ごくごく個人的な「本」日記
2021年11月
2021. 11. 30 火
つぎのメルマガは、インテレクチュアル・ヒストリー(翻訳)と錬金術(一般雑誌の記事)とまったく次元の異なるふたつの内容からなるので、本体と号外に分けようと思います。今日は本体と号外のどちらもドロップすることができました。配信は、12月2日と12月3日になります。どちらもBHの活動についての速報としての意味あいもあります。
気になっていた締めきりが12月15日ではなく、来年1月15日だと分かって、すこし気持ちに余裕が生まれました。ふう。ちょっとだけラッキーな気分です。
中世イタリア文学研究者の原基晶さんは、恒例となっているBH寿司会のオリジナル・メンバーです。今日は、出されたばかりの『ダンテ論:『神曲』と「個人」の出現』(青土社、2021年)が、海をわたって無事にアメリカ東海岸に到着しました。ありがとうございます!
2021. 11. 29 月
次号のメルマガの準備を進めないといけません。はじめ考えていたアロマ雑誌のための記事は、それだけでは分量がどうも足りません。
2月にチェコで予定されていた国際会議が6月に延期となりました。これにしたがって、12月が締めきりだった原稿も締めきりが延期となりました。コロナ禍によって遠征は無理だろうと、もともと想像していたのですが、原稿の締めきりも延期されたので、これは嬉しいかぎりです。
2021. 11. 28 日
今日はスローな動きでいきます。
2021. 11. 27 土
イブン・クッラの『護符について』の校訂版が、ついに出版されたようです。ながらく待っておりました!『タービト・イブン・クッラ「護符について」、偽プトレマイオス「像について」、バースのアデラール「タービトの書」』
Gideon Bohak & Charles Burnett (eds.), Thabit ibn Qurra On Talismans and Ps.-Ptolemy On Images 1-9 together with the Liber prestigiorum
Thebidis of Adelard of Bath (Firenze:
Sismel, 2021) です。
イブン・クッラは9世紀のバクダードで活躍した星辰魔都ハラーンの徒で、『護符について』はイスラム圏だけではなく、中世ヨーロッパにおいてもラテン語訳されて占星術的な護符についての伝統を基礎づくった書物です。中世のテクストについての校訂版づくりは時間がかかるもので、ながらく計画が告知されて待っていても出ないことも多々あるので、これは事件です!
2021. 11. 26 金
朝6時に起きて、7時からの藤本大士君との対談動画のプレミア公開にそなえました。デビュ作『医学とキリスト教』を紹介しつつ、歴史学におけるジェンダーの問題のとり扱いについての工夫や実践を語りあう動画となっております。
2021. 11. 25 木
アヴェロエスの医学書『コリゲト』Colliget(アラビア語の原著名 Kitāb al-Kullīyāt)は、7巻構成になっています。それぞれは1)解剖学、2)生理学、3)病理学、4)兆候論、5)食事、6)養生、7)治療をあつかっています。
2021. 11. 24 水
哲学者アヴェロエスの医学書『コリゲト』Colliget についての研究は、あまり進んでいないようです。限定したテーマをあつかう論文がドイツ語とスペイン語で幾つかありますが、単著や博論などの規模で内容や影響について俯瞰する研究はありません。テクストについても、アラビア語の校訂版と現代のスペイン語訳はありますが、それにつづくものは出ていません。英語や仏語の全訳があれば、状況は変わるのかも知れませんね。
アヴィセンナの『医学典範』が歴史的な重要性からアラビア語圏の医学書として注目を集めてきたことで、アヴェロエスの医学書にたいする関心は相対的に低かったのでしょう。哲学者たちもアヴェロエスの霊魂論、そして形而上学や自然学に注目してきましたが、彼の医学書にほとんど触れてきませんでした。『コリゲト』はアリストテレス主義の観点からガレノスを批判するもので、興味ぶかい哲学的な議論をふくんでいます。
2021. 11. 23 火
午前10時から1時間半ほど、先週に読みこんだ原稿にたいするコメント会をおこないました。再考するためにとる時間にも依拠しますが、上手くやれば、とても良い論文になるのではないでしょうか?
2021. 11. 22 月
今日もスローな動きでいきます。
2021. 11. 21 日
今日はスローな動きでいきたいと思います。
来年の2月(チェコで国際会議)と4月(スウェーデンで国際会議)に先約が入っているのですが、今日はその間隙に別件の締めきりが降ってきました。これは完全に無理だろうと思います。困りました。
2021. 11. 20 土
今日は朝6時に起きて、朝7時からの『機関精神史』編集主幹の後藤護さんとの生配信にそなえました。2時間半のおよぶ配信では、同時チャットがそれほど盛りあがりませんでした。不思議に思っていたのですが、配信直後から深夜にかけて視聴数がグイグイと伸びていきました。視聴者の多くは『機関精神史』に関心のある読書人たちであり、ユーチューブにおける生配信の面白さに慣れていない、夜型の方だったのでしょう。
2021. 11. 19 金
おそらくはアラビア人だと思われていたのに、じつは後代のヨーロッパ人だったという事例として、中世の錬金術における偽ゲベル(Ps.-Geber)は有名となりました。同様なケースとして、偽メズエ(Ps.-Mesue)という人物が薬学の伝統にいたことを知りました。8/9世紀のバグダッドで活動したメズエ(Yuhanaa
ibn Masawaih, c. 777-857)とはまったくの別人で、13世紀後半のイタリアに生きた人物のようです。おそらくは、イタリア人だったのでしょう。ナンシーさんの研究で有名になったボローニャの医学者タッデオ・アルデロッティの影響が色濃いようです。
2021. 11. 18 木
昨日までの原稿を読みなおしながら、僕自身のコメントをチェックしました。そういえば、田邊さんに手伝ってもらって入手したアヴェロエスによる医学書の現代語訳をもっていたはずなのですが、どうも見当たりません。BH本館の大陸移動のなかで、紛失してしまったようです。仕方ないので、入手し直すことにしました。
2021. 11. 17 水
昨日から読んでいる難しい原稿をなんとか読み終わりました。ふう。つぎはフィードバックするためのオンライン会をセットしないといけません。
2021. 11. 16 火
執筆者から吟味を頼まれている英語の原稿を読みはじめました。なんだか難しくて、叙述の表層しか追っていけません。僕に問題があるのか、原稿に問題があるのか、良く分かりません。もうちょっと頑張ります。
2021. 11. 15 月
ブリル出版の担当者から連絡がきて、偽パラケルスス論集はカタログでは12月16日になっていますが、12月2日に公刊となることが決まったようです。今週中には印刷に入るようです。
2021. 11. 14 日
今日はスローな動きでいきます。
2021. 11. 13 土
朝6時に起きて、7時からのプレミア公開に備えました。冬時間になり、日本と米東海岸の時差は14時間となり、日本時間の21時に何かをはじめるのは、とても厳しくなってきました。プレミア公開時の同時チャットは、失礼ですが中さんにはハードルが高いかなと思っていたら、冒頭からスムーズに入っていただけて助かりました。前週の山田さんはプレミア公開が終わる直前になって仕組みが理解できたようだったので、それよりは良かったです。皆さん、コロナ禍のせいで Zoom は使われるようになり、通信環境も格段に向上しているのですが、やはりデジタル・ディヴァイドは存在します。
2021. 11. 12 金
今日も一昨日・昨日の余波でスローな動きでいるのですが、ひとつ大きな案件の相談がありました。ルー君にも話して、そのまま即決の流れです。夜遅い時間帯になってしまったので、詳しいことは明日にでも説明します。>
良い感じでいけそうです。来春から本格的な作業をはじめて、夏前に大まかな作業を終わらせれば、来秋には日の目をみるだろうと思います。
2021. 11. 11 木
どうも体調を崩したようで調子が悪いので、昨晩からバファリンを飲んで寝ています。再起動まで少々お待ちを。
2021. 11. 10 水
ついに婦人画報社のアロマ雑誌のための記事が、専属ライターさんから送られてきました。もっと大変かなと想像していたのですが、細かいところの4点の微調整で済みました。これは良かったです。質問表への解答を準備した時間と打ちあわせの時間を入れると、それほど割の良い仕事ではありませんが、『錬金術の秘密』の宣伝になれば良いでしょう。
恒例となったBH寿司会のオリジナル・メンバーである中西恭子さんから、もうすぐ出版されるE・J・ワッツ著『ヒュパティア:後期ローマ帝国の女性知識人』(白水社、2021年)をお送りいただきまして、今日ぶじにアメリカ東海岸にも到着しました。思ったよりも速かったです。桑木野君と一緒で、糟谷さんが担当の編集者さんです。これから日程を決めて、中西さんとの対談動画を撮る予定です。
2021. 11. 9 火
今日は、偽パラケルスス論集の人名索引で拾われている数字をひとつひとつチェックしました。ディディエにはサンプルをとって検査することを頼まれたのですが、このさいですから全部やってしまうことにしました。ふう。あとは残りの校正刷りの全体を11月15日までにチェックしないといけません。
2021. 11. 8 月
ディディエと編集している偽パラケルススについての国際論集の第2ゲラがきました。ここでは校正指示が正しく反映されているかをチェックするだけで、さらなる微調整はできません。さらに第3ゲラ(念校)にまで手を入れることがある日本と比べて、ここがもっとも大きな違いでしょう。
2021. 11. 7 日
朝8時から若手の方に研究アドヴァイスをしました。夏休みのあいだ時間が空いてしまったので、もう少し定期的にした方が良いのかも知れません。
2021. 11. 6 土
朝7時に起きて8時からのプレミア公開にそなえました。山田俊弘さんをゲストに迎えた対談動画「ジオコスモスの変容!?」です。山田さんはやり方が良く分からなかったようですが、ライプニッツ研究者の今野さんや学芸員の藤村さんなどが、併設の同時チャットに参加していただいたのは良かったと思います。
2021. 11. 5 金
今日はスローにいきます。
2021. 11. 4 木
書評のための読書にもどり、あと残り12章となりました。まだ時間がかかります。眼についたのは、「だからこそ、星辰の働きと大地との関わりの占星術的な解明や火をもちいた錬金術的な操作が必要となる」といった印象的な締めのフレーズです。ここに至るまでに占星術への言及はありましたが、錬金術は突如として出てくることから、数行分のロジックが吹き飛んでいる印象が否めません。
2021. 11. 3 水
つぎの作業に移れていないのですが、なかでも書評の作業をはやめに終わらせたいと思っています。
2021. 11. 2 火
今朝は9時から短めのリヴェンジ編のプレミア公開につづいて、心配していた生配信への移行もスムーズにいきました。ユウジローさんも饒舌で、なかなか充実したトークになったかと思います。最後には、スケザネさんも飛び入り参加していただけました。
JHI誌からは特段なんの連絡もないので、僕の提出した審査評で良かったのだろうと推測します。議論を一般化して翻訳したものをメルマガの号外にしたいと思います。
2021. 11. 1 月
ユーチューブ側の不具合で、プレミア公開が中断してしまったユウジローさんとのコラボ動画「スピノザが世界を征服!?」は、後半部をリヴェンジ編として11月2日(火)22時からプレミア公開します。思いつきとして、そのあとにつづけてフリートークを生配信することにしました。ユウジローさんも参加していただける予定です。