国際シンポジウム

 

『プラトン主義哲学者の誉れ:フィチーノとその影響』

 

Laus Platonici Philosophi: Marsilio Ficino and his Influence.

 

 

 

 

 

 

 2004917-18日にロンドンのバークベック・コレッジで、Stephen Clucas 氏主宰によるフィチーノに関する国際会議『プラトン主義哲学者の誉れ:フィチーノとその影響』が開かれます。今回は英米の大物研究者が軒並み勢ぞろいで驚きの陣容です。中期プラトン主義研究の大家 John Dillon 氏にまで会えるという、とんでもない展開です。こんなところに呼ばれてしまって本当に良いのでしょうか?

 

公式ページ

 

 

プログラム

 

DAY 1

Michael Allen, Five questions concerning the soul: the answer is No !

John Dillon, Ficino in pursuit of the ineffable

 

Peter Forshow, Ficino’s argumentum on the Timaeus

Ruth Clydesdale, Astrology in Ficino’s Letters

 

Stephen Clucas, John Dee’s annotations to Ficino’s Plato translation

David Leech, Ficino and Cambridge Platonist Henry More on the imagination

 

Dilwyn Knox, Ficino and Aristophanes on the fall

Sarah Klinetic, Ficino’s commentary on Pseudo-Dionysius’s Divine Names

 

DAY 2

James Hankins, Ficino on the natural religion

Brian Copenhaver, Scribunt inter se laudationes Picus et Marsilius suus

 

Valery Rees, Aspects of Praise in Ficino’s Writing

Paul Blum, Ficino’s praise of Georgios Gemistos Plethon

 

Letizia Panizza, Parody and Censorship in Counter-Reformation Italy

Stéphane Toussaint, The vehiculum animae as Platonic nodus: Ficino, Marcello and Diacetto

Irene Aasdalen, The Pico-Ficino controversy

 

Constance Blackwell, Ficino’s use of Simplicius makes Pereira think new thoughts

Hiro Hirai, Ficino’s idea on the origin of life in the mirror of Fortunio Liceti’s criticism

 

 

 

会議までの道のり

 

2003. 11. 27

  おお!なんと!?なんとですよ、皆さん。初期近代英国における粒子論ジョルダーノ・ブルーノ研究で有名な Stephen Clucas 氏自身から、来年9月にロンドンのバークベック・コレッジで行うことを予定しているフィチーノについての国際会議に来てくれという招待メールを頂きました。ちょっと、これは思ってもみなかった展開です。良いんですか?これは僕にとって大事件です。いやはや、卒倒しそうです、ハイ。

 

 

2003. 11. 28

  昨日の招待メールに対して、喜んで参加しますと返事を送った Clucas 氏ですが、僕のフィチーノ論文だけではなく、この間のキルヒャーについてのウォーバーグでの発表も聞いていたようです。お世辞でしょうが、発表は非常にインパクトがあったと感想をくれました。なら、その時に話し掛けてくれれば良かったのに!ま、これから、よろしくお願いします。> そういえば、ピサ大生の憂鬱 (1028日付) でも、氏によるロッシ『普遍の鍵』の英訳が紹介されてましたね。

 

 

2004. 2. 24

  今年9月にロンドンのバークベックで予定されているフィチーノに関する国際会議のプランが送られてきました。日程は917-18日で、一人の発表時間は20ということですが、発表予定者は、おお!ものスゴイ布陣。英語圏のそうそうたる大物がズラズラと。本当に良いのでしょうか?僕のような駆け出しの若造が、これらのスターに混じって発表して!?> 取り敢えず、心を落ち着かせつつ、書いてある説明をじっくり読むと、4月までに正式タイトル300500字の発表要旨を提出しないといけないようです。まだ発表の準備は何もしていません。もう少し経ってから作業を始めようと思っていましたが、そうは問屋が卸さないのかも知れません。

 

 

2004. 2. 26

  昨日は、スゴイ大物達とだけ書いて、どういう人達か具体的に書くのを忘れていましたね。特に目立ったところを挙げると、M.J.B. Allen James Hankins といったフィチーノ学ではお馴染みの重鎮の他、邦訳が出たばかりの『ルネサンス哲学』や『ヘルメス文書』の新英訳で巷により広く知られるようになった B. Copenhaver 氏といったところは、それでもあり得るかな?と内心期待していたのですが、その期待を大きく上回ったのが、不朽の名作『中期プラトン主義者』の著者である John Dillon 氏と想像もしなかった名前を見つけたことでした。ホント、良いんですか?これは事件です。

 

 

2004. 5. 13

   主催者のステーフェンに催促されたので、ロンドンで今年9月に行われる国際フィチーノ会議での発表タイトルを1ヶ月遅れで提出しました。題して、「フォルチューニオ・リチェッティの批判に見る生命発生についてのフィチーノのアイデアFicino’s Ideas on the Origin of Life in the Mirror of Fortunio Liceti’s Criticism (1618)” というものです。去年のキルヒャー研究を通して発掘した17世紀初頭のパドヴァの哲学者リチェッティの議論を使いつつ、フィチーノをアタックするというものです。

 

 

2004. 6. 22

  さて、これから2ヶ月は、9月半のロンドンはバークベック・コレッジで行われるフィチーノ国際会議に向けて集中力を高めていかないといけません。国際サーキット周りをする者には休みはないのです。キルヒャー研究でも触れた17世紀初頭に活躍したパドヴァの哲学者リチェッティの批判を分析することで、フィチーノのアイデアが当時の生命の起源についての議論にいかに作用していたかを見ていこうとするものです。題して、

 

フォルチューニオ・リチェッティの批判に見るフィチーノの生命の起源のアイデア

Ficino’s Idea on the Origin of Life in the Mirror of Fortunio Liceti’s Criticism (1618)

 

です。去年秋のウォーバーグ研究所や年末のBHミーティングでのライヴを聞いて頂いた方は覚えていると思いますが、リチェッティはキルヒャーの自然発生論の隠れたソースです。彼は非常に博識な哲学者で、1618年のテクストは古今の自然発生に関するアイデアを集成した百科全書ともいえます。そのなかで珍しくもフィチーノが、通常のプラトン主義者という言われ方ではなく名指しで批判されています。この部分をいつか取り挙げたいと思っている矢先に今回の会議への招待がかかったので、渡りに船ということでリチェッティのテクストから見るフィチーノ像を分析することにしました。残念ながら、じっくりと腰をすえて準備する時間はないのですが、発表時間は20分なので何とかなるだろうと願っています。取り敢えずは、いつものようにテクストを打ち込みながら読んでいこうと思います。そうそう、ここ2年の間に出されたフィチーノ研究にも目を通さないといけません。

 

 

2004. 7. 12

  バークベック会議に参加するための飛行機の値段をそろそろ調べておこうかと見てみると、ややや、何と!価格破壊で有名なライアン・エアーロンドン線がなくなっています。アレほど重宝したものはなかったのに。去年、空港のある地元から補助が出ていることに対してユーロッパ共同体から物言いがつき、罰金を取られることになり、路線変更もありうると言っていたのですが、その後ニュースなどでは聞いていませんでした。個人的にはピサ行きがなくなるといやだなと思っていたところ、無傷だったので変だなと感じていましたが、実は肝心要のロンドン行きを廃止したのですね。人気のあって儲かる路線だと思っていたのに。困りました。急遽、違う航空会社や新幹線の可能性などを探っています。

 

 

2004. 7. 16

  7月もあっという間に半分まで来てしまいました。リチェーティ研究を弛まず進めなければなりません。が、暑かったり、寒かったりと体調管理が難しいと言っている矢先に、カゼを引いてしまいました。悪くならないことを祈ります。> あと2〜3時間分の作業で現段階をクリアするといったところで力尽きてしまいました。本当は、今週中に終わらすはずだったのに。底力が出ません。

 

 

2004. 7. 26

  バークベック会議のための作業は、だんだん形になって来ているのですが、まだまだ満足の行くものではありません。このまま機械的に20分で話しきれる分量に縮めれば一応の出来上りですが、それでは面白くありません。当初はリチェーティの批判を分析することで、フィチーノの自然哲学の一側面に斬新な光を当てることを狙ったのですが、批判自体はそれほどワクワクするようなドライヴを与えてくれません。初期近代の自然哲学に関する会議ならこれでも良いかも知れませんが、フィチーノ専門家たちをオーディエンスと考えると何か物足りません。やはり、これを出発点としてフィチーノ自体に切り込んで行った方が実り多そうです。

 

 

2004. 7. 27

  今日は、3つに分けた話題の一つ目をまとめています。3つの話題とは、世界霊魂イデア大地の霊魂なのですが、リチェーティはまずプラトン主義者の自然発生の理論として最初の二つを議論し、その後に大きな紙幅を最後のものにあて、フィチーノ批判を繰り広げます。

 

 

2004. 7. 28

  う〜ん。陣痛でございます。生みの苦しみでございます。> 取り敢えず、ブレイクスルーがあるまで、精霊が降臨するまで、余計なディテールをバサバサと切り落として機械的に短くして行くことにしました。全てのラテン語のテクストを付けたままの段階にてA440枚ありますから、10枚くらいまで落とさないと行けません。前回のフラカストロ研究では、切る前のロング・ヴァージョンを取っておくことを忘れましたが、今度は失敗しないようにしたいと思います。

 

 

2004. 7. 30

  フィチーノの『霊魂の不滅性についてのプラトン神学』を通して読むことにしました。フィチーノ論文では、さすがに端から端まで通して読むということはしなかったので良い機会です。取り敢えず、マイケルさんから貰った直筆サイン入り英訳版で1書から4書までを読みました。う〜ん、前にも書いた通り、僕はローブ版のような古典ラテン語の英訳は妙に時代がかった表現が多くて好きではないのですが、この春に同じ時代の著作を仏訳した経験から、マイケルさんの訳はイヤ味がなく&ストレートで上手いとシミジミ感じます。原典翻訳は、正確にして簡潔なのが良いのでしょう。

 

 

2004. 7. 31

  おお!朝ベッドでごろごろしている時に、ついに光が降りてきました。これで、ストーリーの運び方が見えた感じです。基本的なデータは揃っているので、この線で押してみます。もう残り時間が少ないのでプロティノスプロクロス等を含めた大幅なサーヴェイを繰り広げられないのですが、これならフィチーノ学者達をまたまた唸らせるスマッシュヒットをものにすることが出来るかも知れません。

 

  ちょっと最近出たフィチーノ関係の論集群を見ていたら、僕が扱おうとしていることに非常に近いテーマに少し触れた論文がありました。が、これが何とも思いつきだけで書かれたヒドイ内容です。どうして、こういうのが世に出てしまうのでしょうか?でも、言及しない訳には行きません。ま、しっかり責任ある学術批判をしたいと思います。

 

  駅に行ってロンドン行きの新幹線ユーロスターの予約をしてきました。取替え出来ないエコノミー席の往復で80ユーロですから、だいたい1万円でした。913日の月曜日にブリュッセルを10時に出て、11時半にロンドンに着きます。1時間の時差があるので、乗っている時間は2時間半です。帰りは、19日の日曜日朝の10時半にロンドンを出て、2時にブリュッセルに着きます。さらに、リェージュからはブリュッセルまで1時間かかりますから、朝8時の電車に乗らなければ行けません。格安ライアン・エアーのロンドン線がなくなってしまったので移動は半日がかりです。

 

 

2004. 8. 9

  リチェーティのテクストの読み消化が一段落した後で、ここのところは構想を練るために原稿から離れて、『プラトン神学』をはじめ、いろいろな関連物の読書をしているのですが、やはり発表原稿の大筋を一旦書いてしまった方が良いかなとも思っています。書いてしまった後なら、細部をいじることは幾らでも出来る訳ですから。それの方が精神衛生上も良いかと。

 

   まだまだ大分ぎこちないですが、一応のストーリーは出来上がりました。テクストだけで7枚ですから、これを推敲していって最終的には4枚にまとめれば発表原稿としてはOKでしょう。構成は以下のようになっています。フィチーノの思想におけるキケロの重要性については、これまで体系的に何か言われていませんし、著作『神々の本性について』の影響に至っては殆どゼロです。このつながりを、証拠を持って指摘することで、取り立てて自然発生論に関心ない専門家達にもそれなりのインパクトはあるだろうと思っています。

 

              1. イントロ Introduction

              2. プラトン主義者マイナーと世界霊魂 Platoniciens juniores et âme du monde

              3. プラトン主義者メジャーとイデア論 Platoniciens majores et Idées

              4. フィチーノと大地の霊魂 Ficin et âme de la terre

              5. フィチーノのソースとしてのキケロ『神々の本性について』 Le De natura deorum de Cicéron comme source de Ficin

 

 

2004. 8. 6

プラトン神学』を読み続けていてつくづく思ったのですが、僕のフィチーノ論文はネタの取り方も、やはりズバ抜けていました。今回、テクストを読み直して、これは!という場所はことごとく使っています。ほとんど誰も扱ったことのないテーマ自体も完璧にオリジナルかつエポックメイキングでした。他人事のようですが、これを数年前に自分で書いたとは驚きですし、匹敵するものはなかなか書けないだろうなと、少しノスタルジーに浸っています。今回は、これの6〜7割の出来にでも達すれば良いかと思っています。> 読書は、14書まで来ました。だいたい一書あたり5070頁あります。あと4書分、この週末で読み終えられるでしょうか?

 

 

2004. 8. 11

  無駄なディテールをバサバサと切り取って、議論を出来るだけシンプルかつストレートにして行ったら、今日の段階で既にA4の4枚に収まるようになってしまいました。もし、欲を出さずに手堅くまとめるなら、これで良いのかも知れません。予定よりも3週間ほど早い進行でした。ちょっとあっけに取られています。でも、これは、ここで満足して小さくまとめずに、もう少し突き進めという合図かも知れません。ま、プルーフ・リーディングした後で英語に直さないといけないですから、あと3週間ではなく、2週間分の時間があるというところでしょうか。

 

 

2004. 8. 12

  ここ2年分会費を未納中なのですが、フィチーノ協会のニュースレターが来ました。そこに、一足早くバークベック会議のプログラムが掲載されていました。この順番から行くと僕の発表は最後の最後です。みんな疲れきって集中力もなく腹も減った、という状態での発表となります。何だかな。> ニュースレターによると、1580年に出されたプロティノスの『エンネアデス』のギリシア語初版にフィチーノラテン語訳注解の入ったレア度の高い一品を限定復刻するため、申込者を募っています。申し込んじゃおうかな?

 

 

2004. 8. 16

  フィチーノ関係をいろいろ読んでいる中、昨日辺りから実は、次の研究構想がムクムクと沸いて来てしまいました。これは、春先から準備しているアラビア関係の延長線にありますが、フィチーノとも最終的にはリンクします。おお!我ながら興奮しております。早くバークベック会議が終わって好き勝手に突き進みたい、と願う今日この頃です。これをテーマにしていたら、春からの勢いで流れ的にはスゴかったかも知れませんが、時遅し。次の機会に賭けましょう。ま、今回の作業のお陰で芽生えた構想ですから、有益ではあったのでしょう。

 

 

2004. 9. 5

  あと1週間でロンドン行きです。バークベック会議前の4日間の滞在を最大限に生かせるように、いろいろ準備をしないといけません。普通、現地について作業している間に、あ、あれを忘れた、これを忘れた、と気が付くものですので、そういうポカを最低限に留めたいと思います。ロンドンの作業は、ウェルカムとウォーバーグの図書館で、幾つかリェージュで入手できない資料を集めること&一次文献の幾つかを手にとって目を通すことです。2次文献に関しては、両方とも開架式ですので、短時間のうちに多くの本を手に取って内容がチェック出来ます。良い本は、帰ってきてから何とかすれば良い訳です。まずは、月曜の昼にロンドン市内に入った後、3時にヴィヴィアンと一年ぶりに面会します。

 

 

2004. 9. 7

  昨日は暑さにやられて、原稿の英語化の作業は何もしなかったので、今日こそは気分を引き締めて取り組みたいと思います。> 今日になってから、発表時間は25といきなり変更メールが来たので、どうなることかと思いましたが、ラフな英語化は半日で一通り終わりました。これから、読みながら細かいところを修正していきたいと思います。僕はそんなに英語は得意じゃないのですが (得意なら初めから論文は全て英語で書きますよ)、それでも英文学の人に見せると、そこいらの日本人研究者よりは、よっぽどマシだと言われますので、仏語からの翻訳&日常生活で英語に接していないところから来る不自然な部分さえ気にしなければ、問題ないと思っています。

 

 

2004. 9. 8

  今日はじっくり読み返しながら英語原稿の微調整をしていました。もう少しかな。> 今週は、主催者のステーフェンからバークベック会議について細かい事項の確認メールが毎日のように来ます。今日は、初日18日土曜の夜食は近くのイタリアン・レストランを予約したが、出られない人は居るか?というものでした。テーブル・トークは苦手なのですが、僕はもちろん出席します。昨日は、発表時間の変更の他に交通費の払い戻し方法についてのメールがありました。払い戻しは、基本的にチェックか現金と言っています。僕は英国在住じゃないので、チェックよりは英国の銀行口座への振り込みが嬉しいのですが。

 

 

2004. 9. 9

  あと4日で出発、というところまで来てしまいました。土曜日はバイトなのでカウントできません。日曜日もカバンの準備などで怪しいです。となってくると、実際の作業が出来るのは、今日明日の2日間ということになります。残り時間は少ない。> 結局、プログラムは送られてこなかったので、打ち込みます。ま、僕としては、マイケルさん以下、John DillonBrian CopenhaverJames Hankins といったマエストロたちに会えるだけで幸せです。

 

              Michael Allen, Five questions concerning the soul: the answer is No !

              John Dillon, Ficino in pursuit of the ineffable

              Peter Forshow, Ficino’s argumentum on the Timaeus

              Ruth Clydesdale, Astrology in Ficino’s Letters

              Stephen Clucas, John Dee’s annotations to Ficino’s Plato translation

              David Leech, Ficino and Cambridge Platonist Henry More on the imagination

              Dilwyn Knox, Ficino and Aristophanes on the fall

              Sarah Klinetic, Ficino’s commentary on Pseudo-Dionysius’s Divine Names

              James Hankins, Ficino on the natural religion

              Brian Copenhaver, Scribunt inter se laudationes Picus et Marsilius suus

              Valery Rees, Aspects of Praise in Ficino’s Writing

              Paul Blum, Ficino’s praise of Georgios Gemistos Plethon

              Letizia Panizza, Parody and Censorship in Counter-Reformation Italy

              Stéphane Toussaint, The vehiculum animae as Platonic nodus: Ficino, Marcello and Diacetto

              Irene Aasdalen, The Pico-Ficino controversy

              Constance Blackwell, Ficino’s use of Simplicius makes Pereira think new thoughts

              Hiro Hirai, Ficino’s idea on the origin of life in the mirror of Fortunio Liceti’s criticism

 

 

2004. 9. 10

  つまり今日が最後です。まだ読む練習はしていません。> 2回ほど通して読んでみました。発音の気をつけなければいけないところなどは、まだ赤でマークしていませんが、時間的には25分チョイという感じなので、少し縮めないといけません。

 

 

2004. 9. 12

  あっという間に出発前日となってしまいました。まだカバンの準備は出来ていません。> 午後を使って少しづつ進めています。ところで、この新しいマシンにはモバイル機能はないので (あるかも知れませんが、どこにあるか分かりません。古いマシンに搭載したモバイル機能をインストールしようかと思ったのですが、午前中どこを探してもCD-ROMが出てきませんでした)、古いマシンを持っていこうかとも思ったのですが、TFF画面に慣れてしまうと、もう元には戻れない感じで、あきらめました。だから、ラッキーでない限り、遠征中の日記のアップはないと思って下さい。

 

 

2004. 9. 16

  今日からはホテル住まいなので、ネット接続は本当にないと思います。あしからず。しかし、今日で遠征3日目、少し疲れてきてしまいましたが、そんなことも言っていられません。いよいよ明日からは本番の国際会議ですから。> いままでの国際会議で提供されたホテルの中では、一番質の悪いところだと思います。しかも、シャワーなしの部屋です。他の人もそうなのだろうか?交通費の高いアメリカ人をガンガン呼んでいるので、結構予算のある会議なのかと思っていましたが、そうでもないようです。僕は、バブルな世界とは無縁なので、別に華美なものは期待しませんが、最低限のレヴェルをキープという点で、ちょっとがっかりです。

 

 

2004. 9. 17

  6時過ぎに目が覚めてしまいました。もう少し寝ていても良いのですが、廊下にあるシャワー室が込み合うかもしれないので、さっさと済ませ、今この日記を書いています。朝ごはんを食べたら、いよいよ会場に向かいます。

 

  結局、プログラムは出発前に届かなかったし、ココだと思い込んでいた建物は本当の会場ではなく焦りましたが、すぐに正しい場所が分かりました。受付ではステーフェンが到着する人を出迎えていました。僕が登録を済ませた時には、まだ余り人は来ていませんでした。そうこうしているうちに、フィチーノで博論を書いているモードが現れ、顔見知りのいないなかで心細かったので話し相手ができて助かりました。昼食時には、実際にマイケルさんとも対面をし、コーペンハーヴァー氏とも握手をし、ディロン教授の発表を聞き、各セッションのチェアをするために来ていたサラ・ハットン氏とブライアン・ヴィッカース氏も見てしまいました。本当にスターばかりです。会議の後半はどちらかというと発表慣れしていない若手の番でしたが、全体としては充実した国際会議だと思います。フィチーノ協会会長夫妻とパリから来たクリストフ、そしてモードの5人で夕食を食べて帰ってきました。

 

  いよいよ明日は僕の番もあります。

 

 

2004. 9. 18

  今回のロンドン遠征の実質的な最終日となりました。既に5カ目なので、さすがにちょっと疲れてきましたが、まだカゼの症状などは出ていません。強力なノド・スプレーを持ってきているので、それが効いているのかも知れません(僕の場合、ノドが腫れたらアウトです)。ま、なんとかやり過ごせるでしょう。それよりも、会議の最後には僕の発表が控えているので、それなりに緊張しています。何日かぶりに昨日、夕飯を食べ終わってからホテルの部屋に戻って一回通して読んでみましたが、25分きっかりだったと思います。

 

  いや〜、終わりました。スピーカーのための晩餐が終わって、今ホテルに帰ってきたところです。しかし、疲れましたね。しないつもりだったのですが、最後はやはり緊張しました。でも、何とか無事に乗り切りました。僕の前に話したコンスタンス・ブラックウェルの発表がメロメロで、時間配分を全く無視したものだったので、気分的に少し足並みが乱されました。本来なら25分きっかりに終わるはずだったところ、最後の残り10行で時間切れサインが出され、早足に議論を締めなければならず、キケロのことについての強調が上手く伝わらなかったのは心残りです。今後の課題といった感じです。でも、今回の会議で確信できたことは、スター級の世界の大物達と、博論生や博論を終えたばかりのルーキー達の丁度あいだの中堅層に属せるようになったということです。さらに上を目指して、がんばろう!

 

 

2004. 9. 19

  まだ興奮が覚めやらないのか、朝6時過ぎに目が覚めてしまいました。今日は、10時半のユーロスターに乗ってリェージュに帰ります。今回の遠征では1次資料が見られなかったので、2次資料のコピーをかなり沢山した手前、持って帰るのは重くて大変そうです。

 

   やっとリェージュに帰ってきました。ドア・トゥ・ドアで5時間かかりました。取り敢えず書き溜めた日記をアップしておきますが、まだ書けていない出来事など、今回の遠征について振り返るのは、明日以降にしましょう。

 

 

2004. 9. 30

  ステーフェンからメールが来ていました。おお!この間のバークベック会議の模様は、論集として学術出版の老舗ブリル書店から出されることになったようです。早かったですね。僕としては少し違う出版社 (Routledge 等) も開拓したかったところですが、仕事のしっかりしたところだから申し分なしです。フィチーノ論集同様、ブリル精神史研究 Brill’s Studies in Intellectual History に入るのでしょう。コーペンハーヴァー氏などと名を連ねる論集に入れることになったのは甚大です。300字程度の要約を提出して、来年5月を原稿の締め切りとしているようです。僕の英語圏進出の第2弾となります。

 

 

2005. 11. 30

  今年の6月末締め切りと言われていて、その後連絡がなかったのでダメになってしまったかと思っていたバークベック会議からのフィチーノ論集計画は、ついにブリル書店からのOKが出たようで、今日ロンドンのステーフェンからその旨の連絡が来ました。来年の2月末を原稿の締め切りとするようです。年明けは少し忙しくなるかも知れません。

 

 

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