ごくごく個人的な「本」日記
2021年04月
2021. 4. 30 金
朝6時半に起きて、9時からの対談動画の収録に備えました。非常に面白い内容となったので、嬉しいかぎりです。祝日の5月3日(月)の21時からプレミア公開します。日本時間で明日の昼過ぎに詳しい告知ができれば良いだろうと想定しています。
つづいて次号のメルマガのための原稿を推敲して、ドロップしました。今回は僕の第2著作の最終をかざるゼンネルトについての第6章の前半を試訳してお送りします。配信は、5月2日の予定です
2021. 4. 29 木
ルネサンス期の医学者ヨハン・ヴァイアーは、悪霊についての百科事典といえる『悪霊による幻惑、呪いや妖術について』(バーゼル、1563年)で知られていますが、最近ではマンガの題材になったりもしています。彼についての研究のための専用頁をつくりました。
2021. 4. 28 水
編者には申し訳ないですが、今月末に仕上げる予定だったガレノス論文は、無理をせずに5月初旬に作業することにします。今週は、次号のメルマガの準備にあてたいと思います。
2021. 4. 27 火
昨日に読んだ論文の流れから、悪魔学者として有名な医師ヴァイアーについてのギドの論文を読みました。「想像的な変化:自然な変容の原理としての想像力のヴァイアーによる批判」 Guido Giglioni, “Phantastica Mutatio:
Johann Weyer’s Critique of the Imagination as a
Principle of Natural Metamorphosis,” in Transformative
Change in Western Thought: A History of Metamorphosis from Homer to Hollywood,
ed. Ingo Gildenhard and Andrew Zossos
(London: Routledge, 2013), 307-33 です。
2021. 4. 26 月
なんとか4月末までに完成させる予定だったのですが、なかなかガレノス論文の微調整のための作業に戻れないでいます。
2021. 4. 25 日
昨日読んだ文献で言及されていたギドの論文「イアンブリコス『エジプトの神秘について』のフィチーノによる翻案にみる神働術と哲学」
Guido Giglioni, “Theurgy and Philosophy in Marsilio Ficino’s Paraphrase of
Imablichus’s De mysteriis Aegyptorum,”
Rinascimento 52 (2012), 3-36 が気になります。オキ君が、ミュンヘン経由で入手してくれました。
2021. 4. 24 土
今日はスローな動きでいきます。
フィチーノ特集が収録されている Bruniana & Campanelliana 誌の最新号である第26巻(2020年)の第2分冊を入手しました。この特集号は、2019年5月に開催された国際会議『フィチーノの宇宙論:源泉と受容』Marsilio Ficino’s Cosmology:
Sources and Reception をもとにしたもので、あいにくのコロナ禍にもかかわらず、締め切りに間にあった5本の論考が収録されています。日本の皆さんにもお馴染みのダレルやジョナサン、そしてテオドロが参加しています。
2021. 4. 23 金
『世界霊魂』についての国際論集は、すでに出版社の専用頁ができていました。これに連動した動画もつくってあります。そしてBH内に専用頁を開設しました。こちらです。もしかしたらと思って調べてみたら、アマゾンにもデータが入っていました!
いまからゴールデンウィークの終わりまでに、非常に興味ぶかい対談を3本も仕込むことができそうです。これは是非とも、つつがなく実現したいですね。
2021. 4. 22 木
ここ何日も言及しつづけているゼンネルト論文ですが、ここでその要旨を掲載・翻訳しておきましょう。
Daniel Sennert
(1572–1637) of Wittenberg is known as one of the earliest university professors
of medicine, who advanced the study of “chymistry” (alchemy/chemistry) through
his influential writings. This article first explores his treatise On the Agreement and Disagreement of the
Chymists with the Aristotelians and the Galenists (Wittenberg, 1619) so as
to understand his view of chymistry in its detailed historical and intellectual
context. Following that is a brief analysis of some theological aspects of the
polemic in which Sennert was involved. While criticizing the Paracelsians,
Sennert adopted their idea of the three principles (Salt, Sulphur and Mercury)
and placed their origin in the Creation of the world. It is exactly for this
reason that Johannes Freitag (1581–1641) of Groningen and his students tried to
associate Sennert with the Paracelsians and denounced them as heretics. In this
polemic, the interpretation of the Biblical Creation story thus occupied an
important place, and Jacobus Homodaeus (1612–93) of Elbing among Freitag’s
students outstood for his unusually wide knowledge of theological sources not
only Christian (both Catholic and Protestant) but also Rabbinic.
ヴィッテンブルクのダニエル・ゼンネルト(1572–1637)は、影響力ある著作によって、「キミア」(錬金術・化学)の研究を推進した最初期の医学教授として知られている。本論考は、まず彼の著作『キミストたちとアリストテレス主義者やガレノス主義者たちとの一致と不一致について』(ヴィッテンベルク、1619年)を分析して、詳細な歴史的・知的な背景のもとに彼のキミアについての見解を理解する。つづいて、ゼンネルトが巻きこまれた論争の神学的な次元についての短い分析をおこなう。パラケルスス主義者たちを批判しつつも、ゼンネルトは彼らの三原質(水銀・硫黄・塩)の考えを受容し、その起源を天地創造においた。まさにこの理由によって、グローニンゲン大学のヨハネス・フライターグ(1581–1641)とその弟子たちは、ゼンネルトをパラケルスス主義者たちと結びつけて異端視した。この論争では天地創造が重要な位置を占め、フライターグの弟子のなかでもポーランドのエルビング出身のヤコブス・ホモダエウス(1612–1693)が、カトリックやプロテスタントだけではなく、ラビ的な神学についての稀にみる幅ひろい知識で際だっている。
2021. 4. 21 水
昨日は、これまでのゼンネルト論文の作業からガレノス論文の作業へと華麗に移行したかったのですが、気持ちの切り換えが上手くいきませんでした。仕方ないので、ゼンネルト論文についての専用頁を開設しました。
原稿執筆のために3月から動画づくりのペースがすこし緩かったのですが、これからゴールデンウィークに向けて興味ぶかい対談を仕込んでいます。こちらの方も、期待してお待ちください。
2021. 4. 20 火
ゼンネルトの著作の扉頁への書きこみは、雑誌特集号の編者ウテによると
comparavit P. Tobias Waldemann fratter Minorita Ratisbonensis で、「レーゲンスブルクのフランシスコ会士トビアス・ヴァルデマンが購入した」という意味になるようです。どうも fratter を frater と読ませるのは変だと思います。エリザベトに聞いてみると、f ではなく s に見えるといいます。そういわれると、a の部分も ae に見えてきます。
すこし調べてみると、17世紀末に Tobias Waldemannstaetter というレーゲンスブルクのフランシスコ会士がいたようです。そうすると comparavit P. Tobias Waldemannstaetter Minorita Ratisbonensis で、「レーゲンスブルクのフランシスコ会士トビアス・ヴァルデマンステタ―が購入した」が良いようです。
なぜ高価な書物の扉頁の目立つところに書きこみをするのか、ずっと不思議に思っていたのですが、盗難を防止するためだったのかも知れませんね。
2021. 4. 19 月
昨日からゼンネルト論文についていろいろと考えて、できるかぎりの微調整はしてみました。これをもう一度だけ見直して、最終稿として提出したいと思います。図版の中央にある手書きのメモが判別できないのでエリザベトに聞き、それでも確かではないのでディディエにも聞いてみることにしました。ところでエリザベトの話では、特集号は今年8月に出版されるようです。
2021. 4. 18 日
今日はスローな動きでいきたいと思います。> 夕方にゼンネルト論文の審査評の第2弾がきました。要望されているもののひとつは、今月末までという短時間で解決できるものではありません。あとは編者に委ねるしかないでしょう。
2021. 4. 17 土
じつは昨年初頭に出版された ESM 誌の偽パラケルスス特集号を補強した論集を準備しているのですが、今日はディディエから序文の増補版が届きました。補遺について説明する一段落を足すだけで良いだろうと伝えてあったのですが、3頁も増えています。まあ、良いでしょう。来週にゆっくりとチェックしたいと思います。
2021. 4. 16 金
昨日のセミナーは普段に比べると早い時間で議論がつきてしまったのですが、それは僕の原稿が完成に近い状態にあるので、文句がつけにくいという理由があったかと思います。それでも幾つかすぐに使えそうなアイデアをもらったので、セミナーのあとに微調整する箇所や方法を考えて手をくわえました。今日一日、もういちど見直しして、いったん完成としたいと思います。
僕がもっとも尊敬するルネサンス学者の最長老格のひとりであるパリのジャン・セアール師から、出版されたばかりのフェルネルの『諸物の隠れた原因について』(1548年)の全仏訳が送られてきました。直筆サインと en amical hommage というもったいないメッセージが入っていて、感激もひとしおです。FB版のBHに写真をアップしてあります。
2021. 4. 15 木
ここのところ話題にしているワクチンの影響についていうと、今朝は起きたときに熱もなく、カラダの切れも良好です。この状態が夜までつづけば問題なしなのですが、ここ何日かは夕方までもたない日もありました。ワクチンは通常のインフルエンザ用よりも強いのでしょうが、本物のインフルエンザそのものに比べれば副反応も軽微なものだと思います。心配ないですよ。
午前中は、さらにゼンネルト論文の微調整をつづけました。あとは今日の午後のセミナーで指摘される点を、週末までの時間が許す範囲で、できるかぎり反映したいと思います。
2021. 4. 14 水
ワクチンの影響が思ったよりも尾をひきましたが、ぼちぼち今日から再始動します。まずはゼンネルト論文の審査評にそって微調整しました。あらたに入手した図版の挿入する場所を決め、キャプションもできました。あと2か所ほど確認してから再提出します。明日のセミナーで揉まれる予定なので、そのフィードバックもなるべく勘案して週末には送りだしたいと思います。
2021. 4. 13 火
ガレノス論集への寄稿「初期近代のガレノス論争」の微調整が、秋からずっとできてないのですが、2回目のリマインダーがきました。夏前にすべてを整えてオックスフォード大学出版に提出するので、よろしくとのこと。了解です。僕としては、やっと長いトンネルを脱けでるところにおり、どちらにしても4月中に片付けるつもりでいました。予定どおりに進めたいと思います。
2021. 4. 12 月
ワクチンの2回目を接種してから、3晩目が過ぎました。このまま終わってくれれば良かったのですが、そんなに簡単に問屋も卸してはくれず、さすがに熱はありませんが倦怠感が残っています。今日は原稿を微調整したかったのですが、こういう状態では集中力も中途半端な気がするので、この作業は明日にまわします。
2021. 4. 11 日
2回目のワクチンを接種して2晩目がすぎました。熱がさがり、頭痛はなくなり、だいぶ楽になりました。このまま終わってくれれば嬉しいです。>
午前中は、いつものように森のなかを散歩できるくらいまで回復しました。午後は大事をとってスローな動きでいたのですが、夕方には微熱がもどってきましたので薬を飲みました。このようにオンとオフが交互にくるようですね。
2021. 4. 10 土
寝ているあいだに心配していたような高熱は出ませんでした。午前中は数時間ほど起きていたのですが、軽い症状のインフルエンザのように背中と頭が痛くて、平熱が低めの僕にしては、微妙につらい36度7分という熱があります。そのまま座っているのは厳しく、ベッドに臥しました。病気と健康のあいだの状態にあると思います。今日一日で、この状態を抜けだしたいですね。
先日に提出したばかりのゼンネルト論文の審査評がひとつ、驚くような超特急で帰ってきました。おそらく編集長のモーラン氏が見たのではないでしょうか?議論については問題はなく、英語をじっくりと直してもらってあります。これを反映させて4月末までに提出しろとなっていますが、これだけなら来週には微調整できるでしょう。
2021. 4. 9 金
フィラデルフィアの科学史インスティテュート(旧ケミカル・ヘリテイジ財団)で数時間過ごしてから、2回目のコロナ・ワクチンを接種するために、となりの州に向かいました。じつは日本で医療機関に務める家族から、2回目は副作用として熱が出るかも知れないと伝えられていました。家に帰って夕食を食べたあとは、なんとなく頭痛がするのでカゼ薬を飲んで寝てしまいました。
2021. 4. 8 木
ユキコさんとの対談「世紀末イギリスの幻想・驚異・怪奇・ゴシック!?」は、視聴数が750を超えました。どこまでいくのでしょうね?どういった層にウケているのか、まったく想像できません。
明日は朝10時からミーティングがあり、午後には2回目のワクチン接種をうける予定です。いま変異株のせいでリバウンドが起きていると各方面で騒がれているのに、いろいろなものが開くのは間違いだと思うのですが、呼ばれたのだから仕方ありません。
2021. 4. 7 水
昨日は夕方に、アズーロさんと恒例となったシリーズの危険な放談を収録しました。ほぼ2カ月ぶりです。出版業界の話などを中心に興味ぶかい話題が満載なので、土曜日にプレミア公開する方向で考えています。後半はキンドル版『魔術的マトリクスの誘惑』についての話だったので、別建てにしたいと思います。
今月15日に開催されるセミナーで、できたばかりのゼンネルト論文を揉んでもらうことにしました。すでに審査入りしていますが、審査評が返ってきたときに微調整できるので、気がついたことを教えてもらえるのは良いことです。お手柔らかにお願いします。
2021. 4. 6 火
編者のウテに送りだしたゼンネルト論文は、レフェリーに転送されたということです。早ければ、1か月半くらいで審査評が返ってくるかもしれません。特集号のほかの論考は、すでにレフェリーが審査しているのだと思います。
ユキコさんとの対談動画「世紀末イギリスの幻想・驚異・怪奇・ゴシック!?」は、公開3日で視聴数が540を超えてしまいました。いったいこれは、どういうことなのだ!?と驚いています。
上記の論文のために、バイエルン州立図書館のサイトから書物の画像を注文してみました。学術文献に利用する場合は、無料で1カ月かからないようです。著作権についての細かい手続きも不要とのことで、これは素晴らしい!上手くいくと良いですね。
2021. 4. 5 月
なんとか復活祭の週末をのりきりましたので、今日もスローな動きでいきたいと思います。>
ついに Ambix 誌の特集号「錬金術と諸大学」の編者ウテに送りだしました。リアクションを待ちます。
2021. 4. 4 日
季節の変わり目ということで負荷がかかっていると思うのですが、山場をこしたという安堵から緊張の糸がほぐれたのか、ちょっとカラダが重く感じられます。いつにもまして、スローな動きでいこうと思います。
2021. 4. 3 土
朝6時半に起きて、8時(日本時間で21時)からの対談動画「世紀末イギリスの幻想・驚異・怪奇・ゴシック!?」のプレミア公開に備えました。同時チャットでユキコさんにも、ばっちりと対応していただいたので、とても盛りあがったと思います。公開後の数時間で視聴数も150を超えました。この反響の大きさは、僕の想像をこえたもので素晴らしいです。ユキコさんは人気者なのですね。
2021. 4. 2 金
ここを乗りきれば、コロナ禍による秋口からの作業の遅れを、なんとかとり返せるところまできました。昨年末は目も当てられない状況でした。僕のなかでゼンネルト論文は落としたことになっていたので、最後に救えたのはなんとも奇跡に近いと思います。あとは4月中にガレノス論文の微調整を完遂しなければいけません。それができれば、気分的にひと息つけます。
2021. 4. 1 木
昨日仕込んだキンドル版が審査をとおって、めでたく出版となりました。題して、『魔術的マトリクスの誘惑:イスラムとヨーロッパの神秘主義とオカルト諸学』です。もとの対談を大幅に加筆・増補した本文のほかに、研究者のための非常に充実した脚注もつけています。動画では言及していない事柄として、今後の研究のヒントとなる点にも、いろいろ触れています。