ミニマ・ナトゥラーリア研究の基礎

 



 

粒子論の先駆けとなる「自然な最小体」(ミニマ・ナトゥラーリア)は、アラビア・イスラム世界のアヴィセンナやアヴェロエスが最初の理論化をおこない、中世からルネサンス期にかけてヨーロッパにおけるアリストテレスの『自然学』(とくに第1巻第4章について)の注解で議論されるようになったとされています。ここでは、基本的な研究文献をまとめておきます。

 

 

 

基本書

 

Anneliese Maier, Die Vorläufer Galileis im 14. Jahrhundert (Roma: Storia e Letteratura, 1949), 179-196.

              14世紀におけるガリレオの先駆者たち』

              自然ミニマについての最初のまとまった議論が展開されています。

 

Andrew G. Van Melsen, From Atomos to Atom (Pittsburgh: Duquesne University Press, 1952), passim.

アリストテレスやアヴェロエスなどの自然ミニマの議論にあちこちで言及されています。

 

Norma E. Emerton, The Scientific Reinterpretation of Form (Ithaca: Cornell University Press, 1984), passim.

粒子論にも注意を払っている画期的な著作で、自然ミニマもしばしば言及されています。

 

Christoph Lüthy et al. (eds.), Medieval and Early Modern Corpuscular Matter Theories (Leiden: Brill, 2001).

原子論集としては画期的なもので、自然ミニマについてもあちこちで言及されています。

 

Christoph Lüthy (ed.), Atoms, Corpuscles and Minima in the Renaissance (Leiden: Brill, 2022).

ミニマ関連の最新論集となります。僕の研究計画から生まれた論集ですが、忙しすぎて寄稿できませんでした。

 

 

 

アラビア・イスラム世界

 

David Konstan, “Ancient Atomism and Its Heritage: Minimal Parts,” Ancient Philosophy 2 (1982), 65-79.

あまり知られていない論文ですが、イスラム世界のほかに、古代ギリシア、エピキュロス、チャールトン、ガッサンディについて議論しています。

 

Ruth Glasner, “Ibn Rushd’s Theory of minima naturalia,” Arabic Science and Philosophy 11 (2001), 9-26.

自然ミニマについてのアヴェロエスの考え(アリストテレス『自然学』第7巻第1章の注解を中心に)を知らしめた論文です。ただしラテン語訳されなかったために、ヨーロッパにほとんど伝わらなかったとも考えられます。

 

Ruth Glasner, Averroes’ Physics: A Turning Point in Medieval Natural Philosophy (Oxford: Oxford University Press, 2009), 142-146, 152-168.

上記の論文から議論を練りあげています。

 

Jon McGinns, A Small Discovery: Avicenna’s Theory of minima naturalia, Journal of the History of Philosophy 53 (2015), 1-24.

グラスナーの論文に刺激を受けて、アヴィセンナの場合について分析しています。

 

 

 

 

ヨーロッパ(中世)

 

John Murdoch, “The Medieval and Renaissance Tradition of minima naturalia,” in Medieval and Early Modern Corpuscular Matter Theories, ed. Christoph Lüthy et al. (Leiden: Brill, 2001), 91-131.

自然ミニマについての現在のほとんどの研究が言及する画期的な論文です。これ以上のものは、本質的に生まれていないようです。

 

 

 

ヨーロッパ(ルネサンス・初期近代)

 

Vasilij Zoubov, “Zur Geschichte des Kampfes zwischen dem Atomismus und dem Aristotelismus im 17. Jahrhundert (minima naturalia und mixtio),” in Sowjetische Beiträge zur Geschichte der Naturwissenschaft, ed. Gerhard Harig (Berlin: VEB, 1960), 161-191.

17世紀における原子論とアリストテレス主義の闘争史」

唯物論史観による「先駆的」な論文だったかも知れません。

 

Christoph Lüthy, “An Aristotelian Watchdog as Avant-Garde Physicist: Julius Caesar Scaliger,” Monist 84 (2001), 542-561.

「前衛的な自然学者としてのアリストテレス主義者の番犬スカリゲル」

 

Andreas Blank, “Julius Caesar Scaliger on Corpuscles and the Vacuum,” Perspectives on Science 16 (2008), 137-159.

「スカリゲルにおける粒子と空隙」

スカリゲルが批判を展開することから、フラカストロにも紙幅を割いています。

 

 

 

 

 

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