ルネサンス・バロックの科学・文化・思想
新刊書案内
その18
Catherine Wilson,
The Invisible
World : Early Modern Philosophy and the Invention of the Microscope.
Princeton Univ. Press, Princeton, 1995.
x-280pp. + Index
ほぼ同時期に、17世紀の顕微鏡の科学文化的インパクトについての歴史研究が多数出されましたが、ライプニッツ研究の権威でもある著者による本書は、その中でも最も優れた研究書でしょう。特に、ライプニッツをはじめとする哲学学者(自然学者)のリアクションに最も詳しいのではないでしょうか。発生学や解剖学との絡みでのより生物科学史的な関心からのアプローチを期待する読者にも十分応えるものだと思います。17世紀顕微鏡史の5人のヒーロー(ロバート・フック、マルピーギ、スワメルダム、グルー、レーウェンフック)にその記述のメインは割かれています。単なる事実確認の記述と言うよりは、文化史・思想史的な文脈中にきちんと当時の顕微鏡観察のインパクトが捉えられている好著です。
Preface p.ix-
始めに
1. Science and Protoscience p.3-
科学と前科学
2. The Subtlety of Nature p.39-
自然の微細さ
3. Instruments and Applications p.70-
器具と適用
4. Preexistent and Emergent Form p.103-
前在説と現れてくる形相
5. Animalcula and the Theory of Animate
Contagion p.140-
アニマルキューラ(微生物)と生きた伝染因の理論
6. The Philosophers and the Microscope
p.176-
哲学者達と顕微鏡
7. The Microscope Spurfluous and Uncertain
p.215-
顕微鏡は不確実で不正確
8. Truths and Apprearances p.257-
真実と見かけ
Bibliography p.257-
文献リスト
Index p.273-
索引