ルネサンス・バロックの科学・文化・思想
新刊書案内
その23
『テクストの擁護者達:科学の時代における学問の伝統(1450-1800)』
Anthony Grafton,
Defenders of the
Text: The Traditions of Scholarship in an Age of Science, 1450-1800.
Cambridge (MA), Harvard UP, 1991.
330pp. +Index ISBN 0-674-19544-2
1991年出版ですから、新刊書としてこのコーナーで紹介するには既に遅すぎる感じもするのですが、重要ですから紹介しないわけにも行きません。著者の A.Grafton 氏は、ルネサンス期の人文主義の研究の現在のところ指折りの世界的権威の一人です。最近では、カルダーノの占星術についての著作も発表したばかりですが、その関心の基礎が本書にあることは明確です。本書は、まだまだ数少ない人文主義と科学文化の関係を取り上げた文献のなかでも、特に重要なマスト・アイテムと呼べる著作です。ルネサンス期の学術文化に関係する全ての分野向けの入門編としても最適なので、既に邦訳があるか、邦訳作業中であるかもしれません。BH的関心から言えば、第4、5、6、7章辺りが要チェックです。
Introduction: The Humanists
Reassessed p.1-
イントロダクション:人文主義者を再考する
1. Renaissance Readers and Ancient Texts p.23-
ルネサンスの読者と古代のテクスト
2. The Scholarship of Poliziano and its Context p.47-
ポリツィアーノの学問法とそのコンテクスト
3. Traditions of Invention and Inventions of Tradition in Renaissance Italy:
Annius of Viterbo p.76-
ルネサンス期イタリアにおける発明の伝統と伝統の発明:ヴィテルボのアニウス
4. Scaliger's Chronology: Philology, Astronomy, and World
History p.104-
スカリジェの編年:文献学、天文学、そして世界史
5. Protestant versus Prophet: Isaac Casaubon on Hermes
Trismegistus p.145-
プロテスタント vs カトリック :アイザーク・カゾーボンのヘルメス・トリスメギストス研究
6. The Strange Deaths of Hermes and the Sibyls p.162-
ヘルメスとシビュラの奇妙な死
7. Humanism and Science in Rudolphine Prague: Kepler in
Context p.178-
ルドルフ2世のプラハにおける人文主義と科学:ケプラーの位置付け
8. Isaac La Peyere and the Old Testament p.204-
イザーク・ラ・ペイエールと『旧約聖書』
9. Prolegomena to Friedrich August Wolf p.214-
フリードリッヒ・アウグスト・ヴォルフへのプロレゴメナ(長めのイントロダクション)
Notes p.247-
Index p.323-