BHキンドル



 

 

学術出版の未来を占うために、試みとしてキンドル版の製作をはじめました。

その名も「BHキンドル」です。よろしくお願いします!

 

 

最新作!

 

魔術的マトリクスの誘惑:イスラムとヨーロッパの神秘主義とオカルト諸学』 (ヒロ・ヒライ 中西悠喜

 

イスラム世界や中世ヨーロッパにおける神秘主義の正体から、魔術・占星術・錬金術といった「オカルト諸学」との関係、そして神秘神学者イブン・アラビーを輩出したアンダルスの魔術的なマトリクスについての対談です。アラビア・イスラム学とヨーロッパ学からの知見を交錯させる試みとなっています。

 

 

 

神、天地創造、そして普遍医薬:17世紀初頭のパラケルスス主義者たち

 

20167月にオックスフォード大学でおこなわれた国際会議で発表した作品。神や天地創造といった概念とともに普遍医薬の理論が宗教的・神学的な様相を帯びるようになる流れのなかで、17世紀初頭に活躍した著名なパラケルスス主義者たちの試行錯誤に光を当てる。まずはフランス人医師ジョゼフ・デュシェーヌの第一歩をスケッチし、ついで彼のドイツ人仲間オズワルト・クロルの場合を分析する。

 

    1.はじめに

       2. デュシェーヌと普遍医薬

       3. クロルと『キミアの聖堂』(1609年)

       4. むすび

 

 

 

マルセイユ・タロットとフィチーノの知のコスモス:クリストフ・ポンセ氏インタヴュ

 

20165月にパリでおこなった『ボッティチェリ《プリマヴェラ》の謎』の著者クリストフ・ポンセ氏へのインタビュの模様をキンドルにしました。マルセイユ・タロットの大アルカナ22枚の復刻の経緯、そして大アルカナの構成とフィチーノの哲学の関係について、ポンセ氏が解説しています。ファン必携のアイテムです!

 

 

 

インテレクチュアル・ヒストリーと哲学史・思想史: 対談 (ヒロ・ヒライ アダム・タカハシ)

 

201636日にアダム・タカハシ君をゲストに迎えておこなったラジオ対談は、各方面からさまざまなリアクションをいただき、大好評でした。今回のキンドル版は、その対談に大幅な増補・加筆をくわえた必携版です。インテレクチュアル・ヒストリーとは何か? 哲学史・思想史との違いは? つぎの時代の新しい潮流は? といった素朴な疑問に応えます!

 

1. はじめに

2. テクストの科学

3. 人文主義、注解、知の営み

4. 思想史、書物史、知のオーガナイズ

5. 写本の読解とインテレクチュアル・ヒストリー

 

 

 

パラケルススにおける梅毒、性愛、そして想像力 (菊地原洋平 ヒロ・ヒライ)

 

パラケルスス(Paracelsus, 1493/94-1541)は、フランス病と一般に呼ばれる新しい伝染病である梅毒がヨーロッパ全体を襲っていた時代に生きた。医師たちは、この病気の正体や起源、治療法について激しい論争をくり広げていた。これらの論争において、もっとも重要な人物として登場したのがパラケルススだ。梅毒に捧げられた彼の諸作品のなかでも、ここでは『フランス病の起源と原因について』(1529年に執筆)に焦点をあてて、病気の「移植」という彼の新理論を考察する。

 

 

 

危険な物質主義の系譜:アレクサンドロス、アヴェロエス、アルベルトゥス (ヒロ・ヒライ アダム・タカハシ)

 

8年越しの待望の博士論文を提出間近のアダム・タカハシ君をゲストに向かえた、とてもディープなBH 新春対談 2015 をもとにしたキンドル版です。古代ギリシアから近代にいたる西洋文化の根底に見え隠れする危険な物質主義の系譜を開闢します。大好評だった対談に丁寧で大幅な加筆をし、有用な注をつけ、超レア図版も収録しています。BHファン必携のアイテムです!

 

1. はじめに

2. BHの年末イヴェント、紺野さんと山寺、そして狩野派

3. 注解者アヴェロエスと物質主義

4. 物質主義・自然主義とアフロディシアスのアレクサンドロス

5. アレクサンドロス、『天について』、そしてレオニチェノ論文

6. 物質主義とは?――熱、神としての天空、そして占星術

7. アレクサンドロスの神学――スピノザのスキャンダラスさとの近似

8. アレクサンドロス研究の現在――アヴェロエスをめぐる環境の変化

9. インテレクチュアル・ヒストリーとは何か?――アヴェロエスと西欧文化の起源

10. 今後の課題

 

 

 

知のミクロコスモス:中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー

 

ついに大好評の『知のミクロコスモス』のキンドル版が登場しました。お得な3000円です。これをもって街に出ましょう!

 

 

 

 

 

 

その他の作品

 

 

キルヒャーにおける天地創造と生命の起源

 

ときに奇妙なテーマをあつかった議論を補強するため、キルヒャー(Athanasius Kircher, 1602-1680)はおびただしい数の実験・観察に依拠した。これらの実験・観察は、実際にみずから実行したと主張するか、他の優れた学者の報告にもとづくとした。彼の著作は、当時の有力な学者たちにとって同時に賞賛と疑惑の的であり、ヨーロッパ中に論争をまきおこした。歴史家たちは、これらのリアクションを新しい精密・経験科学のたしかな発現のしるしと考えてきた。しかし、実際にキルヒャーのテクストを実際によみ、彼の教えたことを分析し、より厳密な経験や観察に依拠したキルヒャーの反駁者たちの科学的活動を理解しようとしたものは、非常に少数であるように思われる。本稿では、彼のテクストを注意ぶかく分析することで、キルヒャーが生命の起源の問題について本当に説いたことを歴史的・知的な背景に鑑みて理解することを目指す。

 

 

 

ガファレルの『前代未聞の驚異』における占星術、魔術、そして医学

 

フランスのオリエント学者ガファレル Jacques Gaffarel, 1601-1681は、『前代未聞の驚異あるいはペルシア人の護符、聖なる族長たちのホロスコープ、そして諸星辰の読み方』という著作を1629 年にパリで出版した。序論としての第一部のあとに、三つの知の領域に対応する三つの部分がつづく。護符、占星術、そして星辰の読解あるいは星辰の「徴」(しるし)の学問である。第一部は、古代ヘブライ人たちや他のオリエント諸民族に帰される、間違った考えについての一般的な考察からなっている。第二部では、ペルシア人たちの図像と護符が議論される。第三部は、古代ヘブライ人たちの占星術を扱い、最後の第四部は彗星のような星界における徴を読みとく方法が議論される。ガファレルの教えによれば、諸星辰は文字のように配列されており、それらを読みとくことで、これから宇宙に起こる重要なことがらを人間は予見することができると古代ヘブライ人たちは考えていた。これらの諸問題のうち本稿では、もっとも長尺の第二部に焦点を当てたいと思う。この分析から、図像とイメージにかんするガファレルの科学の理論的な基礎を、そしてその医学との関係を探ってみたい。

 

 

 

想像力、母親の欲望、胎児の徴 :フィエヌスの発生論から

 

森のなかで妊婦がオオカミに出会う。あまりの恐ろしさに、彼女のいだいた強烈な恐怖感は、腹の胎児にオオカミの痕跡をしるす。別の妊婦は、イチゴやチェリーを渇望するあまりに、これらの果実のなんらかの残像を胎児にきざむ。母親の欲望や恐怖といった感情の力が幾ばくかの痕跡や残像を胎児に刻印するという信念が、西欧ルネサンス期には流布していた。本稿では、この信念の理論化における初期近代の学術医学の関わりあいに焦点を当てるために、発生論の枠組みで想像力の作用について単著を出版したフィエヌス(Thomas Fienus, 1567-1631)をとりあげる。

 

 

 

占星術、夢解釈、守護霊 カルダーノの『わが人生の書』から (ヒロ・ヒライ + 榎本恵美子)

 

自叙伝 『わが人生の書』 は、ミラノの医師カルダーノ(Girolamo Cardano, 1501-1576/77)の最晩年にあたる1574年から1575年ごろに執筆された。彼にとって、自分のことを書くのは初めてではなかった。少なくとも四つのヴァージョンが知られている『わが書物について』において彼は自分の業績をさまざまに分析・描写している。『わが人生の書』は、こうした彼の人生におけるとり組み、つまり「自分の探究」の最終的な統合と考えることができるだろう。彼の自伝は、過去に多くの読者を引きつけ、多くの紙幅がそれに割かれてきた。本論では、三つの主要な要素を焦点としたい。占星術、夢解釈、そしてダイモーンとの対話、もっと正確にいうと、彼の守護霊との対話である。

 

 

 

ルネサンスの星辰医学 占星術の変容から普遍医薬の探究へ

 

西欧ルネサンス期における医学の理論と実践にたいする占星術の影響は、いまだ十分に研究されているとはいえない分野である。それ以前の時代の医師たちは、ひろく認められていた星々からの地上の事物への影響のほかに、つぎのような点について占星術を考慮にいれるよう教育されていた。1)受胎と出生、2)「分利日」 dies decretoria とよばれる健康や病気における諸相のわかれ目、そして 3)投薬のタイミングである。医学と占星術のむすびつきは、とりわけ絶大な影響力をもったアーバノのピエトロ(Pietro d’Abano, 1257-ca. 1315)の仕事のあとに強まっていった。

 

 

 

神の御言葉と普遍医薬 オズワルト・クロルの化学哲学

 

急進的カルヴァン派のアンハルト=ベルンブルグ伯クリスチャンの政治密命のもと、クロル(Oswald Croll, ca. 1560-1608)は没年までプラハに居をかまえ、皇帝ルドルフ2世の宮廷に出入りした。彼の主著『キミアの殿堂』 (フランクフルト、1609年) 16世紀後半から17世紀前半の欧州を席巻したパラケルスス主義の運動において特筆すべき位置をしめていた。

 

 

 

パラケルスス、生きている鉱物、そして天地創造

 

中世錬金術で有名な二原質理論の硫黄と水銀は金属の種子とも呼ばれ、ストア派の種子的理性(ロゴイ・スペルマティコイ)の理論を土台にしているともいわれている。さらに中世錬金術では、性的な寓意が種子の概念をめぐって発達していた。パラケルススは、硫黄・水銀に塩を加えた三原質理論の確立者として名高いが、彼の理論には錬金術に特有の性的な含意が欠けている。同時に彼は種子の概念も展開しているが、それは性的含意をかわりに担うものなのだろうか?それとも、その他の伝統から彼は事物の種子というアイデアを受けいれたのだろうか?

 

 

 

エリクシルから第五精髄、そしてアルカナへ

 

錬金術と蒸留術はヨーロッパへ伝えられ、さらなる発展をとげることになった。本稿では、中世ヨーロッパにおける錬金術の発達が、それにつづくルネサンス期(とく16世紀)に花開いた蒸留書伝統といかに関連していたのかをスケッチしてみたい。

 

 

 

蒸留術とイスラム錬金術

 

アロマテラピーなどに使われるエッセンシャル・オイル(精油)や芳香蒸留水は、植物類の水蒸気蒸留によってえられるが、蒸留技術の歴史はながく、錬金術のそれと密接に結びついている。この蒸留技術と錬金術が大きく発展したのが、中世イスラム世界においてであった。

 

 

 

不老不死の秘薬 エリクシル

 

西洋における不老不死のアイデアの源泉と錬金術の歴史は切っても切れない縁がある。本稿では西洋の錬金術のなかで、どのように不老不死が探求されたかについて説明したいと思う。

 

 

 

 

 

 

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