ウェブスター『パラケルスス』書評



 

 

パラケルスス終末における医学、魔術、そして使命

Charles Webster, Paracelsus: Medicine, Magic, and Mission at the End of Time (New Haven: Yale University Press, 2008)

 


 

 

書評です

 

 

 

 

 

メイキング風景

 

2009. 4. 5

  ウェブスターの本『パラケルスス』への書評のドラフトをアップしました。ご自由にご覧ください。

 

 

2009. 4. 4

  夜のうちにディディエクニ君がコメントを寄せてくれたので、今日はお昼からオフィスに来て書評の細部をいじくっています。書評というのは一字一句の重みが大きいですから、何度も何度も推敲を重ねることになります。特に、ディディエには僕の知らなかった本を教えてもらいました。2005年にドイツで出た本ですが、まだ入手可能なようなので、欧州に帰ってから入手したいと思います。

 

  いろいろ批判もあるでしょうが、僕個人にとってはウェブスターの本『パラケルスス』は勉強になりました。本書の強味は、宗教改革の流れの中でパラケルススをとらえることと彼の世界観における終末論啓示論的な側面を描き出すことです。これは、邦訳もある『パラケルススからニュートンまで』でも強調されている点ではあるかと思います。今回ウェブスターはさらに進んで、パラケルススと再洗礼派の中でも霊性主義的・神秘主義的な流れをくむものたちとの類似性を強調しています。特にこれらの流れの原点としてタウラーや『ドイツ神学』に代表される中世末期ドイツの神秘主義の影響を示唆しています。さらにさかのぼるとド・リベラの得意なエックハルトライン霊性運動へとつながり、アルベルトゥスや彼の流出論の重要なソースである偽アリストテレスの『原因の書』へとたどりつきます。そこからは偽ディオニュシオスプロクロス、そしてプロティノスというお決まりの新プラトン主義の中へと向かっていくことになる訳です。こういう話のありがちなところは、すぐに安易に古代末期の新プラトン主義と偽ディオニュシオウスに話が飛んでしまうところです。現代の歴史家に課せられた任務は、むしろもっと具体的アルベルトゥスパラケルススがどういうテクストを通してつながるのか?といった部分をアタックすることだと思います。そうです、すべてはスペキュレーションではなく、テクストで証明しないといけないのです。

 

 

2009. 4. 3

   書評の原稿を見せようと送ったミゲルからすぐに返事があり、トレドでの秘密会議9になりそうだという連絡を受けました。それの方が都合が良いですね。

 

 

2009. 4. 2

  書評のプルーフ・リーディングを短期フェローとしてフィリーに来ているジェニーがしてくれることになりました。彼女もウェブスターの『パラケルスス』を読んでいるところなので、ちょうど良い機会だということです。

 

 

2009. 4. 1

  ウェブスターの『パラケルスス』への書評ですが、分量だけはオーヴァ気味のところまで来ましたので、いらないものを削りながらカタチを整えて行きたいと思います。> 1200単語まで落とせました。もう少しです。> しかしですね、この書評の邦語版の欲しい雑誌は申し出てください。急ぎでなければ特別に作りますよ!

 

 

2009. 3. 30

  これから Journal of Modern History 誌のための書評を書くのですが、この雑誌って見たことないのですよね、僕は。1000ということで前回のガッサンディ論集の2倍は必要になります。出だし締めは後で考えるとして、まずは内容のまとめをしたいと思います。ウェブ上にサンプルがあったのでプリント・アウトしてみています。単純な内容のまとめというよりも、最初からいきなりエンゲイジングな分析と批判が繰り広げられています。こういうの書くのは時間がかかるのですよね。ちょっと甘く見ていたかも知れません。> ちょこちょこと考えつくことをメモのように書き込んだ段階で600まで来ました。それほど苦もなく分量だけはクリアできそうです。

 

 

2009. 3. 29

  僕の一番期待している自然哲学物質理論についての議論は5 「物質と魔術」 (131-168) あるようです。今日は、そこから読み始めます。> 今は夕方の18時です。思ったようには進まなく、今のところ190まで来ました。あと60頁です。とりあえず、この6 「ラジカルな改革」(169-209頁) が終わるまではオフィスに張り付いていているつもりです。それまではあと20頁。

 

  ウェブスターは全てに説明をつけてパラケルスス合理的に説明しようとします。それはそれで良しとしましょう。しかし、同時に中世の錬金術は晦渋なエソテリックな理論の塊だと簡単にレッテルを貼ってしまうのもどうかと思います。つまり、本書『パラケルスス』で彼がしたいのは、パラケルススをラジカルな一人の宗教改革家としてリスペクタブルな姿に変えようとする作業なのではないか?と思ってしまいます。>夜中の12時前に読み終わりました。最後は感動的な終わり方でした。さあ、明日から Journal of Modern History 誌のための書評を書きます。

 

 

2009. 3. 28

   書評を書くための自分のメモとして思いついたことを書いておこうと思います。昨晩読んだウェブスターの『パラケルスス』の第1章「生涯と仕事」 Life and Labour 30頁は、宗教改革直前のドイツのようすを描写する時代背景とパラケルススの伝記的なスケッチからなっています。宗教改革の中でのラジカルな人たちの運動とパラケルススの仕事をあわせて描くこころみは、ウィークスの野心的な『パラケルスス:思弁的理論と初期宗教改革における危機Andrew Weeks, Paracelsus: Speculative Theory and the Crisis of the Early Reformation, New York, Suny Press, 1997 で行われています。もうひとつ気がついた点は、アントニオに言われていたのですが、ウェブスターは共産主義者のようで、なるほど資本主義への憤りというものが透けて見えます。それから、邦訳もあるコイレの著作は使っていないようです。僕の個人的な関心は、パーゲル以降の近年のドイツでのパラケルスス研究の成果をどの程度取り入れているか?という点にあります。第1章を象徴するキーワードをあげるとしたら、使命 (ミッション) でしょうか?著作の出版ボイコットにあい、同業者の妬みを買い、パトロンに恵まれずに不遇な人生を送りつつも、くじけずに執筆活動にエネルギーを注ぎ込んだパラケルススの活動を支えたエネルギー源を、ウェブスターは終末論的な世界観における神からミッションを与えられたと信じる者の力に帰しています。

 

  午後の3時過ぎに第2章を読み終えたところで、オフィスでの作業は中断しました。夕飯後に第3章を読み終わり、これから第4章に入ります。全体でテクストは250ありますが、今ちょうど100くらい読み終えました。> 第4章の130を終えたところで、今日は終わりにします。続きは明日中に終わらせられると思います。

 

 

2009. 3. 27

  夜にウェブスターの『パラケルスス』の第1章を読みました。明日も読み続けたいと思います。

 

 

2009. 3. 26

  これから Journal of Modern History 誌から依頼された書評を書くために、ウェブスターの新著『パラケルスス』の早く読まないといけません。締め切りは49なので余裕はあるのですが、4月はテレジオ月間としたいのでなるべく早くかたづけてしまわないといけません。

 

 

2009. 3. 23

  日曜日から移動中を含めてずっと、ゲントの同僚マヌブルーノの記憶術についての論文の直しをしていたのですが、一段落したので送り出しました。それから、Nuncius 誌から依頼されていた論文の審査評を送り出しました。ふう。> 残るは以下の仕事です。結局、アウェイで読もうと思っていた『パラケルスス』はまったく読めませんでした。

 

ウェブスター『パラケルスス』の書評(4月上旬)

 

 

2009. 3. 22

  全ての日程が終了し、ホテルを後にして空港に向かう日が来ました。カリフォルニアに来れば天気が良いだろうと思っていたのですが、結局のところ到着日以外の天候は良くなかったので、サンタ・モニカの海に行くことはできませんでした。持ってきたウェブスターの新刊本『パラケルスス』を読んでいる暇もまったくありませんでした。今日は1540のフライトで一路ニューヨークへと向かいます。到着するのは零時です。それから地下鉄に乗ってマンハッタンにあるペン・ステーションまで行き、間に合えば3時の電車に乗ってフィラデルフィアに戻りたいと思います。

 

 

2009. 1. 14

  おお、ついに巨匠の会心作が到着しました。『パラケルスス:終末における医学、魔術、そして使命Charles Webster, Paracelsus: Medicine, Magic, and Mission at the End of Time (New Haven: Yale University Press, 2008) です。これを読んだうえで、著者本人がやってくるローマでの出版記念の会議で、アントニオと共に僕も発表をするのです!

 

 

 

2009. 1. 5

  おとといナンシーさんから頼まれた新しいパラケルススに関する本の書評の件は、雑誌側から正式に依頼メールが着ました。すぐに承諾する旨の返事を書きました。

 

 

2009. 1. 3

 ナンシーさんから、Journal of Modern History 誌から頼まれた新刊『パラケルスス:終末における医学、魔術、そして使命Charles Webster, Paracelsus: Medicine, Magic, and Mission at the End of Time (New Haven: Yale University Press, 2008) 書評を代わりにやってくれと頼まれたので、引き受けることにしました。49日が締め切りです。

 

 

 

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