3. 17

中世ユダヤの哲学者マイモニデスを主人公にした冒険小説『昼も夜も彷徨』を原作としたドラマが、NHKラジオの『青春アドベンチャー』という番組で、先週と今週の10回にわけて放送されています。それを遠い海の向こうから時差配信で聞いたわけですが、もう4回目あたりからは最終回まで毎回どれも半泣きの状態で聞きこんでしまいました。良かったです。こちらから1週間だけ聴くことができます。

 

 

2023. 3. 16

アリストテレス研究を専門とする雑誌から、特集号「初期近代のアリストテレス主義」への寄稿を依頼されました。締切り来年4のようですが、そのまえに1011にオンラインの発表会を開催するようです。僕自身のタイムラインと折合いがつくか、考えたいと思います。 

 

ブルーノ論文では参照できませんでしたが、ルネサンス期の原子論についての新論集『ルネサンスにおける原子、粒子、ミニマChristoph Lüthy (ed.), Atoms, Corpuscles and Minima in the Renaissance (Leiden: Brill, 2022) をついに入手しました。先週のルネサンス学会でも、『偽パラケルスス』論集とともに割引価格50ドルで売っていたのですが、現金払いのみということで諦めていました。

 

 

2023. 3. 15

今日はスローな動きでいきます。

 

 

2023. 3. 14

7時に起きて、遠征の荷物を片づけ、幾つかの動画を簡単に編集してアップしました。各発表者の同意がとれたら公開します。

 

 

2023. 3. 13

10時ごろに宿舎をチェックアウトして、空港に向かいました。ラウンジ13時の搭乗時間まで過ごし、機内では席に座ったとたんに居眠りし、あっという間にニューヨークまでフライトしました。それから電車に乗って家路につきました。今回は体力的になかなか厳しい遠征となりました。こんなに疲れたことは、これまでにありませんでした。昨秋のルーマニア遠征でも、これほどではなかったと思います。なにが原因なのかは分かりません。

 

 

2023. 3. 12

われわれの宿舎からチャールズさんが朝6時に出立し、われわれは11時のチェックアウトに向けて片づけをおこないました。つづいて中西さんを空港に送りだしてから、残りのメンバーは荷物を車に積みこんでチェックアウト。それから日曜の夜だけの宿舎に荷物を預けて、チェックインできる時間まで待つために、島の東端にある風光明媚なビーチに向かいました。サン・フアンにもどり、夕食を食べた後にアマデオ君を空港に送りだしました。非常に疲れていたので、そのまま宿舎で眠りにつきました。

 

 

2023. 3. 11

8に魔術研のメンバーと一緒にタクシーに乗って会場に到着し、機材の設営をはじめました。ライアナもアムステルダムから Zoom で参加しました。ハイブリットになったわけですが、うまくいったと思います。中西さんも、発表と質疑もスムーズにすすめ、立派に世界デビュを飾ることができました。最後のチャールズの発表は、これまでにないくらい力の入った護符についてのもので、はじめてフィチーノがいっていることの意味などを理解することができた気がします。

 

そのたあとに少し離れたメイン会場に移動して、パラケルスス主義のパネルをおこないました。アマデオ君、エリザベト、そして僕の順番に発表をおこないました。パネルが終わったところで、ミッション終了という気分で緊張の糸が切れてしまいました。

 

 

2023. 3. 10

8時から、魔術研プエルトリコ遠征を記念して、アマデオ君と中西さんと緊急生配信をおこないました。短いですけれど、なかなか楽しいものになったのではないでしょうか?

 

アメリカ東海岸とプエルトリコの温度差が激しいせいか、今回は2日目なのに非常に疲れています。それでも合宿のように、中西さんやアマデオ君と断続的に研究や論文の書き方などの話をしています。すでに中西さんは、来年シカゴで開催されるルネサンス学会での発表テーマ粗筋まできまりました。題して、「天球の音楽:イスラムにおけるピュタゴラスと星辰魔術」です。なんとセクシーな!

 

 

2023. 3. 9

今日は朝の談笑のあとに、各自で行動することになりました。宿舎の周辺をチェックしたあとに、午後からルネサンス学会が開催されているホテルで名札を受けとり、とりあえず今日の作業は終了かなと思います。体調を整えることに専念します。

 

 明日10日の21から魔術研の面々がプエルトリコから生配信する予定です。どうぞ、お楽しみに!

 

 

2023. 3. 8

7時に空港に着いたら、なんと困ったことに、夕方の18時半発のフライトに振替えになってしまいました。仕方ないので生まれて初めて、空港内で12時間ほどつぶす羽目となりました。プエルトリコには現地時間で23に到着し、這う這うので宿舎にたどりつきました。すでに前日から現地入りしていたアマデオ君に、お昼すぎから中西さんが合流し、20時半にはチャールズ(バーネット)さんも到着しました。

 

 

2023. 3. 7

以前にも書いたとおり、『オックスフォード版ガレノス必携The Oxford Handbook of Galen ルネサンス期のガレノスの受容についての論文を寄稿しています。今日は、オックスフォード大学出版から連絡がありました。これから本づくりのプロセスに入り、出版されるのは今年末来年初頭だろうということです。かなり大型の本になるようで、最初に原稿を提出したのが2021ですから、それなりに時間がかかっています。

 

 

2023. 3. 6

僕のブルーノ論文は、Intellectual History Review 誌における「ルネサンスの汎神論と汎心論」という特集号に収録されます。2022年初夏にチェコで開催された国際会議から生まれた特集号です。どんな論考がほかに採択されたのかは、まだ分かりません。

 

明日からプエルトリコ遠征のために1週間ほど家を空けることになります。今夜はアロー君を義姉のところに預けにいかないといけません。家に来てから3年目にして初めてのことなので、いろいろ心配です。> 案の定、夜通し鳴いていたということです。

 

 

2023. 3. 5

昨夜から今朝にかけて客人がいたので、そのあとはスローな動きでした。

 

 

2023. 3. 4

めでたいことに、入魂のブルーノ論文を微調整したものが採択されました。ひとりの審査員は勘違いにもとづいて難癖をつけていたと編者雑誌側も認めてくれました。ふう。もうひとりの審査員はべた褒めなのですから、ブルーノの専門家ではない僕の発見が気に入らなかったのかも知れません。

 

この論文は、長年にわたって熱心に応援くださったコアなBHファンの方々に捧げたいと思います。

 

 

2023. 3. 3

配電盤の工事をする業者が8時半にきました。工事は3時間くらいかかるそうですが、そのあいだ暖房はありません。いまちょうど2時間を超えたところですが、だいぶ家のなかも寒くなってきました。あと1時間のガマンです。

 

今年6月にドイツの都市ゴタで、ゼンネルトについての大型の国際会議が開催されます。そこでの発表のための構想を練っています。この時間は楽しいですよ。フラカストロフェルネルにおける隠れた性質の考え、そして彼らの議論にガレノス偽アレクサンドロスが与えた影響についての分析からはじめて、エラストゥスに眼を配りつつ、ゼンネルトに入っていく流れを考えています。3部構成ですが、全体を3等分にするか、ゼンネルトにより紙幅を割くかたちになるかと思います。

 

それから詳細はまだ告知されていませんが、僕が担当する一般向けの公開講座71日(土)、715日(土)、722日(土)の3回で、各回とも午前9から11となります。自然界(マクロコスモス)編、人間(ミクロコスモス)編、驚異(ミラビリア)編となる予定です。いまから予定を空けておいてくださいね。

 

 

2023. 3. 2

明日は配電盤を交換する工事があるので、インターネットをふくめて家電が使えません。暖房もないのは痛いですね。ながくても午前中だけで終わってくれることを祈ります。

 

ブルーノ論文を微調整した改訂版を提出しました。ひとりの審査員の勘違いにもとづく指摘には、できる対処はして、できないものはスルーすることにしました。特集号の編者雑誌側の判断を待ちましょう。> すぐに編者のリチャ−ドから返事がきて、その方針で良いだろうということです。あとは雑誌側の判断になるかと思います。

 

つぎは来週火曜からはじまるプエルトリコ遠征にむけた最終的な準備をします。

 

 

2023. 3. 1

微調整のおわった論文を再読してみました。これで良いかなと思ったあとに、追加した部分があります。あとから取って付けたような違和感がないか、じっくりと見極めないといけません。

 

テクストに明確に書いてあっても、気がつかない人は気がつかないようです。シンプリキオスは、アリストテレスの『自然学』にたいする非常に詳しい注解を書いています。この注解に収録されている重要な断片群なしでは、アナクサゴラスの教えの詳しいことは理解できません。その点を明確に書いても、納得できない人が存在するようです。なにかの勘違いにもとづいている場合がほとんどで、これには困りました。

 

 

 

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