ルネサンス・バロックの科学・文化・思想
Sachiko Kusukawa,
The
Transformation of Natural Philosophy : The Case of Philip Melanchthon
Cambridge, Cambridge
UP, 1995.
Hard Back
xiii-246pp. ISBN 0-521-47347-0
ケンブリッジ大学のクスカワさんのデビュー作です。僕の知る限り、日本人が書いた西洋の intellectual history に関する著作ではおそらく始めての「ワールド・クラッシック」の領域に入ってしまった傑作です。人文主義者にして、ルターの右腕、そしてヴィッテンブルグ大学の改革指導者であったフィリップ・メランヒトンの自然哲学に関しての研究です。特にその霊魂論と占星術的フィジカに関するテーマに重点が置かれています。「ルター派医学者におけるメランヒトンと占星術」という論文を通してクスカワさんの存在は知っていたのですが、あるシンポジウムで会ったオクラホマ大学のピーター・バーカー氏(16世紀コスモロジー専門)の強力な推薦からこの著作に出会いました。
Introduction
1. 学究の方法 The Way of the
Schoolmen
2. 法と福音-ルターとメランヒトンの改革 Law and
Gospel : The Reforms of Luther and Melanchthon
3. 霊魂論 The Soul
4. 神の摂理 The Providence of God
5. 正統の構築 The Construction of
Orthodoxy
Conclusion : 自然哲学の変容 A Transformation of
Natural Philosophy
Bibliography
Index
***
その後、2000年8月のドイツ・Wolfenbuettel にある Herzog-August Bibliothek の国際サマー・スクール『ルネサンス後期の学術医学』で講師(テーマ)として招かれていたクスカワさんにお会いし、お話する機会を得ました。(その1)(その2)。
2000年12月の一時帰国時に、スピノザ協会事務局長の高木久夫さん(ICU)から、クスカワさんが1996年12月20日に ICU で行った講演をまとめた Human Reason in a Fallen
World : Philip Melanchthon on Natural Philosophy, Tokyo, International Christian University, 1998. を頂きました。まだ、残部があると思いますから、ご希望の方はICU
科学史フォーラム宛にお尋ね下さい。
Sachiko Kusukawa
Bibliography
1993. ""Aspectio divinorum
operum" : Melanchton
and Astrology for Lutheran Medics." in O. P. Grell
et A. Cunningham (eds. ), Medicine and the Reformation, London, Routledge, 1993. pp. 33-56.
1995. The Transformation of Natural
Philosophy : The case of Philip Melanchton,
Cambridge, Cambridge UP.
1997. ゛Leonhart Fuchs on the Importance of
Pictures", Journal of the History of Ideas, 58 (1997), pp. 403-427.
1998. Human Reason in a Fallen World : Philip Melanchthon
on Natural Philosophy, Tokyo, International Christian UP.