ごくごく個人的な「本」日記
2016年2月
2016. 2. 29 月
午後にデュッセルドルフから帰ってきて、まずは次号のメルマガを書いてドロップしました。今回は、昨年末に古楽研究家の斉藤基史さんとおこなったトークショー 『ルネサンスの音楽と知のコスモス: シビュラの預言と古代神学』 から、後半の質疑をもとにしたフリー・トークの部分を文字起こししました。なかなかディープなことを一般の人たちの前で話していたのだなと改めて思いました。あの日は本当に楽しかったですね。配信は3月2日となります。
2016. 2. 28 日
今日のデュッセルドルフも、外気は寒いのですが、良い天気のようです。なんだか目がカユイので、もう花粉が飛んでいるのではと感じられます。
2016. 2. 27 土
この週末はデュッセルドルフに滞在します。
遅くなりましたが、つぎのメルマガの準備をしないといけません。なにを題材にしましょうか?すこし考えます。なお、BH関連の動画が見たい方は、ぜひとも BHサロン の会員になってください。損はさせません!
2016. 2. 26 金
ディディエから、『パラケルススからラヴォワジエまでの化学と錬金術』 Didier Kahn,
Le fixe et le volatil: chimie et alchimie
de Paracelse à Lavoisier (Paris: CNRS Edition, 2016) という新著をもらいました。メイン・タイトルは、錬金術で伝統的に語られる固体と気体のことですが、キミアという知の伝統の継続と変容をあらわすかけ言葉にもなっていると思います。
工作舎のウェブサイトに連載されている読み物
『ライプニッツ通信 II 』、その第9回の「モナドの知的冒険はつづく」にて、先々週の本郷でのアーサー教授講演会と富山での国際シンポについての紹介がありました。僕についても、もったいないお言葉が書かれており、たいへん恐縮です!
「オランダを拠点にインテレクチュアル・ヒストリーの若手研究者のネットワークを牽引するヒロ・ヒライ氏は、研究会やシンポジウムの開催から本の 編集・出版・刊行後のパブリシティまで、精力的な活動でジャンルをこえた精神史研究を刺激しつづけている類い稀な人物。まさしくライプニッツが夢見た学者の共和国
(res publica litteraria) の仕掛人にして実践者です。」
2016. 2. 25 木
今日は、午後に博論生エレナの一章について会合があります。メモをまとめて準備はできました。
おお!『けいそうビブリオフィル』の「BH叢書のコスモス」のコーナーに、オシャレなバナーが入っていました!これは要チェック!
2016. 2. 24 水
オランダに移動しました。まだ寒いのですが、陽光のなかに春の兆しを感じます。オフィスでは、タロットの発送をはじめています。順繰りにやりますので、少し時間がかかります。
Isis 誌に寄稿したクレッグの2冊目
『アリストテレスを転覆させる:近代科学における宗教、歴史、哲学』の書評が、やっとのことで出版されました。2014年末に提出したものですので、本当に時間がかかりました。書誌データは Isis
106 (2015), 913-914 となります。アップしておきます。
クニ君やアダム君は忙しくなってしまったので、最近はオキ君と話しているのが楽しいですね。今日はずっとグラフトンやブレア、イェオの研究、ルネサンスのアリストテレス主義や原子論についての研究、生物学と哲学の研究などの話をしました。
2016. 2. 23 火
エレナの博論のための40頁ある一章を読み終わりました。だいぶ「コメンタリーのアート」を分析する力がついてきたとは思います。まだまだ言い回しがくどいところがありますが、こればかりは場数を踏まないといけません。フランスの人文主義者ランバンは、古代ローマの詩人にして原子論者ルクレティウスのテクストを注解するのですが、もともとルクレティウスがいっていること、ランバンの解釈、そして彼が使用するアリストテレスなどの他のソースの見解といったデータが錯綜するので、それをいかに読みやすい叙述(プローズ)にするのか?という課題があります。
米国ルネサンス学会の専用アプリでは、土曜日のセッションのスケジュールを開けると僕たちの「錬金術と偽書」 Alchemy and Forgery が一番に出てきます。アルファベット順で表示されることを知っていたので狙ったとおりです。やはりリストの後ろの方に出てくるよりは、人々の目につきやすいと思います。
2016. 2. 22 月
タロットを発送するために、ひとつひとつ梱包をしました。これだけの数があると、時間もかかります。
夕方から少し博論生エレナのランバンについての章を読みました。40頁とだいぶ書けるようになってきましたが、まだ二次文献の量が少ないと思います。直接に関係しないものは、いっさい読もうとしません。でも、他の教員はこの点を指摘しないのですよね。彼女こそ、トニーの
『テクストの擁護者たち』 を読むべきだと思います。木曜日の午後に合評会があります。
2016. 2. 21 日
おお!今朝の読売新聞の15面に、『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』 の紹介が出たようです。これはメデタイ!すでに2月7日の毎日新聞での紹介につづいて大新聞での紹介はふたつ目です。朝日と日経の動向を注意ぶかく見守っています。
午後には博論生エリザベトがBH本館を訪れ、博論のリバヴィウスについての章について2時間ほどコメントをしました。そのあとに一緒に夕飯を食べて帰っていきましたが、最近見たタロットとフィチーノの哲学を結びつけるドキュメンタリー番組が面白かったというので、それは僕の友人パリのクリストフが制作したものだよと教えました。
2016. 2. 20 土
パリのクリストフがドキュメンタリー番組 『マルセイユ版タロットの謎』 (2013年)のなかで使用するためにメディア・アントルプリーズ社に特注して復刻したニコラ・コンヴェル版の22枚を、なんと20部限定でファンの皆さまにお分けします。興味のある方はご連絡下さい。>
この件について告知をしてから半日で申し込みが20名を超え、あとはキャンセル待ちという盛況ぶりです。感謝!
博論生エリザベトの書いたリバヴィウスについての章を読みました。50頁もある大作で、ツラかったです。面白いところも多々あるのですが、まだまだ経験不足で論述に難があり、意味不明なところやくり返しが多いです。コメント会の日程を調整します。
2016. 2. 19 金
今朝は10時からセミナーで、イタリアから来た若い研究者によるデカルトの意志論についての発表です。『省察』を題材にした、質問を呼びこみやすいスタンダードな議論です。> 終わった後に、同僚のダヴィデがインテレクチュアル・ヒストリアンとなった現在の自分にとっては、歴史的な意識なしにデカルトを読む、こうした方法の意味を理解できなくなったと嘆いていました。
欧州に帰ってきて、時差ボケを引きずったままオフィスに出なければならない厳しい1週間をなんとか乗り切りました。これで1カ月にわたって日本、ルーマニア、オランダ、日本、オランダとつづいた長いマラソンも終わりです。やっとのことで、一息つけます。
2016. 2. 18 木
時差ボケですが目が覚めたのは5時で、それほど悪くありません。そのままスローな動きで身支度をして、8時半の電車に乗りました。11時半ごろにオフィスに着いたら、2月からここの博論生となったオキヒト君が来ていました。これからオフィスをシェアします。>
オキヒト君と夕飯を食べにいきました。
世界的に有名な古典学者の先生から、世界霊魂についての論集をオックスフォード大学出版から出したいのでルネサンスについての章を寄稿してくれという依頼がありました。このあいだのケンブリッジ大学出版から予定されているプロティノスの影響についての論集への寄稿の依頼につづいて2つ目のビッグ・ショットです。こちらの方面が良い流れとなっている感じがします。
2016. 2. 17 水
フライトはスムーズで比較的にながく眠ることができたので、目が覚めたときはすでにフィンランド上空でした。定刻よりも少し早くパリに着いたので、6時過ぎの電車で市内に入りました。車中で知りあった日本からチリへ交換留学する学生さんとおしゃべりしました。北駅に7時についてクリストフと合流し、その後の話を少ししてタロットを20部ほど限定販売に向けて預かりました。7時50分発の新幹線に乗ってベルギーをめざし、10時過ぎにリェージュに到着、バスに乗って家に着いたのは10時半でしょうか。
それからは旅の荷をほどいたり、留守中に溜まった郵便物を片づけたりして時間が過ぎました。眠りについたのは22時を過ぎていたと思います。
2016. 2. 16 火
今回の滞在は駆け足の2週間でしたが、その直前に欧州へのとんぼ返りをふくむもので、カワゴエの片づけも並行してやっていたせいもあり、なかなか大変でした。今日の零時のフライトで欧州に戻ります。>
20時前に家を出て、羽田には22時に到着しました。チェックインを済ませ、そのままジャル・ラウンジで飲み食いしながら時間をつぶします。飛行機に乗りこむころには、とても良い感じで眠くなっています。食事もそれほど食べずにワインとコニャックをもらって眠りにつきました。
本郷と富山では、ライプニッツの哲学を研究している人たちを中心に、哲学・思想史とインテレクチュアル・ヒストリーの関係について若手の研究者たちとじっくり話しをする機会をもてました。初期近代などの過去の哲学者をあつかうことが哲学史だと考える人もいる一方で、たんに古いテクストを読むだけでは歴史ではないという考え方もあります。さらなる議論の機会が欲しいですね。
また本郷のディナーでは、哲学のエライ先生(とてもオープン・マインドな方です)に、「インテレクチュアル・ヒストリーには距離感があるけれど、とても興味あるのだよ」といわれました。夜会での発言ですし、かならずしも正確に聞きとれたわけではないのですが、とっつきにくいくらいの意味だとは思います。小規模なシンポジウムなどの機会をもって、哲学の人たちとじっくり話しましょうということになりました。楽しみですね!
2016. 2. 15 月
10時半の新幹線に乗って大宮で乗りかえ、カワゴエに帰宅したのは13時半でした。さすがに2週間の全工程をこなした後は、かなり疲れましたね。2時間ほどそのまま昼寝してしまいました。明日の深夜のフライトで欧州に戻ります。明日の日中、ちょっとだけ片づけをして出発です。
ジオコスモス計画のための結論が届きました。これを編集して、あとは対応するイントロが来れば、本体はだいたい完成です。
2016. 2. 14 日
あいにくの土砂降りです。タクシーに分乗して人文学部に向かい、10時から国際シンポの2日目をスタートさせました。クニ君のあとに僕の発表がありました。お弁当を用意してもらって、昼食後の14時からリチャードの発表がありました。全部が終わったのは15時半でしょうか、それからトラムで駅に向かい、近くのホテルで談笑し、大半の人は富山をあとにしました。池田さん、僕、リチャードと一星君の4人で軽い夕食を食べました。
2016. 2. 13 土
6時に起きて東京駅に9時に集合し、クニ君やヨシ君、池田さん、リチャードと5人で新幹線に乗って富山を目指しました。9時半発のかがやき号で11時半に到着と、たったの2時間、あっという間です。各自ホテルにチェックインし、再集合してお昼ご飯を食べました。そしてタクシーに分乗して人文学部を目指します。
国際シンポの会場には13時半に到着し、会場の準備をしました。そして14時から池田さん、久保田さん、ヨシ君の3本の発表(30分ちょいの発表+20分くらいの質疑)と時間をたっぷりとりました。レセプションのあとにトラムで街中に移動し、駅近くのお店でディナーとなりました。
2016. 2. 12 金
今日は16時から、世界的なライプニッツ研究者リチャード・アーサー教授の講演会が、東京大学の本郷キャンパスにある法文2号館の教員談話室でおこなわれます。予約不要・無料ですので、どうぞご参加ください。僕もオーガナイザーとして会場に駆けつけます!
本郷の哲学科の院生さんたちと話す機会をもてました。多くの人が初期近代を研究していること、それから同じ建物(法文2号館)に入っている宗教学や歴史学の人々がなにを研究しているのか互いに認識していないことを知って驚きました。僕だったら、学科の壁をこえて初期近代研究所 Center for Early Modern Studies をつくりますね。べつに建物や場所はいらないのです。まずは、人々が連携してセミナーや読書会をとおして一緒に議論する機会をもつことが必要です。そしてシンポなどを企画していくのです。
2016. 2. 11 木
昨日につづいて片づけです。だいぶスッキリしてきました。本来ならもっと早い時期にやっておくべきでしたが、なかなか決断するのは難しいものでした。家族には大きな迷惑だったと思います。
2016. 2. 10 水
池袋にいって宿舎の支払いを済ませ、午後は昨日からの片づけをつづけました。
2016. 2. 9 火
年末にうけた健康診断の結果を聞きに近所のクリニックへ。まだまだ疲れがたまっているようで、スローな動きです。> 午後には、小中学校のころから堆積していたものを段ボールにいれて山積させていたものを、できるところから順に整理して廃棄すべきものは廃棄することにしました。
2016. 2. 8 月
今日はこの1週間の疲れを癒すために、なにもしないでスローな動きでいたいと思います。
2016. 2. 7 日
1週間の滞在も終わり、今日はクリストフの帰国日です。合流して宿舎を片づけ、羽田空港に向かうために山手線に乗せました。彼にとっても、とても充実した1週間だったと思います。昨日の出版記念イヴェントをふり返りながら、彼の人生のなかでこんなに強烈な体験はしたことがないと語っていました。> 嬉しいことに、今朝の毎日新聞の10面に紹介が掲載されていました。
トーク・イヴェントで撮った動画に簡単な編集をほどこして、アップしました。あとで BHサロン の会員特典として限定公開します。また、サロンの会員には出たばかりの 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』 を1冊進呈しています。
2016. 2. 6 土
さあ、今日が出版記念のためのトーク・イヴェントの本番です。13時にクリストフと合流し、会場に向かいました。渋谷のど真ん中のファッショナブルなビルのなかにあります。彼の本がしっかりと展示されていることを確認して、食事をしながら会場の設営を開始できる時間を待ちました。16時に会場に向かって設営をはじめると、プロジェクターの端子が通常の VGA ではなく、HDMI であることが判明しました。これは痛い!すぐさま出版社の担当の方がアダプターを近くの電気店に買いに出かけ、居ても立ってもいられなかったクリストフも別の電気店に向かいました。結果的にはイヴェント開始にギリギリ・セーフで間に合いました。
トーク・イヴェントでは、僕は普段の進行役だけではなく、同時通訳もしなければならなかったので大変なものでした。2時間のイヴェントが終わった後はなかば放心状態でした。それでも非常に上手くいったと思います。会場には40人を超える方々が訪れ、22冊の売り上げがありました。19時から23時ちかくまで、インド料理店で打ち上げがおこなわれました。クリストフも大満足だったと思います。
2016. 2. 5 金
今日は13時に訳者の豊岡さんと合流して、皇居を見学しました。最後に、マヌケなことに車のドアに携帯電話を挟んでしまい、ガラスが粉々に割れてしまいました。すぐさま東京駅の近くにある駆け込み寺のような店にいったところ、ガラスを交換して必要なら別の修理をするということになりました。1時間ほど待ってから戻ると、見事にすべてが直っていました。1万4千円かかりましたが、アップル・ストアよりも安くて、1時間という特急で作業してくれたので良しとしましょう。皆さんにも、お勧めします。
2016. 2. 4 木
土曜日の出版記念のためのトーク・イヴェントの前に、どうしても富士山を近くで見てみたいとクリストフがいうので、まだ時差ボケで体調が万全ではなかったのですが、遠足にでかけることにしました。10時に合流してチケットを買い、新宿、大月を経由して富士急線にのって河口湖をめざしました。前日に雪が降って気温も零下になるという予報でしたが、幸運にも天気がよく駅前で7度くらいでした。新宿に帰ってきたのは19時で、そのまま訳者の豊岡さんと合流してイタリア料理店で食事をしました。
2016. 2. 3 水
昨夜は、クリストフを宿舎に残してカワゴエに帰ってきました。夜遅くからですが、9時過ぎまで6時間ほど眠ることができました。今日は、時差ボケを直すことに専念したいと思いますが、どうもスローな動きをしています。
クリストフは訳者の豊岡さんにアテンドしてもらって、浅草の観光をする予定です。
2016. 2. 2 火
僕は時差ボケで朝3時に目が覚めてしまいました。クリストフは8時までスヤスヤと眠っていました。この人の睡眠の質は、僕よりもはるかに良いですね。10時前に宿舎を出て、ジュンク堂で 『ボッティチェリ 《プリマヴェラ》 の謎』 がしっかりとおいてあることを確認し、その足で三省堂へ。ボッティチェリの専用コーナーができていましたが、クリストフの本がおいてありません。西洋美術のタナにあった一冊を担当の店員さんにみせながら、このコーナーにおいてくださいとお願いしました。僕のぶしつけなお願いにもかかわらず、すぐに対応していただきました。ふかく感謝です。
そのあとは地下鉄にのって江戸川橋へ、そしてそこから徒歩で勁草書房に向かいました。担当の方の案内のもと、編集部を訪問して編集長および社長さんにご挨拶し、そのあとは書庫を見せていただきました。営業部長とはちょうど入れ違いになってしまったようです。短いあいだでしたが、お邪魔さまでした。
昼食をとってから宿舎に戻り、休息したあとは新宿にいってみることにしました。都庁の展望台から東京を眺め、そのあとは紀伊国屋書店に。ボッティチェリ専用のコーナーがあり、そこにはしっかりと『ボッティチェリ《プリマヴェラ》の謎』も置いてありました。書店の担当の方にもご挨拶できました。そのあとは吉祥寺に向かい、鏡リュウジさんと訳者の豊岡さんと合流して食事会をもちました。とても楽しかったです。
2016. 2. 1 月
ほぼ定刻どおり19時半に羽田空港に着きました。そのまま池袋の宿舎に向かい、21時には到着して守衛さんから予約してあった宿舎のカギを受けとりました。今回は一人部屋に補助ベッドを入れてもらいましたが、狭苦しいということはありません。むしろ快適です。23時にはそのまま眠りにつきました。