ごくごく個人的な「本」日記
2020年9月
2020. 9. 30 水
今日は、オックスフォード大学出版から世界霊魂(アニマ・ムンディ)論文のための出版契約書が送られてきました。PDFをプリントして署名し、スキャンして論集編者のジェイムスに送りかえしました。いや〜、論集の作業も着々と進んでいる感じですね。ガレノス論集もオックスフォード大学出版からなのですが、そちらは自動の署名機能がついた契約書だったことを覚えています。同じ出版社でも、部局によってやり方がだいぶ異なるのですね。
2020. 9. 29 火
ついに『立昇る曙』の魅力を紹介する動画の第2弾を公開しました。今回は約34分と短めですが、じっくりとお楽しみください。
それと並行して、今日は朝10時から動画の第3弾を収録する予定でしたが、予期しないハプニングのせいで3時間ほど遅れて午後になってから収録しました。なんとか無事にこなし、簡単な編集をほどこしてアップしました。公開したばかりの第2弾の動きを見ながら、公開のタイミングをはかりたいと思います。
今日中に、次号のメルマガを準備しないといけません。以前から準備はしてあるので、カタチに落としこむ作業をこなせば良いので、スムーズにいくことを祈ります。>
なんとかメルマガを締めきり前にドロップすることができました。配信は10月2日です。
2020. 9. 28 月
昨日は早々と店じまいして養生につとめたのが良かったのか、今日はほぼ復調しました。
明日は、日本時間で21時ごろに『立昇る曙』の魅力を紹介する動画の第2弾を一般公開します。中世一般に、とくに美術史や宗教史に関心ある方々は、ぜひご注目ください。大橋さんのスケジュールがあえば、並行して第3弾の収録をしたいと思っています。
今日は、さきごろ結成された魔術研から良い報せがありました。オランダなみの事務処理の速さに驚いています。
2020. 9. 27 日
ここのところ何だかヴァイタルが低調だと思っていたら、ついにダウン。すぐにカゼ薬を飲んで一日休むことにしました。
2020. 9. 26 土
今日は、日本時間で21時(アメリカは朝8時)からオンラインでお祝い会をおこないました。本来ならBH恒例の寿司会にしたかったのですが、こういうご時世なので仕方ありません。秋冬に向けての目標もいろいろ見えてきたと思いますので、とても生産的だったと思います。
しかしヨーロッパにいるときは、オンラインで日本にいる人たちと気軽にパーティをすることは可能でした。日本が夜の時間帯に、ヨーロッパは午後となるからです。しかしアメリカの東海岸は、その時間帯に朝を迎えるのです。さすがに早起きしてパーティというのでは、なんともノリが悪くなりますね。
2020. 9. 25 金
ローマの大橋さんととった動画の第2弾は、週末にあわせて公開するか、週明けに公開するか迷っていたのですが、八坂書房の担当者の方と相談して、日本時間で火曜日の21時間ごろにしようということになりました。週末のあいだ第1弾を見直して、お待ちください。チャンネル登録もよろしくお願いします。
2020. 9. 24 木
昨日公開した『立昇る曙』の魅力を探るためのローマの大橋さんとの動画は、おかげさまで大好評です。すでに多くの方々に視聴いただき、「いいね」もいくつもいただきました。皆さん、本当にありがとうございます。つづいて今日も、大橋さんと動画の第2弾を収録しました。編集してアップしたものを、チェックしてから明日にでも一般公開します。
2020. 9. 23 水
お待たせしました!今日はローマの大橋さんと、『立昇る曙』の魅力をたっぷりと紹介するための動画の第1弾を収録しました。何度かバグがみつかったので編集し直したのですが、最終ヴァージョンは大丈夫なことを祈って一般公開しました。よろしくどうぞ!
2020. 9. 22 火
先日ここにも書いた入手したばかりのアメリカの博論に、たいへん重要な章があることが判明しました。これは、ジャ研での作業にとってとてもラッキーです。
2020. 9. 21 月
ローマの大橋さんとともに、邦語版の『立昇る曙』を紹介のための動画を撮るために試行錯誤しています。今週から、短いものを撮りはじめて連投し、最後に全体を1本にまとめようと思いっています。どうでしょうか?
2020. 9. 20 日
昨日、ジャ研の皆さんと話しているうちに、10世紀のアラビア語圏の研究者集団「純潔同胞団」(イフワン・アル・サファ)の百科事典についても言及したところ、2010年ごろからはじまった英語対訳のついた校訂版づくりが佳境を迎えていることを知りましたので、この機会にBH内にもイフワンの頁を開設しました。こちらです。日本からは、三村太郎君も参加しています。
2020. 9. 19 土
コロンビア大学の図書館を経由して、あんがい簡単に ProQuest でアメリカの博論を無料でダウンロードできることが、わかりました。これは素晴らしい。BHファンの皆さんも、入手困難なマテリアルがあったらお知らせください。お手伝いしますよ。
2020. 9. 18 金
今日はジャービル文書の構成について、ノートにまとめていました。かなり見通しが良くなりました。
2020. 9. 17 木
一昨日昨日までに読んだマテリアルから学んだことついて、ジャービル研究会(略して、ジャ研)の方々とやりとりしました。クラウスは
tajmi を「結集」concentration とある意味でふかく読みこんでいるようですが、ピングリーはあっさりと「結合」assembling を使っているので、とりあえず当面のあいだ後者でいこうと思います。
『形態の書』Book
of Morphology は、『結合の書』Book of Assembling と一緒に『バランスの書』Books
of Balances の一部なのだとわかりました。『バランスの書』は『144の書』とも呼ばれ、長短のことなる144の論考から構成されていたようです。現存するのは、そのうちの44篇だけですが、79篇のタイトルは再構成できると。これらの論考は、成立の年代や背景、そして構造がそれなりに似ているのだろうと考えられます。『バランスの書』のなかに、いくつかの近しい論考をあつめた『15の書』や『32の書』と呼ばれる内部グループがあるようです。『結合の書』は、『32の書』の一部ということになります。
2020. 9. 16 水
日記の記述が一日分先行していますが、ご容赦を。今日は体調がイマイチなので、ジャービルとアレクサンドロスについての研究をゆるく読んでいましたが、こういうときにかぎって、いろいろと学ぶところがありました。>
大事なところなので、データをノートに整理しました。これで、すこし見通しが良くなりました。
2020. 9. 15 火
ここのところオンラインでの話しあいの機会が増えてますが、普段よりはやい朝8時から、今朝はミーティングがありました。じつは2013年にあの鏡リュウジさんからご紹介をいただいていましたが、その後は具体的な交流の機会がなく、今日にいたっているのでした。不徳の致すところです、申し訳ありません。
『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎 : ルネサンスの音楽と知のコスモス、そしてタロット』の著者であるパリのクリストフから、嬉しい知らせが届きました。なんと!今年10月末に結婚式をあげるから、パリに来いと招待されました。招待状のデザインも、とても凝っています。こちらです。
2020. 9. 14 月
ベルリンのジェイムスから嬉しい連絡があり、世界霊魂(アニマ・ムンディ)論集の原稿一式は、シリーズ編集長のライプニッツ学者クリスティア・メルサーさんからゴーサインをもらい、正式に受理されて本づくりがはじまるようです。寄稿陣には、アラビア学者のピーター・アダムソン氏をはじめ、一流どころが結集している感じです。
2020. 9. 13 日
ジャービル研究においては、1943年のクラウスによる単著以降、もっともまとまっていると思われるのが、『名称、本性、そして事物:錬金術師ジャービルと「石の書」』 Syed Haq, Names, Natures and Things: The Alchemist
Jabir and His Book of Stones (Kluwer, 1994) です。それ以降ではどのような文献があるのか、研究会のメンバーに質問していたのですが、早速のところフィードバックをいただきました。けっこう僕なりに押さえていましたが、ひとつ大事なものを見逃していました。アリストテレスの『生成消滅論』にたいするアレクサンドロスの注解について、ジャービルのテクストに直接あたっているものがありました。
2020. 9. 12 土
昨日につづいて、別口のブレイン・ストーミングをオンラインで2時間ほどおこないました。なかなか刺激的なプロジェクトですが、どのように外部の人々へ効果的に伝えるかという点がカギになると思います。余談ですが、昨日今日で「ジャビ子」と「ピカ男」というジャルゴンが生まれました。
朝10時にオンラインで30分くらい、ちょっとコンテンツづくりについて相談しました。明日は、同じ時間に質問会をおこないます。
2020. 9. 11 金
昨日は、ジャービル計画のための第1回目のオンライン研究会を開催しました。1時間半ほど、計画について皆でブレイン・ストーミングをおこないました。マテリアルの共有と、進め方や最初の課題について、そして次回はいつにするかを話しあいました。次回までに今日いただいた貴重なタタキ台に眼をとおします。
お待たせしました。夏休みの特別企画として連載している「王妃ペルシーナの視線」の第2弾を公開しました。皆さんも、note の読者になっていただけると、とても嬉しいです。
2020. 9. 10 木
古い本なのですが、最近になって入手して、なかなか良いと思っているのが、『医学の哲学』 Lester S. King, The
Philosophy of Medicine (Harvard UP, 1978) です。副題では18世紀初頭とうたっていますが、実際は17世紀初頭から18世紀末までをカヴァーしています。自然や実体形相、医化学、霊魂と身体、病因、合理主義と経験主義といったテーマごとの章立てにしたがって、明解な記述できっちりまとめています。手元にあると、非常に便利です!
2020. 9. 9 水
とても嬉しいニュースがあります。2014年に東大駒場でおこなった集中講義にも、他大学の学部生ながら参加してくれていた S さんが、めでたく大学院の科学史コース修士課程に入ることが決まりました。「BHとの出会いから足かけ7年で、ついに!」というのは、本人の弁です。科学革命へのキミアの影響を研究テーマにして、歩を進めることを目標にしています。おめでとうございます&がんばってください!
2020. 9. 8 火
今日は、反パラケルスス主義の急先鋒であるエラストゥスの著作から、ここのところ調べている点についての議論を吟味していました。あまり知られていませんが、じつは対話篇になっているのですね。博士論文のテーマなどとして、ラテン語がよくできるルネサンス学者に校訂・翻訳版を出して欲しいところです。
2020. 9. 7 月
ついにパリの図書館に注文していた偽トマスの著作の複写ができました。連絡メールのリンクから、ダウンロードにも成功。これから秋冬にかけて、じっくりと内容を吟味したいと思います。謎の『ウシの書』とどのくらいの関係があるかが、カギとなります。
2020. 9. 6 日
以前に入手して一度目をとおしていた偽ガレノスの発生書にも、ポリピュリオスがなんども言及されることに気がつきました。以前にも気になっていたのですが、すっかり忘れていました。しかも僕の方でも、以前とは違った角度からの見方をできるようになっています。これは東西にわたる謎となって、ますます興味がわいてきました。なんとも創造的な日曜日です。
午後は、ここのところ継続している作業のつづきをおこないました。こちらも、だいぶカタチが整ってきました。
2020. 9. 5 土
朝起きたら、とても嬉しいニュースが入ってきていました。おめでとうございます。この6月から集中的にとりくんだ成果が実りましたね。これから本格的な勉強をはじめることになるでしょう。がんばってください。
2020. 9. 4 金
午前中に歯科の検診がありました。午後は昨日の作業のつづきをおこないました。
2020. 9. 3 木
ここのところ掘りすすめている問題をまとめています。
2020. 9. 2 水
だいぶ締切から遅れたのですが、オックスフォード大学出版から予定されている古代ギリシアの医学者ガレノスについての論集に、今年はじめに入魂の寄稿をしました。題して、「初期近代の論争におけるガレノス」 “Galen in Early Modern Debates” です。今日は、世界的な権威である論集編者から、僕の論考にたいするコメントが帰ってきました。かなり実験的な議論だったので心配だったのですが、大きな変更をしなくて済みそうです。ふう、一安心しました。
同時に送られてきた大先生の新作論文を読んでみたら、なんと!僕の研究が大きくフィーチャされていて、イスから転げ落ちるほどの衝撃をうけました。ルネサンス学徒ながら、古代ギリシア・ローマについての古典学に貢献することを夢見ていたので、感動のあまりちょっと涙腺がゆるんでしまいました。
2020. 9. 1 火
今日は一日を想像力の問題を追うことに使っています。いまは文献を探索している段階です。18世紀についての議論は、1970年代後半という比較的に早い時期から分析されてきているのですが、ときどき古代やルネサンスの知識人の名前も言及されます。そういうものを丹念にひろってマッピングしています。