ルネサンス・バロックの科学と文化
新刊書案内
その32
『レオン・バッティスタ・アルベルティ:イタリア・ルネサンスの建築家』
Anthony Grafton,
Leon Battista Alberti: Master Builder of the Italian Renaissance.
Hill and Wang, New York, 2000.
xii-417pp. +Index ISBN:0-8090-9752-4 Price: 30$
本書は、これまで各方面で行われてきた詳細で厳密な実証研究の蓄積を統合する事を目指し、その各方面については「素人」(著者 Grafton 弁)ですが、ルネサンスの知的文化史の専門家として、ブルクハルトのルネサンス論に見られる理想的ルネサンス人像である「諸学の天才アルベルティ」のイメージを支えていた彼の多岐にわたる仕事の有機的なつながりを描き出そうとする野心的なスコープを持っています。全般的に眺め回すことに力点を置いているので、各問題についての分析はそれほど深くありませんが、膨大な注から、それぞれに関して最新文献からクラシック的な文献までについての高密度の情報が得られます。文献表がない点が、この著作を少し使いづらくしているので、少し残念です。実物はこちら(アマゾン)。
1. Who was Leon Battista Alberti? Making an Identity in the 1430's
レオン・バッティスタ・アルベルティとは、誰だったのか?1430年代における人格形成
2. Humanism: The Advantages and Disadvantages of Scholarship
人文主義:学問の利点と欠点
3. From New Technologies to Fine Arts: Alberti among
the Engineers
新しい技術から芸術へ:技術家の間でのアルベルティ
4. On Painting: Alberti and the Origins of Criticism
絵画について:アルベルティと芸術批評の起源
5. Interpreting Florence: From Reading to Rebuilding
フィレンツェを解釈する:読み取りから再構築へ
6. The Artist at Court: Alberti in Ferrara
宮廷芸術家:フェラーラにおけるアルベルティ
7. His Lost City: Alberti the Antiquary
失われた都市:古物収集家としてのアルベルティ
8. Alberti on the Art of Building
アルベルティの建築術
9. The Architect and City Planner
建築家そして都市計画者
Epilogue
エピローグ
Notes
注
Index nominum
人名索引