アドヴァンスト・セミナー




 

 

2015年の春学期は、修士課程向けのセミナー 『人間とコスモス:古代から近代までの哲学・科学・宗教』

を開講します。伝統的な学問の枠組みでは、なかなかとり扱われない哲学と科学、神学が交錯する

広い意味での「世界観」についての問題を古代から近代まで見ていこうというものです。

 

神と摂理と自然界との関係、そしてコスモスにおける人間の起源と位置づけ、

神と霊魂の結びつきなどを扱います。占星術や魔術の位置づけも重要です。

 

厳選した10つのテクストを各週ひとつずつ吟味し、最終的に学生にパワーポイントを使った発表を

してもらい、最後に、英語で3000語くらいのリサーチ・ペーパーを書いてもらいます。

 

 

テクスト

 

セネカ 『自然問題集』 序論 自然探究の倫理的な意義

アウグスティヌス 『神の国』 第5巻第1章から第9章 運命と占星術について

ロンバルディアのペトルス 『命題集』 第2巻第16-18命題 人間の創造

トマス・アクィナス 『異教徒論駁』 第2巻第85-89章 人間の霊魂の起源について

メランヒトン 「占星術の尊厳について」 (1535年)

ブルーノ 『原因、原理、一者』 (1584年) 第2対話

アン・コンウェイ 『古代と近代の哲学について』 (1670 年代) 第9

ボイル 『自然の概念についての探究』 (1686年) 第8

ライプニッツ 「形成的な自然について」 (1705年)

ディドロ 『ダランベールの夢』 (1769) 前半

 

 

 

日記からの抜粋

2015. 4. 16

  今日はセミナー『人間とコスモス古代近代哲学・科学・宗教の第8回目です。ヘンリー・モアの生徒で、ライプニッツにも影響を与えたといわれる女性アン・コンウェイのテクストを読みます。

 

 

2015. 4. 4

  このあと、9日(木)午後のセミナー 『人間とコスモス』ではジョルダーノ・ブルーノを読み、13日(月)20時の初心者セミナー 『科学革命を読む』では第3章を読みます。

 

 

2015. 3. 12

  今日はセミナー 『人間とコスモス』があります。今回はクニ君も参加して、宗教改革者ルターの右腕メランヒトン占星術を擁護するテクストを中心に議論が盛りあがりました。

 

 

2015. 3. 8

  今日も小春日和です。今年は欧州のの訪れはすこし早いのかもしれません。> ツイキャスをしようと思いたってアダム君を誘い、木曜日のセミナー『人間とコスモス』からの流れで緊急対談 『トマス・アクィナスの功罪』 を放送しました。主著『神学大全』や彼のテクストだけを読んでいたのでは分からない、トマスの功罪について話しています。編集済みのヴァージョンをアップしておいたので、お楽しみください。こちらです。

 

 

2015. 3. 7

  今日はなんだか寒さが和らいだ感じです。外に出たら、多く人が路上に出ていました。の訪れを感じます。> 朝からアダム君がツイッター上で興奮しています。どうしたのだろうと思ったら、セミナー『人間とコスモス』で木曜日に読んだトマス・アクィナスの『異教徒反駁論』に反応していたようです。なるほど。セミナー参加が役に立っていますね!

 

 

2015. 3. 5

  午後はセミナー『人間とコスモス』です。今日は、トマス・アクィナスの『異端反駁大全』から、人間の誕生を扱った部分を読みます。人間と神との関係はどうなっているのか、人間は胎児のときも人間なのか誕生後に人間となるのか、など興味は尽きません。> アリストテレスの哲学をトマスがどう受け入れたのか、基本的なことを2時間半で説明するのは大変なのですが、内容の濃いセミナーとなったと思います。アダム君もスカイプで参加していたのですが、学生たちの質問から議論がアヴェロエス、そしてアレクサンダーにまで遡ったところでは、彼としても嬉しかったと思います。> セミナーの後は、ぐったりの状態となりますが、気持ちは充実していて嬉しいです。

 

 

2015. 2. 27

  いま開催しているセミナー 「人間とコスモス:古代から近代までの哲学・科学・宗教」 では、ここまで古代の異教世界のセネカ、キリスト教教父のアウグスティヌス、中世神学者のペトルス・ロンバルドゥスをとりあげて、3回ほど行いました。たんなる哲学史でもないし、宗教史でもありません。現代の学問区分では分類できないような、人間摂理との関係についてとしか表現できない不思議な知の領域を扱っています。

 

自分でいうのも変なのですが、これはとても面白い試みであるような気がします。歴史の流れを体感できますし、各回の話が相互に絡みあいながらタペストリーを編んでいくような感じです。しっかりした台本にそって話を進めているわけではないので、あとで同じ話をするのも難しいのですが、これは動画か録音で記録しておかないともったいないなと思うようになりました。

 

  世界観に興味あるというアダム君がセミナーの内容を気に入ってくれるのはわかるのですが、ここ2回ほど参加した同僚の博論生エレナが、ランチのときにしみじみとした顔で「セミナーがすごく良い」といってくれたのは嬉しかったです。とても雰囲気の良いクラスなので、おそらく他の学生も同様に感じているのではないかと思います。

 

 

2015. 2. 25

  オランダへの移動日です。めずらしいことですが、晴天で気持ちがいいですね。電車のなかで、明日のセミナーの教材に目をとおしました。副教材の方は前に読んであります。アダムイヴ天国の創造の話なのですが、伝統のキリスト教的なコスモスにおける女性の位置づけなど、普段とは違うディスカッションが展開されるかもしれません。

 

 

2015. 2. 19

  今日の僕のセミナー『人間とコスモス:古代から近代までの哲学・科学・宗教』では、聖アウグスティヌスによる占星術についての議論を足がかりに、古代ローマ帝国のなかで育ちつつあったキリスト教的な世界観にせまります。星辰天使の役割、占星術をはじめとする予見・占いの意味、人間の自由意思の問題などについて議論します。

 

 

2015. 2. 18

  どうも、移動と明日のセミナーの準備のために落ちついて作業できません。

 

 

2015. 2. 16

  昼前に家に帰ってきて、午後はセミナーの準備にいそしみました。今週はアウグスティヌス、来週はペトルス・ロンバルドゥスについてです。後者の副教材をまだ決めかねています。アダム君とクニ君に相談しつつ、幾つか文献を吟味しました。アリストレスがラテン中世で受容される以前のキリスト教的なコスモスを描いているもので、学生が読めるレヴェルの英語の論文を探しています。仏語や伊語にはいいものがあるのですが。

 

 

2015. 2. 12

  セミナー「人間とコスモス:古代から近代までの哲学・科学・宗教」は、期待していた生徒が休みだったのですが、なかなかどうして充実したディスカッションとなりました。今回は、古代ローマの哲学者セネカにおける神と人間の概念についてでした。僕も授業していて楽しかったです。さらに、アダム君がスカイプでオブザーヴァとして参加しました。映像と僕の説明は問題なかったようですが、小さい声の学生の発言がマイクでうまく拾えなかったようです。

 

  あとは、昨日と今日とエリザベトが僕のオフィスにやってきて、博論の進め方について話をしました。昨日から、彼女のとり扱っている問題については、アヴィセンナの『医学典範』をみるべきだとアドヴァイスしていました。最初は、大変すぎると駄々をこねているようでしたが、やはり見なければいけないと納得したようで、関係しそうな部分を調べはじめました。やはり、素直でないとのびませんね。

 

 

2015. 2. 11

  例によって、オランダに移動します。明日のセミナーに向けて、教材を週末に読みました。セネカの『自然問題集』の数頁と『セネカを読む:ローマのストア哲学者Brad Inwood, Reading Seneca: Stoic Philosophy at Rome (Oxford: Clarendon, 2005) の第6章「セネカの『自然問題集』における神と人間の知識です。後者は本当によく練られた一本で、これを読むだけでも、学生たちにとっては古代ローマの自然観神の像を知るのに良いと思います。

 

 

2015. 2. 5

  今日の午後に、セミナーの第1回としてオリエンテーションをします。さて、何人の学生が顔を出すでしょうか?あんまり多すぎても大変ですし、少なすぎても担当者を順繰りで進めるので負担が大きくなります。例年の感じでは、多すぎて困るということはありません。分野横断的なものをやりたいのですが、哲学史の枠組みでのセミナーですので、現代思想を好きな学生たちが多く、「これは科学だ、哲学ではない」というのですよね。近代以前には、哲学や科学、宗教といった学問の棲み分けがなかったのだと説明してもなかなか理解されないのです。どうやって学生の興味を引きだすか、チャレンジです。

 

  フタを開けてみると、上の記述で心配したような生徒は初めから来ませんでした。少人数ですが、僕の提案したテーマに興味をもっている生徒ばかりです。なかなか良い感じのクラスになると思います。安心しました。

 

 

2015. 2. 4

  さあ、今日からオランダです。今週から後期のセミナーがはじまります。第1回目は軽めにオリエンテーションです。> 昨晩あまりよく眠れなかったので、どうもフラフラです。とにかく、来週から本格的にはじまるセミナーの教材を揃えています。シラバスとともに「ブラックボード」と呼ばれるシステムにワードやPDFといった電子ファイルのかたちでアップしないといけません。

 

 

2015. 1. 12

  セミナーのシラバスは心配したとおり、まだ漠然としすぎているようで、あと2週間で書き直さないといけません。2週間あれば、なんとかなるでしょう。どうも、今回は自分のなかでも絞りきれていません。

 

 

2015. 1. 11

  時差ボケの療養中のなか、なかなか気持ちのエンジンがかかりませんが、今日中に後期のセミナーのシラバスを完成させたいと思います。> なんとか出来ました。どうやら、僕のセミナーは木曜日14時から17時までのようです。

 

 

2015. 1. 9

  2月からはじまる後期における僕のセミナーのシラバスを、今週末までにつくらないといけません。「古代から近代までの哲学・科学・宗教」ということで、神・世界・人間をあつかう分野横断的なテクストを読んでいくものです。以下が、これまで考えたラインナップです。それぞれのどの部分を読むかを決めないといけません。> 午後に時差ボケと闘いながら、だいたいの場所を決めました。あとは、ディドロだけ正確な場所を決められないでいます。

 

セネカ 『自然問題集』 序論 自然探究の倫理的な意義

・アウグスティヌス 『神の国』 第5巻第1章と第9章 運命と占星術について

・ロンバルディアのペトルス 『命題集』 第2巻第16-18命題 人間の創造 

Peter of Lombard, The Sentences, Book 2: On Creation, ed. Giulio Silano (Pontifical Institute of Medieval Studies, 2008), 68–81.

・トマス・アクィナス 『異教徒論駁』 第2巻第86-87章 人間の霊魂の起源について

・フィチーノ 『三重の生について』 (1489年) 第3巻第1-3章 世界霊魂と魔術的世界観

・メランヒトン 「占星術の尊厳について」 (1535年)

Philip Melanchthon, Orations on Philosophy and Education, ed. Sachiko Kusukawa (Cambridge UP, 1999), 120–127.

・ブルーノ 『原因、原理、一者』 (1584年) 第2対話 

Giordano Bruno, Cause, Principle and Unity, ed. Robert De Lucca (Cambridge UP, 1998), 33–50.

・アン・コンウェイ 『古代と近代の哲学について』 (1670 年代) 第7

Anne Conway, The Principles of the Most Ancient and Modern Philosophy, ed. Allison P. Coudert (Cambridge UP, 1996), 41–55.

・ボイル 『自然の概念についての探究』 (1986年) 第8

Robert Boyle, A Free Inquiry into the Vulgarly Conceived Notion of Nature, ed. Michael Hunter (Cambridge UP, 1996), 142–165.

・ライプニッツ 「形成的な自然について」 (1705年)

Leibniz, “Considerations on Vital Principles and Plastic Nature (1705),” in, Leibniz: Philosophical Papers and Letters, ed. Leroy E. Loemker (Dordrecht: Kluwer, 1956), 586–591.

・ディドロ 『ダランベールの夢』 (1769) 前半

Denis Diderot, Dream of D’Almbert

・ダーウィン 『種の起源』 1859年)

 

 

2014. 12. 9

  2月からの後期のセミナーのためのシラバスを今月中につくらないといけません。とくに、12回分のテクストを決めないといけません。今季は野心的に古代から近代までの科学哲学宗教の交錯するような分野をアタックしたいと思っているのですが、もうちょっと縦軸を明確にしないといけないかもしれません。また、生徒が読める英訳のあるものとなると選択の幅が狭められるのが現状です。なお、以下は漠然と考えているものです。どれを採用するか、決めてあるわけではありません。

 

           セネカ 『自然問題集』 序論

           アウグスティヌス 『神の国』 第?書

           ロンバルディアのペトルス 『命題集』 第2書、天地創造のどこかの部分

           トマス・アクィナス 『異教徒論駁』 第2書、人間の発生について

           フィチーノ 『三重の生について』 第三書

           メランヒトン「占星術について」

           ブルーノ 『原因、原理、一者』

アン・コンウェイ 『古代と近代の哲学について』

ボイル 『自然の概念についての探究』

           ライプニッツ 「形成的自然について」

           ディドロ 『ダランベールの夢』?

           ダーウィン 『種の起源』?

 

 

 

 

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